「みどり香るまちづくり 企画コンテスト」みどり香るまちの現場

平成25(2013)年度

におい・かおり環境協会賞

蝶と人をいざなう香りのレインボーガーデン

企画者:佐久市民交流ひろばワークショップ(現ガーデンチームなないろ)/長野県佐久市

場所:長野県佐久市

訪問日時

2019年3月11日/2020年8月18日午前

訪問先

長野県佐久市 市民交流ひろば (長野県佐久市佐久平駅南4-3ほか)

 佐久市役所 建設部 公園緑地課 課長 三石建氏

 NPO 法人 さくのわ花物語 平林氏(植栽地管理者)

 ガーデンチームなないろ ボランティアスタッフ みなさま

 ガーデンチームなないろ ボランティアスタッフ 半田小百合氏

 ガーデンチームなないろ ボランティアスタッフ 中島氏ほか

 ガーデンチームなないろ 事務局 根津恵美氏

 ガーデンチームなないろボランティア 兼 佐久賢治を読む会 依田豊氏

企画の概要

 佐久市の中心市街地に、子育て世代待望の大型公園「市民交流ひろば」が平成25 年10 月にオープンしました。新幹線佐久平駅から公園までを緑の散策路として一体となし、子どもたちが自由に遊び、住民および遠方より訪れる方々にも癒やしの場を提供します。ひろばの整備において「愛され、親しまれ、ともに育む公園」をコンセプトに佐久市が開催したワークショップに集まったメンバーが、公園の一部に設けられた花壇の植栽を、従来の一年草によるガーデンではなく、年々育ってゆく宿根草によるガーデンをめざし、自分たちで調べたあげた知識をもとにデザインしました。この経験はひとりひとりの大きな力になったと感じています。

<コンセプト>

・香りや季節、美しい色彩など花や緑が感じさせてくれる人の心に響く心地よさを感じよう。

・緑と人、生き物と人、そして人と人とが気持ちよくかかわって、幸せを感じられる場所。

・ここで学んだ花や緑とのかかわりを、ひとりひとりが街の中で育ててゆこう。

<ねらい>

・駅や周辺施設利用者、買い物客、地域住民など多くの人が、心地よい緑と花々の香り、蝶や小鳥の訪れを楽しみ、癒やされ、幸福感や元気を得られるコミュニティパークにしていきます。

・昔ながらの緑とのかかわりを学び直し身近に感じることによって、暮らしのパートナーとしての緑を提案します。

・市内に点在する小規模公園をもっと楽しく活用し、緑と花の香り豊かなまちづくりの拠点となるよう活動します。

ヒアリング内容

 佐久市は北に浅間山、南に八ヶ岳。標高約700m、空気が澄んでいて植物にとって恵まれている土地です。

 長野新幹線で東京から約1時間。JR佐久平駅の蓼科口で「ガーデンチームなないろ」の半田さんとお待ち合わせ。駅前の花壇もガーデンチームなないろのメンバーの作品で、信州花フェスタ2019(第36回全国都市緑化フェア)にあわせてみなさんでつくられたそうです。


 企画地は佐久平駅から歩いて7〜8分ほどの市民交流ひろばの中にあります。浅間山の南に広がる佐久盆地の中心市街地で隣接して大型のショッピングセンターもある広さ3.2haの市民交流ひろば。

 佐久平駅前からはじまり、ショッピングセンター駐車場出入口正面にある「出会い花壇」は、広い遊歩道に設置された4基のベンチ付き立ち上がり花壇。遠くからもわかりやすく、4基それぞれにテーマを持たせています。また、各花壇特に中央は背の高い植物を配し四方からの見え方やインパクトも良く考えられています。地元の農業高校とのコラボレーションでつくられたそうです。

 子育てボランティアチームとなないろチームとのコラボレーションでつくられた「ジュジュガーデン」は、星と太陽をかたどったガーデンです。白いサルスベリの下にガーランドが配され、園路を挟んで休憩エリアのシェルターにはキュウリの日よけカーテンがつくられ、太陽のひろばのジャブジャブ池で遊ぶ子どもたちが楽しそうでした。「キッズガーデン」はいちごやりんご、ぶどう、桑の実がつまめるように。メインのラベンダーは、花穂の摘み取り、刈り取りと剪定・枝すかしを終え、次の開花を待っているようでした。たくさんの果実やハーブ類の香りが子どもたちに楽しんでもらえそうです。

 そして企画地の「レインボーガーデン」。花材選びの難しい8月中旬の猛暑の時期にもかかわらず、エリア花壇のコンセプトであるレインボーのボーダー色づくりに取り組まれていました。香りの植物・蝶の集まる花を配していて、蝶やトンボ・ハチも集まり楽しさを増しているようです。

 太陽ひろば側の手前には背丈の低い種類をできるだけ揃え、マウンド状の丘に向かって背丈の高い花をレイアウト。レインボーを意識した植栽。宿根草が多く植えられていて季節ごとの花の香りが楽しみです。香りのハーブ類も多く植えられており、丘にのぼる散策路際を歩いていると足元からも香ってきました。

 他にも「リーフガーデン」には花だけでなく葉っぱの形や色など、とても楽しめるコンセプトの植物材料を集めていましたし、「ポタジェ」には普通の花壇ではあまり見かけない、野菜の花、実用と鑑賞の庭エリアもつくられていました。「ローズガーデン」は、イングリッシュローズが中心の素晴らしい品種を集めたエリアです。


 「賢治ガーデン」については、他の花壇と大きく異なり樹木も配され、草花にとってもよい環境がつくられていました。何よりも佐久の植物を中心に宮沢賢治由来の植物で彩られたすばらしい庭でした。こちらは、なないろボランティア兼佐久賢治を読む会の依田先生を中心に手がけられている、賢治の思いと佐久への想いが込められたガーデンエリアです。ひろばの環境で里山エリアの植物を育てることにはとても苦労されていると思いますが、お話している様子から苦労は感じられませんでした。貴重な樹木と貴重な草花類でストーリーをもって配置レイアウトされていて、とても興味深い庭になっています。作中の木、草、花、それらが詰まっている佐久の大切な庭の一つであると感じました。


 ガーデンチームなないろのみなさまをはじめ、佐久市役所建設部公園緑地課の三石課長、植栽地管理者NPO法人さくのわ花物語の平林さんが集まってくださいました。

 五感を通しての植物の楽しみかた、感性を育む(香り・音・光・触って・食べて)ひろばづくり、そしてしかけづくり(鳥の水のみ場、ベンチ、散策路、水辺など)、取り組みについてお話を伺いました。

 エリア担当を決めみなさんで花壇の計画を立てているそうです。基本は週2回火曜と金曜日の作業日を決め自由に参加とのことですが、植物の状況からほぼ毎日の手入れを行っているとのこと。各自の担当エリアは決まってはいるが共用エリアや他エリアもうまく手入れをされているようです。近隣学校との連携やガーデンツアー、イベントでの販売についても活動を行っていて、資材置場の天井にはバラやラベンダーのドライフラワーが吊るされていました(イベント時の販売用?)。みなさん、「とても花が好き」という気持ちが感じられました。

屋根のある休憩所のようなスペースで、お話を伺っています。

ガーデンチームなないろのみなさま、佐久市役所の三石さん、植栽地の管理者であるNPO法人のさくのわ花物語の平林さん、賢治ガーデンをつくられた依田先生からお話を伺った

草や木、花が植えられています。黄色や赤の花が見えます。

レインボーガーデン 赤のエリア

手前には低い赤い花や白い花、中段は低いオレンジなどの花、奥には背の高いピンクなどの花が咲いています。

ガーデン手前は背丈を低く、マウンドは奥を高く。植物には風通しを、見る人には全体が見やすく作られている

花壇に草花がたくさん植えられています。黄色、ムラサキ、ピンクなど鮮やかです。

佐久市は豊かな自然に育まれた美しい高原都市。長野新幹線も整備され、高速道路直通のスキー場もできました。バルーンフェスティバル、佐久鯉祭なども開催されます

ボランティアの募集チラシです。ピンクや赤の花が綺麗です。

ボランティアの募集チラシ。美しいお写真はなないろ事務局根津さんのご主人撮影。プロのカメラマンとのこと

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