「みどり香るまちづくり 企画コンテスト」みどり香るまちの現場

平成28(2016)年度

入賞

健康のまちづくり~花と香りに誘われて公園に出かけよう

企画者:ふれあい園芸サロンなでしこ/健康の森プロジェクト/東大和市緑のボランティア

場所:東京都東大和市

訪問日時

2020年9月2日午前

訪問先

東大和市駅前緑地〜向原中央公園 東京都東大和市

 ふれあい園芸サロンなでしこ

 健康の森プロジェクト

 東大和市緑のボランティアメンバーみなさま

 東大和市環境部環境課緑化推進係

企画の概要

 そこにいるだけで元気になれる。

花と香りに誘われて散歩に出かけ、ココロもカラダも自然になる。お花と香りに包まれて笑顔もふえて人も町も元気になる。そういう公園をめざします。

 この企画は、向原都営アパート内にある向原中央公園(なでしこ花壇と健康の森)と東大和駅前修景地のボランティアグループによる企画です。

 向原中央公園に、介護予防を目的とした園芸ボランティアグループが荒れた土地を耕し、花を植え始めて5 年になる。花壇は月日を重ね充実し地域の庭(なでしこ花壇)として親しまれて変化してきている。花壇の横では、介護予防の体操なども行われ、高齢化社会における重要な憩いの場となりつつある。本企画は、なでしこ花壇では、花壇西側を整備し、ラベンダーなどの香りの植物を植栽する。

 同時に隣接している「健康の森」にも花壇を広げる。ハーブ花壇のシンボルとしてのオリーブ、クラフトづくりにもなるラベンダー、グランドカバーにタイム、そして百合やスイセンなどの球根を植栽する。一方、東大和市駅前修景地では、町の緑のボランティアが春秋に草花を植えている。本企画では、修景地内側にラベンダーなどの香りの植物を植えて駅利用者を出迎え、向原中央公園への繋がりをも表現する。

ヒアリング内容

 平成28年度入賞「健康のまちづくり〜花と香りに誘われて公園に出かけよう」の企画地である東大和市を訪ねました。谷津さんをはじめ東大和市環境課の菅原係長、新井さん、前田さん、東大和ふれあい園芸サロンなでしこ・健康の森プロジェクト・東大和市緑のボランティアの方々、みなさんにお話を伺いました。谷津さんは日本アロマ環境協会の会員で、健康をテーマにした企画から実現、継続、維持管理にわたってプロジェクトをまとめてくださっています。


 西武新宿駅から乗り換えなしで約35分。西武拝島線、東大和市駅前の広場も企画地の1つです。「駅利用者を香りの植物でお出迎えして、向原中央公園への繋がりも表現する」という企画案のとおり、谷津さんと東大和市環境課の方々が駅前の香りとともに出迎えてくださいました。

 昨年度アンケートの回答にも、「駅前広場の花はロータリーのバスまちの市民の目を楽しませ、東大和市のイメージアップに繋がっています。花の咲く6月には東大和駅に降りるといい香りがすると評判です」とありましたが、お邪魔した晩夏の9月でも、よく手入れされていてメインの企画地、向原中央公園と健康の森へのみどりと香りのつながりが感じられました。


 受賞をきっかけに市からの協力が得られるようになったことは、平成30年の視察の際にも伺っていましたが、さらに「去年から市役所環境部環境課緑化推進に、所沢市のオープンガーデンの立ち上げを手がけていた前田さんが加わったことで、パワーアップしました」と谷津さんは嬉しそうにお話くださいました。前田さんは、植物の知識も豊富で、住民ボランティアグループと市をうまくつなぐ役割を担っているそうです。

 東大和駅から車で企画地へ案内いただきました道すがら、受賞をきっかけに活動が始まった「東大和市 緑のボランティア花壇」も紹介いただきました。今年は、公園に加え歩道での花植えも実施したそうで、ご紹介いただいた花壇は、前田さんがご設計されたとのこと。花壇のコーナーごとに花の名前と花が咲いた時の写真入りのパネルもあり、こちらも前田さんが作成されたそうです。


 なでしこ花壇と健康の森のある向原中央公園に到着すると、いきいきと手入れをされているボランティアのみなさまがいらっしゃいました。笑顔が素敵な方ばかり。

 花壇やプランターを作り市民や住民の方々に見ていただくことも多くなり、それが、やりがいや元気の源となっているそうです。

 ボランティアメンバーは、隣接都営住宅にお住まいの方はおらず、各人自転車で集まって作業されるそうです。都営住宅の方々にも参加していただければさらによいですね。


 住民の高齢化が目立つ向原都営住宅内の向原中央公園。この公園に介護予防を目的とした花植えボランティアが荒れた土地を耕し、花を植え始めたなでしこ花壇。隣の健康の森にも花や香りの植物を植えたいと市へ依頼。そして東大和市駅前、街のあちらこちらに花が見られるように。


 谷津さんは、アンケートの回答で、受賞後の波及効果について大きく3つにまとめてくださっていました。その1は健康のまちづくり。介護予防を目的に始まった向原中央公園の花植えボランティア。その側では、介護予防体操が行われています。受賞をきっかけにお互いのボランティア活動が活発化してきたとのこと。日本アロマ環境協会の林真一郎先生には、ハーブのある環境で運動することの有効性について講演いただいたこともあるそう。

 その2は東大和市環境課の支援。受賞後、環境課主催のパークガーデナー養成講座がスタート。同時に市内に花と香りの花壇が増加中とのこと。前田さんのご活躍も大きいと伺いました。私たちが谷津さんにご案内いただいている間も、なでしこボランティアの方が、市職員の菅原さんに「看板がほしいのよ」とお願いしており、市職員の新井さんと前田さんは現場の木や草花を確認しながら、相談をしていました。

 市役所環境課による管理(花材の提供、芝生広場の管理、高木中木管理など)と、ボランティアグループによる日々の管理(種から育てたり、株分けで増やしたり、腐葉土つくり、雑草管理など)と役割分担がうまくできているようです。

 その3は未来に向けての企画。若者主体の未来大学の企画講座「ガーデンシティ空想」が開催され、市内のガーデンや環境の夢をデザインする講座が4回実施されたそうです。


 「花と香りで健康のまちづくりへ向けて大きくステップアップしたい。東大和市は園芸農家がいないため産業振興からの援助や寄付は得られずに苦労しています。そういう条件の中で、コンテストはその起爆となりました。今後は、学校や教育関係、土木や産業振興も巻き込んで、街を元気にしたい」と谷津さん。地道な活動を続けながら、東大和市の未来を描いています。

駅前の花壇です。ピンクや白の小さい花が咲いています。

東大和市駅前のロータリー花壇。ボランティアチームの手入れが行き届いています

花壇に赤や濃いピンクの花がたくさん咲いています。

ロータリーの花壇も夏花が駅利用者の市民に癒やしを届けています

黄色い円形に花びらがついた花がいくつかあり、虫が止まっています。

香りに誘われて虫たちも集まります

緑の葉と黄色やピンクなどの花が綺麗です。

手入れの行き届いた夏花が駅利用者の目を楽しませてくれます。東大和市駅前花壇

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