平成20(2008)年度
におい・かおり環境協会賞
自分たちの出した生ごみが生まれ変わる。
「ハーブのかほりを楽しむ街を目指して」
企画者:橋南まちづくり委員会
場所:長野県飯田市
訪問日時
2019年3月15日午後
訪問先
長野県飯田市
飯田市市民協働環境部ムトスまちづくり推進課橋南自治振興センター
橋南まちづくり委員会 環境委員会
企画の概要
ヒアリング内容
平成20年度 日本アロマ環境協会賞受賞の長野県飯田市橋南まちづくり委員会を訪ねました。飯田市市民協働環境部ムトスまちづくり推進課橋南自治振興センター、橋南まちづくり委員会環境委員会の方々がご対応くださいました。
かおり風景100選に選定された「りんご並木」と交差する、全長600メートルの街路樹の足元にラベンダーを植えて、町をラベンダーの色と香りで包み、町の活性化につなげることを目指した企画です。育成に生ごみの分別収集で得られた堆肥を活用し、環境にも配慮した取り組みでしたが、現在は焼却炉入れ替えによって生ごみの堆肥化は行われていないそうです。
飯田市内では、4月に桜、5月にリンゴの花、6月にラベンダーと、連続して花が咲くようになっています。ラベンダーは5月から6月にかけて刈り取りを行い、春と秋の2度咲くようにしているそうです。日当たりがよいところに今も花を咲かせている苗は、7割が受賞当時からある苗と聞いており、嬉しい限りです。10年間維持されているので、地区の住民にとっては、ラベンダーがある風景、ラベンダーの管理が当たり前になっているようです。日常的な管理は環境委員会メンバーだけでなく、周辺住民が自然と自分の家の周りを掃除するような感覚で掃除や草取りをしてくださっているとのこと。
ただし課題もあり、市の人口減少(当時4,000人→現在2,700人)や高齢化(高齢化率38%)が進む一方、管理場所が広いため、作業の負担が大きくなっているそうです。市へのUJIターンの移住者もいますが、そういった移住者の方々は山に囲まれた地域を好み、中心市街地ではないため、市街地が少し寂しくなっています。
りんご並木はかおり風景100選に選定されたほか、国土交通省などの賞も受賞していますが、こちらのみどり香るまちづくり受賞企画、ラベンダーの香り風景は、環境モデル都市としてのPRの意図もあります。
りんご並木は「むとす(=んとす、広辞苑の最末尾の語)」「自分たちのまちは自分たちでつくろう」という飯田市のまちづくりの原点であり、市民の心のシンボルでもあるそうです。終戦間もない昭和22年4月、町の南端から発生した火事は南風に煽られ、65ヘクタール、市街地の四分の三を焼き尽くす大火となりました。この悲しみの焼け野原に、昭和28年、中学生が自らの手で40本の「りんご」という希望の若木を植えました。その後半世紀、水やり、除草、消毒、剪定など、地元飯田東中学校の生徒から生徒へ受け継がれたそう。中学生や市民らのプランをもとに、平成10年、りんご並木の心を引き継ぎながら約400メートルのりんご並木全体が大きな公園に生まれ変わったとのこと。
(『訪ねてみたい日本・かおり風景100選』環境省「かおり風景100選定委員会」事務局より)
飯田市は、平成8年から「環境文化都市」として「環境が文化になるまで」と、さまざまな環境政策も展開しています。「エネルギー自治」実践の代表事例としても知られ「環境モデル都市」にも選ばれています。
りんご並木とラベンダーが香る街。「環境文化都市」飯田の今後の展開も楽しみです。
飯田市の中心市街地である橋南地区には、かおり風景100 選の一つであるりんご並木があります。この橋南地区では、生ごみの分別収集が平成14 年11 月から行われています。分別収集された生ごみは、堆肥として商品化されています。この堆肥を自分たちの元へ循環し、活用させたいと考えました。現在、植栽予定地にはキンモクセイとその足元にはサツキが植えてあります。しかし、近年このサツキが著しく弱ってきたため、ここの土作りのためにその堆肥を利用し、香りも楽しめ、美しくクラフトなどの利用価値もあるラベンダーを植え、既存のサツキと調和をはかりながら環境整備を行います。また、地域が植栽・維持管理をすることにより、地域コミュニティの向上を図りたい。全長600 メートル幅20 メートルの通りの中央分離帯の街路樹の足もとにラベンダーを植え、街がラベンダー色と香りにつつまれることにより、中心市街地の活性化につなげます。