第2部 各分野の施策等に関する報告

 環境・循環型社会・生物多様性白書では、各分野の施策等に関する報告について、次のような章立てで報告しています。

 第1章 低炭素社会の構築

 第2章 地球環境、大気環境、水環境、土壌環境、地盤環境の保全

 第3章 循環型社会の形成

 第4章 化学物質の環境リスクの評価・管理

 第5章 生物多様性の保全及び持続可能な利用

 第6章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策

1 低炭素社会の構築

(1)問題の概要

 近年の人間活動の拡大に伴って二酸化炭素、メタン等の温室効果ガスが人為的に大量に大気中に排出されることで、地球が過度に温暖化するおそれが生じています。特に二酸化炭素は、化石燃料の燃焼などによって膨大な量が人為的に排出されています。わが国が排出する温室効果ガスのうち、二酸化炭素の排出が全体の約95%を占めています。

(2) 地球温暖化の現況と今後の見通し

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年(平成19年)に取りまとめた第4次評価報告書によると、世界平均地上気温は1906〜2005年の間に0.74(0.56〜0.92)℃上昇し、20世紀を通じて平均海面水位は17(12〜22)cm上昇しました。また、最近50年間の気温上昇の速度は、過去100年間のほぼ2倍に増大しており、海面上昇の速度も近年ではより大きくなっています。同報告では、気候システムに温暖化が起こっていると断定するとともに、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは人為起源の温室効果ガス濃度の観測された増加によってもたらされた可能性が非常に高いとしています。

 また、同報告では、世界全体の経済成長や人口、技術開発、経済・エネルギー構造等の動向について複数のシナリオに基づく将来予測を行っており、1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年〜2099年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会では、約1.8(1.1〜2.9)℃とする一方、高度経済成長が続く中で化石エネルギー源を重視した社会では約4.0(2.4〜6.4)℃と予測しています。

 同報告では、新しい知見として、地球温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減少するため、地球温暖化が一層進行すると予測されている(気候−炭素循環のフィードバック)。また、大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴いすでに海面が平均でpH0.1酸性化し、21世紀中に更にpHで0.14〜0.35の酸性化が進行すると予測されています。

 また、気象庁によると、日本では20世紀中に平均気温が約1℃上昇しました。日本においても、気候の変動が農林業、生態系、水資源、人の健康などに影響を与えることが予想されます。


地球温暖化の影響の現状

(3) 日本の温室効果ガスの排出状況

 日本の2008年度(平成20年度)の温室効果ガス総排出量は、12億8,200万トン*(注:以下「*」は二酸化炭素換算)でした。京都議定書の規定による基準年(1990年度。ただし、HFCs、PFCs及びSF6については1995年。)の総排出量(12億6,100万トン*)と比べ、1.6%上回っています。また、前年度と比べると6.4%の減少となっています。


日本の温室効果ガス排出量

 温室効果ガスごとにみると、2008年度の二酸化炭素排出量は12億1,400万トン(基準年比6.1%増加)でした。部門別にみると、産業部門からの排出量は4億1,900万トン(同13.2%減少)でした。また、運輸部門からの排出量は2億3,500万トン(同8.3%増加)でした。業務その他部門からの排出量は2億3,500万トン(同43.0%増加)でした。家庭部門からの排出量は1億7,100万トン(同34.2%増加)でした。


二酸化炭素排出量の部門別内訳


部門別エネルギー起源二酸化炭素排出量の推移

 2008年度における二酸化炭素以外の温室効果ガス排出量については、メタン排出量は2,130万トン*(同36.2%減少)、一酸化二窒素排出量は2,250万トン*(同31.2%減少)となりました。また、HFCs排出量は1,530万トン*(同24.5%減少)、PFCs排出量は460万トン*(同67.1%減少)、SF6排出量は380万トン*(同77.8%減少)となりました。


各種温室効果ガス(エネルギー起源二酸化炭素以外)の排出量

2 地球環境、大気環境、水環境、土壌環境、地盤環境の保全

(1) 地球環境の現状

 ア オゾン層の破壊

 CFC、HCFC、ハロン、臭化メチル等の物質によりオゾン層が破壊されており、その結果、地上に到達する有害な紫外線(UV-B)が増加し、皮膚ガンや白内障等の健康被害の発生や、植物やプランクトンの生育の阻害等を引き起こすことが懸念されています。これらのオゾン層破壊物質の多くは強力な温室効果ガスでもあり、地球温暖化への影響も懸念されています。

 オゾン層破壊物質は1989年(平成元年)以降、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(以下「モントリオール議定書」という。)に基づき規制が行われています。その結果、代表的なオゾン層破壊物質であるCFC-12の大気(対流圏)中濃度は、北半球中緯度において1990年代後半以降ほぼ横ばいになっており、成層圏におけるオゾン層破壊物質の総濃度は減少傾向にあります。

 しかしながら、大気中のオゾンは、1980年代から1990年代前半にかけて大きく減少した後、現在も減少した状態が続いています。

 また、2008年(平成20年)の南極域上空のオゾンホールは、この10年(1999年以降)の平均を上回る規模でした。オゾンホールの規模は年々変動が大きく、現時点ではオゾンホールに縮小の兆しがあるとは判断できず、南極域のオゾン層は依然として深刻な状況にあります。モントリオール議定書科学評価パネルの2006年(平成18年)の報告によると、モントリオール議定書を全世界が遵守することを前提とすると、南極地域のオゾンが1980年(昭和55年)以前の値に戻るのは今世紀中頃と予測されています。


南極上空のオゾンホールの面積の推移

 なお、国際的にCFCからの代替が進むHCFC及びオゾン層を破壊しないものの温室効果の高いガスであるHFCの大気中濃度は増加の傾向にあります。

 イ 酸性雨・黄砂

 (ア)酸性雨

 酸性雨により、湖沼や河川の酸性化による魚類等への影響、土壌の酸性化による森林への影響、建造物や文化財への影響等が懸念されています。酸性雨は、原因物質の発生源から数千kmも離れた地域にも影響を及ぼす性質があり、国境を越えた広域的な現象です。

 日本では、昭和58年度から酸性雨のモニタリングやその影響に関する調査研究を実施しており、平成21年に取りまとめられた最近5年間(平成15年度〜平成19年度)のモニタリング結果の概要は、次のとおりです。

[1] 依然として、全国的に酸性雨が観測されている(全平均値pH4.68)。

[2] 日本海側や西日本では大陸に由来した大気汚染物質の流入が示唆され、全国的にオゾンの越境汚染や黄砂飛来の影響が示唆された。

[3] 生態系への影響については、酸性雨による衰退木等の生態被害や湖沼の酸性化は確認されなかった。

[4] 周辺土壌等の酸性化が認められる岐阜県伊自良湖(いじらこ)集水域では、過去に大気由来で土壌に蓄積したと考えられる硫黄が渓流に流出するとともに、現在も多量の窒素沈着により土壌や渓流の酸性化が継続していると考えられた。ただし、現時点で、直ちに人の健康及び生態系に何らかの影響を及ぼす状況にはない。

 このように、日本における酸性雨による被害は現時点では明らかになっていませんが、一般に酸性雨による影響は長い期間を経て現れると考えられているため、現在のような酸性雨が今後も降り続けば、将来、酸性雨による影響が顕在化するおそれがあります。なお、依然として、全国的に酸性雨が観測されています。

 (イ)黄砂

 近年、中国、モンゴルからの黄砂の飛来が大規模化しており、中国、韓国、日本等でその対策が共通の関心事となっています。従来、黄砂は自然現象と考えられていましたが、近年の現象には、過放牧や耕地の拡大等の人為的な要因も影響しているとの指摘もあり、越境する環境問題としても注目が高まりつつあります。

 ウ 海洋環境

 日本周辺の海洋環境の経年的変化をとらえ、総合的な評価を行うため、水質、底質等の海洋環境モニタリング調査を実施しています。平成19年度は、平成16年度に調査を行った日本海西部海域の補完調査を実施した結果、堆積物中から有機スズや臭素系難燃剤(有機スズ汚染源特定の指標物質)が一般の沖合海域の調査結果と比較して高い濃度で検出されましたが、簡易リスク評価の結果、人の健康に影響を及ぼすおそれはないと判断しています。今後も引き続き定期的な監視を行い、汚染の状況に大きな変化がないか把握していくこととします。

 なお、海洋環境モニタリング調査結果のデータについては、(独)国立環境研究所が整備した「環境GIS」で公表しています。(http://www-gis4.nies.go.jp/kaiyo/

 近年、外国由来のものを含む漂流・漂着ゴミによる、海岸機能の低下や生態系を含めた環境・景観の悪化、船舶の安全航行の確保や漁業への被害などの深刻化が指摘されています。

 エ 森林

 世界の森林は、陸地の約30%を占め、面積は約40億haに及びますが、2000年(平成12年)から2005年(平成17年)にかけて、年平均1,290万haの割合で減少しました(増加分を差し引いて年730万haの純減:日本の国土面積の約5分の1)。特に、熱帯林が分布するアフリカ地域、南アメリカ地域及びアジア地域のうち東南アジアで森林の減少が続いています。このような森林減少・劣化は、地球温暖化や生物多様性の損失に深刻な影響を与えています。


世界の森林面積の年当たりの変化率(2000〜2005年)

 森林減少の原因として、プランテーション開発等農地への転用、非伝統的な焼畑農業の増加、燃料用木材の過剰採取、森林火災等が挙げられます。また、違法伐採など不適切な森林伐採が森林を劣化させ、森林減少の原因を誘発していることも大きな問題となっています。

 オ 砂漠化

 砂漠化とは、国連砂漠化対処条約において、「乾燥地域における土地の劣化」と定義されています。乾燥地域は地表面積の約41%を占めており、その10〜20%はすでに劣化(砂漠化)しており、乾燥地域に住む1〜6%の人々(約2千万〜1億2千万人超)が砂漠化された地域に住んでいると推定されています。砂漠化の原因として、干ばつ・乾燥化等の気候的要因のほか、過放牧、過度の耕作、過度の薪炭材採取による森林減少、不適切な灌漑による農地への塩分集積等が挙げられます。その背景には、開発途上国における人口増加、貧困、市場経済の進展等の社会的・経済的要因が関係しています。

 カ 南極地域の環境

 南極地域は、地球上で最も人類の活動による破壊や汚染の影響を受けていない地域であり、地球環境研究の場等としてかけがえのない価値を有しています。近年は基地活動や観光利用の増加による環境影響の増大も懸念されています。

(2) 大気環境の現状

 ア 光化学オキシダント

 都道府県等では、大気汚染防止法に基づき、光化学オキシダントの濃度が高くなり、被害が生ずる恐れがある場合に、光化学オキシダント注意報等を発令しています。

 また、「大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)」により、都道府県等が測定している光化学オキシダント注意報等発令情報をリアルタイムで収集し、これらのデータを地図情報などとして、インターネット等で一般に公開しています(http://soramame.taiki.go.jp/)。


昼間の日最高1時間値の光化学オキシダント濃度レベル毎の測定局数の推移(一般局と自排局の合計)・(平成16年度〜20年度)

 イ 窒素酸化物

 平成20年度の二酸化窒素に係る有効測定局(年間測定時間が6,000時間以上の測定局をいう。以下同じ。)の年平均値は、一般環境大気測定局(一般局)が0.013ppm、自動車排出ガス測定局(自排局)0.024ppmであり、一般局、自排局ともに近年ゆるやかな改善傾向がみられます。


二酸化窒素の環境基準達成状況の推移(平成16年度〜20年度

 ウ 浮遊粒子状物質・微小粒子状物質

 浮遊粒子状物質(SPM)は、今日にいたるまで、その削減に係る各種対策が進められ、近年では幹線道路沿いも含めた全国の測定地点のうちおよそ9割において、その環境基準が達成されています。


図浮遊粒子状物質濃度の年平均値の推移(昭和49年度〜平成20年度)

 平成20年度の浮遊粒子状物質に係る有効測定局の年平均値は、一般局0.022mg/m3、自排局0.026mg/m3であり、一般局、自排局とも近年ゆるやかな改善傾向がみられます。

 一方、浮遊粒子状物質の中でも特に粒径の小さい微小粒子状物質(PM2.5)については、平成20年12月に環境基準の設定について中央環境審議会に諮問し、同審議会大気環境部会に設置された「微小粒子状物質環境基準専門委員会」及び「微小粒子状物質測定法専門委員会」で検討が進められ、平成21年9月の大気環境部会では両専門委員会報告を含めた答申が取りまとめられました。

 これを受けて、同年9月9日に「微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準について」(環境省告示第33号)を告示しました。

 エ 有害大気汚染物質

 平成20年度の有害大気汚染物質のモニタリング結果によると、環境基準の設定されている4物質のうち、ベンゼンは0.2%の地点で環境基準を超過していましたが、その他3物質についてはすべての地点で環境基準を満たしていました。また、指針値が設定されている物質のうち、アクリロニトリルは0.3%、ニッケル化合物は0.3%、1,2-ジクロロエタンは0.3%の地点で指針値を超過していましたが、その他5物質はすべての地点で指針値を下回っていました。

 オ 石綿対策

 大気汚染防止法では、吹付け石綿や石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材を使用するすべての建築物その他の工作物の解体等作業について作業基準等を定め、石綿の大気環境への飛散防止対策に取り組んでいます。

 また、石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供していくため、建築物の解体工事等の作業現場周辺等で、大気中の石綿濃度の測定を実施しました。平成20年度の調査結果ではいずれの地域分類においても敷地境界及び一般環境においては特に高い濃度は見られず、19年度と同様に問題になるレベルではないと思われます。

 カ 騒音・振動・悪臭

 騒音規制法(昭和43年法律第98号)及び振動規制法(昭和51年法律第64号)では、騒音・振動を防止することにより生活環境を保全すべき地域(指定地域)内における法で定める工場・事業場(特定工場等)及び建設作業(特定建設作業)の騒音・振動を規制しています。

 騒音苦情の件数は平成18年度以降減少しており、平成20年度は15,558件でした。また、振動の苦情件数は、平成20年度は2,941件でした。平成20年度の悪臭苦情件数は16,245件となり5年連続で減少しました


騒音・振動・悪臭に係る苦情件数の推移(昭和49年度〜平成20年度)

 平成20年度の一般地域における騒音の環境基準の達成状況は、全測定地点で80.5%、地域の騒音状況を代表する地点で81.1%、騒音に係る問題を生じやすい地点等で76.0%となっています。

 平成20年度の道路に面する地域における騒音の環境基準の達成状況は、自動車騒音常時監視の結果によると、全国4,632千戸の住居等を対象に行った評価では、昼間又は夜間で環境基準を超過したのは475千戸(10%)でした。このうち、幹線交通を担う道路に近接する空間にある1,937千戸のうち昼間又は夜間で環境基準を超過した住居等は333千戸(17%)でした。


平成20年度 道路に面する地域における環境基準の達成状況

 また、航空機騒音に係る環境基準の達成状況は、長期的に改善の傾向にあり、平成20年度においては測定地点の約76%の地点で達成しました。

 キ ヒートアイランド現象

 都市部の気温が郊外に比べて高くなるヒートアイランド現象が大都市を中心に生じており、夏季には、30℃を超える時間数が増加しています。また、冷房等による排熱が気温上昇を招き、更なる冷房による排熱が生ずるという悪循環の発生等さまざまな環境影響を及ぼしています。

 ヒートアイランド対策大綱に基づき、[1]人工排熱の低減、[2]地表面被覆の改善、[3]都市形態の改善、[4]ライフスタイルの改善の4つを柱とするヒートアイランド対策の推進を図り、関連する調査研究として、ヒートアイランド現象の実態や環境への影響に関する調査・観測や、熱中症の予防情報の提供を継続的に実施しました。また、都市内の緑地の調査・観測、大気との接触水面の拡大や地下水・地中熱の利用等環境技術を活用したヒートアイランド対策の検証、未利用水の活用によるクールシティ実現に向けての調査・検討を実施しました。このほか、ヒートアイランド現象の顕著な街区において、CO2削減効果を兼ね備えた施設緑化や保水性建材、高反射性塗料、地中熱ヒートポンプ等複数のヒートアイランド対策技術を組み合わせて一体的に実施する事業に対して補助を行いました。

(3) 水環境の現状

 水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)については、平成20年度の公共用水域における環境基準達成率が99.0%(19年度99.1%)と、前年度と同様、ほとんどの地点で環境基準を満たしていました。生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)のうち、有機汚濁の代表的な水質指標である生物化学的酸素要求量(BOD)又は化学的酸素要求量(COD)の環境基準の達成率は、平成20年度は87.4%(19年度85.8%)となっています。水域別では、河川92.3%(同90.0%)、湖沼53.0%(同50.3%)、海域76.4%(同78.7%)となり、河川では2.3%上昇したものの、湖沼では依然として達成率が低くなっています。


環境基準達成率(BOD又はCOD)の推移

 閉鎖性海域の海域別のCODの環境基準達成率は、東京湾は73.7%、伊勢湾は56.3%、大阪湾は66.7%、大阪湾を除く瀬戸内海は72.0%となっています。なお、19年の赤潮の発生状況は、瀬戸内海99件、有明海41件となっており、東京湾及び三河湾では青潮の発生も見られました。湖沼についてもアオコや淡水赤潮の発生が確認されています。


三海域の環境基準達成率の推移(COD)

 また、平成20年度の地下水質の概況調査の結果では、調査対象井戸(4,290本)の6.9%(295本)において環境基準を超過する項目が見られ、汚染井戸の監視等を行う定期モニタリング調査の結果では、5,204本の調査井戸のうち2,075本において環境基準を超過していました。施肥、家畜排せつ物、生活排水等が原因と見られる硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準超過率が、4.4%と最も高くなっており、これらに係る対策が緊急の課題となっています。一方、汚染源が主に事業場であるトリクロロエチレン等の揮発性有機化合物についても、依然として新たな汚染が発見されています。


地下水の水質汚濁に係る環境基準の超過率(概況調査)の推移

(4) 土壌環境の現状

 市街地等の土壌汚染については、都道府県や土壌汚染対策法の政令市が把握している調査の結果では、平成20年度に土壌の汚染に係る環境基準又は土壌汚染対策法の指定基準を超える汚染が判明した事例は697件となっています。事例を有害物質の項目別でみると、鉛、ふっ素、砒素などが多くみられます。


年度別の土壌汚染判明事例件数

 このような状況の中、平成21年4月に改正された土壌汚染対策法では、一定規模(3,000m2)以上の土地の形質変更時において土壌汚染のおそれがあるときの都道府県知事からの命令に基づく調査の実施、自主的な土壌汚染の調査結果を活用した土地所有者等による区域の指定の申請、区域の分類化(土地の形質変更時に届出が必要な区域と対策が必要な区域)と必要な対策内容の明確化、汚染土壌処理業の許可制度の新設による汚染土壌の適正な処理の確保などが新たに規定されました。

(5) 地盤環境の現状

 地盤沈下は、工業用、水道用、農業用等のための地下水の過剰な採取により地下水位が低下し、主として、粘土層が収縮するために生じます。平成20年度までに、地盤沈下が認められている主な地域は38都道府県63地域となっています。

 かつて著しい地盤沈下を示した東京都区部、大阪市、名古屋市などでは、地下水採取規制等の対策の結果、地盤沈下の進行は鈍化あるいはほとんど停止しています。しかし、天然ガスかん水採取地など、一部地域では依然として地盤沈下が認められています。


各国別資源生産性

 また、長年継続した地盤沈下により、多くの地域で建造物、治水施設、港湾施設、農地及び農業用施設等に被害が生じており、海抜ゼロメートル地域などでは洪水、高潮、津波などによる甚大な災害の危険性のある地域も少なくありません。

3 循環型社会の形成〜ビジネス・ライフスタイルの変革を通じた循環型社会への道しるべ 〜

(1)循環型社会元年から10年を迎えた社会の展望

1 10年の節目

 循環型社会元年と言われ、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号。以下「循環型社会基本法」という。)が制定された平成12年から今年は10年の節目となります。この間、(2)以降のように、循環型社会基本法第15条に基づき定められる、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため循環型社会の形成に関する基本的な計画(循環型社会形成推進基本計画)(第1次(平成15年3月閣議決定)、第2次(平成20年3月閣議決定))に基づき循環型社会に向けた取り組みは進みました。

2 近年の変化への対応の必要性

 一方で、循環資源を巡る需要の状況変化などこの10年間と同様の取組を続ければ循環型社会が確実に構築されるとは必ずしもいいきれない状況にあります。これまでの取組に加えて、質的変化も求められています。

 例えば、世界に目を向けると、インドや中国などの新興国は近年経済成長著しいですが、これらの国の資源生産性の値は、環境省の試算ではまだまだ低いと推計されています。現状のままで、工業化が進展する場合には、将来的な資源制約の可能性はこれまで以上に高まっていると言えます。

 また、国内について、わが国の廃棄物の最終処分量は減少していますが、その内訳は、平成12年以降で大幅に最終処分量が減少しているもの(一般廃棄物では厨芥、紙など、産業廃棄物ではがれき、汚泥など)と12年以降それほど最終処分量に変化がないもの(繊維など)に分かれています。


廃棄物別の循環利用先の内訳

 最終処分量が減少している品目については、全体として循環利用が進んでいるといえます。一方で、これらの循環利用先として現在は建設資材(骨材、路盤材)や素材原料(セメント原料など)が多くなっています。特定の循環利用に頼りすぎると景気変動等により循環資源を利用した製品の需要が大きく左右される可能性があるため、経済社会情勢の変化による需要減に伴いわが国の資源循環が滞ることになりかねません。循環資源の活用の多様化を図っていくことが必要です。


鉄鋼、非鉄、セメント、製紙における廃棄物の受入れの割合

 また、最終処分量に変化がないものについては、今後さらに循環利用を進める必要があることはいうまでもありません。


セメント産業における副産物・廃棄物利用の今後の可能性について


 国立環境研究所及び名古屋大学は、近未来(平成42年(2030年)頃まで)における建築物及び土木構造物の新規需要に関するシナリオ、非再生可能資源使用量を減らす対策の導入に関するシナリオを基にセメント需要の推計を行い、セメント産業における副産物・廃棄物利用の今後の可能性について基礎的な検討を行いました。その結果、国内のセメント需要量が大きく減少するケースにおいては、セメント生産量が現状(約7000万トン)の3分の2程度にまでなる可能性があること、この時、現状の副産物・廃棄物の利用原単位(20年度は448kg/t-セメント)がこれ以上増加しない場合には、副産物・廃棄物の利用総量も現状(約3000万トン)の3分の2程度になること、そのような状況の中で、利用される副産物・廃棄物の種類が大きく変化する可能性があること、現状の副産物・廃棄物の利用総量を維持するためには、セメント1トン当たりの副産物・廃棄物の利用減単位を約600kg/t-セメントまで増加させる必要があることなどが示されています。


セメント生産とセメント産業における副産物・廃棄物利用の推移


3 新たな取組

 こうした近年の変化に対応するためには、引き続き技術開発を進める必要がありますが、技術の進歩を待つのみではなく、関係者(ステークホルダー)が連携しながら、3R、特にリデュース、リユースにより廃棄物の発生量を抑制すること、また、循環資源を活用した製品等の購入や使用の増加など循環資源を使用した製品の需要を増加させ、循環の輪を構築していくことが重要です。また、一人一人のちょっとした行動が循環型社会づくりに意味を持ちます。

(1)廃棄時を意識した設計─建築・製造─操業の取組

○建築主・設計者・施工者が一体となったライフサイクルゼロエミッションへの挑戦

 自動車会社H社の新工場の建設に際し、建築主(H社)・設計者(N社)・施工者(K社)のそれぞれの立場で、建築から解体に至る工場のライフサイクル全体における環境配慮、ゼロエミッションへの取組が行われました。建築主は生産時のエネルギー消費低減や太陽電池パネルの設置、雨水を活用した自然循環型屋上緑化等、環境に配慮したグリーンファクトリーを目指しました。設計者は、50 年後、100年後の工場解体時のリサイクル性を配慮した建物設計(システムトイレ、スチールパーテーション、リサイクル対応耐火パネルの採用による解体時の分別・リサイクル性向上等)を行いました(解体時配慮建物の設計)。施工者は施工段階では、リサイクル対応建材や工法の採用により解体時のリサイクル性を向上させるとともに、分別の徹底やリース品の利用による廃棄物削減等、施工時に発生する建設副産物のゼロエミッションを図りました。これにより工場の設計・施工・操業・解体という各段階での環境影響が低減され、特に最もインパクトの大きい解体時の廃棄物について、大幅に削減・リサイクル性の向上(使用建築資材の9割(重量換算)以上がリサイクル可能資材)が図られました。


廃棄時を意識した設計一建築・製造一操業の取組

(2)高付加価値の循環利用を行う取組

○レアメタル回収の取組

 わが国で行われているレアメタル回収は非鉄製錬施設で行われるものや、レアメタルを原料として中間製品あるいは製品を生産する専門メーカーが行うものがあり、二次原料(非鉄スクラップ、含金属廃棄物など)からもレアメタルの回収が行われています。非鉄精錬施設で行われるレアメタル回収は、主産物である銅、鉛、亜鉛を生産する工程で、一次原料(鉱石)や二次原料中に微量に含まれる白金、インジウムなどのレアメタルを不純物として除去したものを精製して副産物として得ているものであり、多くの場合、原料に含まれる金、銀の回収と併せて行われています。

 また、平成21年度は全国7地域でモデル事業を行いました。この中では、使用済小型家電の効果的・効率的な回収方法を検討するため、各モデル地域で様々な回収方式を採用しています。例えば東京都の江東区や八王子市では鉄道駅に小型家電の回収ボックスを設置しており、また、水俣市ではステーション回収で「小型家電」という新たな分別区分を設けています。各モデル地域にて様々な回収方式にて小型家電の回収を行うことで、人口規模などの地域特性に応じた適切な回収方法を模索しています。

(3)オフィスにおけるリユースカップ導入による効果

 N社では、平成21年9月から、1日約4000個消費していた使い捨て紙カップを一掃し、リユースカップを導入しました。リユースカップの形状についても素材やスタッキング(積み重ね)効率を考慮するとともに社員が楽しみながら選ぶことができるようにカラフルなものを採用しています。ドリンクサーバーの横に回収箱を設置し、回収されたリユースカップはまとめて回収・洗浄されます。同社によると、この取組により、毎日大量に出ていた紙コップのごみがなくなり、1ヶ月当たり約480kgの廃棄物の削減に繋がっています。


オフィスにおけるリユースカップ導入による効果

 私たちは、循環型社会の形成に向けて、それぞれが有する責任を適切に果たしていく必要があります。また、この責任や役割の分担は、同一世代に限られるものではなく、将来世代に対しても負うべきものです。前述のとおり、循環型社会に向けた取組は進んでいます。しかし、循環型社会を実現していくためには、3Rの効果を明確に把握しながら、3Rの取組など循環型社会づくりの取組を質的に高度化させていく必要があります。また、昨今の社会経済情勢を踏まえながら、新たな循環型社会像を提示し、国民各層に安心して循環的行動に取り組んでいただくことが必要です。さらに、国民一人一人の循環的行動を循環型社会ビジネスが取り込み、地域活性化や雇用の確保につなげていかなければなりません。

 私たちの行動は、将来世代のあらゆる選択に大きな影響を及ぼします。次の世代が、資源制約に端を発する社会不安や廃棄物問題に苦しむことのないよう、私たちは、叡智を結集し、信頼に基づく連携と協働によって、循環型社会に向けた取組を加速させていく必要があります。身近なことから一歩ずつ始めていこうではありませんか。


日常生活でできる循環型社会形成に向けた取組

(2)我が国の物質フロー

 循環型社会を構築するためには、私たちがどれだけの資源を採取、消費、廃棄しているかを知ることが第一歩となります。

 我が国の物質フロー(平成19年度)を概観すると、18.0億トンの総物質投入量、7.1億トンが建物や社会インフラなどの蓄積、1.8億トンが製品等の形で輸出、5.1億トンがエネルギー消費等での排出、5.9億トンの廃棄物等が発生しているという状況です。このうち循環利用されるのは2.4億トンで、これは、総物質投入量の13.5%に当たります。


わが国における物質フロー(平成19年度)

 第2次循環型社会基本計画では、発生抑制、再使用、再生利用、処分等の各対策がバランス良く進展した循環型社会の形成を図るために、この物質フロー(ものの流れ)の異なる断面である「入口」、「出口」、「循環」に関する指標に新たな目標を設定しています。

 それぞれの指標についての目標年次は平成27年度としています。

指標資源生産性循環利用率最終処分量
目標約42万円/トン約14〜15%約23百万トン

 各指標について、最新の達成状況をみると以下のとおりです。

1)資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)

 平成19年度 約36.1万円/トン(平成12年度[約26万円/トン]から約37%上昇)

2)循環利用率(=循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量))

 平成19年度 約13.5%(平成12年度[約10%]から約3.5ポイント上昇)

3)最終処分量(=廃棄物の埋立量)

 平成19年度 約27百万トン(平成12年度[約56百万トン]から約53%減)

(3)廃棄物の排出量

 ア 一般廃棄物(ごみ)の処理の状況

 平成20年度におけるごみの総排出量*1は4811万トン(前年度比5.3%減)、1人1日当たりのごみ排出量は1,033グラム(前年度比5.1%減)となっています。


ごみ総排出量と1人1日当たりごみ排出量の推移

*1「ごみ総排出量」=「収集ごみ量+直接搬入ごみ量+集団回収量」

 また、し尿処理人口の推移を見ると、合併処理浄化槽が増加する一方で単独処理浄化槽の転換に伴う撤去や公共下水道への接続が進み、浄化槽全体の人口がほぼ横ばいの推移であるのに対し、公共下水道人口(平成20年度実績8,603万人)の増加により、これらを合わせた水洗化人口(平成20年度実績1億1,571万人)は年々増加しています。


し尿処理形態別人口の推移

 イ 産業廃棄物の処理の状況

 平成19年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約4億1,943万トンとなっています。

 そのうち再生利用量が約2億1,881万トン(全体の52%)、中間処理による減量化量が約1億8,047万トン(43%)、最終処分量が約2,014万トン(5%)となっています。再生利用量は、直接再生利用される量と中間処理された後に発生する処理残さのうち再生利用される量を足し合わせた量になります。また、最終処分量は、直接最終処分される量と中間処理後の処理残さのうち処分される量を合わせた量になります。


産業廃棄物の処理の流れ(平成19年度)

 ウ 廃棄物分野における温室効果ガス削減対策について

 「京都議定書目標達成計画」では廃棄物分野の温室効果ガス排出削減対策の目標を設定し、平成22年には約780万トン(二酸化炭素換算)削減することを目標としています。平成19年度の廃棄物分野における温室効果ガス排出量は4,083万トン(二酸化炭素換算)で、日本の温室効果ガス総排出量(同13億7,400万トン)の約3%を占めています。また、廃棄物として排出されたものの原燃料への再資源化や廃棄物発電等により廃棄物部門以外で削減された温室効果ガス排出量は、平成18年度は約1,500万トン(二酸化炭素換算)であり、廃棄物部門以外で削減された温室効果ガス排出量を差し引いた排出量で見た場合には、排出量は減少していると考えられます。

(4)不法投棄の件数及び投棄量

 平成20年度に新たに判明したと報告のあった産業廃棄物の不法投棄事案は、308件(前年度382件)20.3万トン(同10.2万トン)でした。


産業廃棄物の不法投棄件数及び投棄量の推移

(5)循環型社会の形成に向けた国の取組

 循環型社会基本計画の着実な実行を確保するため、毎年、中央環境審議会は、循環型社会基本計画に基づく施策の進捗状況などを点検し、必要に応じその後の政策の方向性について政府に報告することとされており、平成21年度は第2次の循環型社会基本計画の2回目の進捗状況の点検を行いました。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の施行状況について、中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門委員会において、廃棄物処理法に基づく廃棄物の発生抑制、適正な処理等に関する施行状況の点検、評価及び現行の廃棄物処理法に関する論点整理を実施し、廃棄物の適正処理と3Rの促進方策について総合的な検討が行われました。これらの審議内容及びパブリックコメントとしていただいた御意見を踏まえ、同専門委員会としての報告書が取りまとめられました。これを受けて、中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会から平成22年1月に「廃棄物処理制度の見直しの方向性(意見具申)」がなされました。

 この意見具申を踏まえ、平成22年3月に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案」を第174回国会に提出しました。

 容器包装リサイクル関係では、平成21年9月に中央環境審議会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会及び産業構造審議会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会合同会合において、プラスチック製容器包装の再商品化手法の在り方として、平成22年度において導入するべき措置として、材料リサイクル手法の優先的取扱いの総量に上限を設けるとともに、材料リサイクル手法の質の向上等のための総合的な評価を行い、優先的取扱いの中での運用に反映することや、入札制度以外の改善についての中間取りまとめを行いました。さらに、環境省では、容器包装廃棄物の3Rを推進するため、容器包装リサイクル法に基づき委嘱した容器包装廃棄物排出抑制推進員(愛称:3R推進マイスター)による消費者等への普及啓発のほか、レジ袋を始めとした容器包装削減の普及啓発施策として、環境省と富山県が共同して、平成21年11月に富山市にて「ノーレジ袋推進全国フォーラムin TOYAMA」を開催しました。

 家電リサイクル関係では、対象となる機器の追加(液晶・プラズマテレビ、衣類乾燥機)や、既存の対象機器の再商品化率の引き上げなどを規定するため、平成20年12月に改正された家電リサイクル法施行令が平成21年4月1日から施行されました。

 また、不法投棄対策に関する資金面も含めた関係者間協力体制の構築や、離島地域における収集運搬の改善に向け、家電各メーカーからの資金協力の下、不法投棄未然防止事業協力及び離島対策事業協力として事業が実施されているとともに、小売業者等の収集運搬に関する負担や不公平性を改善するため、2つのグループに分かれていた指定引取場所について、平成21年10月1日から共有化を行いました。これにより、全国全ての指定引取場所(379箇所)において、全製造業者等の廃家電の引取りが可能となりました。

 自動車リサイクル法が平成17年1月に施行されて5年を経過することから、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会及び産業構造審議会自動車リサイクルワーキンググループ合同会議において、法の施行状況に関する評価・検討を行い、平成22年1月に報告書をとりまとめました。この報告書の提言を受け、今後、使用済自動車と中古車の判断の拠り所となるガイドラインの作成等を行うこととしています。

(6)国際的な取組

 2008年(平成20年)5月に、神戸でG8環境大臣会合が開催され、3Rが主要議題の一つとして取り上げられました。参加各国の大臣間での議論を通じ、2004年(平成16年)のG8サミットにおいて、「3Rイニシアティブ」が提案されて以来、3Rの国際的取組が進展していることが確認され、今後G8各国が3Rの一層の推進に向けて取り組む具体的な行動が列挙された「神戸3R行動計画」が合意されました。当計画は、同年7月に北海道洞爺湖で開催されたG8北海道洞爺湖サミットにおいて、G8各国の首脳間でも支持されました。

 アジアにおける我が国の取組としては、ベトナム、インドネシアなどにおいて、国連地域開発センター(UNCRD)、国連環境計画(UNEP)及び地球環境戦略研究機関(IGES)と連携して、国別の状況に応じて3Rを国家として推進するための計画・戦略の策定を支援しています。2009年度においては、ベトナムにおいて国家戦略が策定されました。

 また、2009年(平成21年)11月に環境省と国連地域開発センター(UNCRD)の共催により「アジア3R推進フォーラム設立会合」を開催し、アジア15ヵ国の政府代表者と国際機関、3Rに関する専門家等が参加しました。同会合で、「アジア3R推進フォーラムの設立に関する東京3R宣言」が参加者により合意され、「アジア3R推進フォーラム」が設立しました。

 今後はアジア3R推進フォーラムの下で、3Rに関するハイレベルの政策対話の促進、各国における3Rプロジェクト実施への支援の促進、3R推進に役立つ情報の共有、関係者のネットワーク化等を進めることとなりました。次回の会合については、マレーシアから平成22年中の開催が提案され、参加者の歓迎を受けました。

 さらに、2009年(平成21年)6月に、環境大臣と中国環境保護部長官は、川崎市と中国・瀋陽市による循環経済産業の発展を通じた環境にやさしい都市構築の協力を支援する覚書を締結しました。協力事業の一環として環境省は中国国家環境保護部とともに、循環型社会構築に関する政策、技術の情報共有を目的としたワークショップを、2010年(平成22年)3月に、中国・北京市と瀋陽市において開催しました。

 また、アジア太平洋地域のE-waste及び使用済みコンピュータ機器を環境上適正に管理するため、バーゼル条約の下で各国が進めるプロジェクトについて、財政的・技術的支援を行っています。

 さらに、1992年の地球サミットで採択された「アジェンダ21」の実施状況を年次計画に基づいて評価している国連持続可能な開発委員会(CSD)は、平成22年(2010年)から平成23年(2011年)の2年間に「廃棄物管理」をテーマの一つに取り上げることとしています。CSDの議論に積極的に貢献するため、環境省は、2010年3月に世界全体の廃棄物管理及び3Rの専門家が参加する「国連持続可能な廃棄物管理会議準備会合」を東京で開催し、2010年5月に開催されるCSD第18回会合にその成果をインプットすることとしています。

4 化学物質の環境リスクの評価・管理

 現代の社会においては、様々な産業活動や日常生活に多種多様な化学物質が利用され、私たちの生活に利便を提供しています。また、物の焼却などに伴い非意図的に発生する化学物質もあります。化学物質の中には、その製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われない場合に環境汚染を引き起こし、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあります。

 環境リスク、すなわち化学物質の環境経由ばく露に関する人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれについての評価(環境リスク評価)を行うための知見を収集し、平成20年度に環境リスク初期評価等について第8次取りまとめを行いました。その結果、5物質が、相対的にリスクが高い可能性があり「詳細な評価を行う候補」と判定されました。

 化学物質審査規制法に基づき、平成21年度は、新規化学物質の製造・輸入について574件(うち低生産量新規化学物質については270件)の届出があり、事前審査を行いました。

 また、化学物質審査規制法の一部を改正する法律が平成21年5月に成立しました。本改正により、「環境中で分解しにくい化学物質」に加え、「環境中で分解しやすい化学物質」についても規制の対象とし、平成23年度からは、新たに「既存化学物質」についても製造・輸入実績数量等の届出を義務付け、届出を踏まえ優先度をつけて化学物質のリスク評価を実施することとなりました。(http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/kaisei21.html)


化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律のポイント

 化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)については、同法施行後の第8回目の届出として、平成20年度に事業者が把握した排出量等が都道府県経由で国へ届け出られました。届出された個別事業所のデータ、その集計結果及び国が行った届出対象外の排出源(届出対象外の事業者、家庭、自動車等)からの排出量の推計結果を、平成22年2月に公表しました。


届出排出量・届出外排出量上位10物質とその排出量(平成20年度分)

 ダイオキシン類対策は、平成17年に国の削減計画を変更し、新たな目標値として22年までに15年に比べて約15%の削減をすることとしました。21年11月のインベントリー(目録)では、20年の排出総量の推計は、15年から約43%の削減がなされており、順調に削減が進んでいます。


ダイオキシン類の排出総量の推移

 近年、小児に対する環境リスクが増大しているのではないかとの懸念があり、国際的にも小児の環境保健に関心が払われています。

 環境リスク(化学物質、生活環境等)が子どもの発育に与える影響を明らかにするためには、人の集団を観察する疫学的なアプローチも重要です。今後、子どもを胎児期から13歳まで追いかける出生コホート(追跡)調査である「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を実施するため、検討会とワーキンググループ(http://www.env.go.jp/chemi/ceh/examination/index.html)を設置し、平成22年度の参加者募集の開始に向け準備を進めています。

 国内における毒ガス弾等に係る対策については、平成15年6月の閣議了解、同年12月の閣議決定を踏まえ、毒ガス弾等による被害の未然防止の観点から、土地改変時における必要な環境調査を実施しました。

 また、環境省に設置した毒ガス情報センターにおいて、情報を受け付けるとともに、ホームページやパンフレット(http://www.env.go.jp/chemi/gas_inform/pamph/)等を通じて被害の未然防止について周知を図っています。

5 生物多様性の保全及び持続可能な利用

(1)地球の生物多様性の現状

 生物多様性条約事務局が平成22年5月に公表した「地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)」では、世界の生物多様性の評価を行った結果、2002年(平成14年)の生物多様性条約第6回締約国会議(COP6)で世界が合意した「生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という、いわゆる2010年目標は達成されなかったと結論づけました。


地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)の構成

 GBO3の主な評価結果は以下のとおりです。

○遺伝子、種、生態系という3つのレベルの全てにおいて、生物多様性は引き続き減少を続けている。

○絶滅のおそれがある種の状況は、多くがより絶滅に近づいている。両生類は最も危機的で、サンゴも急速に状況が悪化し、植物は全体の4分の1の種に絶滅のおそれがある。

○ある程度個体数の推定が可能な脊椎動物全体では、1970年からのたった数十年で3分の1ほどの数が減少した。

○湿地、海氷域、藻場、サンゴ礁などは深刻なまでに減少し、森林や河川も生態系の分断と劣化によって生物多様性が失われている。

○人の手によって多様化し、維持されてきた農作物や家畜の多様性も、現在急速に減少を続けている。

 生物多様性の損失に直接つながる5つの要因として、生息地の変化、過剰利用、汚染と栄養の蓄積、侵略的外来種、気候変動を挙げ、これらがすべて継続あるいは増加していると評価しています。また、2010年目標が設定されたことで、国際社会は生物多様性保全のためのさまざまな取組を始めたが、これらの取組は十分ではなかったとしています。

(2)わが国の生物多様性の現状

 環境省が設置した「生物多様性総合評価検討委員会」が平成22年5月に公表した「生物多様性総合評価」では、1950年代後半から現在までの日本の生物多様性の変化を以下のとおり評価しています。

○人間活動に伴うわが国の生物多様性の損失はすべての生態系に及んでおり、全体的に見れば損失は今も続いている。

○特に、陸水、沿岸・海洋、島嶼生態系における損失が大きく、現在も損失が続く傾向にある。

○損失の要因としては、「第1の危機(人間活動や開発による危機)」による影響が最も大きいが、現在、新たな損失が生じる速度はやや緩和されている。「第2の危機(人間活動の縮小による危機)」は、現在もなお増大している。「第3の危機(人間により持ち込まれたものによる危機)」のうち、特に外来種による影響が顕著である。「地球温暖化の危機」は、特に一部の脆弱な生態系で影響が懸念されている。これらの危機に対してさまざまな対策が進められ、一定の効果を上げてきたと考えられるが、間接的な要因として作用しているわが国の社会経済の大きな変化の前には、必ずしも十分といえる効果を発揮できていない。

○陸水、島嶼、沿岸生態系における生物多様性の損失の一部は、今後、不可逆的な変化を起こすなど、重大な損失に発展するおそれがある。

 また、わが国の2010年目標の達成状況とこの10年の傾向の評価では、達成状況の評価を行った15の目標のうち、2目標が「達成」、10目標が「達成が不完全」、3目標が「達成できなかった」とされました。また、傾向の評価を行った14の目標のうち、6目標が「プラス」、7目標が「明確な傾向なし」、1目標が「マイナス」と評価され、2010年目標が決定された2002年(平成14年)以降対策が進み、状況が改善している分野はあるものの、全体として生物多様性の損失の傾向は止まっていない状況にあるとされました。

(3)生物多様性国家戦略2010の策定

 生物多様性基本法に基づく初めての生物多様性国家戦略となる「生物多様性国家戦略2010」が平成22年3月に閣議決定されました。本戦略では、中長期目標(2050年)と短期目標(2020年)を新たに設定するとともに、COP10の日本開催を踏まえた国内外の施策の充実・強化が図られました。

(4)生物多様性を社会に浸透させる取組(生物多様性の主流化)

 生物多様性のコミュニケーションワード「地球のいのち、つないでいこう」や「国民の行動リスト」をさまざまな機会で普及広報しました。また、著名人による広報組織「地球いきもの応援団」を4名から26名に増員しました。

 「国際生物多様性の日」(毎年5月22日)に、国連大学、(独)国立環境研究所等と連携して記念行事を開催するとともに、学校の敷地等への植樹を行う「グリーンウェイブ2009」への参加を広く呼びかけ、全国で約80団体、3,000人が参加しました。

 2010年(平成22年)の「国際生物多様性年」の記念行事等の実施に当たり、「国際生物多様性年国内委員会」を設置するとともに、キックオフイベント等を開催しました。

 都道府県及び市町村が、生物多様性基本法に基づく「生物多様性地域戦略」を定める際に参考となる基本的情報を示した「生物多様性地域戦略策定の手引き」を作成しました。

 企業をはじめとする幅広い分野の事業者が、生物多様性に配慮した事業活動を自主的に行う際の指針となる「生物多様性民間参画ガイドライン」を策定し、各種セミナーやイベント等で普及広報を行いました。

 生物多様性の保全と持続可能な利用に関する優れた取組を顕彰する「生物多様性 日本アワード」を環境省と(財)イオン環境財団が創設し、優秀賞8件を選出するとともに、「地域企業との協働による谷津田の保全」の取組を、第1回グランプリとして決定しました。

 地域において生物多様性に取り組む企業、NGO、研究機関、行政機関などの情報交換や新たな連携を促進するため、福岡市及び大阪市において、生物多様性に関する総合展示会「生物多様性EXPO2010」を開催しました。

 生物多様性に関して地域レベルでの理解を深め、多様な関係者による参加と連携を促進するため、仙台市、徳島市、福岡市において、市民、NGO、行政担当者などの参加による「生物多様性地域対話」を開催しました。

 COP10に向けてアジアの青年の交流と生物多様性に関する意識の向上等を目的として、名古屋市において、日本のほか、アジア12カ国の青年約80名が参加し、「生物多様性アジアユース会議in愛知2009」を開催しました。

 民間企業やNGO、研究者、政府、国際機関を含むさまざまな関係者間の情報交換や対話等を促進するため、神戸市において、「神戸生物多様性国際対話」を開催しました。

 地域の多様な主体による生物多様性の保全・再生活動を支援する「生物多様性保全推進支援事業」において、新たに9か所を採択し、平成20年度からの継続箇所と合わせて、全国26か所の取組を支援しました。

(5)地域における人と自然の関係を再構築する取組

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種にオガサワラオオコウモリを追加し、国内希少野生動植物は82種となりました。そのうち47種に対し保護増殖事業計画を策定し、個体の繁殖や生息地の整備等の保護増殖事業を行っています。

 トキについては、平成20年に引き続き、21年9月に第二回目の放鳥を実施しました。

 絶滅のおそれのある猛禽類については、良好な生息環境の保全のため、イヌワシ、クマタカ、オオタカの保護指針である「猛禽類保護の進め方」の改訂などの取組を進めました。

 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)については、施行から5年が経過したことから、中央環境審議会野生生物部会遺伝子組換え生物小委員会において法律の施行状況の検討を行いました。

 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)が平成21年6月に施行され、21年12月から、製造方法の基準や成分規格が適用されました。

(6)森・里・川・海のつながりを確保する取組

 全国、広域圏、都道府県、市町村等、さまざまな空間レベルにおける生態系ネットワーク(エコロジカル・ネットワーク)の形成を促進するめ、「全国エコロジカル・ネットワーク構想」を策定しました。

 平成21年6月に、自然公園法及び自然環境保全法の改正を行い、目的規定に生物多様性の確保に寄与することを明記するとともに、海域公園地区制度の創設をはじめとした海域における保全施策の充実、積極的に生態系の維持回復を行う生態系維持回復事業の創設などが図られました。

 小笠原国立公園、白山国立公園、大山隠岐国立公園、西海国立公園、阿蘇くじゅう国立公園及び西中国山地国定公園において公園区域及び公園計画の見直しを実施しました。特に、小笠原国立公園においては、小笠原独自の生態系等の保全及び適正な利用を図るため、陸域において計193haを公園区域に編入し、海域公園地区を333ha拡張するなど保護の強化を図りました。


小笠原諸島(手前から南島、父島)

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)に基づく国指定鳥獣保護区として、北硫黄島、南鳥島、やんばる(安田)、やんばる(安波)を新たに指定し、国指定鳥獣保護区は73か所、565,471haとなりました。

 海洋基本法に基づく海洋基本計画の策定を受けて、海洋生物多様性保全戦略の作成に着手したほか、わが国における海洋保護区の設定のあり方の明確化等の施策を推進するため関係省庁が連携して検討を進めました。

 サンゴ礁保全の総合的な取組を推進するためのサンゴ礁生態系保全行動計画の策定に向け、策定会議を開催しました。


主な保護増殖事業の概要


自然公園法及び自然環境保全法の改正について

(7)地球規模の視野を持って行動する取組

 COP10に向けた多様な主体間の情報の共有、意見交換、連携の促進などを図るため、「生物多様性条約第10回締約国会議及びカルタヘナ議定書第5回締約国会議に関する円卓会議」を開催しました。

 COP10に向けて政府が一体となった取組を進めるため、関係省庁の副大臣及び政務官からなる「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)関する関係副大臣等会議」を設置するとともに、会場設営や運営業務を関係省庁が合同で行うため、「生物多様性条約COP10日本準備事務局」を外務省に設置しました。

 平成21年10月にCOP10のロゴマークとスローガン「いのちの共生を、未来へ」を決定しました。

 平成22年3月に、日本人女性アーティストのMISIAさんが、国連からCOP10名誉大使に任命されたことから、国連本部、生物多様性条約事務局等と連携しながら、COP10名誉大使の活動を支援しました。

 有識者、NGO、経済界との意見交換や国民からの意見募集により「ポスト2010年目標に関する日本提案」を決定し、平成22年1月に生物多様性条約事務局に提出しました。

 二次的な自然地域における自然資源の持続可能な利用・管理を国際的に推進するため、「SATOYAMAイニシアティブ」の国際パートナーシップの構築に向けた準備会合を、東京、ペナン(マレーシア)、パリ(フランス)で開催しました。

 世界遺産暫定一覧表に記載された小笠原諸島において、関係省庁・地方公共団体・地元団体が連携し、外来種対策を進めるとともに、保全・管理のあり方を検討しました。それらの成果を踏まえて、平成22年1月に世界遺産センターに推薦書を提出しました。

 東・東南アジア地域での生物多様性の保全と持続可能な利用のための生物多様性情報整備と分類学能力の向上を目的とする事業である東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブに関する戦略と作業計画を作成し、当該地域の政府関係者及び関係機関を集めた会合において合意を得ました。

 生物多様性に関する科学及び政策の連携の強化を目的とした「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」の創設に向けた国際的な議論に積極的に参画しました。

 生物多様性と生態系サービスの損失に関する経済分析を行う国際的取組である「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」と連携し、生物多様性の経済評価に関する政策研究を実施しました。

 生物多様性保全に必要な技術開発や応用的な調査研究を推進するため、生物多様性関連技術開発等推進事業を開始し、「自然環境モニタリングネットワーク及び野生鳥獣行動追跡技術の研究開発」及び「侵略的外来中型哺乳類の効果的・効率的な防除技術の開発」を採択しました。

6 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策

(1)環境保全経費

 平成22年度予算における環境保全経費の総額は、1兆2,596億円となっています。

(2)政府の対策

 第三次環境基本計画の第3回目の点検は、同計画の10の重点分野のうち、「都市における良好な大気環境の確保に関する取組」などの5分野を重点点検分野として実施されました。

(3)環境影響評価等

 平成21年度においては、環境影響評価法の施行から10年が経過したこと等を踏まえて中央環境審議会において審議がなされ、戦略的環境アセスメント手続の新設について積極的に措置すべき等とする「今後の環境影響評価制度の在り方について(中央環境審議会答申)」(平成22年2月)が取りまとめられました。本答申を踏まえ、事業の早期段階における環境配慮を図るための計画段階配慮書の手続の新設等を盛り込んだ「環境影響評価法の一部を改正する法律案」が平成22年3月に閣議決定され、国会に提出されました。

(4)水俣病、アスベスト健康被害の救済

 ア 水俣病

 水俣病の認定は、現在、公健法に基づき行われており、平成22年3月末までの被認定者は、2,967人(熊本県1,780人、鹿児島県491人、新潟県696人)で、このうち生存者は、789人(熊本県410人、鹿児島県163人、新潟県216人)となっています。

 平成4年から水俣病総合対策事業(水俣病に見られる四肢末梢優位の感覚障害を有すると認められる者に療養手帳を交付し、医療費の自己負担分、療養手当等を支給する医療事業等)が開始されました。また、7年の政治解決を受け、医療事業の申請受付の再開等の施策を実施しました。

 国及び関係県のこのような施策が実行に移されたことを受けて、関西訴訟を除いた国家賠償請求訴訟については、平成8年2月及び5月に原告が訴えを取り下げました。関西訴訟については、16年10月に、最高裁判決が出され、国及び熊本県には、昭和35年1月以降、水質二法・県漁業調整規則の規制権限を行使せず、水俣病の発生拡大を防止しなかった責任があるとして、賠償を命じた大阪高裁判決が是認されました。平成18年に水俣病公式確認から50年という節目を迎えるに当たり、17年4月に「今後の水俣病対策について」を発表し、医療事業については、高齢化の進展等を踏まえた拡充、胎児性患者を始めとする水俣病被害者に対する社会活動支援、地域の再生・振興等の地域づくりの対策に取り組んでいます。

 また、このような新たな救済を求める者の増加を受け、水俣病被害者の新たな救済策の具体化に向けた検討が進められ、民主党、自民党、公明党の三党の合意により、7月に「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法(平成21年法律第81号。以下「水俣病被害者救済特措法」という。)」が成立し、公布・施行されました。その後、裁判で争っている団体の一部とは和解協議を行い、平成22年3月に熊本地方裁判所から提示された所見を、原告及び被告の双方が受け入れ、和解の基本的合意が成立しました。さらに4月には、水俣病被害者救済特措法の救済措置の方針を閣議決定しました。

 5月1日には、水俣病犠牲者慰霊式に鳩山総理大臣が歴代総理大臣として初めて出席し、祈りの言葉を捧げました。さらに同日、救済措置の方針に基づく給付申請の受付を開始しました。

 イ アスベスト(石綿)健康被害

 石綿による健康被害の救済に関する法律が平成18年3月に施行され、おおむね順調に施行されてきましたが、中皮腫の診断の困難さにより、発症後相当期間経ってからの申請例や生前に申請できない例が存在するなど、制定当時には想定していなかった課題が明らかとなり、また、特別遺族弔慰金等の請求期限も迫るなど救済の観点から対応が必要と考えられるようになりました。そこで、これらの課題に対応する改正法案が議員提案により第169回国会に提出され、成立し、平成20年12月1日より施行されました。

 石綿による健康被害の救済に関する法律による救済給付に係る申請等については、平成21年度末時点で8,673件を受け付け、うち5,892件が認定、1,208件が不認定とされています。

(5)環境教育・環境学習の推進

 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律及び同法に基づく基本方針に基づき、人材認定等事業の登録を行い、登録した事業についてインターネットによる情報提供を行うとともに「21世紀環境教育プラン〜いつでも(Anytime)、どこでも(Anywhere)、誰でも(Anyone)環境教育AAAプラン〜」として、関係府省が連携して、家庭、学校、地域、企業等における生涯にわたる質の高い環境教育の機会を提供することが重要であり、環境教育・環境学習に関する各種施策を実施しました。

 また、平成21年11月には、愛知県名古屋市において第10回日中韓環境教育ネットワークワークショップ・シンポジウムを開催し、「産学官民連携と高等教育機関の環境リーダー育成」をテーマに意見交換を行いました。

(6)社会経済のグリーン化の推進に向けた取組

 環境への負荷の低減を図るために経済的負担を課す措置については、その具体的措置について判断するため、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出抑制、廃棄物の発生抑制などその適用分野に応じ、これを講じた場合の環境保全上の効果、国民経済に与える影響及び諸外国の活用事例等につき、調査・研究を進めました。

 グリーン購入法に基づき、国等の各機関では、基本方針に即して平成21年度の環境物品等の調達方針を定め、これに基づいて環境物品等の調達を推進しました。また、環境配慮契約法に基づき、国等の各機関では、基本方針に即した契約を推進しました。さらに、グリーン購入及び環境配慮契約の取組を更に促すため、最新の基本方針について、国の地方支分部局、地方公共団体、事業者等を対象とした説明会を、グリーン購入について全国10か所、環境配慮契約について全国23か所において開催しました。

 地球温暖化対策の推進、経済の活性化及び地上デジタル放送対応テレビの普及を図ることを目的として、統一省エネラベルの4つ★相当以上のエアコン、冷蔵庫及び地上デジタル放送対応テレビの購入に対し、多様な商品と交換できるエコポイントを発行する事業を実施しました。また、一定の省エネ基準を満たすエコ住宅の新築、二重サッシ化や複層ガラス化などの窓の断熱改修、外壁や天井等への断熱材の施工といったエコリフォームに対して、多様な商品等と交換できるエコポイントを発行する住宅版エコポイント事業を開始しました。

 金融のグリーン化に向けた促進策の検討を行うため、中央環境審議会の「環境と金融に関する専門委員会」を立ち上げました。また、投融資に際しての環境配慮の織り込みを市場に普及させる観点から、低炭素社会における責任投資や情報開示についてシンポジウムを開催しました。

 わが国の環境ビジネスの市場・雇用規模については、OECDの環境分類に基づき調査、推計が行われています。住宅以外の建物に係る建築リフォームや水道業などのほか、低排出・低燃費自動車や省エネ家電などの環境保全を考えた消費者の行動が需要を誘発するビジネスも含めた市場・雇用規模については、環境省の調査によれば、平成20年の市場規模は約75兆円、雇用規模は約176万人となっています。


環境ビジネス(環境誘発型ビジネスを含む)の市場規模及び雇用規模の現状

(7)国際的取組に係る施策

 地球環境問題に対処するため、[1]国際機関の活動への支援、[2]条約・議定書の国際交渉への積極的参加、[3]諸外国との協力、[4]開発途上地域への支援を積極的に行っています。


地球のいのち、つないでいこう「地球いきもの応援団」



地球のいのち、つないでいこう「地球いきもの応援団」



温暖化防止の国民運動チャレンジ25キャンペーン


 地球温暖化という人類の生存にかかわる脅威に対して、世界が立ち向かおうとしています。 

 日本は、京都議定書を批准し、2008年から2012年の間に二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を1990年に比べて6%削減することを世界に約束しています。

 このような中、昨年9月、鳩山内閣総理大臣はニューヨークの国連気候変動サミットにおいて、「わが国は、すべての主要国による公平かつ実効性のある枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提として、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減する」という目標を表明しました。 政府では、地球と日本の環境を守り未来の子どもたちに引き継いでいくため、「チャレンジ25」と名付け、あらゆる政策を総動員して地球温暖化の防止を進めています。

 そのための国民的運動を、「チャレンジ25キャンペーン」として本年1月14日からスタートし、二酸化炭素削減に向けた具体的な行動の実践を呼び掛けています。各界で活躍されている著名な方々もキャンペーン応援団として参加しています。皆さんもぜひご参加下さい。


温暖化防止の国民運動チャレンジ25キャンペーン

 「チャレンジ25キャンペーン」応援団キャプテン

 加山 雄三 (かやま ゆうぞう)

 俳優、シンガーソングライター

 チャレンジ25キャンペーン応援団のキャプテンを務めている加山雄三です。国民の皆様の中には、具体的な温暖化防止のアクションは始めてはいないが、地球の将来を考えて、きちんとやらないといけないと思っている方もたくさんいると思います。私も、今日から新しいスタートという気持ちで、皆さんと一緒にCO2削減にチャレンジしていきますので、皆様もどうぞ、一緒に参加しましょう。


 「チャレンジ25キャンペーン」スーパーアドバイザー

 小宮山 宏 (こみやま ひろし)

 工学博士(東京大学、1972年)、

 第28代東京大学総長

 2009年4月より三菱総合研究所理事長、東京大学総長顧問

 私はエコハウスに住んでおり81%のCO2削減を実現しましたが、良さはそれだけではありません。結露しなかったり、家の中でトイレが寒くなかったり、また、初期投資も回収できるなど、とにかく、住みやすいことがポイントです。私も、スーパーアドバイザーとして全力で頑張りますので、皆さんもCO2削減に向けチャレンジしてください。


 「チャレンジ25キャンペーン」応援団

 上戸 彩 (うえと あや)

 女優

 マイ箸やマイバックを利用するなどして、エコ活動に取り組んでいます。

 最近では、ソーラーパネルの付いた携帯電話が出てくるなど、そうした身近に使える、エコな電化製品も増えてきています。

 私も、毎日の生活の中でエコな取組を実践し、CO2をダイエットしていきますので、皆さんも一緒に、CO2ダイエットにチャレンジしましょう。


 「チャレンジ25キャンペーン」応援団

 大林素子 (おおばやしもとこ)

 スポーツキャスター、(財)オリンピック委員会スポーツアンバサダー

 50年後、100年後、スキーやビーチバレーなどの競技が出来なくなるかもしれないと言われています。私たちアスリートも、各試合会場で、こどもたちに、温暖化防止に向けたメッセージを送るなどの活動を行っていますが、これからもそうした活動により一層取り組んでいきます。


 「チャレンジ25キャンペーン」応援団

 岡田武史 (おかだたけし)

 サッカー日本代表監督、地球環境イニシアティブ発起人

 再生可能エネルギーを日本に広める団体の代表発起人を務めるなど、温暖化防止に取り組んでおりますが、自分自身の生活を顧みますと、まだまだやりきれていない部分があります。これから努力していきたいと思います。


 「チャレンジ25キャンペーン」応援団

 杉本 彩 (すぎもと あや)

 女優、作家

 開発の犠牲になる野生動物や、美しい自然を見るたびに、心を痛めています。

 また、その都度、人間の傲慢さと愚かさを感じています。

 愛と思いやりを持ってエコ活動に取組み、意識を高めていきたいと思っています。


 「チャレンジ25キャンペーン」応援団

 杉山 愛 (すぎやま あい)

 プロテニスプレイヤー、グランドスラム62回連続出場の世界記録保持者、グランドスラム3度優勝(ダブルス)、オリンピック4回出場。

 温暖化による気温上昇は、海外でプレーしていても肌で感じることで、私たちのプレーする環境も、その暑さ等により、どんどん厳しい状況になっています。まずは、省エネ家電に買い替えるなど、自分のライフスタイルをエコに変えていきたいと思っています。


 「チャレンジ25キャンペーン」応援団

 別所 哲也 (べっしょ てつや)

 俳優/「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」代表

 俳優の傍ら、国際短編映画祭の代表を務めており、2008年からストップ!温暖化部門を設立しました。毎年、世界の映像クリエーターから温暖化防止のメッセージが込められた映像が寄せられていますが、そんな映像の持つ力を活かして、日本はもちろん、世界中の人々に温暖化防止のメッセージを伝えていきたい。皆さん、ともにチャレンジしましょう。





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