第2節 環境教育・環境学習の推進及び環境保全活動の促進


1 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律について

平成16年に環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(平成15年法律第130号)が完全施行され、同法及び同法に基づく基本方針に基づき、各府省において施策を推進しました。具体的には、学校においては、各教科、総合的な学習の時間等を活用した環境教育のモデル校の実施、また、環境に配慮した学校施設を整備するとともに、施設を活用した環境教育の推進を図りました。さらに、都道府県教育主事を対象とした研修等を行いました。
家庭における環境保全活動についてインターネット等を通じた支援を行い、また、地域においてさまざなな環境教育や環境保全活動の場や機会を提供しました。さらに、環境教育の人材の育成、拠点の整備推進、情報提供の推進等にも取り組みました。
文部科学省、環境省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省が連携して、同法に基づき人材認定等事業の登録を行い、登録した事業についてインターネットによる情報提供を行いました。

2 環境教育・環境学習の推進


(1)多様な場における環境教育・環境学習の推進
行政、事業者、民間団体、個人が連携を図りつつ、幼児から高齢者までのそれぞれの年齢層に対して、学校、家庭、地域、職場、野外活動の場等多様な場において、環境教育・環境学習を総合的に推進することが重要であり、表7-2-1に例示するような各種施策を実施しました。

表7-2-1	環境教育・環境学習に関する施策の例


3 環境保全活動の促進


(1)民間団体等による環境のための活動の推進
ア 市民、事業者、民間団体による環境保全活動の支援
事業者や市民が行う環境保全活動に対して助言・指導を行う環境カウンセラーを平成17年度までに4,124名登録し、ホームページ上で公開しました。また、地域環境保全基金等による地方公共団体の環境保全活動促進施策を支援するため、関連する情報の収集、提供等を行いました。
地球環境基金では、国内外の民間団体が行う環境保全活動に対する助成やセミナー開催など民間団体による活動を振興するための事業を行いました。このうち、17年度の助成については、452件の助成要望に対し、202件、総額約730百万円の助成決定が行われました(表7-2-2)。

表7-2-2	平成17年度の助成要望と採択の状況(実績)

さらに、森林ボランティアをはじめとした広範な主体が行う森林づくり活動等を促進するための事業を実施しました。特に、里山林や都市近郊林については、「森林と人と共生林」の整備に向けた条件整備やNPO等を対象とする公募モデル事業を実施するとともに、市民や森林保全・利用団体等による里山林等での多様な自然・文化体験活動を推進しました。加えて、緑の募金を活用した活動を推進しました。
イ 各主体のパートナーシップによる取組の促進
環境省では、事業者、市民、民間団体等のあらゆる主体のパートナーシップによる取組の支援や交流の機会を提供する拠点として、国連大学との共同事業として「地球環境パートナーシッププラザ」を開設しています。「地球環境パートナーシッププラザ」では、パートナーシップへの理解と認識を深めることを目的に、主に行政職員を対象としたワークショップやセミナーを開催するとともに、市民や民間団体等の声を政策に反映することを目的として意見交換会などを開催しました。また、地方での環境パートナーシップ形成促進拠点として「地方環境パートナーシップオフィス」を全国各ブロックに設置していく予定であり、平成17年度は北海道、東北の2か所に設置しました。
また、NGO/NPOや企業からの優れた政策提言を環境政策に反映することを目的に環境政策提言を募集し、発表の場として「NGO/NPO・企業環境政策提言フォーラム」を開催するとともに、実現可能性のある提案を対象として調査を実施しました。

(2)ライフスタイルの変革に向けた取組
内閣府では、環境と調和した国民生活の促進のため、省資源・省エネルギーに関し、各種の普及啓発活動等を実施するとともに、民間団体による先駆的かつ効果的な実践活動等をモデル的に支援しました。また、内閣府、経済産業省及び環境省では、マイバッグを持参する、過剰包装を避ける、詰め替え商品を選ぶなど日常の買い物におけるごみの減量化や省資源化を進めるため、平成17年10月に消費者に対して環境にやさしい買い物の実践を呼びかけるキャンペーンを、全国のコンビニエンスストア、スーパー、生活協同組合、百貨店、商店街等の協力を得ながら都道府県等と共同で実施しました。
また、関係4省庁(警察庁、経済産業省、国土交通省及び環境省)による「エコドライブ普及連絡会」において、駐停車時のアイドリングストップをはじめとする環境に配慮した自動車の使用(エコドライブ)の普及推進策として、やさしい発進の名称を募集し、『ふんわりアクセル「eスタート」』に決定しました。

4 「国連持続可能な開発のための教育の10年」の取組

2005年(平成17年)から始まった「国連持続可能な開発のための教育の10年」については、平成17年12月に関係省庁連絡会議を内閣に設置し、関係者の意見を聴きつつ、18年3月にわが国における実施計画を決定しました。今後、環境保全を中心とした課題を入り口として、環境、経済、社会の統合的な発展について取り組みつつ、開発途上国を含む世界規模の持続可能な開発につながる諸課題を視野に入れた取組を進めていくことになりました。

5 環境研修の推進


(1)環境研修の実施
環境調査研修所においては、国及び地方公共団体等の職員等を対象に、行政、国際、分析及び職員の各種研修を実施しています。
平成17年度においては、行政研修15コース(17回)、国際研修8コース(8回)(日中韓三ヵ国合同環境研修の協同実施を含む)、分析研修16コース(19回)及び職員研修9コース(9回)の合計48コース(53回)を実施しました。また、JICA水環境モニタリングコース研修を受け入れました。17年度の研修修了者は、1,974名(前年度1,800名)となりました。修了者の研修区分別数は、行政研修(職員研修含む)が1,515名、国際研修が189名、分析研修が270名でした。その他、JICA水環境モニタリングコース研修の修了者が10名でした。所属機関別の修了者の割合は、国が20.8%、地方公共団体が75.1%、特殊法人等が4.1%となっています。

(2)各研修の内容
行政研修では、動物愛護管理研修及び産業廃棄物対策研修(いわゆる「産廃アカデミー」)を新設しました。国際研修では、第5回日中韓三ヵ国合同環境研修を韓国において協同実施しました。分析研修では、特定機器分析研修II(LC/MS)を新設するとともに、外因性内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)分析研修については、分析対象物質を見直し、環境汚染有機化学物質(POP's等)分析研修として実施しました。


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