第5節 地域の生活環境に係る問題への対策

1 騒音・振動対策

(1)工場・事業場及び建設作業による騒音・振動対策

 騒音規制法(昭和43年法律第98号)及び振動規制法(昭和51年法律第64号)では、騒音・振動を防止することにより生活環境を保全すべき地域(指定地域)内における法で定める工場・事業場(特定工場等)及び建設作業(特定建設作業)の騒音・振動を規制しています。指定地域内の特定工場等の総数は、平成18年度末現在でそれぞれ213,217件、125,170件で、18年度には、苦情に基づく行政指導がそれぞれ1,181件、167件でした。また、騒音規制法に基づく改善勧告が5件、改善命令が1件行われました。18年度に行われた特定建設作業に係る実施の届出件数は騒音規制法、振動規制法それぞれ73,259件、34,760件で、18年度には、苦情に基づく行政指導がそれぞれ1,845件、769件行われました。建設作業の騒音・振動については、適切な規制の在り方を検討するため、建設作業場から発生する騒音・振動について実態調査を行いました。また、公共事業を中心に騒音・振動対策を施した低騒音型・低振動型建設機械の使用、適切な予測手法を確立する調査、検討を推進する等、建設作業の低騒音・低振動化に取り組みました。


(2)自動車交通騒音・振動対策

 自動車交通騒音・振動問題を抜本的に解決するため、自動車単体の構造の改善による騒音の低減等の発生源対策、道路構造対策、交通流対策、沿道環境対策等の諸施策を総合的に推進しました(表2−5−1)。


表2−5−1 道路交通騒音対策の状況

 自動車単体から発生する騒音を減らすため加速走行騒音、定常走行騒音、近接排気騒音の3種類について規制を実施しています。また、道路交通法(昭和35年法律第105号)に基づく消音器不備、空ぶかし運転、不正改造車両の規制に係る取締りを強化する等、暴走族による爆音暴走の防止対策に取り組んでいます。

 さらに、自動車から発生する騒音の許容限度を環境大臣が定め、市町村長が都道府県の公安委員会に対して道路交通法(昭和35年法律第105号)の規定による措置を要請することができる要請限度制度に基づき、自動車騒音について、平成18年度に地方公共団体が苦情を受け測定を実施した106地点のうち、要請限度値を超過したのは19地点で、同様に、道路交通振動については、測定を実施した121地点のうち、要請限度値を超過したのは1地点でした。また、自動車騒音に関して、18年度に市町村長が都道府県公安委員会に対して要請を行った件数は無く、道路管理者に対して意見陳述を行った件数は5件でした(表2−5−2)。


表2−5−2 「騒音規制法」に基づく自動車騒音に係る要請及び意見陳述の状況(平成13年度〜平成18年度)


(3)航空機騒音対策

 「航空機騒音に係る環境基準について」(昭和48年12月環境庁告示第154号)の一部改正が平成19年12月17日付けで告示され、近年の騒音測定機器の技術的進歩及び国際的動向に即して新たな評価指標が採用され、平成25年4月1日に施行されることになりました。

 耐空証明(旧騒音基準適合証明)制度による騒音基準に適合しない航空機の運航を禁止するとともに、緊急時等を除き、成田国際空港では夜間の航空機の発着を禁止し、大阪国際空港等では発着数の制限を行っています。

 発生源対策を実施してもなお航空機騒音の影響が及ぶ地域については、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和42年法律第110号)等に基づき空港周辺対策を行いました。同法に基づく対策を実施する特定飛行場は、東京国際、大阪国際、福岡等14空港であり、これらの空港周辺において、学校、病院、住宅等の防音工事及び共同利用施設整備の助成、移転補償、緩衝緑地帯の整備、テレビ受信料の助成等を行いました(表2−5−3)。また、大阪国際空港及び福岡空港については、周辺地域が市街化されているため、同法により計画的周辺整備が必要である周辺整備空港に指定されており、国及び関係地方公共団体の共同出資で設立された(独)空港周辺整備機構が関係府県知事の策定した空港周辺整備計画に基づき、上記施策に加えて、再開発整備事業等を実施しました。


表2−5−3 空港周辺対策事業一覧表(平成17年度〜19年度)

 自衛隊等の使用する飛行場等に係る周辺対策としては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和49年法律第101号)等に基づき、学校、病院、住宅等の防音工事の助成、移転補償、緑地帯等の整備、テレビ受信料の助成等の各種施策を行っています(表2−5−4)。平成18年度末現在30施設周辺について区域指定がされています。また、住宅防音工事の一環として太陽光発電システムの設置助成に係るモニタリング事業、住宅の外郭防音工事等新たな施策の充実に努めているところです。また、在日米軍における音源対策、運航対策については、日米合同委員会等の場を通じて協力を要請しており、厚木、横田、嘉手納及び普天間の各飛行場における航空機の騒音規制措置について合意しています。


表2−5−4 防衛施設周辺騒音対策関係事業一覧表(平成17年度〜19年度)

 また、防衛省において開発中の次期固定翼哨戒機(XP-1)についても、低騒音化に積極的に取り組んでいます。XP-1は、国際民間航空機関ICAO)が規定する騒音に関する最新の基準を十分満たす見込みであり、現有固定翼哨戒機(P-3C)の騒音レベルを下回るものと試算されています。


(4)鉄道騒音・振動対策

 東海道、山陽、東北及び上越新幹線については、環境基準達成のために、鉄道事業者が各種の騒音・振動対策を実施した結果、第1次から第3次75デシベル対策に係るすべての対策区間において75デシベル以下となっていることが確認されています。しかし、一部で達成していない地域が残されていることから、ポスト75デシベル対策として、引き続き住宅の立地状況、鉄道事業者の取組状況等を勘案しつつ、音源対策が計画的に推進されるよう関係機関に要請しました。


(5)近隣騒音対策(良好な音環境の保全)

 近年、営業騒音、拡声機騒音、生活騒音等のいわゆる近隣騒音は、騒音に係る苦情全体の約20%を占めています。近隣騒音対策は、各人のマナーやモラルに期待するところが大きいことから、「近隣騒音防止ポスターデザイン」を一般公募して普及啓発活動を行いました。また、各地方公共団体においても取組が進められており、平成18年度末現在、深夜営業騒音は134の都道府県、指定都市、中核市、特例市及び特別区で、拡声機騒音は143の都道府県、指定都市、中核市、特例市及び特別区で条例により規制されています。


(6)低周波音対策

 一般の方の低周波音に対しての理解を深めるため、パンフレット「よくわかる低周波音」を作成しました。

 また、地方公共団体職員を対象として、低周波音問題に対応するための知識・技術の習得を目的とした低周波音測定評価方法講習を行いました。

2 悪臭対策

(1)悪臭防止法による措置

 悪臭対策については、悪臭防止法(昭和46年法律第91号)に基づき、工場・事業場から排出される悪臭原因物の規制等を実施しています。同法では、都道府県知事等が規制地域の指定及び規制基準の設定を行うこととしており、平成18年度末現在、全国の71.9%に当たる1,313市区町村(724市、511町、55村、23特別区)で規制地域が指定されています。18年度は、同法に基づく改善勧告は6件、改善命令は0件でした。これらの措置のほか、規制地域内の悪臭発生事業場に対して2,353件の行政指導が行われました。

 同法は、複合臭問題等への対策強化を目的として、人間の嗅覚に基づいた臭気指数規制を導入しており、平成19年度も、地方公共団体職員を対象とした講習会、嗅覚測定技術の研修等、地方公共団体における臭気指数規制の一層の導入促進に向けた取組を行いました。また、臭気指数等の測定を行う臭気測定業務従事者についての国家資格を認定する臭気判定士試験を実施しました。

 また、事故時の措置に関して万全を期すため、事故時の措置を含む悪臭防止法全体に関するパンフレット「悪臭防止法」を作成しました。


(2)嗅覚測定法に関する海外動向調査

 国際的な嗅覚測定法の標準規格化の動きに対応するため、諸外国における悪臭に関する規制や臭気の測定方法について調査するとともに、我が国で用いられている嗅覚測定法(三点比較式臭袋法)のマニュアルやビデオの英語版を作成し、諸外国に紹介しました。


(3)良好なかおり環境の保全・創出

 まちづくりに「かおり」の要素を取り込むことで、良好なかおり環境を創出しようとする地域の取組を支援することを目指し、「かおりの樹木・草花」を用いた「みどり香るまちづくり」企画コンテストを実施しました。

3 ヒートアイランド対策

 ヒートアイランド対策大綱に基づき、[1]人工排熱の低減、[2]地表面被覆の改善、[3]都市形態の改善、[4]ライフスタイルの改善の4つを柱とするヒートアイランド対策の推進を図りました。また、ヒートアイランド対策関係府省連絡会議において、同大綱に盛り込まれた対策等の進ちょく状況に関する点検を実施した結果、大綱に示された施策については全般にわたって進展が見られました。

 さらに、関連する調査研究として、ヒートアイランド現象の実態や環境への影響に関する調査・観測や、熱中症の予防情報の提供とモニタリングを継続的に実施しました。また、皇居等における都市内の緑地の調査・観測、大気との接触水面の拡大や地下湧水・地下熱の利用等環境技術を活用したヒートアイランド対策の検証を実施しました。

 このほか、ヒートアイランド現象の顕著な街区において、CO2削減効果を兼ね備えた施設緑化や保水性建材、高反射性塗料、地中熱ヒートポンプ等複数のヒートアイランド対策技術を組み合わせて一体的に実施する事業に対して補助を行いました。これにより、都市部にクールスポットを創出し、ヒートアイランド現象の緩和等が図られます。

4 光害(ひかりがい)対策等

 光害については、光害対策ガイドライン(平成18年度改訂)、地域照明環境計画策定マニュアル及び光害防止制度に係るガイドブック等を活用して、地方公共団体における良好な照明環境の実現を図る取組を支援しました。また、肉眼や双眼鏡・カメラを使用して星空観察を行う全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)事業(http://www.env.go.jp/kids/star.html)や、良好な大気環境・光環境の保全等を目的とした「星空の街・あおぞらの街」全国大会(長野県松本市)を実施しました。



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