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第8回国際シンポジウム開催の報告

2005年12月4日から6日まで、第8回化学物質の内分泌かく乱作用に関する国際シンポジウムが沖縄県で開催されました。


パネルディスカッション
「今、自然界で何が起こっているのか?~内分泌かく乱作用から生態系をどう守っていくのか~」

 4日(日)の一般向けプログラムでは、小池百合子環境大臣、稲嶺恵一沖縄県知事、加藤修一参議院議員からの開会挨拶に続き、「今、自然界で何が起こっているのか?~内分泌かく乱作用から生態系をどう守っていくのか~」というテーマでパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションのコーディネーターは、淑徳大学教授北野大氏、パネリストはタレントの中山エミリ氏、ジャーナリスト・環境カウンセラーの崎田裕子氏、千葉県立中央博物館の須之部友基氏、野生生物の専門家安間繁樹氏でした。

大臣挨拶 北野大氏 中山エミリ氏
大臣挨拶 北野大氏 中山エミリ氏
崎田裕子氏 須之部友基氏 安間繁樹氏
崎田裕子氏 須之部友基氏 安間繁樹氏

 まず、パネルディスカッションテーマに関連のある3つの報告が行われました。

報告1.「カエルが減っている」:
40年間、群馬県を中心に調査を行っている地域研究者富岡克寛氏からの、カエルの生息数に関する報告。カエルによっては、個体数が増加しているものもあり、減少しているものもある。原因としては、薬剤散布、水田の乾田化などが考えられる。
報告2.「状況で変化する野生生物の性別」:
化学物質の内分泌かく乱作用問題で大きく注目を浴びた、オスがメスに変化するなどの性別の変化。自然現象でもこういった「魚の性転換」がおこるという、クマノミを例とした中京大学教授桑村哲也氏からの説明。
報告3.「英国ローチ研究の今」:
イギリスにおける約20年に及ぶ調査研究の結果、ローチ(淡水魚)のメス化の原因はノニルフェノールのような化学物質だけではなく、むしろ主な原因は天然の女性ホルモンだということが分かってきたという、英国エクセター大学教授タイラー氏の報告。
富岡克寛氏 桑村哲也氏 タイラー氏
富岡克寛氏 桑村哲也氏 タイラー氏

こういった報告を基に、パネリストの間で議論が深められました。主な論点は

  • 野生生物の異変を知るためには、まずは地道で継続的な観察が必要
  • 野生生物の異変といった問題に対してはじっくりと冷静に包括的な視点をもって原因を探ることが肝要
  • 日々の生活の中で化学物質の内分泌かく乱作用問題を含めた環境問題にどのように向き合っていくのか一人一人が考えることが大切
パネルディスカッション会場 パネルディスカッション風景
パネルディスカッション会場 パネルディスカッション風景

 

 またこのホームページで事前に実施したアンケートに寄せられたご質問のうち、「メス化現象等が内分泌かく乱作用として知られるが、その他考えられる影響について知りたい。」という質問が取り上げられ、タイラー先生から「内分泌系を介した影響というのは、生殖腺以外にも体内の様々な部分に発現すると考えられるので、まだ分かっていないというのが現状」という回答がなされました。


 パネルディスカッションの様子は、2006年4月1日(23時30分~24時40分)NHK教育テレビ「土曜フォーラム」で放送予定です。

 

専門家向けプログラム

5日(月)・6日(火)は、国内だけでなく、イギリス、アメリカ、カナダ、ドイツ、経済協力開発機構(OECD)といった国外からも研究者や行政関係者を招いて、専門家向けプログラムが行われました。

セッション1: 疫学研究における問題点
セッション2: リスクコミュニケーション:現状と課題
セッション3: 群集レベルまたは生態系レベルでの人間影響評価内分泌かく乱作用解明の新たな切り口
セッション4: 内分泌かく乱作用に関する試験法開発
セッション5: 化学物質のリスク評価に関する最近の動向

といった幅広い分野にわたるテーマ別セッションが行われ、スピーカーからの発表を基に、多様な意見交換がなされました。セッションで使用されたスライドは下記ページで公開される予定です(→http://www.env.go.jp/chemi/end/index3.html) 

専門家向けプログラム(1) 専門家向けプログラム(2)
専門家向けプログラム(1) 専門家向けプログラム(2)
専門家向けプログラム(3) 専門家向けプログラム(4)
専門家向けプログラム(3) 専門家向けプログラム(4)

 

関連展示

 シンポジウム会場では、環境省や日本化学工業協会による映像展示、沖縄県によるパネル展示が行われました。

環境省映像展示 沖縄県パネル
環境省映像展示
日化協映像展示
日化協映像展示 沖縄県パネル

 

配布物

 シンポジウムプログラム・アブストラクト集とともに小冊子「チビコト:ロハス的環境ホルモン学」が配布されました。

 

 

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