「みどり香るまちづくり 企画コンテスト」みどり香るまちの現場

平成27(2015)年度

環境大臣賞

Healing Feeling Garden 癒しの庭

企画者:ふかや緑の王国ボランティア/埼玉県深谷市

場所:埼玉県深谷市

訪問日時

2020年2月9日午前

訪問先

埼玉県深谷市 深谷駅~ふかや緑の王国

 深谷市役所 協働推進部 ガーデンシティふかや推進室 室長 村岡圭吾氏

 深谷市役所 協働推進部 ガーデンシティふかや推進室 主査 井田幹夫氏

 ふかや緑の王国 王国ボランティア代表 富沢隆史氏

 ふかや緑の王国 王国ボランティア 嶋村秀子氏

 ふかや緑の王国 王国ボランティア 嶋村靖子氏

 ふかや緑の王国 新井氏

企画の概要

 平成20年に埼玉県農林総合研究センター園芸研究所深谷試験地の跡地として荒れ果てていた場所を、深谷市役所のガーデンシティふかや推進室とふかや緑の王国ボランティア、そして熊谷高等技術専門校が協力し、手入れをし、発展させ、今に至っています。「市民がつくり市民が守り育てる市民の森」として広く人々に親しまれているふかや緑の王国は、多種の樹木が大きく成長し、梅園、カエデ苑、椿園、あじさい園等エリア別に各種樹園が展開しています。荒川の水を引き込んで流れる小川や水草豊かな池と相まって美しい景観を呈しています。

 今回の企画「Healing Feeling Garden 癒しの庭」は、ローズガーデン、サンクンガーデン、メディカルガーデンと続く一画にあり、数年来魅力的なガーデンを作ることを目指し、ハーブ園を作る計画を立てるに至りました。枕木を敷き、園路や手作りガゼボを設置し、レンガを並べました。これらの作業は、ふかや緑の王国ボランティアだけでなく市内の中学生や先生方にもご協力していただきました。

ヒアリング内容

■花と緑でこころやすらぐまちづくり“ガーデンシティふかや”

 埼玉県の北西部に位置する深谷市は、東京都心から約70km圏にあります(電車で90分、車では、関越自動車道練馬インターチェンジから35分)。

 深谷市役所協働推進部ガーデンシティふかや推進室の村岡室長がJR深谷駅で迎えてくださいました。深谷市では、市全体を市民の手で大きな庭にしようという考えのもと、花と緑をベースとしたこころやすらぐまちづくり“ガーデンシティふかや”を推進しています。深谷駅前をはじめ市内の公共花壇を市民ガーデニングボランティアの方々が手入れしてくださっているとのこと。「深谷市アダプト制度」として、公共用地を団体等に貸し出して管理をしてもらう制度もあり、約30の団体が市内で活動しているそうです。


 「Healing Feeling Garden 癒しの庭」がある「ふかや緑の王国」は、JR深谷駅から県道62号(深谷寄居)線を南西方面に車で約15分、櫛引にあります。埼玉県農林総合研究センター園芸研究所深谷試験地の跡地。草が生い茂り荒れ果てた敷地を「市民がつくり 市民が守り育てる 市民の森」にすべく、王国ボランティアが動きはじめたのが、平成20(2008)年6月のこと。それから12年、そこは王国ボランティアが守り育てている市民の森になっています。もともと埼玉県の園芸研究所だったこともあり、すばらしい樹木も残されており、梅や椿の各種銘木や、庭木の見本種も多くあります。また、王国ボランティアの方々が手がけられたローズガーデンやフローラガーデンなど、さまざまな庭園も充実しています。


 緊急事態宣言が解除されて間もない訪問にもかかわらず、深谷市の村岡さん、井田さん、新井さん、ふかや緑の王国ボランティア代表の富沢さん、王国ボランティアの中心としてご活躍されている嶋村秀子さん、嶋村靖子さんが私たちを迎えてくださいました。

 芝生が広がる王国広場の大きなヒマラヤスギの下に大テーブル。王国の庭のスモークツリー、ホタルブクロ、ベルガモット、カンパニュラの花束がバスケットに飾られ、私たちの席の前には香りのイングリッシュローズ(フォールスタッフ)。なんとありがたいお出迎え。


 嶋村秀子さんが、企画地の「Healing Feeling Garden 癒しの庭」をはじめ、王国内の庭園、樹木、花たちについて詳しく解説してくださり、約1時間のガーデンツアー。その後、再びガーデンパーティーのような中で、お話をうかがいました。

■受賞企画「Healing Feeling Garden」のその後

 平成27年度環境大臣賞受賞の「Healing Feeling Garden 癒しの庭」は、広い「ふかや緑の王国」の中の西門近く。サステナブルガーデン、メディカルガーデン、サンクンガーデンに囲まれた場所にあります。

 シダレカツラのアーチをくぐり抜けるとHealing Feeling Garden 癒しの庭です。一歩足を踏み入れると、左右に新緑のハクモクレンのトンネル。きっと、3月頃は真っ白な大きな花と甘い香りが、春、最初のゲストを迎えていたことでしょう。

 ハクモクレンの足元一体にラミウムのグランドカバー、しゃがんで葉に触れるとハッカのような爽やかな香りが広がりました。その先では、ワイルドストロベリーの白い可愛い花と赤い実が楽しませてくれました。顔を近づけるとすがすがしく甘い香りがします。


 受賞時に植栽したキンモクセイ、ヒイラギ、ガマズミ、ウツギ、ミツマタなども、元気に育ってそれぞれの花の時期に香りを楽しませてくれるのでしょう。

 ジョウニオイは、植栽した直後には植生の土質が合わなかったためか元気がなかったそうですが、最近、王国の環境にやっと順応してくれたようで、花も楽しませてくれたとのこと。これからの成長が楽しみです。


 日頃は20名ほどのふかや緑の王国ボランティアがお庭を管理。また、埼玉県に委託されたNPO法人が実技として木の剪定をおこなっています。市役所と王国ボランティアが協力しながら計画を練って、共同で王国の緑を守っています。市の職員が8名在駐。ボランティアの方々がとても熱心で、「ほんとにボランティアスタッフですか?」と聞かれることもよくあるそう。今年は難しいですが、毎年季節ごとのさまざまなイベントも行っています。今は、来場者向けオリエンテーリングを行っており、花の種をプレゼントしています。「この取り組みで来場者が増えた。達成感を感じてくれたら嬉しい」と新井さん。

 一番の課題は、王国ボランティアスタッフの高齢化とのこと。また、維持費もここ5年でだいぶ減額されてしまったので、県や民間の助成金を活用して維持をおこなっているそうです。害虫をどうするかも悩みの種。気候にあった植栽選びにも気を使っています。

 「今、渋沢栄一で注目を集めているのでこれからが勝負です。ぜひ、いろいろな方々に来てほしい」と、村岡さん。市全体として、オープンガーデンにも取り組んでおり、実は、この「ふかやオープンガーデン」最初の仕掛け人も、嶋村秀子さん、靖子さんたち。“ガーデンシティふかや”のまちづくりは市民の愛で確実に広がっています。

深谷駅前でのガーデニングの様子です。奥には駅舎も見えます。花は赤、紫、オレンジ、黄色などで、木も植えられています。

市民ガーデニングボランティア(「市民が主役 花でつながる ガーデンシティふかや」「花の生産地深谷市」)のボランティアメンバーの花苗植えの作業風景

ガーデンツアーの様子です。女性の方が、7名ほどの方を案内しています。道の両側には緑が広がっています。

嶋村秀子さんがご案内してくださいました。
すばらしいガーデンツアー

木の下に机と椅子を設置し、座っています。

王国の庭のスモークツリー、ホタルブクロ、ベルガモット、カンパニュラの花束がバスケットに飾られ、訪問した私たちの席の前には香りのすばらしいイングリッシュローズ

広い庭のような場所に、道があります。周りには木や花が植えられており、緑が目立ちます。手前にピンクの花も見えます。

ヒーリングガーデン入口、小葉のシダレカツラが素晴らしいゲートとなっている

右手にはヒーリングガーデンの看板が立てられています。左手には道があり、両サイドにはカイズカイブキの高垣をはじめ、様々な草木が生い茂って、木々の間から木漏れ日が見えます。

カイズカイブキの高垣がガーデンの北西にあり、夏場の西日、冬場の北風よけになり、ヒーリングガーデンの香りを包む役割をしてくれている

TOP