第3節 地域からの循環型社会づくり

1 地域循環圏の構築

(1)地域循環圏の意義

 第1次循環型社会基本計画においては、マクロのフレームで循環型社会の形成に向けた進捗状況を捉える「物質フロー指標」と、各主体の努力の面からこれを捉える「取組指標」を設定し、それぞれについて数値目標を設定しました。計画策定後、進捗状況の点検を毎年度行ってきており、この点検結果等を踏まえ、新たな循環型社会基本計画においても、引き続き、物質フロー指標と取組指標を設定し、さらに補助指標や推移をモニターする指標を導入するなど充実を図っています。これらは国全体としての指標及び数値目標の設定により、循環型社会の形成に向けた取組に明確な動機を与え、その成果を把握するものとなっています。

 循環型社会基本計画では、地域の特性や循環資源の性質等に応じた最適な規模の循環を形成する「地域循環圏」の構築を新たに盛り込みました。これは、廃棄物の適正処理を前提に、温暖化対策や生物多様性の保全などの環境面や、希少性や有用性などの資源面、さらに輸送効率や処理コストなどの経済面の各観点から、循環資源ごとに地域の特性を踏まえて最適な範囲での循環を目指すものです。例えば、一定の地域のみで発生する又は腐敗しやすい等の特徴を持つバイオマス系循環資源はその地域において循環させる、また高度な処理技術を要するものはより広域的な地域で循環させるといったことが考えられます(図4−3−1)。


図4−3−1 地域循環圏について


(2)地域循環圏のイメージ

 循環型社会基本計画では、第2章において、循環型社会形成の中長期的なイメージを示しています。これは、2025年頃までに、持続可能な社会の実現を見据えつつ循環型社会に至る具体的かつ中長期的イメージとして示したものであり、循環型社会形成に必要な各主体の連携・協働を図る上での基礎となるものです。中でもとりわけ重要なものが、地域の特性を活かした循環型社会の実現という視点であろうと考えます。

 この「地域循環圏」の基本的な考え方は、循環資源の性質と地域の特質に応じて、コミュニティ、地域、ブロック圏、全国規模、そして国際的なレベルに至る最適な規模の「地域循環圏」を構築していくことで、よりきめ細かく、効果的な循環型社会の形成を目指すものであり、地域の自立と共生を基本とした「地域再生」の原動力となることも期待されています。

 以下では、第2次循環型社会基本計画に盛り込まれた循環型社会形成の中長期的なイメージのうち、地域循環圏に関するものを紹介します。

 ア コミュニティ

 例えば、コミュニティ・レベルにおいては、不用になったものを近所で融通したりフリーマーケットを通じたりしてリユースし、また故障したものも修理してできるだけ長く使われます。リサイクルプラザ等におけるリユース、リサイクルに加え、住民啓発機能を有する市町村の資源化施設が拠点となって、市民やNGO/NPO等が参加したリサイクル活動が行われ、その活動が広がってコミュニティ・ビジネスの展開が進みます。移動に際しては、自転車が活用されるなど環境負荷の少ない地域社会の形成にも寄与しています。

 イ 農山漁村

 農山漁村においては、間伐材、家畜排せつ物、貝殻、分別収集された生ごみ等が循環資源となり、バイオマス系循環資源として肥飼料等に利用され、これらを利用して生産された農畜水産物等が地域内で消費される地産地消の循環が形成されます。このような地産地消の循環形成など持続的な農林水産業が営まれることなどにより、生物の生息の場としての里地里山などの保全にも寄与します(図4−3−2)。


図4−3−2 農山漁村における循環

 ウ 中小都市

 中小都市においては、都市と農村が近接している場合、都市部から安定的に一定量が排出されるバイオマス系循環資源については、農村部に運搬され肥飼料等として利用され生産された農畜産物が都市部において消費される、都市と農村の循環が形成されたり、地域の特性に応じてエネルギーとして利用することが推進されます。工業系廃棄物等については、近隣に再資源化施設がない場合、物流網を通じて比較的広域に流通し、循環資源として再生利用されます(図4−3−3)。


図4−3−3 中小都市における循環

 エ 大都市

 大都市においては、廃棄物等の発生密度が高いため、大量の廃棄物等が恒常的に排出・収集され、徹底した資源回収、資源化できないものの焼却施設における減量化及びその際の熱回収等が大規模かつ効率的に行われます。例えば、バイオマス循環資源やプラスチックなどについて、一次循環利用の際の残さをさらに再生利用または熱回収するなど、多段階での利用が大規模かつ効率的に徹底されます(図4−3−4)。


図4−3−4 大都市における循環

 オ ブロック圏、全国

 ブロック圏や全国的な規模の循環圏においては、その循環の中心の産業集積地において、生産活動に必要な資源投入量の抑制が徹底されるとともに、リサイクル産業等が集積し、陸運・海運も含め広域的に循環資源が収集され、規模の経済性と集積内での相互連携により効率的な循環資源の利用が進みます。また、動脈産業の技術・インフラ・ノウハウ等を応用し、ゼロエミッションに向けた取組が徹底されます。特に、量的には小さくとも付加価値の高いレアメタル等の循環資源を回収したり、有害廃棄物を無害化したりするなど、独自の技術で循環資源が利用されます(図4−3−5)。


図4−3−5 ブロック圏、全国における循環

 カ 国際的な規模の循環

 国際的な規模の循環圏では、各国の特性を活かした循環資源の利用が推進され、我が国では、他国ではリサイクル困難な、高度なリサイクル技術を要する循環資源が活用されます。各国において、まず国内で循環型社会が形成され、廃棄物の不法な輸出入を防止する取組を充実し、国際移動におけるトレーサビリティ(追跡可能性)が確保され、その上で国際分業体制も踏まえた循環資源の国際移動の円滑化が図られます(図4−3−6)。


図4−3−6 国際的な規模の循環

2 各地域循環圏における資源循環 〜地域再生につながっている例

(1)コミュニティ〜地域における資源循環

 ア 菜の花プロジェクト

 全国各地で、農家と一般市民の連携により「菜の花プロジェクト」が進められています。同プロジェクトでは、転作田などで栽培された菜の花から菜種油を搾取して学校給食や飲食店、一般家庭に提供するとともに、油かすは飼料化、肥料化などにより堆肥として菜の花畑に利用され、また、廃食油を回収して、バイオディーゼル燃料として活用しています。さらに、養蜂との連携、菜の花の観光利用、小中学校などでの環境教育としての利用など、より地域が一体となった取組が進んでいます。こうした資源循環型の地域づくり、エネルギー自立型の地域づくりが全国各地で進んでいます。

 イ 茂木町

 茂木町では、生ごみの分別収集を実施し、森林の落ち葉や間伐材、家畜排せつ物などとあわせて、有機物リサイクルセンター「美土里館」において、たい肥生産への活用を図っています。たい肥化することで、焼却費用の削減・有害物質の抑制を図るのみならず、たい肥を使った土づくりからはじまる農業本来の姿を復活させ、化学肥料や農薬の使用を抑えた「環境保全型農業」を推進し、安全でおいしい農産物の生産に取り組んでいます。こうして生産された農産物を地域で消費する「地産地消体制」を確立し、あわせて、生産した農産物を学校給食に供給するシステムを構築し、子供たちの健康な心・体づくりに取り組んでいます(図4−3−7)。


図4−3−7 茂木町の取組

 ウ 志布志市

 志布志市は、市内に焼却炉がなく全量埋立処分することになるため、28品目にわたる分別収集の徹底によりごみの減量化に取り組み、その結果、埋立処分量の8割削減を達成しています。その際に「衛生自治会」が育成され、「面倒くさいのススメ」ということで住民の協力により分別収集を徹底し、また、生ごみについては「サンサンひまわりプラン」ということで、生ごみからひまわり油をつくり出すというプロジェクトを進めるなど、地域における連携のもと、埋め立てごみゼロへの挑戦をさらに進めています(図4−3−8)。


図4−3−8 志布志市の取組

 エ 愛知県経済農業協同組合連合会(ユニー株式会社、ヒラテ産業有限会社と連名)

 食品小売業者であるユニー(株)は、食品残さの分別の徹底と計量を行い、品質保持のために冷蔵保管した食品廃棄物を再生利用事業者であるヒラテ産業(有)に渡します。ヒラテ産業(有)は、農業者が必要とする良質な完熟堆肥を製造し、JAあいち経済連は農家の窓口となり、リサイクル堆肥の品質管理から農産物の生産・販売までを指導し、このリサイクル堆肥で生産された野菜をユニー(株)が全量購入し、販売する「食品リサイクルループ」が構築されています。

 食品リサイクルループの模範事例であり、信頼性が高く、安定・継続的な取組です(図4−3−9)。


図4−3−9 愛知県農業協同組合連合会


食品のロス率


 食品ロスとは、純食料のうち、食品の廃棄や食べ残されたものをいいます。全国の世帯、外食産業を対象に行われた「食品ロス統計調査(平成18年度・農林水産省)」に基づき、我が国における食品の食べ残しや廃棄の実態(外食産業は食べ残しのみ)を見てみると、世帯における世帯員構成別のロス率は単身世帯で6.4%と、他の2人世帯や3人以上の世帯のロス率(3.5%〜4.0%)と比べて際だって高くなっています。また、外食産業について、業態別に食べ残し量の割合を見ると、食堂・レストランにおける食べ残し量の割合は3.1%であるものの、宴席で酒が伴う「結婚披露宴」が22.5%、「宴会」が15.2%と高くなっており、これらの業態を食品類別にみると「飲料類」が食べ残し量全体の半分以上を占めています。また、食堂・レストランについて、主な調理品別にみると、野菜の漬けものの食べ残し量の割合が11.0%と特に高くなっており、業種別にみると「日本料理店」が43%と最も高くなっています。

 こうした食べ残しを減らすためにはどういったことが可能でしょうか。家庭において、食品の無駄を少なくするために購入の際に気をつけていることについて聞いたところ、「製造年月日が新しいものや賞味期限・消費期限が長いものを選ぶ」と回答した世帯の割合が72.5%と最も高くなりました。もっとも、過度な鮮度志向は食品小売り段階での廃棄の増加につながる可能性もあります。また、食料品消費モニター(全国主要都市に所在する一般消費者)を対象に行われた「食料品消費モニター」(平成17年度第1回・農林水産省)によると、飲食店に対して、食べ残しを出さない適量の食事を取るために何を望むかについては、「メニュー表示や店内表示などで、量が選べることを分かりやすく説明してほしい」が45%と最も高くなりました。世帯食、外食いずれにおいても、食品ロスを低減させるための取組の広がりが望まれます。


 オ 駆除外来魚の有効利用

 滋賀県では、琵琶湖の豊かな生態系等を取り戻すために「琵琶湖ルール」を策定し、その中で外来魚(ブルーギル・ブラックバス)のノーリリースに取り組んでいます。そして、釣り人にノーリリースに協力してもらえるように、琵琶湖一円に外来魚回収ボックスと回収いけすを設置しています。釣り人などから回収いけすに投入された外来魚は、「事業型共同(働)作業所 大中アグリの里」により、回収、堆肥化され、環境こだわり農業として野菜づくりに活かされたり、肥料として販売されており、資源として有効利用されています(図4−3−10)。


図4−3−10 福祉と環境と農業の連携


(2)ブロック、全国、国際的な規模での広域的な資源循環

 コミュニティや地域レベルでの資源循環についての取組を、バイオマス系循環資源を中心に紹介しましたが、循環資源の性質や用途、その処理・利用施設の立地などに応じて、より広域的な資源循環の環が形成されています。

 例えば、千葉県にある建設発生木材の破砕施設からの出荷先についてみると、用途別に出荷先の都道府県が大きく異なっていることが分かります。これを受入側から見た場合も、例えば埼玉県北部のある市の再生利用施設についてみると、重量等の違いにより、がれき類や木くず、廃プラスチックでは移入先の地域の範囲が異なっています(図4−3−11)。


図4−3−11 建設副産物等の循環利用

 また、鉄くずの地域別流通状況をみると、鉄くずを利用する電炉などの施設の設置状況や、経済的諸条件により、発生した鉄くずの大半が各地域ブロックにおいて利用され、補完的に地域間での流通が行われていることが見て取れます(図4−3−12)。


図4−3−12 鉄屑の循環利用

 処理困難あるいは有害な廃棄物からも、高度な技術を用いて有用資源を回収する取組が行われています。こうした循環資源については、処理施設が限られることから、より広域的な循環の環を形成し、徹底した利用を行うことが望ましいと言えます(図4−3−13)。


図4−3−13 廃棄物処理と回収物の例

 ア 秋田県北部

 かつて世界有数の鉱山地域であった秋田県北部地域では、鉱山や製錬所を活用した金属リサイクルが進められています。同地域は、「産業から出るすべての廃棄物を他の分野の原料として活用し、廃棄物をゼロにする」というゼロエミッション構想を基本に、地域の振興を図りながら環境と調和したまちづくりを進めていくためのエコタウン制度の承認を受け、レアメタルを含め、広域的な金属リサイクルの拠点となっています(図4−3−14)。


図4−3−14 秋田県北部エコタウン計画の概要

 また、同地域の民間企業により、バーゼル条約事務局及びアジア各国の協力の下、使用済み携帯電話をアジアから回収し資源回収するプロジェクトの検討が進められています。

 イ 川崎市

 川崎市では、臨海地区において、地域への環境負荷をできるだけ削減し、環境と産業活動が調和した持続可能な社会をめざす「川崎エコタウン」が整備されています。地区内の企業が、生産工程から製品の廃棄時にいたるまであらゆる面で環境負荷要因の削減の努力を行い、さらに、個々の企業の努力に加えて、企業間の連携やリサイクル施設を利用することにより地区内の資源循環を目指しています。川崎エコタウンにおける物質フローをみると、川崎内での循環利用が進んでいることが見て取れます(図4−3−15)。


図4−3−15 川崎市エコタウンにおける物質フロー

 ウ 北九州市

 北九州市では、深刻な公害を克服した経験や、エコタウン事業など循環型社会の形成に向けた取組の経験を活かして、アジア地域での環境協力を進めてきています。国際資源循環の仕組みとして、アジアから廃基板を輸入して国内で高度リサイクルを実施し、日本からは廃プラを輸出するICタグによる追跡実証実験も実施しており、検査・手続、トレーサビリティ情報管理等の認証機能など、エコタウンや港を活用した安全・安心のゲート機能の構築についても検討を進めるなど、国際資源循環の拠点としての取組を進めています(図4−3−16)(表4−3−1)。


図4−3−16 北九州市の取組


表4−3−1 地域における主な取組(中央環境審議会循環型社会計画部会で第1次基本計画策定以降ヒアリングしたもの)

3 より効果的な施策展開に向けて

(1)制度構築と支援施策の有機的実施

 地域循環圏の構築に当たって、最適な循環の範囲は、循環資源の性質により異なります。このため、廃棄物の適正処理を前提に、地球温暖化対策や生物多様性の保全などの環境面や、希少性や有用性などの資源面、さらに輸送効率や処理コストなどの経済面の各観点から、循環資源ごとに、排出実態や必要な処理施設の立地状況など地域の特性を踏まえて最適な循環の範囲の検討を進めていきます。一方、一定の地域のみで発生する又は腐敗しやすい等の特徴を持つバイオマス系循環資源はその地域において、また高度な処理技術を要するものはより広域的な地域で、といったように、最適な循環圏の規模が一定程度明確なものについては、その形成を以下のように進めます。

 バイオマス系循環資源については、コミュニティや地域レベルでの循環を念頭に、新たなバイオマス・ニッポン総合戦略に基づき、市町村が中心となって、「バイオマスタウン」構想の取組が進められています。平成20年4月末現在で、141市町村がこの構想を発表しています。バイオマスタウンとは、域内において、広く地域の関係者の連携の下、バイオマスの発生から利用までが効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築され、安定的かつ適正なバイオマス利活用が行われているか、あるいは今後行われることが見込まれる地域で、地域活性化につながることも期待されます(図4−3−17)。


図4−3−17 バイオマスタウン構想

 また、食品リサイクル法に基づく食品リサイクル・ループの認定など、関係者の連携・協働により大都市、地方都市など地域の特性に応じた、食料やエネルギーなどの地産地消の体制を構築します。また、民間団体や自治体が回収・処理を行う生ごみの肥料化や廃油の飼料化・バイオ燃料化などの再資源化活動を営利的・持続的に行ういわゆる地域コミュニティ・ビジネスの成育を図ります。さらに、家畜排せつ物や、下水汚泥などのバイオマスの有効利用を推進します。

 製品系循環資源や枯渇性資源を含む循環資源については、より広域での循環を念頭に、各種個別リサイクル法や資源有効利用促進法に基づく措置を着実に実施するほか、廃棄物処理法の広域認定・再生利用認定を適切に活用します。産業間連携により、サプライチェーンにおける更なる資源投入の抑制や、広域的な素材利用を進め、多段階での再生利用を図るほか、特に、循環資源に含有される有用資源を適正かつ戦略的に利用できるよう、信頼性の確保を図りつつ、再生利用技術・システムの高度化、回収体制の充実、消費者との連携強化を図ります。


携帯電話の回収の促進


 携帯電話は、軽量化・廉価化・高機能化に伴い、今や加入者が1億人を超え、誰もが利用している機器になりました。携帯電話には、金、銀、銅のほか、パラジウムといったレアメタルが高濃度で、資源の有効活用等の観点から循環的な利用や適正な処分が必要となっています。

 このため、携帯電話・PHS事業者による自主的な回収・リサイクルシステム(モバイル・リサイクル・ネットワーク)が構築されており、リサイクルが進められています。

 もっとも、回収台数は年々減少してきており、平成18年度では、国内出荷台数が約5000万台である一方、回収台数は約660万台程度となっています。この主な要因として、消費者アンケート結果によると、「コレクション・思い出として残す」という割合が最も高いほか、携帯電話以外の機能としての利用価値を維持する回答もあります。他方で、「何となく」という回答が22.0%あり、昨年度よりは減ったものの、積極的な理由がなく保有している状況も伺えます。また、「どのように処分したらいいかかわらない」(9.9%)、「ショップに持ち込むのが面倒」(5.9%)の比率も高く、消費者への回収体制の周知徹底や一層の強化が望まれます。


携帯電話・PHSに含有される有用金属の含有状況


携帯電話の回収台数と重量の変化


回収台数減少の要因


 こうした広域的な地域循環圏について、エコタウンの活用が期待されます。エコタウンは、「ゼロ・エミッション構想」(ある産業から出るすべての廃棄物を新たに他の分野の原料として活用し、あらゆる廃棄物をゼロにすることを目指す構想)を地域の環境調和型経済社会形成のための基本構想として位置づけ、併せて、地域振興の基軸として推進することにより、先進的な環境調和型のまちづくりを推進することを目的として、平成9年度に創設された制度で、現在26のエコタウンが承認されています。広域的な地域循環の核となることが期待されます。

 また、中長距離の循環資源の物流について、鉄道や海運を積極的に活用するなど環境負荷の低い静脈物流システムを目指します。特に、リサイクルポートの推進による海上輸送の円滑化等を図ります(図4−3−18)。


図4−3−18 リサイクルポート

 また、これらの大前提として、廃棄物の適正処理など、循環資源の適正な利用・処分の確保、生活環境の保全を図ります。さらに、地域によって循環資源の量、施設規模、再生品等の需要が均衡しないことも考えられるため、適切な情報に基づく地域間連携を図ります。


(2)技術・システムの高度化

 先にみたような地域循環圏の構築には、それを支える技術の存在が不可欠です。3Rに関する技術・システムを高度化し、製品ライフサイクル全体や、サプライチェーン全体について3Rを目指す取組が進むことで、地域循環圏の構築に寄与します。このため、製品ライフサイクル、サプライチェーンの観点からの3Rの技術・システムの研究開発、実用化、ビジネスモデルの開発及び事業化を積極的に推進していく必要があります。

 ものづくりの段階においては、有害性や、レアメタル等の希少性の高さといった観点からの優先順位を考慮し、製品の機能・特質に応じて、DfE製品の設計・製造の技術・システムの高度化を推進していくことが重要です。

 製品が廃棄・使用済みとなり循環的利用及び適正処分される段階においては、製品リユース・部品リユース、材料リサイクル、原料リサイクル、エネルギー回収・利用及び適正処分が階層的に実施されるようにすることが求められます。

 このようなリユース、リサイクル、エネルギー回収・利用及び処分の各段階の取組に加え、循環的利用及び処分に伴う環境への負荷を低減する観点から技術・システムの高度化を進めることが重要です。また、再生可能なバイオマスを利活用する技術・システムの高度化を戦略的に進めることも重要です。

 さらに、上記の3Rの技術・システムの効果を評価する技術及び個々の技術・システムと社会システムを統合し3R型の生産・消費システムを実践するための設計技術の開発を戦略的に推進します(表4−3−2)。


表4−3−2 循環型社会を支える主な技術


(3)共通的基盤の整備

 循環資源に共通した基盤を整備する施策を推進します。例えば、循環型の地域づくりの核となる地方自治体、NPOや事業者の優れた取組の共有と全国への普及を目指し、地域における循環型社会に資するモデル的な事業や循環型地域ビジョンづくりの支援を行います。また、従来の廃棄物処理施設整備補助金にかえて、平成17年度から、循環型社会形成推進交付金を用いて市町村の自主性と創意工夫を活かしながら、一般廃棄物処理施設の整備によって廃棄物から資源とエネルギーを効率的に回収するシステムづくりを支援していますが、さらに、地域の廃棄物系バイオマスの利活用を図る施設整備に対して積極的に財政支援を行う等、地域循環圏の形成に係る事業の支援を進めます。

 循環型社会推進の担い手である人材については、その質的・量的充実を図ります。具体的には、事業者、大学、研究機関、国、地方公共団体、NGO/NPOなどの産学官民において、人材交流や情報交換などを促進します。特に、大学等における若手研究者の育成、大学・産業における技術の伝承、NGO/NPOなどでの人材交流によるコーディネーターの育成等を推進します。さらに、国及び地方公共団体の職員、環境教育・環境学習に携わる教員を始めとする指導者に対する研修制度などの充実により、その資質の向上を図ります。

 また、第2節でみたように、地域循環圏の構築には、各主体が相互の連携・協働(つながり力)を通じて、各々の役割を積極的に果たしていくことが必要不可欠です。連携強化に向けて、特に、地方公共団体は、地域の循環型社会形成を推進していく上で中核としての役割を担っており、産業の垣根を越えた事業者間の協力も含め、各主体間のコーディネーターとして連携の場の提供など重要な役割を果たすことが期待されます。特に、都道府県は、広域的な観点から、市町村や関係主体の取組をリードしつつ、調整機能を果たすことが、市町村は、地域単位での循環システムの構築等、住民の生活に密着した基礎的自治体としての役割を果たすことが求められ、さらに相互に緊密に連携して協力していくことが求められます。

 各主体の取組の基礎となる情報については、我が国の物質フローの状況や、廃棄物等の種類に応じた発生量とその循環的な利用及び処分の状況、将来の見通し、廃棄物等の素材・組成・設計等の技術データ、廃棄物等の利用・処分の環境影響等について、正確な情報を迅速に把握できるよう、速やかに統計情報の点検・整備を行うことが重要です。



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