第2節 循環型社会を支える技術

循環型を目指す我が国の社会は、様々な技術に支えられています。時代によって我が国の社会経済活動の様相も異なり、消費される天然資源や製品、サービス活動の量と種類も変化してきました。これらの結果として、排出される廃棄物の量と質も変わってきました。こうした変化に対応して、製品の製造工程や廃棄物の処理過程において、衛生的な処理や有害物質の除去、資源・エネルギーの節約を図る様々な技術が発達してきました(図4-2-1)。


図4-2-1廃棄物処理・3Rの進展


第2節では、我が国の循環型社会を支える技術として、公衆衛生の向上を図る廃棄物関連技術、私たちの健康と生態系への影響を低減する有害物質対策技術、廃棄物のリデュース・リユース・リサイクルを可能とする3R関連技術、さらに主要な金属に着目した資源循環に関連する技術を取り上げ、これらの技術の概要を見ていきます。これらの技術の中には、他の先進国から導入されたものもありますが、そうした技術の中にも日本独自の工夫が加えられて今日に至っているもの、あるいは日本独自の技術が多くあります。こうした日本発の技術は、特にアジア地域における廃棄物の適正処理や3Rの推進に大きく貢献できる可能性があります。例えば、我が国では、高温多湿な夏季の気候と廃棄物の衛生的かつ迅速な処理を考慮して、焼却処理が推進されてきました。このような日本の技術や経験は、同じように高温多湿な気候を持つアジア各国とも共有することができます。

1 衛生面の向上

廃棄物の処理は、衛生的で快適な生活環境の保持を第一義的な目的としてきました。昭和29年に制定された「清掃法」は、「汚物を衛生的に処理し、生活環境を清潔にすることにより、公衆衛生の向上を図ることを目的とする」ことを規定しています。衛生的な廃棄物の処理は、我が国における衛生面での向上に貢献してきました。例えば、廃棄物の衛生的な処理は蚊やハエの大量な発生を防ぎ、生ものを食する我が国の生活を可能にしてきた要因の一つであると考えられます。
そして、経済成長と共に事業活動に伴って排出される廃棄物、例えば廃油の不法投棄による水域の汚染等が問題になり始め、昭和45年に清掃法が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)に改正されました。現在の廃棄物処理法は、その目的を「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること」(第1条)としています。「廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理」とは、廃棄物の適正な処理を明示したもので(図4-2-2)、廃棄物を衛生的に処理することに加えて、それを環境に過大な負荷を与えないように処理することまでを含んでいます。この廃棄物処理の各段階において、衛生面の向上や環境保全のために様々な技術が活躍しています。

図4-2-2廃棄物処理の流れ



(1)し尿処理技術
人間の排泄物であるし尿の処理は、廃棄物処理の原点です。稲作中心の農業が発達している我が国においては、古くから、都市部で発生したし尿が近郊の農村で肥料として使用されるという衛生的なリサイクル体系が存在していました。しかし、昭和30年代以降、都市化により、近郊農村との人口バランスが崩れるとともに、化学肥料が普及したことや水洗化の要求が高まったことと相俟って、し尿処理施設や大都市を中心として下水道の整備が急速に進められていきました。
昭和40年代以降、財政的にも時間的にも下水道の整備が追いつかなかったことから、一般家庭向けの単独処理浄化槽(し尿のみを処理)が広く普及することとなりました。
昭和58年、浄化槽の製造から施工、維持管理に至る各段階の規制を定めた浄化槽法が制定され、浄化槽の整備が進められました。その後、水質汚濁の主要な原因の一つである生活排水への対策の強化が急務となり、浄化槽の大半を占める単独処理浄化槽が問題視されるようになりました。そのため、平成12年に浄化槽法が改正され、合併処理浄化槽(し尿と生活雑排水を処理)のみを浄化槽として規定するとともに、単独処理浄化槽の新設を原則禁止することとなりました(図4-2-3)。

図4-2-3し尿処理の変遷


平成17年度末における浄化槽(合併処理浄化槽)の普及人口は、1,093万人であり、平成16年度末の普及人口と比較して31万人、率にして2.9%増加しています。さらに、浄化槽普及人口の総人口に対する割合(普及率)は、8.6%であり、平成16年度末の普及率(8.4%)と比較して0.2%増加しました。
下水道が欧州から輸入された排水処理システムであるのに比べ、浄化槽は日本のし尿処理の歴史を踏襲した日本独自の生活排水処理システムです。浄化槽は汚水をその場で処理することで、汚水中の有機汚濁物を、無機化しながら微生物を主とする浄化槽汚泥に変換し、この汚泥を処理水と分離して処理する技術です。浄化槽(合併処理浄化槽)は他の汚水処理施設と比べても遜色のない処理が可能であり、一般家庭向けのものは自動車一台程度の広さがあれば設置でき、人口の少ない地域でより効率的な整備ができるなどの特徴をもち、我が国では既に下水道と共に生活排水対策の柱として重要な役割を担っています。また、浄化槽は、その場で生活排水を処理し排水することから、設置後においても水路等に大きな水量の変化を与えず、環境保全上健全な水循環の構築に寄与することができます。
水洗化されていない家庭から収集されるし尿や、浄化槽から定期的に回収される汚泥は、し尿処理施設等において衛生的に処理されています。し尿処理施設では、有機物のほか、閉鎖性海域の富栄養化の原因となる窒素やリン、病原性微生物等の高度除去が行われるとともに、近年では汚泥等の再資源化施設が併設されているものもあります。

コラム 浄化槽による生活排水の処理

浄化槽とは、「し尿及びこれと併せて雑排水を処理し、公共下水道以外に放流するための設備又は施設」(浄化槽法第2条第1号)です。仕組みは下水処理場とほぼ同じで、各家屋ごとに設置する処理施設です。浄化槽は処理水をその場で散水等により利用することが可能、汚泥中の重金属の含有量が少ないことから再利用がしやすい、処理水が河川等の水域に流れ込む間に自然に浄化され二重の浄化作用を持つなどの特徴があります。

浄化槽(嫌気ろ床接触ばっ気方式)の断面図



(2)収集・運搬技術
廃棄物の収集は、各家庭の生活空間を清潔に保ち、生活環境の保全を図る上で重要です。各家庭や工場・事業所では、生活や事業活動から発生した廃棄物を、燃えるごみと燃えないごみや産業廃棄物の種類に沿って分別します。その後、分別された廃棄物は市町村によって収集される、または自らが適正な処理のために運搬するか、許可を有する収集・運搬業者に収集・運搬を委託することになります。こうした廃棄物の収集・運搬においても、廃棄物が飛散したり流出したりすることなく、効率的に収集・運搬されるよう様々な技術が用いられています。
我が国では、家庭ごみの収集では、安全で衛生的な作業の確保や、迅速で効率のよい収集作業を実現するため、一般に機械式収集車(パッカー車)が主流となっています。パッカー車は投入されたごみを機械力で車内の貯留部に押し込む構造になっています。また、粗大ごみや中継施設へのごみの運搬にはダンプ車、クレーン付き車両など様々な車両が使用されています。
収集された家庭ごみは、焼却施設などの中間処理施設に直接運ばれるか、処理施設への距離が遠い場合には中継施設に運ばれ大型の車両に積み替えられます。廃棄物を車両で収集・運搬する以外に、空気の力を利用して廃棄物をパイプラインで運搬する技術もありますが、分別運搬が困難であることから、あまり利用されていないのが現状です。
途上国では、道路幅員が収集車が入れるほど十分でないことや人件費が比較的安いなどの理由により、人力による収集が現在も行われている地域があります。

写真機械式収集車



コラム 途上国への中古機材の供与

廃棄物の収集・運搬は、廃棄物処理の第一歩ですが、途上国では、廃棄物の発生量の増加に対応しきれずに、排出・投棄された廃棄物が道端や街角に放置される状況が見られます。このため、日本の市町村で利用された廃棄物収集車でまだ十分利用可能な中古車を、収集車が必要な途上国に移転する取組が行われています。これまでに、大阪市の中古車両10台がリサイクル草の根無償資金協力によりカンボジア・プノンペン市に提供された例などがあります。中古車供与だけでも十分有効ですが、これに車両整備や収集改善の技術移転を併せて行うことで、国際協力がより効果的に進展すると考えられます。

写真プノンペンの中古車両



(3)焼却技術等の中間処理技術
収集・運搬された廃棄物は、埋立などの最終処分や有効利用に適するように、焼却、堆肥化、破砕、圧縮などの中間処理が行われます。これらの中間処理により、廃棄物の減量化・安定化・無害化が図られます。
中間処理のうち、我が国で最も一般的なものが焼却処理です。焼却処理は、減量化効果が高いことや病原菌等の滅菌効果が高いことなどから、国土が狭いために最終処分場の確保が難しく、また夏季に高温・多湿となる我が国に適した処理方法といえます。焼却することによって、元のごみと比べると重量で約10分の1、体積で約20分の1に減量されるとも言われています。平成17年度において、一般廃棄物の排出量は約5,300万トンであり、そのうち約80%が焼却処理されています。
廃棄物の発生量や質、求められる環境保全対策などが変化してきたため、これらに対応して、廃棄物処理の中心である焼却技術も発展してきました。特に、我が国の家庭ごみは水分を多く含むため、その完全燃焼には高度な技術が必要となります。様々な課題を克服し、今日では日本の焼却技術は世界でも最高のレベルにあります。
廃棄物処理法の施行規則では、一般廃棄物の焼却施設の構造基準として、燃焼ガス温度を800℃以上にして焼却することや、集じん室に流入するガスの温度を200℃以下とすること、排ガス処理設備を設けることなどを規定しています。焼却処理施設には、運転形態で分けると、運転時間が1日8時間稼働の「バッチ炉」、16時間稼働の「准連続炉」、24時間稼働の「全連続炉」の3タイプがあります(図4-2-5)。また、炉の形式で分けると、ストーカと呼ばれる金属製の火格子を機械的に動かして、ごみの移送、撹拌を行い、火格子の下から空気を送ることによりごみを燃やす「ストーカ式焼却炉」(図4-2-4)、高温の砂の層に空気を吹き込んで流動させ、その中にごみを投入して燃やす「流動床式焼却炉」、火格子がなく、平らなくぼみを持った耐火材で構成された床の上で燃焼が行われる「固定床炉」、内部を耐火物で覆った横置円筒状の焼却炉が回転し、その中でごみを乾燥して燃やす「回転式焼却炉(ロータリーキルン)」の4つのタイプに大別されます。
バッチ炉は、一般に1日50トン程度以下の処理能力の小規模な施設が多く、これに対して、1日当たり150トンから200トンを処理する必要のある都市では、24時間運転する全連続炉を設置しています。また、連続して燃やすことにより、安定した余熱利用が可能となり、1日300トン以上の施設はほとんどがボイラーを設置して発電を行っています。

図4-2-4ストーカ式ごみ焼却炉の例



図4-2-5ごみ焼却施設の炉型別施設数の推移


平成16年度末で全国の一般廃棄物の焼却施設数は1,374施設であり、ダイオキシン類対策等によるごみの広域処理の推進により、全体の施設数が減少している一方で、全連続式の施設が増加しています。また、タイプ別に見ると、ストーカ式焼却炉が7割以上を占めています(図4-2-6)。

図4-2-6ごみ焼却施設の処理方式別施設数の推移

廃棄物の焼却は、排出ガス中の有害物質対策、特にダイオキシン類の対策、及び焼却施設からの熱回収(サーマルリサイクル)と密接な関係があります。これらについては、後に詳しく説明しますが(参照:ダイオキシン類の削減の図4-2-17)、余熱利用の状況の図(図4-2-45)、こうした社会の要請を背景として、近年導入が進んでいるのがガス化溶融炉です。ガス化溶融炉(図4-2-7)は、ガス化炉で廃棄物を熱分解してガスと炭化物を生成し、これらを溶融炉で高温燃焼させて灰分を溶融し排ガスとスラグにするものです。ガス化溶融炉は、高温完全燃焼によりダイオキシンの発生が抑制されること、廃棄物の保有熱量を有効に利用して灰の溶融固化を行うことで、灰は無害化され、溶融スラグの有効利用が図られること、燃焼に必要な空気量が少なくて済むことから排ガス量が少なく高効率の熱回収が可能となることなどの特徴があります。ガス化溶融技術は、当初は海外から技術導入したものの、国内で工夫が施されて進化した技術と言われています。平成16年度末で全国の54施設でガス化溶融炉及びガス化改質炉が導入されており、年々増加しています(図4-2-10)。

図4-2-7ガス化溶融炉基本フロー



図4-2-10ごみ焼却施設の種類別施設数の推移

ガス化溶融炉には、キルン式、流動床式、シャフト炉式の3種類があります。キルン式ガス化溶融炉は、外熱キルン式分解炉と燃焼溶融炉により構成され、酸素の供給を絶って間接的に加熱し熱分解を行う方法です。ごみは効率よく熱分解が行われるように150mm以下に破砕され、ごみ質の安定化を図るために事前に直接気流乾燥を行って、熱分解キルンに供給され、間接加熱され1〜2時間かけてゆっくり乾燥・熱分解が行われます。キルン内が酸素供給のない還元状態であるため、未燃物中の鉄やアルミニウムはリサイクルに適した状態で回収されます。
流動床式ガス化溶融炉は、流動床ガス化炉に投入されたごみの一部を流動砂とともに燃焼させ部分酸化を行い、その燃焼熱を利用して熱分解を行う方法です。流動床ガス化炉では500〜600度と比較的低温でまた極低空気比でごみの乾燥・熱分解ガス化がゆっくり行われます(図4-2-8)。

図4-2-8流動床式ガス化溶融炉の例


シャフト炉式ガス化溶融炉は、熱分解ガス化と溶融を一体化して行うもので、炉内は上方から下方に向かって乾燥・熱分解ガス化域と燃焼溶融域から構成されています。廃棄物は、ガス化溶融炉内で乾燥・熱分解ガス化され、残りの灰分と不燃物が下部の燃焼溶融域で溶融スラグ化されます(図4-2-9)。

図4-2-9シャフト炉式ガス化溶融炉の例


ガス化溶融炉に類似の技術としてガス化改質炉があります。これは、熱分解により精製されたガスを1200℃ほどの高温で2秒以上保持してタール分を分解することにより高カロリーのガスに改質し、これを70℃まで急冷することでダイオキシンの再合成を防止し、得られたガスを精製して発電用や工業用などの用途に活用するものです。
焼却技術の他の中間処理技術としては、粗大ごみを破砕し磁力やふるいなどを用いて可燃物、鉄、アルミニウムなどに分類する技術や、汚泥を減量化・安定化させるための脱水技術などがあります。

(4)最終処分技術
廃棄物の中間処理を行った後の残さについては、最終処分場で処分されます。最終処分場では、処分される廃棄物の種類によって、産業廃棄物の場合、遮断型最終処分場、安定型最終処分場及び管理型最終処分場の三種類が定められており、その構造の安定化や高度化、浸出水の処理などに様々な技術が用いられています。
遮断型最終処分場では、金属等の有害物を含む産業廃棄物の中で、法で定められた基準に適合しない産業廃棄物等を処分します。遮断型最終処分場は有害物を自然から隔離するために厚さ35センチメートル以上の鉄筋コンクリートで周囲を囲って廃棄物と環境を完全に遮断するものであり、さらに埋立処分中は雨水流入防止を目的として、覆い(屋根等)や雨水排除施設(開渠)が設けられています(図4-2-11)。

図4-2-11遮断型最終処分場


安定型最終処分場では、有害物や有機物等が付着していない廃プラスチック類、金属くず、ガラスくずやがれき類等の分解しない産業廃棄物を埋立処分します。廃プラスチック類等の産業廃棄物は、水分を保有せず、分解しない産業廃棄物ですので、保有水やメタンガス等が発生せず、周辺環境を汚染しないため、処分場の内部と外部を遮断する遮水工や、浸透水(埋立地内に浸透した地表水)の集排水施設とその処理施設を必要としません(図4-2-12)。

図4-2-12安定型最終処分場


管理型最終処分場では、遮断型でしか処分できない又は安定型で処分できる産業廃棄物以外のものが埋立処分され、その分解や金属等の溶出に伴い、保有水(埋め立てられた廃棄物が保有する水分及び埋立地内に浸透した地表水)やガスが発生します。保有水による地下水汚染を防止するために、遮水シートなどの遮水工によって埋立地内部と外部を遮断しています。また、処分場内で発生した保有水を集排水管で集水し、処理施設で処理後、放流されています。
ごみの焼却残さなどを埋め立てることが多い一般廃棄物の埋立処分においても、この管理型最終処分場に相当する処分場が設置されることが一般的です(図4-2-13)。

図4-2-13管理型最終処分場



写真都城市クリーンコア

近年、埋め立てた廃棄物による周辺環境汚染を防止し、最終処分場の信頼性を向上すべく、より高度な遮水工等や貯留機能などの技術開発が進められています。その一例として、屋根付きの最終処分場は、浸出水の発生を抑制できるとともに、臭気の拡散や廃棄物の飛散など、周辺環境への影響を回避することが可能となります。また、遮水シートの電気的漏水検知システムも開発されています。これは、遮水シート付近に張り巡らされた電極が漏水を検知し、管理棟に漏水したことを知らせるシステムです。このシステムにより、万一、遮水シートの破損があった際に、地下水汚染等の周辺環境への影響を未然に回避することが可能となります。
このほか、既に廃棄物最終処分場に埋立てられた廃棄物を掘り返し、資源化施設等の受入条件(例:粒径、物性等)に合致するように選別・搬出することにより、埋立空間を再確保し、廃棄物最終処分場の再生を図る技術の開発も進められています。

(5)廃棄物の流れを透明化する技術
廃棄物処理の現場では、この他にも様々な技術が活躍しています。その中で、廃棄物の流れを的確に把握・管理することにより透明化する技術は、不法投棄防止の観点から有効です。こうした技術の代表例として、電子技術を利用した電子マニフェストがあります。
マニフェスト制度は、産業廃棄物の流通の状況を排出事業者が的確に把握・管理することを目的に創設された制度です。排出事業者が産業廃棄物を収集運搬業者に委託する際や、収集運搬業者が処分業者に産業廃棄物を渡す際などに、産業廃棄物の種類や数量、排出事業者名、収集運搬業者名、処分業者名を記載した管理票(マニフェスト)に収集運搬業者の受領印、運搬終了の確認、処分業者の受領印、処分終了の確認等をそれぞれ記載し、その管理票の写しを排出事業者等に回付するというシステムです。廃棄物処理法の改正により、平成5年4月から特別管理産業廃棄物に対して、平成10年12月からは全ての産業廃棄物について委託処理時の使用が義務付けられています。
平成9年の廃棄物処理法の改正により従来の紙のマニフェストに加え電子マニフェストの仕組みが導入されました。電子マニフェストは排出事業者や処理業者の情報管理の合理化に資するとともに、ネットワーク上にデータが保持されるため、不法投棄関係者によるマニフェストの隠滅もできなくなります。電子マニフェストの登録件数は平成19年3月末時点で加入者数は7,784で紙マニフェストに対する電子マニフェストの利用割合は低くとどまっており、利用の促進が必要となっています。
電子マニフェストの普及目標として、平成22年度には50%とすることが、政府の「IT新改革戦略」(平成18年1月IT戦略本部)において決定されており、これに向けて平成18年度より、排出事業者、処理業者、行政を対象に普及啓発活動を行っています(表4-2-1、図4-2-14)。

表4-2-1電子マニフェストの加入・登録状況



図4-2-14電子マニフェスト制度

また、医療廃棄物の不法投棄を防止するため、現在、ICタグを医療廃棄物の容器へ貼ることにより、処理を委託した医療廃棄物の所在や、処理がされたかどうかをリアルタイムで確認することができる医療廃棄物のトレーサビリティの実証試験が、東京都、東京都医師会、製薬業界、産業廃棄物処理業者の参加により行われています。このシステムは、ICタグに必要なデータを記録しそれをリーダで読みとりパソコンで処理を行うものです。GPS、電子マニフェストとの連動でデータを有効に処理することにより、紙マニフェストによる状況把握では今まで1〜2ヶ月必要であったものが、数日で状況を把握できるようになります。

2 有害物質対策

廃棄物中に有害物質が含まれていたり、廃棄物処理の過程で意図せずに有害物質が生成され二次公害を起こすことがあります。このため、廃棄物処理において廃棄物中の有害物質を除去し、また処理過程からの二次公害を防ぐことが必要です。こうした有害物質対策には、各々の有害物質に対応した技術が必要となります。
我が国では、廃棄物中の有害物質対策として、平成3年の廃棄物処理法改正により、特別管理廃棄物という区分を設け、より厳しい規制を行っています。特別管理廃棄物としては、廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものが指定されています。具体的には、特別管理一般廃棄物として、廃家電製品中のPCB使用部品、都市ごみ焼却施設で発生するばいじん、医療機関から排出される感染性廃棄物が指定されており、特別管理産業廃棄物として廃PCB等やPCB汚染物、廃アスベストのほか、水銀など有害物質の濃度が判定基準を超えるものなどが指定されています。
ここでは、廃棄物中に含まれる代表的な有害物質として水銀、PCB、アスベスト、廃棄物処理工程から排出される二次公害物質としてダイオキシン類、そして感染性廃棄物を取り上げ、これらの対策技術を紹介します。このほかにも焼却施設で発生する硫黄酸化物や窒素酸化物等を対象とした排ガス対策や、焼却施設や埋立地の排水処理が、様々な技術を用いて行われており、廃棄物処理システムからの二次公害を防止しています。こうした二次公害の防止は、廃棄物処理施設の立地が地域に受け入れられるためにも、徹底する必要があります。

(1)水銀
昭和58年、東京都公害防止研究所は、水銀を含む乾電池が使用済みとなった後、ごみとして廃棄され、焼却・埋立処分される過程で環境汚染のおそれがあるとの調査結果を発表し、大きな社会問題となりました。こうした問題への対応として、平成3年4月からマンガン電池について、平成4年1月からはアルカリ電池について、それぞれ水銀の使用が中止されるなど、現在、国内で流通している電池の水銀は大幅に削減されています。
また、蛍光管は、照明器具として広く利用され、国内生産量は年間約4億本とも言われていますが、蛍光灯の発光は水銀蒸気中に電流を流したときに起こる放電現象を利用しているため、蛍光灯には微量の水銀が封入使用されています。
こうした乾電池や蛍光灯が使用後に廃棄物となった際に、水銀が環境中に拡散しないよう乾電池や蛍光灯の回収・リサイクルが行われています。多くの市区町村は(社)全国都市清掃会議の「使用済み乾電池等広域回収処理連絡会」に参加し、分別収集した使用済み乾電池及び蛍光管を共同して回収し、処理業者に委託し、処理・処分(水銀回収・再資源化)しています。平成17年度には、使用済みの蛍光灯5000トンから200kgの水銀が回収されました(表4-2-2参照)。

表4-2-2廃蛍光管回収量と水銀回収量の推移


使用済蛍光管は、処理工程において水銀が環境中に飛散することがないように破砕され、ガラス部分と口金部分のアルミ部分、蛍光体及び水銀を含有するスラッジ(汚泥)に分離されます。ガラス部分・アルミ部分は有価物としてリサイクルされ、水銀を含むスラッジは熱処理により水銀を回収後、精製され、金属水銀及び水銀化合物として再び蛍光灯の材料などにリサイクルされています(図4-2-15)。

図4-2-15廃乾電池と廃蛍光灯のリサイクル処理フロー

コラム 製品中の有害物質含有の低減と透明化

廃棄物中に含まれる有害物質を除去し環境汚染を防ぐことは、廃棄物処理の主要な役割ですが、より望ましいことは廃棄物処理施設に持ち込まれる廃棄物中の有害物質や二次汚染の原因となる物質をできるだけ低減することです。すなわち、製品を製造する段階にまでさかのぼって有害物質を抑制することが社会全体での有害物質低減の観点から効果的です。
こうした予防的な観点から、欧州連合(EU)は、平成18年7月にRoHS指令を施行しました。RoHSとは、Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipmentの略で、電気電子機器への特定有害物質の含有を制限するものです。特定有害物質として対象となっているのは、Pb(鉛)、Cd(カドミウム)、Cr(VI)(6価クロム)、Hg(水銀)、PBB(ポリブロモビフェニル)、PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル)の6物質であり、6種類の有害物質を基準以上に含有した製品はEU域内では例外的な場合を除いて販売できないこととなります。
我が国では、含有製品の適切なリサイクルを促進する観点から、製品に含有されることにより再生資源の品質低下やリサイクル工程を阻害するおそれのある物質の管理を行うこと、表示等による情報提供を行うこと等の取組を行っています。具体的には、資源有効利用促進法に基づき、平成18年7月から該当製品について製品中の特定化学物質の管理と、J-Moss(JIS C0950 特定の化学物質の含有表示方法の規格)に基づく方法による表示等の情報提供措置が義務づけられました。RoHS指令では基準に違反する製品の販売が規制されるのに対し、資源有効利用促進法では、当該製品が基準値を超えた特定の化学物質(RoHS指令と同一の物質)を含有する場合、特定化学物質の含有を示すマーク(オレンジ色の含有マーク)の表示及びウエブサイトを通じた情報提供が義務付けられます。また、RoHS指令では適用範囲が原則としてすべての電気・電子機器に及ぶのに対し、資源有効利用促進法ではエアコン、冷蔵庫など7製品のみが対象となっています。

特定化学物質の含有マーク




(2)ダイオキシン類
ダイオキシン類は、ものの焼却の過程等で自然に生成される副生成物であり、廃棄物焼却時に生成されるダイオキシン類に対して、これまで様々な取組がなされてきました(図4-2-16)。

図4-2-16ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)の化学構造

ダイオキシン類対策として、国は平成2年に「ごみ焼却施設に係るダイオキシン類発生防止ガイドライン」(旧ガイドライン)を策定し、平成9年にはこれを改訂して新ガイドラインを策定しました。これらに沿ってごみ焼却施設の対策が講じられてきました。平成11年には、「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立し、ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等のため、ダイオキシン類に関する施策の基本とするべき環境基準を定め、排ガスや排水などの必要な規制、汚染土壌に係る措置が規定されました。例えば、廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシン類の排出基準として、0.1ng-TEQ/m3N(焼却炉の能力が4t/h以上)が規定されました。これらの規制を満たすべく様々な取組が行われ、廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量は平成15年には平成9年に比べて約98%減少しました(図4-2-17)。

図4-2-17廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量の推移

コラム ダイオキシン類発生削減と廃棄物発電の両立

廃棄物焼却施設からのダイオキシン類の排出削減が求められる一方で、温室効果ガスであるCO2の排出削減対策として廃棄物発電の導入・拡大が要請され、電力会社による廃棄物発電からの余剰電力の購入や、RPS制度(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)の導入といった措置も講じられています。
廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類対策としては、燃焼温度の高度化や滞留時間の確保に加え、300℃域の急冷化等が求められます。このため、発電を行う際に必要なボイラーによる排ガスの緩冷却がダイオキシン類の再合成を引き起こすのではないかと懸念されましたが、後流への活性炭吹込みや触媒反応塔の設置等により、こうした問題は解決され、ダイオキシン類の発生抑制と高効率発電が両立されています。
これらの取組により、全国のごみ焼却施設から排出されたダイオキシン類は、平成16年には平成9年比で98%以上削減されるとともに、廃棄物発電量は2.2倍になっています。この技術開発は、都市ごみの処理の多くを焼却している我が国の廃棄物処理・3R技術の中核となるものであり、国際的に関心が寄せられています。

ダイオキシン類の大幅削減を実現したのは、制度面での整備に対応した、優れた技術の開発・導入です。ダイオキシン類は、燃焼過程で未燃物として残った炭素化合物と塩素が反応して発生すると考えられており、その抑制のためには燃焼温度を800℃以上とし、できるだけ完全燃焼に近づける必要があります。先述の新ガイドラインでは、新設炉については850℃以上の燃焼温度で2秒以上の滞留を技術指針としています。これに対応するために、高温燃焼を長く保つ全連続炉の導入がダイオキシン類の発生抑制を目的として促進されてきました。また、ダイオキシン類は飛灰中の銅などが触媒となって300℃程度の温度域で生成されることから、焼却炉から排出された800℃以上のガスを200℃以下にまで急冷しバグフィルターを用いて集じんする方法が適用されています。さらに、バグフィルターの入り口で粉末の活性炭を吹き込みダイオキシンを活性炭の表面に吸着する技術や、集じん後の排ガスを粒状の活性炭の充填塔に通しダイオキシン類を吸着する技術も導入されています。このほか、焼却過程で発生するばいじん(飛灰と煤)についても、ダイオキシン類の基準(3ng-TEQ/g以下)が設けられており、これを達成するために飛灰を酸素欠乏状態下で350〜450℃に加熱しダイオキシン類を熱分解する技術が導入されています。

(3)PCB
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は工業的に合成された化合物で、熱で分解しにくい、電気絶縁性が高い、化学的に安定である等の性質から、高圧トランスや高圧コンデンサ、安定器といった電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体等として使用されてきました(図4-2-18)。しかし、昭和43年のカネミ油症事件により人体に対する毒性が明らかになり、昭和49年以降製造・輸入・使用が禁止されました。その後、昭和51年には、高温焼却による処理基準が設定されたものの、住民反対等により一部を除いて処理が進まず、30年以上にわたり国内の事業者のもとでPCB廃棄物の保管が続けられていました。こうした負の遺産ともいえるPCB廃棄物は、長期保管のため紛失や漏洩が発生し、環境汚染が懸念されていました。
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図4-2-18ポリ塩化ビフェニル(PCB)の化学構造


また、国際的にも有機汚染物質に対する取組が進み、平成16年5月には「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が発効しました(我が国は平成14年8月に締結)。この条約では、PCBに関し、2025年(平成37年)までの使用中止、2028年(平成40年)までの適正な処分を求めています。
このような状況に対応するために、平成13年に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)」が制定され、事業者は、そのPCB廃棄物を平成28年までに処分しなければならないことなどが定められました。このため、日本環境安全事業株式会社を活用したPCB廃棄物の拠点的広域処理施設の整備を進めているところです。PCBの安全・確実な処理技術としては、高温焼却のほか、5つの方法(脱塩素化分解、水熱酸化分解、還元熱化学分解、光分解、プラズマ分解)が定められています(表4-2-3)。

表4-2-3PCB処理方法

全国に先駆けて平成16年12月より稼動した日本環境安全事業株式会社の北九州PCB廃棄物処理施設(第1期)では、岡山以西の高圧トランスおよび高圧コンデンサ等の電気機器を処理対象物とし、脱塩素化分解方式によるPCB分解と、その前処理としてトランス等からPCBを除去する溶剤洗浄及び真空加熱分離を行っています。また、こうした設備は、運転時の環境安全対策や異常時への的確な対応、周辺環境のモニタリングなどが十分に施され、安全にも配慮されています(図4-2-19、表4-2-4、図4-2-20)。

図4-2-19日本環境安全事業(株)北九州PCB廃棄物処理施設における処理工程図

表4-2-4PCB廃棄物の処理計画

図4-2-20PCB廃棄物の拠点的な広域処理施設整備の進捗状況

また、近年PCBを使用していないとするトランス等の中に、微量のPCBに汚染された絶縁油を含む電気機器が大量に存在することが判明し、これらの処理体制の整備が課題となっています。このような状況に対応するため、平成18年3月から、高温で焼却できる既存の産業廃棄物処理施設において焼却実証試験を実施し、安全かつ確実に処理できることを確認しているところです。

(4)石綿(アスベスト)
石綿(アスベスト)は耐熱性等にすぐれているため、建材など多くの製品に使用されてきましたが、じん肺、肺がん、中皮腫等を引き起こす有害物質として、現在は、石綿及び石綿含有製品製造・使用等が禁止されています。廃棄物処理法では、アスベストが建築物に吹き付けられたものやアスベスト保温材など、大気中に飛散するおそれのあるものを「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物に指定しています。また、石綿スレートなどアスベスト成型板等の廃棄物は「非飛散性アスベスト廃棄物」に分類されますが、処理時の破壊や破断によってアスベストが飛散するおそれがあることから、これらの適正な処理を行うための技術指針が平成17年3月に示されています。
平成18年2月には、「石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律」が公布され、廃棄物処理法の一部が改正されました。具体的には、石綿が含まれている廃棄物の安全かつ迅速な処理を進めていくため、溶融などの高度な技術により無害化処理を行う事業者に対し環境大臣が認定した場合に、都道府県知事等による産業廃棄物処分業許可や産業廃棄物処理施設設置許可を不要とする制度(無害化処理認定制度)が創設されました。
飛散性アスベスト廃棄物を最終処分するには、飛散防止のための梱包又はコンクリート等を用いた固型化による処理をした上で管理型最終処分場に処分する場合と、溶融し、特別管理産業廃棄物としての性状を失わせ、通常の産業廃棄物として管理型又は安定型最終処分場へ処分する場合があります。
また、非飛散性アスベスト廃棄物については、現在そのほとんどが埋立処分されていますが、今後建築物の解体増加に伴い非飛散性アスベスト廃棄物が大量に発生することが見込まれています。このような中、既存の産業廃棄物溶融施設の活用や、セメントキルン等生産設備における処理の研究が進められています(図4-2-21)。

図4-2-21アスベスト処理試験施設のフロー


(5)感染性廃棄物
医療関係機関等で使用される注射針、手術用のメス、検体容器等は、廃棄物となった際に感染防止の観点から適正に処理される必要があります。廃棄物処理法において、医療関係機関等から生ずる感染性廃棄物(感染性病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれがある廃棄物)は、特別管理廃棄物(特別管理産業廃棄物又は特別管理一般廃棄物)に指定されています。
感染性廃棄物の処理については、平成16年3月に策定された「感染性廃棄物処理マニュアル」において、焼却又は溶融設備等によって感染性を失わせることが処理基準として定められています。焼却又は溶融を行う施設については、焼却又は溶融が完全に行えるものを使用し、かつ、施設から排出されるガスにより、生活環境の保全上支障が生じないようにすることが求められています。
こうした感染性廃棄物を処理する技術として、ロータリーキルン型などの焼却炉を用い、助燃剤などの役割を果たす他の産業廃棄物と混焼して、感染性の細菌類の滅菌処理、無害化及び減容化を行う技術などが導入されています(図4-2-22)。

図4-2-22焼却処理の流れ



3 3Rを支える技術

循環型社会を構築するためには、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3Rを推進することが必要です。具体的には、まず、できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に廃棄物となったものについては不適正処理の防止その他の環境への負荷の低減に配慮しつつ、再使用、再生利用、熱回収の順にできる限り循環的な利用を行うことになります。この3Rの推進も技術的な基盤の上に立脚しています。ここでは、3Rを支える技術として、リデュース・リユース技術、リサイクルに配慮した設計、マテリアルリサイクル技術、サーマルリサイクル技術などを見ていきます。

(1)リデュース・リユース技術
リデュースに関しては、原材料等の使用合理化や、製品の長寿命化といった取組が行われています。原材料等の使用合理化に係る取組として、例えば、ペットボトルにおいては、ボトルの薄肉化等構造上の工夫等による軽量化が進められ、約1割〜4割の容器軽量化率が実現されています。
石鹸洗剤等の容器包装では、製品の濃縮化・コンパクト化、あるいは詰替・付替用製品の開発・発売により、容器包装に使用するプラスチック使用量の低減が進められています。日本石鹸洗剤工業会・環境委員会の調査結果によると、詰替・付替製品の出荷量が9年間で約5倍に増加しており、平成16年におけるプラスチック使用量は52.5千トンで、製品がコンパクト化されていない在来品の本体ボトルだった場合の想定量113千トンと比較して半減しています。
家電製品に関しては、部品点数の削減や部品の小型化、ユニット化等による製品の軽量化が実現されています。自動車に関しては、車体にアルミや高張力鋼板等を多用することにより車体の軽量化が実現されています。
製品の長寿命化の取組として、例えば、パーソナルコンピュータにおいては、液晶バックライトやハードディスク等の長寿命化が図られています。自動車においては、エンジンオイルやエンジンクーラント液等の指定交換時期の延長が進められています。
リユースは、リサイクルに比べて追加的な消費エネルギーや環境汚染が少ないことから、リサイクルよりも優先される取組です。リユースの事例として、複写機における部品リユースの取組が進められています。従前は駆動装置や露光装置といった内装部品のリユースが進められてきましたが、近年では粒子を高速で噴射し表面の汚れを削り落とす洗浄技術が開発されたことにより、外装部品のリユースの取組も進展してきています。
また、回胴式遊技機(パチスロ)において、機体を上部(回胴部)と下部(筐体部)とに分離できる構造を採用することにより、新機種への変更の際には上部のみを変更し、下部をリユースする取組が進展しています。これにより、新機種製造に係る資源の低減が図られています。
更に、自動車においては、使用済自動車から取り外した部品等をベースに、摩擦・劣化した構成部品を新品と交換した後、再組立・品質確認を行い、製品本来の機能を回復させる取組が行われています。

(2)リサイクルに配慮した製品等の設計
製品等の設計段階において、リサイクル時の解体性や再資源化の可能性を向上させるような配慮を行う手法が開発されています。こうした手法は、前述のリデュース・リユース技術と併せて「環境配慮設計」と呼ばれます。

このうち、使用済製品の解体に要する手間と時間を削減する「易解体設計」は、リユースやリサイクルを促進します。
容器包装における易解体設計の取組としては、複合素材から単一素材のものへの変更やミシン目入りシュリンクラベル採用による分離容易化、再生素材の使用、生分解素材の導入等が行われています。
家電製品における取組としては、生産者が生産を行う前に、製品の生産・流通・使用・廃棄・再資源化/処理・処分の各段階における安全や資源・環境への影響を調査・予測し、製品設計段階で事前に評価を行う「製品アセスメント」を導入している例があります。易解体設計に係る具体的事例としては、解体の際に特殊工具が必要な部品を一般の工具で解体できるようにしたり、材料名を表示することによって解体するときに同一材料として処理ができるようにする等の取組が行われています(図4-2-23)。

図4-2-23環境配慮設計の事例1

自動車製造においては、リサイクルに配慮したリサイクル材・再生可能資源の採用、ボディ各部に解体しやすい構造を採用するなど、設計段階からリサイクルのしやすさに配慮した例があります。例えば、使用済車両の解体を効率的に行えるよう、燃料抜き取り装置の吸引穴径を大きくし作業時間を短縮したり、フロントガラスを短時間で切断できるエアソーを開発し作業時間を45%短縮するなどの取組が行われています。また、解体しやすい車両を設計するため、コンピューター上で樹脂部品の引きはがし状況をシミュレーションできる技術が開発され、実車で試験しなくても破断状況がわかるようになっています(図4-2-24)。

図4-2-24環境配慮設計の事例2

コラム リユースに関する技術

最近では、リユースに関する技術の一例として、特別なトナーを用いることで使用済のOA用紙の印刷面を消去し、OA用紙のリユース化を可能とする技術が開発されています。1枚の紙を5〜10回程度リユースでき、紙の使用量の削減につながったことが報告されています。

写真消せるトナー



写真消せるトナー用消去装置



写真消せるトナー対応複合機


(3)廃棄物から資源へ:マテリアルリサイクル技術
マテリアルリサイクルは、廃棄物を再び素材や原料として再生利用するものです。ここでは、代表的なマテリアルリサイクルの例として、容器包装ごみ、使用済自動車、廃家電製品、建設廃棄物、紙などを取り上げ、廃棄物を資源に再生する技術を紹介します。

ア 容器包装廃棄物のリサイクル
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(以下、「容器包装リサイクル法」という。)では「商品の容器及び包装(商品の容器及び包装自体が有償である場合を含む。)であって、当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるもの」を容器包装と定義しており、「容器」では、ガラス製容器、ペットボトル、紙製容器、プラスチック製容器(発泡スチロール製食品用トレー、袋も含まれる)、「包装」では包装紙やラップなどで家庭から排出されるものが再商品化の対象になります。これらの容器包装廃棄物は、家庭ごみ全体のうち容積で約6割、重量で約2割を占めています。こうした容器包装廃棄物のうち、廃プラスチック及び廃ペットボトルを取り上げ、そのリサイクル技術を説明します。廃プラスチックには多様な種類がありますが、種類ごとに収集されているのは、ペットボトル、発泡スチロール製食品トレーに限られています。
廃プラスチックのリサイクル手法には、プラスチックの原料としてそのまま利用する材料リサイクル、化学的に処理して化学原料等として利用するケミカルリサイクルがあります。
材料リサイクルでは、回収した廃プラスチックは異物処理、選別、洗浄等の工程を経て、フレーク、フラフ、ペレット等のプラスチック原材料となります。更に、新規の材料と混合する等必要な成分調整を経て、パレット等原材料として利用されています(図4-2-25)。

図4-2-25廃プラスチック類の材料リサイクル

一方、容器包装廃棄物のうち、廃ペットボトルは、作業服やカーペットなどの繊維製品、卵パックやカップめんなどのシート製品、ハンガーやプランターなどに再生利用されています。また、ペットボトルからペットボトルに戻すケミカルリサイクル技術も実用化されており、平成17年度には約1万2千トンがペットボトルとして再利用されました(図4-2-26)。

図4-2-26ボトルtoボトルリサイクルの流れ

また、ペットボトルについては、ボトル本体とキャップ及びリング(キャップを捻じ切った時に残った物)を分離する技術も実用化されています。これは、歯車を用いて、ペットボトルをスルメイカ状に潰し、カッターで縦方向に切断して、キャップ、リング・ラベルなどの手選別が容易にできるようにしたものです(図4-2-27)。

図4-2-27ペットボトル減容機

ケミカルリサイクルは、特に製鉄業、化学工業の分野で利用されています。製鉄業では高炉で鉄鉱石をコークスにより還元し鉄を得ていますが、このコークスの代替品として廃プラスチックを粒状に加工して利用することができます。これは、プラスチック中の炭素と水素が還元剤としての役割を担うためです。高炉内に吹き込まれたプラスチックが約2000℃の高温で水素と一酸化炭素に分解され、鉄鉱石の主成分である酸化鉄と反応し銑鉄に還元します。一方、還元反応後の残存した余剰の水素と一酸化炭素は高炉ガスとして回収され、発電用等の燃料として利用されています(図4-2-28)。

図4-2-28高炉による廃プラスチックのリサイクル図


また、コークス炉で廃プラスチックを熱分解し、再資源化する技術もあります。これは、廃プラスチックをコークス炉内の炭化室と呼ばれる密閉室で無酸素状態のまま約1200℃まで加熱して熱分解し、発生した高温ガスから炭化水素油(軽質油、タール)とコークス炉ガス(水素、メタンなど)を精製し、残さとしてコークスを回収するものです。炭化水素油は化成工場において化学原料として利用され、コークス炉ガスは燃料ガスとして製鉄所内の発電所等で利用されています(図4-2-29)。

図4-2-29コークス炉による廃プラスチックのリサイクル図


化学工業では、廃プラスチックを熱分解ガス化し、これを原料とする技術によって、石炭や石油など化石資源の節約が行われています。具体的には、廃プラスチック・ガス化プロセスとして、廃プラスチックは前処理工程で中間成型品に加工した後、低温と高温の加圧二段式ガス化炉(EUP方式)に投入し熱分解により、水素と一酸化炭素のガスにし、その後、アンモニア製造設備に投じて、空気中の窒素と合成させることによってアンモニアを製造します。これらの技術により、廃プラスチックがナフサ等で製造される従来のアンモニアと全く同品質の製品にリサイクルされ、ナイロン等の原材料として使用されています(図4-2-30)。

図4-2-30廃プラスチックからのアンモニア製造プロセス

また、廃プラスチックの油化技術も実用化されています。具体的には、前処理工程によって異物等を除去された廃プラスチックを油化装置に投入し、脱塩工程、熱分解工程、油生成工程を経て、再商品化製品として炭化水素油(重質油、中質油、軽質油)を製造します。この炭化水素油の用途については、軽質油は石油化学原料として石油精製メーカーに引き取られ、また、中質油及び軽質油は発電用等の燃料として利用されています。
これらの技術の導入の背景には、廃プラスチック中の塩素の除去や成形処理方法など多くの困難な技術的課題の克服があります。

イ 使用済自動車のリサイクル
自動車産業は、総合産業と呼ばれるように、金属、ガラス、プラスチックなど様々な原材料を活用して自動車を生産しています。そして、使用済自動車は、従来から解体業者や破砕業者においてリサイクル・処理が行われてきましたが、現在では、使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)に基づきリサイクルが進められ、再資源化の目標として、平成27年までにシュレッダーダストの再資源化率を70%以上、エアバッグの再資源化率を85%以上とすることを定めています。
使用済自動車のリサイクルの一例として、アルミロードホイールを回収し、これを溶解してサスペンション部品に再生利用する技術があります。この技術は、自社の使用済製品を回収して部品製造工場で溶解し、新品部品に再生利用するという、自社内でのリサイクルのルートを確立することで可能となりました(図4-2-31)。

図4-2-31アルミロードホイールのリサイクル

使用済自動車は、中古部品や再生利用可能な部品が回収されると、残りの部分は破砕されてシュレッダーダストとなります。このシュレッダーダストは主に埋立処分されていましたが、再資源化率の目標が設定されたことを受け、リサイクル技術が導入されつつあります。例として、空気を遮断した間接加熱式回転キルンにシュレッダーダストを入れ、450℃で1〜2時間の熱分解を行い、得られた炭化物(熱分解カーボン)を電炉の原料・燃料にするとともに、有価金属を回収する技術があります(図4-2-32)。

図4-2-32カーシュレッダーダストの炭化技術

また、廃タイヤは本数で年間約1億本、重量にして100万トン程度が発生しています。廃タイヤのリサイクルの代表例は、セメント焼成用であり、セメント原料及び熱エネルギー源として利用されています。さらに、製鉄所において、廃タイヤを再資源化する技術も導入されています。具体的には、裁断した廃タイヤを冷鉄源溶解炉に投入して、ゴムの炭素分は銑鉄の原料及び燃料として利用し、スチールコード(タイヤの骨格を形成し形状を保持するひも状の鉄)は鉄源として使用する技術があります。また、廃タイヤを外熱式ロータリーキルンにより熱分解し、ガス、油、乾留カーボン、鉄ワイヤーを分離製造して原料・エネルギーを利用する技術もあります。これらの製鉄プロセスにおける技術は、それぞれ廃タイヤを年間6万トンずつ再資源化しています(図4-2-33)。

図4-2-33廃タイヤ処理フロー

ウ 廃家電製品のリサイクル
特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の施行により、製造業者等に対して家電4品目の再商品化が義務付けられ、再商品化率(サーマルリサイクルを含まない。)が、家庭用エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫・冷凍庫50%以上、洗濯機50%以上と定められています。家電製品のリサイクルの手順は、図4-2-34に示すとおりであり、各工程において様々な技術が用いられ、最終的に金属やガラス、プラスチックが回収されています。また、プラスチックの高度なリサイクルの取組事例として、使用済家電製品から回収した廃プラスチックを再び新たな家電製品の部材として利用してバージン材の代替及び投入削減を図る、より付加価値の高いリサイクル(クローズドリサイクル)の取組が進められています。これは、使用済家電製品の廃プラスチックを手解体できめ細やかに分別・回収するとともに、再生プラスチックの物性や寿命などを再利用する部材の要求特性に適合させる技術の開発により実用化された高度なリサイクルと言えます(図4-2-35)。

図4-2-34廃家電リサイクルのフロー

図4-2-35クローズドリサイクルの事例


なお、家電リサイクル法の対象4品目の素材別再商品化率の推移は、図4-2-36のとおりであり、平成13年の家電リサイクル法の施行後、プラスチックやガラス等の非金属類の回収が増加しています。

図4-2-36対象4品目の素材別再商品化量の推移

エ 建設廃棄物のリサイクル
建設工事現場から排出される廃棄物は、コンクリート、アスファルトの廃棄物、汚泥のほかに、建設混合廃棄物があります。建設混合廃棄物は、建物の新築、改修及び解体により発生する廃棄物のほか、工事端材、梱包材及び仮設工事の廃材等で廃プラスチック類、木くず、紙くず、金属くず等の混合物です。国土交通省が行った建設副産物実態調査によれば、平成17年度の建設廃棄物の排出量は約7千7百万トンとなり、平成14年度に行った前回調査の約8千3百万トンに比べ減少しています。

建設廃棄物のリサイクルを図るため、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)が平成12年に制定されました。建設リサイクル法では、一定の条件の建設工事の受注者に対して、建設廃棄物の分別解体、再資源化を行うことを義務付け、平成22年までにコンクリート塊、建設発生木材、アスファルト・コンクリート塊の3品目の再資源化等率を95%に向上させることを定めています。

建設混合廃棄物をリサイクル・再資源化するためには、一定の安定した性状・品質をもつ「製品」とする必要があります。こうした建設混合廃棄物の選別技術として、回転する歯車を組み合わせた大きな「ふるい」で分級したり、水を使用して、表面に付着した油分などを剥離することにより、砕石、砂、金属スクラップなどに選別する技術が利用されています。また、従来、最終処分又は焼却処分されていた集塵ダストを特殊スクリーンにより可燃物と不燃物に分離することによりリサイクルする技術も導入されています。
建設廃棄物のうち、建設汚泥はコンクリート塊などと比べると、再資源化率が低くとどまっています。現在、建設汚泥のリサイクル技術として、建設汚泥にセメント系並びにポリマー系の薬剤を添加、混合のうえ、薬剤固化して圧密した成形体を養生・破砕・篩別することで路盤材にする技術や、建設汚泥を礫・砂・シルト・粘土分に篩い分け、礫・砂分は水洗い破砕をして再生洗い砂に、残りのシルト・粘土分は脱水・乾燥後に焼成して人工骨材に再生する技術などがあります。

コラム 使用済コピー機を対象にした国際資源循環

アジア・太平洋地域の9つの国・地域で発生する複写機・プリンター及び関連するカートリッジ等といった使用済商品を、タイのリサイクル工場に集めて分解・分別し、再資源化する国際資源循環システムの取組が進められています。この国際資源循環システム構築にあたっては(1)不法投棄を防止する(2)輸入国に環境インパクトを与えない(3)廃棄物の輸入は行わない(4)輸入国にメリットを還元する、の4つの原則が設定され、回収した使用済商品は各販売拠点から重量リストと共に送られ、工場で分解し68カテゴリーに分解・分別されています。平成17年度には約20,000台の使用済商品が回収され、99.2%が再資源化されました。

リサイクルシステム対象エリアと使用済み商品の回収動線



写真ロールスクリーンユニット、比重差選別機

オ 食品廃棄物のリサイクル
食品廃棄物は、食品の製造、流通、消費の各段階で生ずる動植物性の残さ等であり、具体的には加工食品の製造過程や流通過程で生ずる加工残さ・売れ残り食品、消費段階での食べ残し・調理くずなどです。これら食品廃棄物のうち、食品製造業から発生する食品廃棄物は、必要量の確保が容易なこと及びその組成が一定していることから比較的再生利用がしやすく、たい肥化、飼料化及び油脂の抽出その他が行われ、排出量の78%が再生利用されています。また、食品流通業及び飲食店業等から発生する食品廃棄物(事業系一般廃棄物)は、同様に、たい肥化、飼料化及び油脂の抽出その他により排出量の24%が再生利用されています。

たい肥化(コンポスト化)の技術は、食品廃棄物をロータリーキルン型の発酵槽へ投入し、空気を送入しながら2〜3日の滞留時間で回転させて発酵を促すものです。発酵槽は、廃棄物の糖類やセルロース(繊維系)の微生物による酸化分解により60℃近くになり、廃棄物中の病原菌や寄生虫卵が殺滅されて衛生的な肥料が生成されます。
また、飼料化(エコフィード化)の技術は、飼料化に適した食品残さを分別回収し、加熱乾燥処理、発酵処理(乾燥・液状・その他)、油温減圧脱水処理(天ぷら処理)又は、液状飼料処理等を行うことにより、家畜の飼料を製造するものです(図4-2-37)。

図4-2-37たい肥化処理施設


最近では、生ごみや木質系廃棄物(農業残さなど)を炭化・液化・分留することにより、燃料などに再資源化する技術も実用化されています(図4-2-38)。

図4-2-38食品系・木質系廃棄物リサイクル事業

写真路盤材、再生洗い砂

コラム 石こうに見るリサイクルの変遷

石炭や石油を燃焼する際に排出される二酸化硫黄(SO2)は、脱硫装置で除去されます。火力発電所などの大規模なボイラーでは、脱硫技術として石灰石スラリー吸収法が用いられています。これは、石灰石(CaCO3)や消石灰(Ca(OH)2)等でSO2を吸収し、石こう(硫酸カルシウムCaSO4)や亜硫酸カルシウム(CaSO3)とするものです。この結果として排出された石こうは、石こうボードとして、内壁や天井下地などの建築材料にリサイクルされてきました。

ところが、平成11年10月に福岡県の安定型最終処分場において作業員が硫化水素中毒と疑われる症状により死亡する事故が発生し、同様の事例が各地に見られました。その原因として埋め立てられた廃石こうボードが処分場の地下水に生息する硫酸塩還元細菌の代謝を受けて硫化水素を発生させることがわかりました。
これを受け、廃石こうボードの再生利用及び廃棄物の減量化に関係者が取り組みました。現在では、廃石こうボードを再び石こうボードにリサイクルする技術が開発されています。

せっこうボードのリサイクル


カ 紙のリサイクル
ここ数年、製紙産業において史上最高のペースで古紙が消費されています。平成17年の日本の古紙消費量は約1,859万トンです。古紙利用の主力は段ボールなどの「板紙」で、この分野での古紙利用率は既に90%に達しています。一方「紙」分野での古紙利用率は40%弱ですが、この中でも新聞用紙や衛生用紙などは、既に50%以上古紙が利用されています。古紙は成形性が良いという利点を活かして、製紙原料として利用されるほか、古紙利用製品への製品化が進められています。
再生紙に使う古紙パルプの製造技術は、1)パルパーと呼ばれるミキサー内で古紙を繊維に解きほぐし、2)スクリーンにより砂やプラスチックなどの異物を除去し、3)フロテーター(起泡装置)で繊維から剥離されたインキを気泡の表面に付着・浮上させ、これを漂白するものです(図4-2-39参照)。

図4-2-39古紙パルプ製造工程

キ 不燃ごみ・粗大ごみ再資源化技術
平成16年度に一般廃棄物として排出された不燃ごみは約276万トン、粗大ごみは約80万トンに上っています。これら不燃ごみ・粗大ごみを破砕・選別することにより、有価物を効率的に再資源化する技術が導入されています。この技術では、破砕機により粗破砕と細破砕を行い、選別設備で効率的な選別が可能な粒度・形状にします。そして、磁選機で破砕された鉄分を吸着選別するとともに、物質毎の粒度分布の違いを利用して、回転ふるいにて粒度選別し不燃分を効率的に選別します。さらに、高回転数による強磁力ドラムにより非鉄分を選別し、残物が可燃物となります(図4-2-40)。

図4-2-40粗大ごみ破砕選別資源化施設

ク 焼却灰のリサイクル
都市ごみ焼却灰や下水汚泥などの各種廃棄物を主原料(原料の約50%)として「エコセメント」が製造されています。エコセメントは平成14年7月に、日本工業規格(JIS)に定められました。普通セメントの原料は、石灰石、粘土、けい石、鉄原料等ですが、エコセメントは石灰石、粘土、けい石の代替として、都市ごみ焼却灰、汚泥等を原料として使用します。都市ごみ焼却灰には、セメント製造に必要な成分が全て含まれており、エコセメントとして有効活用が図られるとともに、焼却灰に含まれている重金属類の一部は製造工程で分離・回収されます。

写真エコセメント施設の全景

東京都の多摩地域においては、地域内の自治体のごみ焼却施設から排出される焼却残さや溶融飛灰を処理し、土木建設資材である「エコセメント」に再生するエコセメント施設が運営されています(図4-2-41)。

図4-2-41エコセメントフローシート



(4)廃棄物からエネルギーへ
廃棄物を素材として再利用することが難しい場合には、焼却などの処理を行うことになりますが、その際に発生する熱エネルギーを電力や蒸気などの形で回収するのがサーマルリサイクルです。また、食品廃棄物や家畜排せつ物、建設発生木材などの廃棄物系バイオマスをメタンなどに転換しエネルギーとして利用する技術の導入も進んでいます。
今日、地球温暖化対策としてCO2をはじめとする温室効果ガスの排出削減が重要な課題となっています。サーマルリサイクルは廃棄物焼却時の熱エネルギーを電力などに変換し化石燃料を代替することから、CO2の排出削減につながります。また、バイオマスは大気中のCO2を固定したものであり、これを燃焼させた際に発生するCO2は元々大気中に存在したCO2が元に戻るという考え方(カーボンニュートラル)により人為的なCO2排出量としては計上されないことになっています。したがって、バイオマスの利用による化石燃料の代替もCO2の排出削減につながります。

ア ごみ発電
ごみ発電とは、ごみを焼却する時に発生する高温の熱エネルギーをボイラーで回収し、蒸気を発生させてタービンを回し発電を行うもので、ごみ焼却施設の余熱利用の有効な方法の一つです。我が国で最初の実施例は、昭和40年の大阪市西淀工場であるとされています。その後、国では、ごみ焼却施設の新設、更新時における余熱利用設備や既存の施設に余熱利用設備を設置する場合に補助を行うなど、ごみ発電の推進に努め、以降、全国各地に建設が進められてきました。平成16年度末において、稼働中又は建設中のごみ焼却施設のうち、発電を行っている又は行う予定の施設は281に上り、総発電能力で1,491MW、ごみ発電を行っている割合は施設数ベースで全体の約20%となっています(図4-2-42)。

図4-2-42ごみ発電の概要

ごみの中には、プラスチックや塩化ビニル等が含まれているため、燃焼に伴ってこれらから発生する塩化水素により、金属表面に塩化鉄又はアルカリ鉄硫酸塩が生成し、ダストの共存によってこれらが分解し、金属表面温度が350℃〜400℃以上になると、短時間に腐蝕が進行することとなります。このため我が国のごみ焼却施設の蒸気は300℃を越えないように設計されており、ごみ発電の発電効率は10%〜15%程度にとどまっていましたが、最近では15%を超えるものもあります。しかしながら、火力発電所の発電効率がおおむね40%あるのに比べると低い状況にあります。
ごみの発電の高効率化を図る方法として、「スーパーごみ発電」があります。これは、ごみ焼却施設に天然ガスを燃料とするガスタービン発電施設を併設し、ごみ焼却ボイラーで発生した蒸気をガスタービンの排熱によって高温化し、蒸気タービンによって発電させるシステムです。これにより、ごみ発電の発電効率を20%〜25%に向上させることが可能となります。
さらに、廃棄物の焼却施設として、最近、導入が進みつつあるガス化溶融炉は、ごみの熱分解により可燃性ガスと炭化物を生成し、これらを1200℃以上の高温で燃焼する際の排熱を利用して発電が行われます(図4-2-43)。

図4-2-43スーパーごみ発電の例

イ バイオマス発電
産業廃棄物のうち、木くずやバガス(サトウキビの搾りかす)などのバイオマスを利用した発電も導入されています。これら産業廃棄物のバイオマスは、性状が均一のものをまとまった量として確保できるという長所があります。このバイオマス発電は、木くずやバガスをストーカ炉又は流動層炉において燃焼し、その燃焼熱をボイラーにおいて吸収し、蒸気タービンにより発電するもので、同時に熱供給を行うことも可能です。この技術は蒸気を高温・高圧化する際のバイオマス中の塩素分への対応や、安定的な発電を行うためにバイオマスの貯蔵、前処理、搬送、供給及び燃焼といった一連のプロセスの最適化の課題を克服して実用化されたものです。

ウ RDF(ごみ固形燃料)
小規模な廃棄物焼却施設は、経済性の観点から施設ごとに熱回収を行うことが難しいため、複数の小規模清掃工場がごみを燃焼しやすい固形燃料に加工して専用の発電施設に集める方法が採られています。この固形燃料は、RDF(Refuse Derived Fuel:ごみ固形燃料)と呼ばれ、可燃ごみを破砕・乾燥し、不燃物、鉄、アルミを除去し、防腐剤を添加して圧縮成型して製造されます(図4-2-44)。

図4-2-44固形化燃料製造の流れ


RDFは1kgあたり約4000〜5000kcalと通常の一般廃棄物の2倍の発熱量を有し、また、加工の段階で有害物質の除去が可能になるため排ガス処理対策が講じやすいという長所があります。さらに、固形状であるため取扱いが容易で、通常のトラックでも搬送が可能であり、乾燥しているため防臭性、貯蔵性に優れた燃料とすることができます。
RDFについては、平成15年8月に三重県において、RDF発電所の貯蔵槽が爆発する事故が発生しました。これは、ごみ固形燃料が発酵により発熱し発火した可能性や、貯蔵槽内に発生していた可燃性ガスの存在などが原因として挙げられています。このため、環境省では、RDFの製造、保管、性状管理方法等について検討を進め、平成15年12月に、RDFの安全な製造・利用を行うためのガイドラインを取りまとめました。そして、平成16年9月にはこのガイドラインを元に、RDFの安全な製造や利用に係る基準について、廃棄物処理法施行規則を改正し規制の強化を行いました。
また、総務省消防庁においても、RDF関係施設の実態把握、検証実験等を行い、平成15年12月に安全対策を取りまとめました。この結果を踏まえ、平成16年6月に消防法の改正、同年7月にはRDFを始めとする再生資源燃料を指定可燃物に追加する政令改正を行い、平成17年12月施行になりました。これを受けて市町村においては、火災予防条例により再生資源燃料を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準と貯蔵及び取扱いの技術上の基準を追加し、安全の確保を図っています。

エ RPF(廃棄物由来の紙及びプラスチック等固形化燃料)
主に産業廃棄物のうちマテリアルリサイクルが困難な古紙や(塩化ビニルを除いた)廃プラスチックを破砕し鉄を除去した後、圧縮成型したものはRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel:廃棄物由来の紙及びプラスチック等固形化燃料)と呼ばれています。RPFは、一般廃棄物由来の可燃物を原料とするRDFに比べて、発生履歴の明らかな産業廃棄物等を使用しているため、乾燥工程が不要であり、製造プロセスが簡単になるという利点があります。また、古紙や廃プラスチックの混合比率を調整することにより、約5,000〜10,000kcalの発熱量を得ることができ、石炭やコークス等化石燃料の代替として、製紙メーカーや鉄鋼メーカー等で使用されています(図4-2-45)。

図4-2-45RPF製造の流れ



写RPF製造ライン全景

オ メタン発酵
メタン発酵は、嫌気性発酵処理により有機物からメタンを得る技術で、生ごみや動物のふん尿など水分の多いバイオマス系廃棄物に適しています。得られたメタンガスは、発電などの燃料用として利用されています。

メタン発酵に伴い発生する発酵残さは、たい肥や液肥として利用可能です。また、生ごみと下水汚泥を混合し、可溶化・酸発酵させてからメタン発酵することで、メタン発酵槽の安定化を図るとともに、排水を下水処理場内の既存施設で処理する例もあります(図4-2-46)。

図4-2-46メタン発酵の例

コラム 鶏糞ボイラー発電施設

農畜産業が盛んな宮崎県では、平成13年度に国内で初めての鶏糞発電ボイラーが設置され、平成14年4月より稼動しています。

この施設は、県内全域で発生する鶏糞の約50%(年間10万トン)を回収・焼却処理し、ボイラーで得られた蒸気は生産工程で熱源として利用する他、蒸気の一部で発電を行っています。また、燃焼灰は造粒し肥料として利用されています。

鶏糞ボイラー発電施設事業概要

鶏糞ボイラー発電施設の全景

鶏糞ボイラー概念図


カ バイオディーゼル燃料
バイオディーゼル燃料(BDF:Bio Diesel Fuel)は軽油代替燃料として自動車用ディーゼルエンジンで利用可能な燃料であり、廃食用油などのバイオマスを原料としています。また、燃料中に硫黄分が少ないため、排ガス中の硫黄酸化物が少なく、含酸素燃料であることから、エンジン内での燃焼が促進され、排ガス中に一酸化炭素や黒煙が少ないクリーンな燃料であることも特徴です。

バイオディーゼル燃料を生成するためには、まず廃食油などの油脂(脂肪酸トリグリセライド)とメタノールを反応(エステル交換)させることにより、脂肪酸メチルエステルを生成します。この際にグリセリン等が副生されます。反応油から副生グリセリンなどを分離し精製することにより、精製バイオディーゼル燃料が得られます。

京都市では、自治会単位等で地域住民の協力を得て京都市内約1,000か所の回収拠点での廃食用油の回収を行っており、年間約125キロリットルの廃食用油の回収を行っています。この回収された廃食用油は、日量5,000リットルの処理能力の専用のプラントによりバイオディーゼル燃料化され、ごみ収集車(210台分)や市営バスの燃料として活用されています(図4-2-47)。

写真廃食用油の回収

図4-2-47バイオディーゼル燃料の生成

キ バイオエタノール
建設廃木材を主原料に紙くず、食品残さ(おから等)などの廃棄物を活用して、希硫酸による糖化法と遺伝子組換え菌(KO11)と酵母の2種類の菌体を用いて燃料用エタノールの製造が行われています(図4-2-48)。

図4-2-48廃木材等によるバイオエタノール製造

4 金属系資源の循環のための技術

あらゆる経済社会活動は物質の基盤の上に成立しています。特に、金属は家電製品や自動車、建築物に代表されるように、現代社会の生活基盤を構成する重要な物質です。ここでは、循環型社会を金属の側面から取り上げます。特に、主要な金属である鉄、銅、アルミニウムと、希少性の高い金属を対象に、これらの循環的な利用とそれを可能にする技術を説明します。

(1)鉄、銅、アルミニウム
発生した副産物や廃棄物は、再生利用し、それが困難な場合には適正に処理される必要がありますが、優先されるべきは廃棄物等を排出しないことです。我が国の素材産業の製造プロセスでは、工程で発生する副生物や廃棄物を工場内で再利用・再生利用して系外に排出される廃棄物の量をできるだけ少なくしたり、市中で回収されたスクラップを同じ金属の製錬過程に戻す循環型の取組が行われています。
鉄は、人間にとって最も身近な金属です。我が国の年間の粗鋼生産量は約1.1億トンですが、鉄鋼業では、工程内で発生する自家発生スクラップや市中から回収されるスクラップなどを資源として再利用しています。具体的には、年間約4,800万トン程度の鉄スクラップが、電気によって鉄スクラップを溶かし鉄鋼を生産する電炉法に加え、鉄鉱石と石炭を原料とする高炉法においても転炉での製鋼段階で利用されています。
また、銑鉄1トンを生産するために、鉄鉱石約1.5トン、石炭約0.8トン、石灰石約0.2トンが原料として投入されます。銑鉄を製造する高炉で溶融された鉄鉱石の鉄以外の成分は、副原料の石灰石やコークス中の灰分とともに高炉スラグとなり分離回収されます。高炉スラグは、銑鉄1トン当たり約290kg生成されます。転炉や電気炉の製鋼過程では、製鋼スラグが粗鋼1トン当たり約110kg生成されます。鉄鋼業全体では、年間約4,700万トンの鉄鋼スラグ等が発生し、鉄鋼スラグの約99%がセメントの原料や路盤材などに利用されています(図4-2-49)。

図4-2-49鉄鋼業における資源ーの循環



コラム 廃木材の製鉄原料としての再生利用

製鉄所において、梱包用側板やパレット等の廃木材を、鋼の炭素成分調整としての副原料として活用している技術があります。これは、廃木材の持つ炭素分による還元反応により、鉄鉱石などの酸化鉄から鉄分を回収し、また発生したCOガスを燃料ガスとして再使用する技術であり、製鉄工程におけるCO2排出削減にも貢献します。

写真1廃木材の製鉄原料再利用施設



銅は、優れた加工性や電導性を生かして電線や、板・パイプ・棒などの伸銅製品に用いられており、我が国では平成16年に約138万トンの電気銅(銅地金)が生産されています。製品として利用された後、スクラップとなった銅くずや銅合金くずは、種別や品位、形態によって製錬所や電線・伸銅品の工場に戻り、再溶解され原料として利用されています(図4-2-50)。

図4-2-50銅のマテリアルフロー

アルミニウムは、軽く強い特性を生かして輸送機器や建築構造材料、食品容器などに利用されています。アルミニウムの製造工程では、鉱石(ボーキサイト)を製錬する際に大量の電気を消費することから、我が国ではアルミニウムの鉱石からの生産はほとんど行われておらず、海外から輸入された「新地金」と国内でのアルミスクラップからの「再生地金」が原料となっています。平成16年度には新地金が約250万トン、再生地金が約196万トンであり、再生地金は我が国のアルミニウム総需要量の約4割を占めています(図4-2-51)。

図4-2-51日本のアルミニウム産業(構造・原料輸入)

(2)希少金属・重金属類
金や銀は古くから装飾品などに利用されてきましたが、白金やインジウム等の希少金属についても現代の先端技術分野で利用されています。例えば、白金は自動車排ガスの浄化触媒として、モリブデンやバナジウムは石油精製や石油化学品製造用の工業用触媒として、インジウムは液晶パネル等の透明電極として利用されています。また、廃電子機器等に含まれる鉛、カドミウム等環境中に排出されると有害な重金属類については、環境保全上確実に回収されることが必要です。我が国は、長年培ってきた金属製錬技術の延長として、これらの希少金属・重金属等を廃棄物から回収・リサイクルする技術を有しています。具体的には、非鉄金属の製錬所において、高度な製錬技術を活用し、廃電子機器や廃基板等に含まれる金、銀等の貴金属や鉛等の重金属、自動車触媒に含まれる白金族、液晶パネル等製造の工程内スクラップからインジウム等の回収・リサイクルが行われています(図4-2-52)。

図4-2-52製錬所のメタルリサイクルフローの例


また、自動車や廃家電等のシュレッダーダストや銅含有スラッジ等を焼却溶融処理し、可燃物や塩素等を除去した後、リサイクル工程で発生する蒸気をエネルギーとして回収すると共に、銅製錬設備等において銅や鉛、亜鉛を回収する技術もあります。一般廃棄物焼却炉等から発生する溶融飛灰についても水洗処理により塩素等を除去した後、同様の製錬設備を活用した金属回収が行われています。

写真シュレッダーダストから希少金属・重金属類を回収している工場の例

コラム 使用済携帯電話のアジアからの回収・資源回収プロジェクト

バーゼル条約事務局及びアジア各国(シンガポール、マレーシア、タイ)の協力の下で、これらの国で発生した使用済携帯電話を回収・運搬し、日本において資源回収を行う国際ネットワーク構築の取組が我が国の企業により試行的に進められています。これは、我が国の民間企業がバーゼル条約事務局と協力して行う初めてのプロジェクトです。
プロジェクトにおいては、使用済携帯電話について、1)各国における回収スキームの調査・検討、2)各国から日本への輸送・資源回収に関するパイロットプロジェクトの実施が行われる予定です。プロジェクトの実施期間は、平成18・19年度の2年間で、本プロジェクトの結果により、将来は対象地域及び対象品目の拡大が検討される予定です。

携帯電話のリサイクル




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