環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策>第3章>第1節 国内における取組

第3章 循環型社会の形成

第1節 国内における取組

1 「質」にも着目した循環型社会の形成

(1)2Rの取組がより進む社会経済システムの構築

 リサイクルより優先順位の高い、2Rの取組がより進む社会経済システムの構築を目指し、国民・事業者が行うべき具体的な2Rの取組を制度的に位置付けるため、これまでの2Rに関する施策の成果を踏まえつつ、異分野との連携及び先行的な取組事例についての調査分析、2Rに関するデータ収集等を行います。

 同時に、事業者等による3R行動の促進及び3R行動による環境負荷削減効果を見える化する「3R行動見える化ツール」の使用を引き続き促進するため、新たなツールの活用事例を構築し、それらの事例を情報発信します。あわせて、市町村等による廃棄物の適正処理・3Rの推進に向けた取組を支援するため、一般廃棄物処理に関するコスト分析方法、標準的な分別収集区分等を示す「一般廃棄物処理有料化の手引き」、「一般廃棄物会計基準」、「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」という、3つのガイドラインについて、平成27年度も更なる普及促進に努めます。

 容器包装の2Rの推進を図るため、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において行われている容器包装リサイクル制度の施行状況の点検等の結果や、過年度までの事業の成果等を踏まえ、必要な措置を講じていきます。また、使用済製品等のリユース促進事業研究会のモデル事業が平成27年度で5年目となることから、今までの事業を踏まえた取りまとめを実施するとともに、地方公共団体等に対して情報提供を行い、リユースに関する取組の活性化を図ります。さらに、容器包装の3Rについても、3R推進団体連絡会による自主行動計画に基づく取組を引き続き推進するため、産業構造審議会及び中央環境審議会において取組状況の評価を行います。

 特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号)(家電リサイクル法)に定められた特定家庭用機器の引取台数の多い大手量販店等に対しては、引き続きリユースとリサイクルの仕分け基準の作成状況について確認します。また、同法に基づく小売店への立入検査時には、リユース品を取り扱う場合に、リユースとリサイクルの仕分け基準を作成するよう求めていきます。一方で、消費者に対しては、優良なリユースを行っている業者に関する情報発信を行っていきます。同時に「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について(通知)」の更なる周知徹底と具体的な運用の事例集を作成し、自治体に提供します。これにより、リユース品に適さないと判断される特定家庭用機器等を違法に回収している事業者への自治体の指導を強化し、適正なリユースを促進します。

 さらに、フードチェーン全体の改善に向けて、本来食べられるのに廃棄されている食品ロスに係る経済的価値や、その削減による環境負荷の低減効果の試算を行います。あわせて、国全体の食品ロスの発生状況について、より実態に即した把握を進め、食品ロス削減の取組効果の「見える化」を通じ、国民に対して働き掛けを行います。また、都道府県・市町村における家庭系食品ロス削減対策の優良事例の調査を実施し、この事例を広く水平展開することで、地域の食品ロス削減対策の普及を図ります。

 加えて、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)に基づき、食品廃棄物等の発生抑制目標値が設定されていない業種については、食品廃棄物等のうち、食品ロスに当たる可食部と不可食部との割合の把握等を行った上で、目標値の設定を引き続き検討していきます。

 旅館・飲食・食肉営業者等の生活衛生関係営業者に関しては、それら主体による食品循環資源の再生利用率向上を図るため、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)に基づき、厚生労働大臣が定める「振興指針」の見直しを行い、食品リサイクルの実施率向上を図る支援を行います。

 また、長期にわたって使用可能な質の高い住宅ストックを形成するため、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)に基づき、長期優良住宅の建築・維持保全に関する計画を所管行政庁が認定する制度を平成27年度も引き続き運用します。なお、認定を受けた住宅については、税制上の特例措置を実施しています。

 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号。以下「グリーン購入法」という。)については、第1節5(1)を参照。

 無許可の廃棄物回収の違法性に関する普及啓発については、第1節6(1)を参照。

 循環型社会の形成に関する最新データ等を発信するウェブサイト「Re-Style」については、第1節8(2)を参照。

(2)使用済製品からの有用金属の回収

 平成25年4月1日から施行された、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(平成24年法律第57号。以下「小型家電リサイクル法」という。)については、回収され再資源化を実施する量の目標を、平成27年度までに1年当たり14万トン、1人1年当たりに換算すると約1kgとしており、その目標の達成を図るため制度を推進していきます。また、低炭素型3R技術・システム実証事業を活用して、製品横断的に、レアメタル等の有用金属の回収、2Rの取組、水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進等、低炭素社会の実現にも資する取組を支援していきます。また、使用済み製品のより広域でのリサイクルを行うため、広域的な実施によって、廃棄物の減量化や適正処理の確保に資するとして、環境大臣の認定を受けた者については、地方公共団体ごとに要求される廃棄物処理業の許可を不要とする制度(以下「広域認定制度」という。)の適切な運用を今後も図り、情報処理機器や各種電池等の製造事業者等が行う、高度な再生処理によって、有用金属の分別回収を推進していきます。

 さらに、研究・開発支援として、平成27年度の環境研究総合推進費による研究・開発支援では、使用済製品からレアメタル等を回収する技術に係る研究・開発を採択の対象とします。

(3)水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進

 スーパーの店舗等の事業系ルートにおいて回収された、ペットボトルの高度なリサイクルについては、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において行われている、容器包装リサイクル制度の施行状況の点検等の結果や、過年度までの事業の成果等を踏まえながら、関係法令の運用の整理等の必要な措置を講じていきます。

 食品リサイクルに関しては、食品リサイクル法に基づく、食品廃棄物等の発生抑制・再生利用が地域の実情に応じて推進されるよう、市町村や民間事業者の活用・育成による再生利用の実施を含めて、市町村の定める一般廃棄物処理計画において、食品廃棄物等の発生抑制・再生利用の促進を適切に位置付けることを促します。また、同法に定められた再生利用事業計画(食品関連事業者から排出される食品廃棄物等を用いて製造された、肥料・飼料等を利用して作られた農畜水産物を食品関連事業者が利用する仕組み。以下「食品リサイクルループ」という。)に基づく取組により生産された農畜水産物の量等、認定を受けた計画の実施状況の把握を行っていきます。

 同時に、リサイクル費用の削減に向け、環境研究総合推進費による研究・開発支援において、行政が特に提案を求める平成27年度の重点研究テーマとして「リサイクル材のアップグレードリサイクル・水平リサイクルに向けた基礎研究・技術開発」を示し、テーマに合致する課題を積極的に採択することとしています。自動車リサイクル分野においても、鉄スクラップの利用用途の拡大を図るため、資源循環の在るべき姿を勘案しながら、鉄スクラップを原料とした自動車部品等の製造可能性の検証など、水平リサイクル等の高度なリサイクルを推進します。

 「資源循環ハンドブック2015」等の3R普及啓発、3R推進月間の取組については、第1節8(2)を参照。

(4)有害物質を含む廃棄物等の適正処理システムの推進

 石綿(アスベスト)の適正な処理体制を確保するため、石綿含有廃棄物の無害化処理認定に係る相談、審査を引き続き行います。認定を受けている事業者に対しては、立入検査を実施し、適正な処理が行われているか確認します。

 ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)に関しては、その廃棄物の適正な処理を確保するため、中間貯蔵・環境安全事業株式会社を指導、監督するとともに、微量PCB汚染廃電気機器等の無害化処理認定に係る相談、審査を行い、認定を受けている事業者に対して立入検査を実施し、適正な処理が行われているかを確認します。

 また、環境研究総合推進費による研究・開発支援については、有害廃棄物を含む使用済み製品のリサイクル・廃棄段階における環境への排出実態や、その健康リスク評価に係る研究・開発を平成27年度における採択の対象とします。

 さらに、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策については、水銀廃棄物の環境上適正な方法による管理を推進するため、平成27年2月の中央環境審議会の答申を踏まえ、必要な基準の策定等を行います。また、今後とも継続的な調査研究や検証を進めつつ検討を深め、廃金属水銀等の長期的な管理の徹底を図ります。

 埋設農薬に関しては、計画的かつ着実に処理するため、農薬が埋設されている県における、処理計画の策定等や環境調査に対する支援を引き続き実施します。

 そのほか、リスクコミュニケーションの的確な実施に向けた取組も行います。化学物質排出移動量届出制度(PRTR制度)対象物質の毒性等の情報を分かりやすく簡潔にまとめた「化学物質ファクトシート」については、引き続き作成を行い、情報を提供します。また、市民、労働者、事業者、行政、学識経験者等の様々な主体が、化学物質と環境に関して意見交換を行い、政策提言を目指す場である「化学物質と環境に関する政策対話」を引き続き開催し、化学物質に関する国民の安全・安心の確保に向けた、リスクコミュニケーションの取組を推進します。化学物質アドバイザー制度も運営し、自治体や事業者が実施する化学物質に係るリスクコミュニケーションの活動を支援します。

(5)災害時の廃棄物処理システムの強化

 大規模な災害は、その被災地域が一都道府県内では留まらず、また隣接する都道府県間のみでは必要な対応が行えない等により、通常災害とは次元の異なる対応が必要となります。このため、国、都道府県、市町村、民間事業者等の各主体が平時から備えておくべき大規模災害特有の事項を整理し、一丸となって対策を行っていくことが重要です。

 平成27年3月24日に閣議決定された、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案の成立後は、その運用、実施を通じて、東日本大震災のような大規模な災害が発生した場合に生じる膨大な量の災害廃棄物を含め、平時から災害時における廃棄物の処理を適正かつ円滑・迅速に実施するため、全国単位、地域ブロック単位等各レベルで重層的に廃棄物処理システムの強靱(じん)化を進めます。具体的には、各レベルにおいて、[1]地方公共団体間の連携、[2]地方公共団体と民間事業者等との連携、[3]仮置場の確保等、具体的な対策について協議を進めます。あわせて、循環型社会形成推進交付金を効果的に活用し、廃棄物処理施設の耐震化や防災拠点化等を推進するとともに、実際に大規模災害が発生した時には、地方公共団体等と十分に連携しつつ、必要な支援を行えるよう、サポート体制の強化を図ります。

 東日本大震災により発生したコンクリート殻等を被災した海岸堤防の復旧工事に活用する取組については、第3節1を参照。

2 低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組

 化石系資源の使用量の抑制を図るため、高効率な廃棄物エネルギー利用施設等の整備を補助する廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業により、高効率な廃棄物熱回収施設や廃棄物等燃料製造施設の整備に対する補助を行う等、燃やさざるを得ない廃棄物から得られるエネルギーの有効活用を推進します。

 また、農山漁村のバイオマスを活用した産業創出を軸とした地域づくりに向けた取組については、今後とも推進していくと同時に、「森林・林業基本計画」等に基づき、森林の適切な整備・保全や木材利用の推進に取り組みます。

 さらに、「生物多様性国家戦略2012-2020」及び「農林水産省生物多様性戦略」に基づき、田園地域・里地里山の整備・保全(環境保全型農業直接支払による生物多様性保全に効果の高い営農活動や多面的機能を支える共同活動等に対する支援等)、森林の整備・保全(適切な間伐等)、里海・海洋の保全(生態系全体の生産力の底上げを目指した漁場の整備等)等により、農林水産分野における生物多様性の保全や持続可能な利用を引き続き推進します。加えて、企業等による生物多様性保全活動への支援等について取りまとめた、農林漁業者及び企業等向け手引き等を活用し、農林水産分野における生物多様性保全活動を推進します。

 化学肥料・化学合成農薬の使用低減や、地球温暖化防止・生物多様性の保全に効果の高い農業生産活動に対する環境保全型農業直接支払については、平成26年度に制定した、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律(平成26年法律第78号)に基づき実施し、農業者の連携による地域でまとまりを持った取組等、有機農業を含めた環境保全型農業を引き続き推進します。

 加えて、海洋環境等については、その負荷を低減させるため、今後も循環型社会を支えるための水産廃棄物等処理施設の整備を推進する必要があります。

 一方で、再生可能エネルギーに関連する製品・設備については、使用済みになった再生可能エネルギー設備(太陽光発電設備、太陽熱利用システム及び風力発電設備)のリユース・リサイクル・適正処分に関する実態を把握するために行った、これまでの調査結果によると、現時点では廃棄事例は少なく、太陽光発電設備の処理において課題が顕在化している状況にないことが分かっています。今後は、将来的な排出量の増加や、それに伴う処理への影響について留意が必要であるため、使用済再生可能エネルギー設備を廃棄する時に、環境へ悪影響が及ばないよう、廃棄物処理の不安解消に取り組み、再生可能エネルギー設備の導入を促進します。

 さらに、引き続き航路等の整備により発生する土砂等を有効活用し、干潟・藻場等の再生や深掘跡の埋め戻しを行うことにより、水質改善や生物多様性の確保等、良好な海域環境の保全・再生・創出を推進します。

 エコタウン等、木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業については、第1節3を参照。

 焼却ごみからの熱回収等、下水汚泥再生利用・エネルギー利用に係る技術実証、地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業については、第1節4を参照。

 モーダルシフト・輸送効率化による低炭素型静脈物流促進事業については、第1節5(2)を参照。

3 地域循環圏の高度化

 地域循環圏の形成に向けては、地方の実情や循環資源の性質に応じた複層的な望ましい循環の構築に向けた、地域循環圏形成モデル事業の点検・評価や、既存の地域循環圏を対象とするフォローアップを通じて、地域循環圏を実際に進めるための課題やその改善方策を検討します。あわせて、地域循環圏による様々で有益な効果を可能な限り具体的かつ定量的に示すこと等を通じて、引き続き「地域循環圏」の考え方の浸透や行政への反映を図ります。

 地方公共団体が作成し、経済産業省と環境省が共同承認した、エコタウンプラン等に基づき実施される事業については、地方公共団体及び民間団体に対して、総合的・多面的な支援を引き続き行っていきます。

 浄化槽に関する取組としては、生活排水処理施設の未普及人口約1,400万人(平成25年度末時点)の解消に向け、人口減少等の社会情勢の変化を踏まえ、浄化槽の効率的な整備推進に向けた取組を実施します。

 また、地球温暖化の観点からは、平成26年度に引き続き、豊かな低炭素地域づくりを推進するグリーンプラン・パートナーシップ事業や、地方自治体職員を対象とした研修会の開催等を通じて、ソフト・ハード両面における自治体の地球温暖化対策の取組を支援します。同時に、地方公共団体が実施する地球温暖化防止対策、自然と共生可能な地域づくりの取組を支援するため、引き続き地方財政措置を講じます。

 下水道の分野では、下水汚泥再生利用・エネルギー利用に係る技術の促進・普及啓発のため、平成27年度に下水道革新的技術実証事業において、バイオガス活用技術の実証を行います。また、下水汚泥と他のバイオマスの混合利用の推進のため、下水処理場における総合バイオマス利活用検討を行います。

 バイオマスエネルギーについては、木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業において、伐採されながら、森林内に放置されている未利用間伐材等をエネルギーとして有効活用する、先導的な技術やシステムの実証に、地域が一体となって取り組んでいます。平成27年度は、平成25年度及び平成26年度に採択した9件の実証事業を継続して行い、木質地域づくりの優良事例の形成を図ります。さらに、平成28年度には、これらの取組を通じて得られた、メリット、課題、その克服方法等の成果を取りまとめて公表することで、全国に木質バイオマスを利用した「木質モデル地域」の普及を図ります。また、今後とも、農山漁村のバイオマスを活用した産業創出を軸とした地域づくりに向けた取組を推進します。

 さらに、バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業においては、平成26年度に策定されたバイオマスエネルギー導入に係る技術指針・導入要件に基づき、選定された事業について、木質系、湿潤系、都市型系といった、それぞれの地域自立システム化実証へ向けた事業性評価を行います。あわせて、事業性評価結果について多段階競争選抜方式(ステージゲート)審査を行い、通過した事業については、地域自立システム化実証事業を行い、その成果を反映させたバイオマスエネルギー導入に係る技術指針・導入要件を公表することで、更なる導入促進に貢献します。

 食品リサイクルループについては、第1節1(3)を参照。

 地域の実情に応じた廃棄物処理システムの省エネルギー・創エネルギー化及び廃棄物発電施設による電気・熱供給の導入・高度化の推進、循環型社会形成推進交付金による市町村等の一般廃棄物処理施設の整備等への支援については、第1節2を参照。

 ごみからの熱回収等、地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業については、第1節4を参照。

4 循環資源・バイオマス資源のエネルギー源への利用

 循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)に基づくごみの循環的利用、及び処分の基本原則に基づいて処理を行った上で、焼却せざるを得ない廃棄物については、最近の熱回収技術の進展を踏まえ、一定以上の熱回収率を確保した熱交換器等で熱回収を行い、地域の実情に応じた廃棄物処理システムの省エネルギー・創エネルギー化を推進します。さらに、廃棄物発電施設が、災害時も含めた地域のエネルギーセンターとしての機能を発揮できるよう、廃棄物発電施設の電気・熱供給の導入・高度化を促進します。なお、循環型社会形成推進交付金による、市町村等への一般廃棄物処理施設の整備等の支援を継続するとともに、必要に応じて、同交付金の交付対象事業の見直し等を検討します。

 循環資源・バイオマスのエネルギー源への利用に向けて、主に民間の廃棄物処理事業者が行う地球温暖化対策を推し進めるため、平成22年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)の改正により創設された、廃棄物熱回収施設設置者認定制度を活用するとともに、廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業により、高効率な廃棄物熱回収施設や廃棄物等燃料製造施設の整備を支援していきます。

 バイオエタノールに関しては、平成30年度の自立商業化を目指して、年次計画に基づきバイオエタノールを3%混合したレギュラーガソリン「E3」及びバイオエタノールを10%混合した、より二酸化炭素排出削減効果の高いレギュラーガソリン「E10」の普及拡大に取り組むこととしています。

 農山漁村においては、食品廃棄物や家畜排泄物由来のバイオガスを製造し、広く地域で利用する供給技術等について、二酸化炭素削減効果や事業性等についての実証を行う、地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業において、更なる実証を推し進めます。また、平成25年度の事業成果(二酸化炭素削減効果をはじめ、地域資源からメタン回収を効率的に行うための適正な原料組成割合や副産物の量とその活用方法・事業性等)を取りまとめ、地域におけるバイオガス活用の課題や、その克服方法を整理します。

 また、未利用間伐材等の木質バイオマスの供給・利用を推進するため、木質燃料製造施設、木質バイオマスボイラー等の整備を引き続き推進します。未利用間伐材等の木質バイオマスを利用した、地域密着型の小規模発電や熱利用の推進に向けては、専門家の現地派遣、欧州からの技術者の招聘(へい)等による人材育成等の支援を実施します。あわせて、全国各地の木質バイオマス関連施設の円滑な導入に向けた、相談窓口・サポート体制の確立に向けた支援を引き続き実施します。さらに、木質バイオマスの高付加価値製品、発電効率の高い新たな木質バイオマス発電システム等の開発及び改良等に対する支援も引き続き実施します。

 加えて、農山漁村で豊富に得られる草本を利用した、バイオエタノールの低コスト・安定供給技術の開発、林地残材を原料とするバイオ燃料等の製造技術の開発、微細藻類を利用した石油代替燃料等の製造技術の開発を引き続き実施するほか、今後とも、農山漁村のバイオマスを活用した産業創出を軸とした、地域づくりに向けた取組を推進します。

 さらに、廃食油等から作成された、バイオディーゼル燃料の一体的・先進的な流通システムや、技術課題に取り組む地域の主体を支援する「地域バイオディーゼル流通システム実証事業費補助金」において、これまでの取組である流通インフラの整備による流通経路の確保、自治体等との連携による利用拡大等を行います。

 これらと同時に、ビジネスとして成立するバイオマスエネルギー利用技術の開発を行う、戦略的次世代バイオマス利用技術開発事業(実用化技術開発)において、草本系固形燃料(ペレット化)(平成25年度採択は1件)について、28年度末まで開発を継続し、多原料混合による安定的かつ安価なバイオマスペレット燃料製造技術を確立させます。

 セルロース系バイオマスからのエタノールについては、その製造技術開発に取り組む、セルロース系エタノール生産システム総合開発実証事業において、セルロース系エタノール一貫生産システムの構築のためのパイロットプラントの建設に向けて、前処理・糖化と発酵プロセスの最適組合せを検証します。また、エタノール生産における要素技術の開発を行う、バイオ燃料製造の有用要素技術開発事業においては、燃料用バイオマス高生産植物の改良技術、土壌選別等の植栽技術等の検証試験、有用微生物を用いた高収率エタノール生産技術開発、酵素生産菌を用いた安価かつ高活性な酵素の生産技術開発を行います。

 このほか、下水汚泥資源化施設の整備の支援、下水道資源の循環利用に係る計画策定の推進(社会資本整備総合交付金)、下水汚泥再生利用・エネルギー利用に係る技術実証(下水道革新的技術実証事業におけるバイオガス活用技術の実証)、下水汚泥と他のバイオマスの混合利用の推進(下水処理場における総合バイオマス利活用の検討)を実施していきます。

 地域の実情に応じた廃棄物処理システムの省エネルギー・創エネルギー化及び廃棄物発電施設による電気・熱供給の導入・高度化の推進、循環型社会形成推進交付金による市町村等の一般廃棄物処理施設の整備等への支援、廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業については、第1節2を参照。

5 循環産業の育成

(1)廃棄物等の有効活用を図る優良事業者の育成

 優良事業者の育成を目指し、産業廃棄物処理業者が、廃棄物の適正処理等を行うだけでなく、地域経済の活性化・雇用の創出に貢献することとなるよう、産業廃棄物処理業を我が国の有望な成長産業の1つとして位置付け、その振興を図るための施策を展開します。同時に、産業廃棄物の優良処理業者が社会的に評価され、優位に立てる環境づくりを継続して進めることとしており、優良処理業者の育成につながる電子マニフェストについては、平成25年10月に策定した「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」に基づき、平成28年度に普及率50%の目標を達成すべく普及啓発に努めます。また、平成25年に国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(平成19年法律第56号。以下「環境配慮契約法」という。)に類型追加された「産業廃棄物の処理に係る契約」では、優良処理業者が産廃処理委託契約で有利になる仕組みとなっているため、環境配慮契約を推進するために、各行政機関や地方公共団体等に向けて、引き続き制度を周知していきます。

 特に、リユース市場の拡大に向けては、使用済製品等のリユース促進事業研究会の事業として、リユース業界団体との意見交換会を引き続き開催し、リユース業界の優良化について検討します。また、リユース製品やリサイクル製品等の品質・安全性・環境負荷低減効果についての分かりやすい表示のため、環境ラベルに関する情報を提供する「環境ラベル等データベース」(http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/(別ウィンドウ))の掲載情報を随時更新します。さらに、環境負荷の低減に配慮した製品・サービス(エコプロダクツ)の開発普及を促進するために、平成26年度以降も引き続き、主催者であるエコプロダクツ大賞推進協議会及び関係各省と連携し、「エコプロダクツ大賞」の表彰制度を通じて、エコプロダクツの開発普及に対する意識啓発に努めていく予定です。

 さらに、国自らが率先して3R製品等の調達を行うことも必要です。グリーン購入法及び環境配慮契約法に基づく基本方針については、平成27年度においても、有識者等による検討会を開催し、基本方針の改定検討を実施します。各省庁等は、グリーン購入法及び環境配慮契約法に基づき、調達方針の策定や契約締結実績の概要公表を実施するとともに、率先したグリーン購入及び環境配慮契約を推進する予定です。この中で、国土交通省が実施する公共工事においても、グリーン購入法に基づき、調達する資材、建設機械、工法及び目的物について、一般からの提案を参考として、特定調達品目の追加、見直し等の検討を行います。また、特定調達品目の実績把握を行い、その結果を踏まえて定量的な目標を設定し、環境物品等の調達を推進していく予定です。

 また、各事業者における、環境マネジメントシステムの導入、環境報告書や環境会計の作成・公表等の取組の促進のため、ISO14001の改定等を踏まえ、中小企業向け環境マネジメントシステムである「エコアクション21」のガイドライン改訂に着手するほか、引き続きエコアクション21の普及促進を行います。また、「エコアクション21の簡易版マネジメントシステム」の実証事業を行い、環境マネジメントに取り組む中小企業の裾野拡大を図ります。

 加えて、環境報告書の更なる利用促進を図るため、環境情報開示基盤の整備事業を推進するとともに、情報開示の世界的潮流や企業を取り巻くガバナンスの在り方の変容を踏まえ、「環境報告ガイドライン2012年版」や「環境会計ガイドライン2005年版」の改訂に向けた検討を行います。これにより、事業者と利害関係者間の環境コミュニケーション促進を図ります。

 さらに、特定廃棄物最終処分場における特定災害防止準備金の損金又は必要経費算入の特例や廃棄物処理施設に係る課税標準の特例といった税制措置を活用することにより、廃棄物処理施設の整備及び維持管理を引き続き推進します。

 ペットボトルに関する高度なリサイクルについては、第1節1(3)を参照。

(2)静脈物流システムの構築

 静脈物流については、輸送手段を道路輸送から相対的に環境負荷が小さい船舶へと転換するモーダルシフト及び輸送効率化を推進するため、モーダルシフト・輸送効率化による低炭素型静脈物流促進事業により、海上輸送による低炭素型静脈物流システムの構築に必要な経費を引き続き補助していきます。

 また、静脈物流の拠点となる港湾をリサイクルポートに指定し、広域的なリサイクル関連施設の臨海部への立地を引き続き推進します。あわせて、官民連携の推進、港湾施設の整備等の総合的な支援を講じることにより、国内外の資源循環を促進します。そのほか、首都圏の建設発生土を全国の港湾の用地造成等に用いる、港湾建設資源の広域利用促進システム(スーパーフェニックス)についても引き続き推進します。

6 廃棄物の適正な処理

(1)不法投棄・不適正処理対策

 不法投棄等の未然防止・拡大防止対策としては、不法投棄等に関する情報を国民から直接受け付ける、不法投棄ホットラインを運用するとともに、産業廃棄物の実務や関係法令等に精通した専門家を現場へ派遣し、不法投棄等に関与した者の究明や責任追及方法、支障除去の手法の検討等について助言等を行うことにより、都道府県等の取組を支援します。今後も引き続き、国と都道府県等が連携して、不法投棄等の撲滅に向けた普及啓発活動等の取組を一斉に実施し、不法投棄等の未然防止・拡大防止を推進していきます。

 また、不法投棄等の残存事案対策としては、平成9年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成9年法律第85号。以下「廃棄物処理法改正法」という。)の施行(平成10年6月17日)以降の産業廃棄物の不法投棄等については、同法に基づく基金からの財政支援を通じて、不法投棄等による支障の除去等を推進するとともに、平成25年2月に取りまとめられた「支障除去等に関する基金のあり方懇談会報告書―当面の財政的な支援について―」も踏まえて、支援の在り方等の検討を進めていきます。

 また、産業廃棄物が適正に運搬され、処理されたことを確認するための管理票システムである、電子マニフェストに関しては、その普及率50%を目標とした、「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」に基づき、電子マニフェストをスマートフォンやタブレットに対応させるためのシステム改修を平成26年度に引き続き実施するとともに、排出事業者、行政機関への利用促進等を図り、平成28年度に普及率50%の目標を達成すべく普及啓発に努めます。

 加えて、家庭等の不用品を無許可で回収し、不適正処理・輸出等を行う不用品回収業者、輸出業者等の対策として、市区町村の許可又は委託を受けていない無許可の廃棄物回収は違法であると啓発するため、これまでの広報内容、方針についての検討結果を踏まえ、効果的な普及啓発手法について検討し、広報を継続していきます。

 海岸の漂着ごみに対しては、美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関わる法律(平成21年法律第82号)に基づく、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するため、海岸漂着物対策推進会議や国際的な協議の場等を通じて、関係者間での連携を図り、海岸漂着物対策の一層の推進に努めます。また、関係省庁や地方公共団体、各種ボランティア団体が連携協力し、「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」等を通じた不法投棄等の監視や啓発活動、海洋環境保全指導を推進します。洪水、台風、海外からの漂着等により、広範囲にわたり堆積し、海岸保全施設の機能を阻害することとなる海岸漂着ごみや流木等については、それらを処理するため、引き続き災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業による支援を行います。

 船舶との関係では、その航行に支障を来さないよう、閉鎖性海域において、海面に浮遊する漂流ごみ等の回収を行うとともに、船舶等から流出した油や有害液体物質については、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)等に基づき、防除措置等の適切な実施を図ります。加えて、油及び有害液体物質の流出への対処能力強化を推進するため、資機材の整備、現場職員の訓練及び研修を実施し、さらに関係機関との合同訓練を実施するなど、連携強化を図り、迅速かつ的確な対処に努めていきます。

 また、環境に配慮した先進的なシップリサイクルシステムの構築及び廃FRP(繊維強化プラスチック)のリサイクルの必要性等の周知・啓発を行うことも必要です。海外の主要船舶解撤国の「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(シップリサイクル条約)」に関しては、その締結に係る動向等を調査し、同条約の早期発効に向けた課題を明確にします。また、全国ブロックごとに地方運輸局、地方整備局、都道府県等で組織する地方廃船処理協議会を開催し、不法投棄された廃FRP船対策やFRP船リサイクルの促進を図るために情報提供及び意見交換等を実施します。

 廃棄物処理法改正法施行前の産業廃棄物の不法投棄等による支障除去等については、第1節7(11)を参照。

(2)最終処分場の確保等

 一般廃棄物の最終処分場に関しては、ごみのリサイクルや減量化を推進した上でなお残る廃棄物を適切に処分するため、最終処分場の設置又は改造、既埋立物の減容化等による一般廃棄物の最終処分場の整備を循環型社会形成推進交付金の交付対象事業に引き続きするとともに、必要に応じて、同交付金の交付対象事業の見直し等を検討します。

 また、産業廃棄物の最終処分場等に関しても、施設整備のため、引き続き申請に応じて廃棄物処理法に基づく廃棄物処理センターの指定を行います。あわせて、民間を含め優良な処理施設の整備を更に支援するため、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成4年法律第62号)に基づく特定施設の認定を行います。また、廃棄物処理センター等が行う、公共関与型産業廃棄物処理施設の整備を対象とした補助事業である、産業廃棄物処理施設のモデル的整備事業により、公共が関与して行う産業廃棄物処理施設について、一層の整備促進を図ります。

 さらに、海面処分場に関しては、「巨大災害発生時における廃棄物対策のグランドデザイン」を踏まえ、「現行の海面処分場における論点整理」として、海面処分場の廃止等に関して、現行制度において検討が必要な事項を整理し、平成27年度以降に検討を行います。港湾の整備に伴う浚渫(しゅんせつ)土砂や循環利用できない廃棄物を最終的に処分する海面処分場についても、港湾の秩序ある整備と整合を取りつつ、引き続き計画的に整備します。

 加えて、国際的に見ても依然として我が国の廃棄物海洋投入処分量が多い状況を踏まえ、海洋投入処分量のより一層の削減に向けた方策の検討を行います。また、船舶等から発生する廃油についても、海洋投入処分が原則禁止されていることを踏まえ、適切に廃油を受け入れる施設を引き続き確保します。

7 各個別法の対応

(1)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

 優良産廃処理業者認定制度、広域認定制度等の制度を引き続き運用し、廃棄物処理法に基づいた廃棄物の適正な処理に努めます。また、平成27年3月に国会に提出された、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案の成立後は、その円滑な実施を目指します。

(2)資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)

 施行状況調査を引き続き実施し、指定業種、製品ごとの取組状況等を把握していきます。有識者等からなる第三者委員会においては、資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)が社会の実態に則したものとなっているか検討を行います。

(3)容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)

 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号)については、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において行われている、容器包装リサイクル制度の施行状況の点検等の結果や、平成26年度までの事業の成果等を踏まえながら、必要な措置を講じていきます。

(4)特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)

 家電リサイクル制度の円滑な施行に向け、中央環境審議会・産業構造審議会合同会合において取りまとめられた、家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書の内容を踏まえた施策の具体化に取り組んでいきます。

(5)建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)

 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)に関しては、国土交通省における建設リサイクルの推進に向けた基本的考え方、目標、具体的施策を示した「建設リサイクル推進計画2014」に基づき、各種施策を実施していきます。

 特に、[1]建設副産物物流のモニタリング強化、[2]地域固有の課題解決の促進、[3]他の環境政策との統合的展開への理解促進、[4]工事前段階における発生抑制の検討促進、[5]現場分別・施設搬出の徹底による再資源化・縮減の促進、[6]建設工事における再生資材の利用促進、[7]建設発生土の有効利用・適正処理の促進強化については、これらを新たに取り組むべき重点施策として実施します。

(6)食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)

 食品廃棄物の発生量が一定規模以上の食品関連事業者に対して義務付けられている定期報告等を通じた、食品関連事業者への指導監督の強化、登録再生利用事業者制度及び食品リサイクルループ認定制度を通じた、再生利用等の円滑な取組等を引き続き推進していきます。

 また、食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、食品リサイクル制度の普及啓発を実施するほか、食品廃棄物の発生抑制に係る業種・業態別目標値の達成等のため、消費者等を巻き込んだフードチェーン全体での発生抑制の取組を促進していきます。

(7)使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)

 使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号。以下「自動車リサイクル法」という。)に関する、今後の課題・方向性等については、産業構造審議会・中央環境審議会の合同会合の自動車リサイクル法の評価・検討の状況を踏まえつつ、適切な施策を講じていきます。

 自動車に使用されているコンピューター基板等のリサイクルに関する実証等を行う、低炭素型3R技術・システム実証事業については、第1節1(2)を参照。

(8)使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)

 小型家電リサイクル法に関しては、市町村における小型家電の回収体制の構築を支援すること等を目的に、平成24年度から実施している小型電子機器等リサイクルシステム構築実証事業について、これまでの事業の優良事例や課題等を踏まえつつ、今後も事業の実施を通じて、市町村に対し小型家電回収体制の構築に必要な支援を行い、参加市町村数及び回収量の拡大を図ります。

 また、小型家電リサイクル制度の意義・効果等の普及啓発については、これまでの取組事例等から効果的な手法について検討を行い、実施していきます。今後は、より広域での小型家電の回収を促進していくことを念頭に、市町村と事業者との間の取引実態を把握するとともに、その結果から効果的な小型家電リサイクルの促進方法を検討して、今後の施策にいかしていきます。

(9)国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)

 環境物品等の調達の推進に関する基本方針については、環境物品等の開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜見直しを実施します。国等の各機関は、基本方針に即して、毎年度、調達方針の作成及び公表を行い、これに従って調達を実施します。また、地方公共団体のグリーン購入の取組促進のため、アンケート調査や基本方針変更に係る説明会等を行うとともに、地方公共団体向けのグリーン購入ガイドラインを用いた普及啓発を実施します。

(10)ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)に関しては、平成26年6月6日に変更されたPCB廃棄物処理基本計画に基づき、中間貯蔵・環境安全事業株式会社における安全を第一とした適正かつ確実な処理を実施するとともに、一日でも早い処理完了に向けた取組を推進します。また、都道府県と連携し、費用負担能力の小さい中小企業者等による処理を円滑に進めるための助成等を行っていきます。微量PCB汚染廃電気機器等の処理については、その処理が安全かつ合理的に進むよう必要な検討を行います。

(11)特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)

 平成9年の廃棄物処理法改正法の施行(平成10年6月17日)前の不法投棄等が原因で生活環境に支障等が生じている事案について、都道府県等が実施する特定支障除去等事業を支援することにより、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号)の有効期限である平成35年3月31日までに支障等の除去が完了するよう、引き続き事業の計画的かつ着実な推進を図っていきます。

8 環境教育等の推進と的確な情報共有・普及啓発

(1)環境教育等の推進

 環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(平成15年法律第130号。以下「環境教育等促進法」という。)に規定されている、環境教育のための人材認定等事業の登録(環境教育等促進法第11条第1項)、環境教育等支援団体の指定(同法第10条の2第1項)、体験の機会の場の認定(同法第20条)については、それぞれ引き続き登録等を行い、ウェブサイト「環境教育・環境学習・環境保全活動のホームページ」の各種認定、登録、指定などのページ(https://edu.env.go.jp/system.html(別ウィンドウ))等を通じて、情報等の提供を行っていきます。

 また、持続可能な開発のための教育(以下「ESD」という。)の視点を取り入れた環境教育について、モデルプログラムを新たに20程度作成します。そして、蓄積されたモデルプログラムに基づき、各都道府県において地域版環境教育プログラムを作成し、小中学校をはじめとした学校教育現場で実証を行うとともに、これらの取組を通して、地域におけるESD推進体制の強化、ネットワーク形成の推進を図っていきます。さらに、教員をはじめとする環境教育・学習の指導者等に対する「環境教育・ESDカリキュラムデザイン研修」について、環境省と文部科学省の連携協力により、引き続き開催していきます。

 このほか、学校以外の場でも、ESDの視点を取り入れた環境保全活動に取り組む団体や活動等のネットワーク化を充実させるため、「+ESDプロジェクト」(https://www.p-esd.go.jp/top.html(別ウィンドウ))、「エコ学習ライブラリー」(https://www.eeel.go.jp/(別ウィンドウ))といったウェブサイトにより、引き続き広く情報提供を行います。また、「+ESDプロジェクト」を通して、ESDに関わる各活動等の「見える化」、「つながる化」を進めていきます。

 各主体間の連携としては、産学官民のあらゆる主体が連携し、環境人材育成の取組についての意見交換や交流の促進を行う「環境人材育成コンソーシアム事業」を通じて、大学生向けのモデル授業、企業の管理職や経営者層を対象とした研修を実施し、交流の機会を提供していきます。

 また、環境のための地球規模の学習及び観測プログラム(GLOBE)協力校への指定、環境教育の教材として活用できる、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備も引き続き支援していきます。さらに、公民館等を中心として、地域の社会教育関係団体等が連携して地域の課題を解決する取組に関する情報提供を行い、引き続き公民館等の社会教育施設における自主的な取組を促進します。

 森林に関しては、森林環境教育として、学校教育における森林に関する体験活動の実施に関する情報交換の促進、活動の実施に対する支援や、学校等が森林教室や体験活動を実施するためのフィールドとして、国有林を提供する「遊々の森」の協定締結を推進するとともに、既設箇所において、学校等と連携し、森林教室や自然観察、体験林業等を実施します。

 さらに、「木育」として、木のおもちゃでの遊びを通じて、木への親しみや木の文化への理解を深めるような木材や木製品との触れ合いの場づくり、木材の良さや利用の意義を学ぶ木育プログラムの開発を図ります。

 「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」後の取組については、第6章第5節6を参照。

(2)3Rに関する情報共有と普及啓発

 3Rをめぐる国内外の最新の状況等を国民全体で共有することを目指し、第三次循環型社会形成推進基本計画(以下「第三次循環基本計画」という。)に盛り込まれた、循環型社会の形成に関する最新データ等については、引き続きその情報提供を行います。また、第三次循環基本計画に係る指標に関する検討会における、指標の改善に向けた検討については、引き続き毎年度実施します。

 情報共有の1つの手段として、インターネットを利用する若い世代に対しては、恒常的に周知徹底を図るため、ウェブサイト「Re-Style」(http://www.re-style.env.go.jp(別ウィンドウ))を運営し、循環型社会の形成に関する最新データやレポート等の掲載、第三次循環基本計画の周知及び循環型社会に向けた多様な活動等の情報発信を行い、国民、民間団体及び事業者等における活動の促進を図ります。また、ソーシャルネットワークサービス(Facebook)を活用し、更なる情報発信の効率化を行います。

 さらに、経済産業省は、3Rに関係する法制度とその動向をまとめた冊子「資源循環ハンドブック2015」を作成し、関係機関に配布するほか、3Rに関する環境教育に活用する等の一般の求めに応じて配布を行います。また、3R政策に関するウェブサイト(http://www.meti.go.jp/policy/recycle/(別ウィンドウ))において、取組事例や関係法令の紹介、各種調査報告書の提供を行うとともに、普及啓発用DVDの貸出等を実施します。また、環境省では、環境教育等促進法に基づき、事業者、市民、民間団体等のあらゆる主体のパートナーシップによる取組の支援や交流の機会を提供するために、「地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)」及び「地方環境パートナーシップオフィス(EPO)」を拠点として、パートナーシップの促進を図ります。ここでは、地域の多様な主体との協働の下、その資源や創意工夫を最大限活用し、地域を活性化させ、持続可能な社会づくりに取り組む協働取組モデル事業を実施します。建設リサイクルに関しては、国土交通省が、各地方での建設リサイクル技術発表会・技術展示会や「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(以下「3R表彰」という。)」等、各種取組を実施します。

 加えて、国民に対し、3R推進に対する理解と協力を求めるため、毎年10月に定められている「3R推進月間」においては、関係府省(財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、消費者庁)連携の下、広く国民に向けた普及啓発活動に引き続き取り組みます。

 3R推進月間の事業の一環として、様々な表彰も行います。まず、3Rの推進に貢献している個人、グループ、学校及び特に貢献の認められる事業所等を表彰する、3R表彰(主催:リデュース・リユース・リサイクル推進協議会)の開催を引き続き後援していきます。この中で、厚生労働省では、3R表彰制度を通じた製薬業界における3R活動の意識啓発を行います。

 そのほか、環境省は、環境大臣表彰、3R促進ポスターコンクール、循環型社会形成推進功労者表彰も引き続き実施していく予定です。また、経済産業省は、平成27年度の3R表彰及び、新たな資源循環ビジネスの創出を支援している「資源循環技術・システム表彰」(主催:一般社団法人産業環境管理協会、後援:経済産業省)を通じ、優れた3Rの取組の普及や新たな資源循環ビジネスの創出を支援します。さらに、農林水産省は3R表彰及び「食品産業もったいない大賞」を通じ、引き続き農林水産業・食品関連産業における3R活動、地球温暖化・省エネルギー対策等の意識啓発に取り組みます。

 これらの表彰のほかにも、3R推進ポスター展示、リサイクルプラント見学会や関係機関の実施するイベント等のPR、環境に配慮した商品の購入やマイバッグ持参等の3R行動の実践を呼び掛ける「環境にやさしい買い物キャンペーン」を通じた消費者向けの普及啓発を行います。また、環境省、福井県及び3R活動推進フォーラムは、平成27年度に「第10回3R推進全国大会」を共催し、同イベントを通じて、3R施策の普及啓発を行う予定です。

 個別分野の取組としては、容器包装リサイクルの普及啓発を担う、容器包装廃棄物排出抑制推進員(3Rマイスター)について、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において行われている、容器包装リサイクル制度の施行状況の点検等の結果や、平成26年度までの事業の成果等を踏まえながら、必要な措置を講じます。