環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第3章>第3節 東日本大震災への対応

第3節 東日本大震災への対応

1 災害廃棄物の処理

 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法(平成23年法律第99号)に基づき、災害廃棄物の処理に関する基本的な方針、工程表を定め、被災した自治体の災害廃棄物処理について、きめ細やかな進捗管理をしてきました。平成27年度以降についても、処理の完了していない福島県の一部地域については、きめ細かな進捗管理を継続しつつ、市町と連携し国の代行処理などによる支援を通じて、できるだけ早期の処理完了を目指していきます。

 また、東日本大震災により発生したコンクリート殻・津波堆積土砂を被災した海岸堤防の復旧工事の盛土材に活用する取組では、平成27年度に災害廃棄物由来の再生資材として、仙台市で発生した津波堆積土など約4.0万m3を活用予定です。

2 放射性物質に汚染された廃棄物の処理

 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質によって汚染された廃棄物については、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年8月30日法律第110号。以下「放射性物質汚染対処特別措置法」という。)などに基づき、適正かつ安全に処理を進めることとなっています。

 福島県内の国直轄で処理を進める汚染廃棄物対策地域では、平成25年12月の対策地域内廃棄物処理計画の見直しにおいて、帰還の妨げとなる廃棄物の仮置場への搬入完了目標を市町村ごとに設定しました。そして、浪江町と富岡町においては、帰還困難区域を除いて、平成27年度中に帰還の妨げとなる廃棄物の仮置場への搬入完了を目指します。また、仮設焼却施設については、設置を予定している7市町村において、引き続き建設工事を進め、着実に処理を進めていきます。

 また、福島県内の放射性物質汚染対処特別措置法に基づく指定廃棄物のうち、放射能濃度10万ベクレル/kg以下のものについては、既存の管理型処分場であるフクシマエコテックを活用して埋立処分する計画であり、地元の富岡町・楢葉町及び福島県の理解を得て、できるだけ早期に汚染廃棄物の処理が進められるよう、引き続き調整を進めていきます。一方で、放射能濃度10万ベクレル/kg超の指定廃棄物を搬入する予定の中間貯蔵施設についても、その整備に向けて最大限努力していきます。

 福島県内の指定廃棄物のうち、保管が長期化すると、腐敗や臭気などのおそれがある下水汚泥や農林業系廃棄物などについては、焼却などの減容化事業を行うことになっています。減容化事業のうち、鮫川村における農林業系副産物等処理実証事業については、平成27年7月末まで焼却を行う予定です。また、飯舘村蕨平地区においては、平成27年度に施設の運転を開始予定です。福島県内のその他の地域についても、大量の農林業系廃棄物などの処理が滞っているため、集約して減容化を行う施設を整備する方針の下、地元との調整を進めていきます。

 福島県外の指定廃棄物については、一時保管がひっ迫している宮城県、栃木県、千葉県、茨城県、群馬県の5県において各県内で早期に処理するための調整を引き続き丁寧に行っていきます。

 また、再生利用可能な廃棄物については、放射線量の測定を行い、処理業者が受入れ可能と確認した物について引渡しを行います。

 上記の各種廃棄物への対応に加えて、飼料については、飼料中の放射性セシウムの暫定許容値を定め、引き続き都道府県などに周知徹底などを図っていきます。また肥料についても、汚泥肥料を含めた全ての肥料の放射性セシウム暫定許容値を400ベクレル/kgと定め、同様に引き続き都道府県などに周知徹底を図るとともに、16都県で生産される汚泥肥料の放射性セシウム濃度の測定を実施する予定です。