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POPs対策検討会(第3回)議事要旨
- 1 日時
- 平成14年9月25日(水)14:00~17:00
- 2 開催場所
- 開催場所 合同庁舎5号館22階 環境省第1会議室
- 3 出席委員・事務局
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- 出席委員
- 森田委員(座長)
酒井委員
柴田委員
鈴木委員
田辺委員
中杉委員
細見委員
- 事務局
- 南川環境保健部長
石野企画課長
安達環境安全課長
鈴木リスク評価室長
早水化学物質審査室長
森下環境安全課課長補佐
行木専門官
相澤係長 他
- 4 環境保健部長挨拶
- POPs条約については我が国は8月末の地球サミットにおいて、寄託書を提出し、正式に加入した。9月初旬で既に21カ国が締結しており、ヨハネスブルグサミットで2004年末までに条約の発効を目指すこととされている。
日本も小泉構想の中でPOPs条約の発効に向けて率先して取り組むこととしており、いよいよ条約発効に向けて国内実施計画の策定など、関係省庁と連携しながら取り組んでいくこととなった。今後とも本検討会に関してご指導をいただきたい。
- (資料確認)
- 5 議題
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- (1) 第6回政府間交渉会議の報告
- 資料2に基づいて、6月17日~21日にかけてジュネーブで行われた第6回政府間交渉会議(INC6)の概要について報告。INC6は、国際機関、NGOの参加もあった。POPs条約採択後初めて開催される国際会議であり、最終的に19の決議がなされた。個別事項としては、ビューローの拡大、非意図的な製造・使用からの放出の抑制又は廃絶、ストックパイルと廃棄物からの放出の削減又は廃絶、国内実施計画、POPs検討委員会、技術支援、資金及び資金供与の制度、有効性の評価など。
GEFは既に64カ国の途上国から国内実施計画を策定するための資金援助の申し出を受けている。技術支援に関するガイダンス、キャパシティービルディング、フィージビリティスタディー及びケーススタディの実施。但し、ケーススタディは追加的な予算が利用可能であればという限定がかかっている。WSSDでは2004年末までに条約を発効させることが国際的なコミットメントとされた。なお、フィンランドが北欧では、ペンタブロモフェニルエーテルを新規POPs候補として考えているとの発言あり。
質疑応答は以下の通り。
- 新規POPsについてはどんな物質が話題にあげられたのか。新規物質として決定する手続き等に関する検討は始まっているのか。
→新規POPsの追加については、条約自体が発効していないので、従って新規POPsの選定についてのプロセス自体が始まっていない。現在は、新規POPs候補を議論するPOPs対策検討委員会の事務的規定を議論しているところ。まず条約を締結させ、その後、新規のPOPsに関して検討すべきであるというのが各国の共通したスタンスである。
- 個別事項の8点目、有効性の評価について、UNEPの下でのグローバル環境モニタリングネットワークに関する具体的な議論はなかったのか。
→INC6の中では特に具体的な議論はなかった。データ収集の1つの方法としてINC6においても認知されており、今後議論される見込み。
- (2) これまでに講じた取組及び平成14年度にこれから講じる予定の取組について
- 参考資料4にもとづいて全体的な対策の枠組みについて説明。個別の対策については資料3等に基づいて製造・使用の禁止、非意図的生成物、ストックパイル・廃棄物対策、モニタリング、POPsのスクリーニング基準の明確化について担当部局から説明が行われた。
- 非意図的生成でPCBやHCBの測定の結果が出ているが、これは処理後の排ガス(煙突から出たもの)のデータか。今後の対策を考える上では既存の処理技術でどれだけ除去されているかを知ることが重要。処理前の排ガスについても測定してはどうか。これは排水についても言える。
→測定データは、処理後(煙突から出てくる)の排ガスのデータである。
- 底質についての議論が出ていないので、おさえておく必要がある。
- 土壌については環境ホルモンの一斉調査時にDDT等を測定しているのでそれらのデータを整理しておく必要がある。
- 化審法について質問がある。第1種特定化学物質のトキサフェンは異性体をすべて含むのか。それとも特定の異性体についての規制と考えて良いのか。
→正確には別途確認したいが、混合物ととらえている。
- 非意図的生成物質の分析法について、大気と水で共通性を確保するように配慮しているのか。国内でもデータの比較可能性を確保する必要がある。
→現状では大気だけの結果が出ている。指摘事項を踏まえて、水環境部に伝える。
- 農薬以外にシロアリ駆除剤として使用されたものの中でストックパイルはどのように調べているのか。
→農薬以外のシロアリ駆除等の用途については都道府県、関係自治体、関係業界団体等の協力を得て可能な限り調査していきたい。
- 難燃剤として使用されたマイレックスが国内に入ってきているかどうかは分かるか。
→海外でも、現時点では使用実態はないと承知している。
- ストックパイルについて今年度実機規模で試験を実施するということだが、埋設農薬のPOPsに対しては、どこが事業主体として処理責任を負うことになるのか。
→産業廃棄物として排出者が適切に処理していくことが基本。農協等を主体として廃掃法における基準を守って処理していくということになるだろう。
- 化審法の届出基準では、濃度1%以下は届出の範囲外となるのか。
→通常は濃度1%以上で試験及び届出義務がある。条約上微量のコンタミは例外ということになっているので、常識的な範囲でのコンタミについては除外ということになるだろう。
- 難燃剤や防虫剤については、例えば、虫がつかないタンスといった形で日本に入ってくることは認められるのか。
→化審法では通常は二次製品として輸入されるものは規制対象とならない。ただし、クロルデンは防腐・防虫木材などが輸入禁止対象物となっている。PCBについてもエアコン、テレビが規制対象となっているので、すべての二次製品が規制対象外である訳ではない。極力分かる範囲で輸入規制をするというのが法律の考え方である。
- →微量濃度の試験・届出義務については、基本的なメルクマールは1%である。
→トキサフェンの指定の仕方についてはポリクロロ-2,2-ジメチル-3-メチリデンビシクロ[2・2・1]ヘプタンという形で指定しているので、塩素数の異なる異性体はカバーされる。
- 主たる炭素骨格にボルナン、ボルネン、カンファンの3種があるのではないか。
→再確認する。
- スクリーニング基準については、日本から独自の基準を提案していくこともあると考えて良いのか。
→新規POPsの追加については、各国の見解が問われることになるので、日本でもクライテリアの考えを明確化しておくことが必要である。新規POPsの追加は、日本国内では既に対策済みの物質が追加される場合と日本では未規制だが海外では規制されている物質が追加される場合があるが、どちらにでも対応できるよう基準を明確にしておく必要はあると考えている。
- ○経済省の取組
- 経済省のPOPs条約締結に向けた取組について事務局より紹介。
- ○農水省の取組
- 農林水産省の取組について、農水省担当者より紹介。
- 埋設農薬について、周辺環境に浸出がある場合は補助金を出して処理するという説明だったが、浸出がない場合は特に対策をとらないのか。
(農水省)→POPs条約では適切な管理と処理が義務づけられているので、将来は何らかの処理が必要になるだろう。現在は処理技術の開発を待っている状況であり、当面は現地で保管し、16年度以降は技術開発の結果を踏まえ処理したい。
- 16年度以降は掘り出して無害化するという理解でよいのか。暫定マニュアルを作った時には処理技術が開発されていないという前提があったが、技術開発が終了した後は暫定マニュアルを見直す必要があるのではないか。
(農水省)→無害化については質問の通り。
- 人のモニタリングについては厚生省の管轄になると思うが、どのようになっているのか。
→人については環境中における広義の生物として位置づけ、ほ乳類の1種として環境省のモニタリングに含まれると考えている。今後検討していきたい。
- 厚生省は1999年に母乳の調査を公表したが19都道府県しかなかった。ストックパイルの問題と共通するが、有機塩素系農薬の使用量の多かった県などが調査対象から抜けている可能性あるため、今後調査するのであれば、真の意味でのナショナル・サーベイをやってもらいたい。・縦軸に対策、横軸にPOPsの対象物質というマトリックスを作って対策の状況がどうなっているのかということを示し、全体として整理した上で議論を進めていく必要がある。
- (3) 国内実施計画の考え方について
- 国内実施計画策定の考え方とその素案について事務局より説明。
- 資料4-2の汚染された場所の特定とあるが、「汚染された」という判断はどのようにするのか。この基準は条約でも明記されていないと考えられる。
→締約国の判断に委ねられている。
- ダイオキシン類に汚染された廃棄物といった時に、処分場にあるものはどう考えるのか。汚染された場所として見るのか、廃棄物として見るのか。
→条約の対象外である。
- 底質に関する議論が欠落している。底質については国土交通省で新たに仕組みを考えているので、それも計画に盛り込んでいく必要がある。・底質については世界的に汚染されているが、国際的に足並みをそろえることが可能なのか。
→底質は条約でも明記されていないが、環境省内の取組を含め国土交通省にも連絡した上で、対応を検討していきたい。。
→国内対応については、条約上義務を受けている部分とそれ以上の対策を講じる部分とがある。例えば、農家に少量残っている農薬に関しては条約の対象外であるが、日本では、こうした農薬についても調査を進めている。
→条約上の解釈としては、過去に処分されたものについて条約の義務はかからないとされている。むしろ、汚染土壌については条約6条で、汚染された場所の特定のための戦略を定めるよう努めることが規定されている。
- 国内実施計画の目次(資料4-2)が出来ているということは、ある程度できあがっているとも言える。次回以降詳しく議論したいが、構造的に抜けている点などがあれば御指摘いただきたい。
- (4) その他
- ○NOWPAP(Northwest Pacific Action Plan)
- 事務局より参考資料7に基づいてNOWPAPについて説明。
- ○WSSD(World Summit on Sustainable Development)における化学物質関連の実施計画
- (5) 次回のスケジュール
- 第4回については来年の春もしくは夏の開催を予定しており、別途日程調整を行うこととなった。
- (まとめ)
- 最後に森田座長から、いろいろな議論が出され、各省との調整が必要な部分もあるが、事務局にはよろしくお願いしたいとのまとめがあった。
- 以上