平成25(2013)年度
日本アロマ環境協会賞
みどりと香りと花の街区づくり
企画者:鹿ノ台自治連合会(ECOKA委員会)/奈良県生駒市みどり景観課
場所:奈良県生駒市
訪問日時
2020年2月13日午後
訪問先
奈良県生駒市鹿ノ台北
ECOKA 委員会 委員長 山田勲氏 副委員長 山本保彦氏 カメラマン 塚原氏
鹿ノ台自主防災会 事務局長 中谷内政之氏
生駒市みどり公園課 課長補佐 知浦太一氏
企画の概要
ヒアリング内容
生駒市は、人口約12万人、面積約53k㎡、大阪府と京都府に接する奈良県北西部に位置しています。大阪中心部から約20分、京都中心部から約45分と、大都市近郊のベッドタウンとして昭和30年代から発展してきました。市の名称となった生駒山系の豊かで多彩な自然環境、宝山寺をはじめとする歴史文化のある街です。子育てしやすい自治体では奈良県1位、治安の良さも関西1位です。(日経BP総研『ヒト・カネ・モノでみる自治体子育てランキング2017』平成28年度 人口10万人都市比較)
鹿ノ台地区は、奈良県生駒市の北部に位置し、京都府とも接しています。昭和40年代に土地区画整理事業で開発、昭和53年に街ができました。約122ha、2800区画、約7200人が住む、豊かな自然に囲まれた閑静な住宅地。空撮はヨーロッパの城塞都市のようです。
もともと「花と緑と自然の先端都市・生駒をめざして」緑の計画に力を入れていた生駒市。平成25(2013)年度、日本アロマ環境協会賞「みどりと香りと花の街区づくり」は、鹿ノ台自治連合会(ECOKA委員会)と生駒市の共同企画です。
近鉄奈良線の学園前駅からバスで20分ほど乗車し、終点の鹿ノ台北二丁目のバスターミナルに到着。ECOKA委員会の山田勲さんと、副委員長の山本さんが出迎えてくださいました。
こちらの都合で駆け足の訪問になってしまいましたが、山田さんをはじめ鹿ノ台自治会連合会のみなさんがパワー全開で「みどりと香りと花の街区づくり」のその後取り組みを案内してくださいました。
最初にご案内いただいたのは、鹿ノ台オープンガーデン。
未利用地の活用として、民地(生駒市の土地)250坪を四季折々の花で飾る取り組みです。地元の保育園、幼稚園、小学校、福祉センター、地域住民など、(最近は県外からのナンバーも見られるとのこと)年間を通して賑わうそうです。訪問日は、ちょうど準備中でしたが、オープンガーデンから見える里山の眺めも素晴らしかったです。
その後、鹿ノ台のみなさんの活動拠点、「鹿ノ台いきいきホール」で鹿ノ台自主防災会事務局長の中谷内さんと鹿ノ台のカメラマン塚原さん、生駒市みどり公園課の知浦課長補佐と合流して、鹿ノ台地区の総合的な取り組みも含めてお話をうかがいました。
ここ数年、国や県から、みどりに関する賞をはじめ、まちづくりに関する賞を数多く受賞されており、視察の方々も訪れる鹿ノ台地区。自治会連合会、ECOKA委員会のホームページを拝見すると、「みどり香るまちづくり」企画コンテストを含めた最近の受賞歴が掲載されています。
「ふれあいの森林づくり」国土緑化推進機構会長賞受賞(2019/12)
みどりの愛護 国土交通大臣賞(2019/05)
花と緑の四季彩まちづくり コミュニティ大賞(2019/02)
きれいに暮らす奈良県スタイル実践活動推進協議会から受賞
グッドライフアワード2017環境大臣賞 地域コミュニティ部門受賞(2017/11)
H24年度国土交通省報道発表:「緑の都市賞」 都市緑化機構会長賞
H21年度国土交通省報道発表: 「手づくり郷土賞」 大臣賞
「みどり香るまちづくりコンテスト受賞後の、受賞者のみなさんとの交流の中で、たくさん知恵をいただいたのです。長い時間の努力と工夫の積み重ねで今がある」と山田さん。
これらの数々の受賞は、30年以上におよぶエリアマネジメントの取り組みの成果だと、話してくださいました。「これだけ大規模な開発で、総合的なエリアマネジメントを始めたのは、多分全国でも私たちが初めてくらいと思います」 30年以上前から、鹿ノ台のまちづくりのために走ってきたそうです。そのときからのメンバーの「自分たちの街は自分たちで守る」「「次の世代の子どもたちに、よいふるさとを残したい」「親も子も孫も、ここがふるさとですから」そんな想いに溢れています。 最後に「みどり香るまちづくり」受賞時の前から長い間かけて取り組まれていたという周辺緑地の整備をご案内いただきました。
開発から40年、ジャングル状態だった12haの広大な周辺緑地を10年かけて整備し、ウメ、サクラ、モミジ、ツバキ、ハナモモなどを植樹したそうです。また、森林ウォークを楽しめるように遊歩道を整備。これらを、すべてECOKA委員会がボランティアで行ったとのこと。
現在は、地元幼稚園や小学校の環境体験学習、しいたけ栽培、園児の芋ほり体験など世代間交流に向けた機会にも利用されています。また、森林ウォーク、お花見会、防災果樹園、ホタルの放流など、さまざまなイベントも行われています。
戻ってから数日後、山田さんから「梅の花がきれいに咲きました」とお写真が届きました。鹿ノ台の香りとともに。
鹿ノ台全開発面積122ha の内、鹿ノ台中央公園は30,000㎡を占めている。中央公園内には人工的に常緑樹や落葉樹が混在した緑豊かな樹木が成長したが、街の付加価値を高めるために香りの木を植栽することで公園に魅力をつける。
大規模宅地造成地で人工的な植栽が不可欠であることから、積極的に花と緑を中心に緑化推進を図ってきた。従前からの花壇整備と一斉清掃など美化活動に香り要素を加えて地域コミュニティを深めたい。長年の地域活動(エリアマネージメント)を踏まえ、自分たちの街を守る気持ちに香りを付加する。
樹木や花の香りは森林浴で体験できるが、まちなかの公園で身近に体感することでより自然環境に親しんでもらう。公園の香り、地域の香り、癒やしの香りを育てる。子どもたちが植物と香りとの関係性を遊びの中から学習できるように修景。加えて、地域や学校の特徴を語り継ぐ思い出と香りづくりを提供・スーパーエコスクール鹿ノ台中学校との連携を図る。