「みどり香るまちづくり 企画コンテスト」みどり香るまちの現場

平成27(2015)年度

におい・かおり環境協会賞

~バラの香りを楽しむ庭~四季の香ローズガーデン

企画者:練馬区

場所:東京都練馬区

訪問日時

2020年8月31日午前

訪問先

『四季の香ローズガーデン』東京都練馬区光が丘5-2-6(四季の香公園内)

 練馬区 環境部 みどり推進課 施設担当係長 町田守弘氏

 練馬区 環境部 みどり推進課 施設担当係 平田彩氏

 練馬区 環境部 みどり推進課 施設担当係 岩田潤氏

 Apple Roses 忽滑谷史記氏

 第一園芸株式会社 泉本みづき氏

 第一園芸株式会社 村越匠氏

企画の概要

 東京都練馬区光が丘にある団地の中に、平成28年5月にバラの香りをテーマとした庭園が誕生しました。いわゆるバラの香りとされている「ダマスク」の香りや、ピーチ・バナナ・アプリコットなどの果物のような「フルーティー」の香り、紅茶の香りに似た「ティー」の香りなど、6種類のバラの香りが楽しめる、国内でもめずらしいバラ園として企画し、整備を行ったものです。開園したばかりの頃は苗がまだ小さく、株を充実させることで手一杯でしたが、2年目(平成29年)は順調に生育しており、香りが良く見ごたえのある花を沢山咲かせてくれました。

 また、香りのバラのモーニングツアーなど、ガーデンと連携してイベントを行っていることも特徴です。春・夏・秋・冬の季節毎にフェスティバルを開催しており、ガーデンコンサートや香りのバラを使ったフラワーアレンジメント教室など、内容の充実に努めています。

ヒアリング内容

 平成27年(2015)年度におい・かおり環境協会賞受賞企画「~バラの香りを楽しむ庭~四季の香ローズガーデン」を訪ねました。東京都練馬区、都営地下鉄大江戸線光が丘駅からほど近い四季の香公園内。光が丘団地に囲まれた、約42,100㎡の公園内は、四季折々の花が楽しめるように、いろいろな植物が植えられています。その中の一角にバラの香りをテーマとして計画されました。

 光が丘団地のほぼ中央にあり、駅・ショッピングセンターに隣接する恵まれた立地です。高層団地の中に位置していますが、公園のまわりは10m以上ある高木で囲まれており、香りを感じられる空間としてちょうど心地よいスペースのような気がします。

 残暑厳しい8月の終わり、しかもコロナ禍の中、練馬区のご担当の平田さん、岩田さん、町田さん、庭園の維持管理を受託されている第一園芸の泉本さん、村越さん、バラ専門ガーデナーの忽滑谷さん、にお集まりいただき、お話をうかがいました。


 企画地「四季の香のローズガーデン」に隣接する練馬区の花とみどりの相談所は改修工事中でした。四季の香ローズガーデンがある公園(四季の香公園)内の老朽化した施設を、四季の香ローズガーデンと連続性を持たせ、より魅力的で特色のある施設としてリニューアルする計画だそうです。現在の10倍以上の広さの香りの公園ができるとは、とても楽しみです。(現在のローズガーデンは1,300㎡、リニューアル後は14,000㎡になります)

 色をテーマにしたバラ園、香りをテーマにしたハーブ園を新たに整備するそうです。また、花とみどりの相談所は、四季の香ローズガーデンの「講習棟」という位置づけとし、これまで同様、バラやみどりに関する講座の開催、花とみどりの相談(園芸相談)やバラの見頃の時期に合わせたフェスティバルなど、イベントの開催を行うとのこと。

 今年はほとんどが中止になってしまいましたが、これまでも、練馬区では、季節ごとにフェスティバルを開催し、バラの香りを楽しむツアーやガーデンコンサートなどのイベントを開催。季節の植栽、装飾、イベント開催などで、来園者が楽しめるよう工夫してきました。今年の「みどり香るまちづくり」企画コンテストチラシのハロウィーン写真も練馬区さんからお借りしたものです。


 管理体制は、本年は拡張工事のため1.5人/日(週5日常駐)ですが、昨年までは3人/日常駐(バラの専門管理者1名含む)で行っています。広さと株数からいっても、とても恵まれています。ボランティア等は入れていないとのこと。バラの専門知識を持つプロフェッショナル忽滑谷さんは、ローズガーデンの管理を受託している第一園芸さんが彼のバラの知識と情熱を買って、ガーデンの担当に引き入れたそうです。年間を通して花を咲かせ見せる計画。企画当時の計画に従い香りのバラを中心に、6つの香りのコーナーに分け、約180品種のバラがうまく管理されています。

 バラのハイシーズンは5〜6月が見頃で、秋10月に見頃を迎え咲くいくつかの種類のものもあります、8月末の練馬(連日都内での最高気温)でのガーデンであるのに、何株ものバラが素晴らしい花を咲かせていました。


 オープンの平成28年から年間5万人くらいの来訪があったそうですが、年々来訪者が増え昨年は約7万人とのこと。バラを楽しむ園としてファミリーや散歩での利用者、バラの好きな方や、保育園児や老人施設等の利用者などにとって広さや規模、立地がちょうどよいのだと思います。

 素晴らしい香りの発信拠点になっていると感じます。掲示されているサインも分かりやすく、樹名板には、種名、品種から作出者や作出国、分類、樹形、香りの強さも表示されていて、バラの奥深さにあらためて気づかされます。また開園の間はガーデナーが園内で作業をされているので、訪問客が気軽に質問することもできます。

 バラ以外についてもコーナーごとに見頃の花の説明、それらすべて写真入りでとても分かりやすいです。

 シーズンを通して生活に身近な植物も楽しめるようにと、バラ以外の宿根草や一年草、香りのあるハーブも数多く植えられています。その場所に植えられているバラをうまく引き立てるよう色彩に配慮して植えているとのこと。季節の移り変わりとともにさまざまな香りと表情を楽しめるそうです。


 練馬区環境部みどり推進課と管理受託者、各々プロフェッショナルの役割分担と連携もすばらしいです。ホームページでの情報発信や花とみどりの相談所の存在も功を奏しているのでしょう。

 現在は、住民やボランティア等の参加は考えていないとのこと。「みどり香るまちづくり」企画のねらいの一つである「香りを通して」住民の方々も巻き込んでまちづくりの方向に結びつけるような取り組みができるとさらによいのではと思います。

 企画地の「四季の香 ローズガーデン」があるこの場所は、以前は練馬区立熱帯植物園があったそうです。以前から植物を身近に感じることができる場所だったとのこと。

 リニューアルオープンする新しい「四季の香 ローズガーデン」とともに、これからの“みどりの風吹くまちへ 練馬区”の取り組み、発展が楽しみです。

ピンクや白のバラが咲いています。

訪問日はバラのシーズンではありませんでしたが、
沢山のバラが迎えてくれました

木で出来た看板に花の写真が8枚貼られています。

今、ガーデンで「みごろのおはな」の説明サイン

ガーデンの中で、保育園のお散歩をしています。手押し車に子供が乗っています。

保育園のお散歩コースにもなっています

濃いピンクのバラです。虫も止まっています。

とても美しく咲いていて、その上にすばらしい香りのバラの花たち

木や草が植えられています。

バラ以外にバラ園の一角には、季節のを感じさせてくれる山野草や身近な野の花のコーナーもあります。オミナエシが迎えてくれました

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