第7章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策


第1節 政府の総合的な取組


1 環境保全経費

各府省の予算のうち、環境保全に関係する予算については、環境保全に係る施策が政府全体として効率的、効果的に展開されるよう、環境省において見積り方針の調整を行い、環境保全経費として取りまとめました。平成18年度予算における環境保全経費の総額は、2兆1,342億円で、前年度の当初予算に比べ、2,312億円、9.8%の減となっています。各府省別の環境保全経費は表7-1-1、事項別環境保全経費は表7-1-2のとおりです。

表7-1-1	府省別環境保全経費一覧


表7-1-2	事項別環境保全経費一覧


2 政府の対策


(1)環境基本問題懇談会
平成15年9月に環境省に設置した環境基本問題懇談会では、全9回の議論の中で「環境と持続可能な開発」、「国土・空間の利用と環境」等、さまざまなテーマのもと、議論を行い、17年4月に議論の取りまとめを行いました。本取りまとめは環境省ホームページ上で公開されています。(http://www.env.go.jp/policy/kankyo-k/

(2)環境基本計画の見直し
平成17年2月14日、環境大臣から中央環境審議会に対して環境基本計画の見直しについて諮問がなされました。その後、約1年に及ぶ審議を経て、環境大臣に新計画案についての答申が提出され、この答申を受けて、平成18年4月7日に第3次となる環境基本計画が閣議決定されました。本計画では、今後の環境政策の展開の方向として、「環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上」「環境保全上の観点からの持続可能な国土・自然の形成」「技術開発・研究の充実と不確実性を踏まえた取組」「国、地方公共団体、国民の新たな役割と参画・協働の推進」「国際的な戦略を持った取組の強化」「長期的な視野からの政策形成」といった6つの方向性が掲げられました。この方向に沿って、「地球温暖化問題に対する取組」「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」等、10の重点分野の政策プログラムをはじめとした施策が示されています。また、国、地方公共団体、事業者、国民など各主体に期待される役割が重点分野ごとに明示されるとともに、計画の実効性の確保に資するため、重点分野ごとの具体的な指標及び総合的環境指標を活用することとしました。

(3)環境政策における予防的方策・予防原則のあり方に関する検討
環境影響の発生の仕組みや影響の程度などについて科学的な不確実性が存在する場合における政策決定の方法として、近年国際社会においてもさまざまな議論が交わされている予防の考え方につき、条約や諸外国の検討状況等の情報を収集、整理し、報告書を取りまとめました。本報告書は環境省ホームページ上で公開しています。(http://www.env.go.jp/policy/report/h16-03/

(4)政府の環境管理システムの導入
第2次環境基本計画では、政府は率先して自主的に環境管理システムの導入に向けた検討を進めることとされており、平成17年度末までに、環境配慮の方針がすべての府省で策定されました。

(5)適正な国土利用の推進
国土利用計画は、全国計画、都道府県計画、市町村計画の三段階で構成されていますが、現行の第三次全国計画では、自然環境の保全を図りつつ、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを国土利用の基本方針として掲げています。国土の利用が基本方針に沿ったものとなるように、1)安全で安心できる国土利用、2)自然と共生する持続可能な国土利用、3)美しくゆとりある国土利用、の観点から環境保全と美しい国土の形成などに必要な措置を講じました。
国土審議会における検討を踏まえ、平成17年7月に国土総合開発法の抜本的改正が行われ、12月に国土形成計画法として施行されました。この中で、次期全国計画と国土形成計画(全国計画)を一体的に作成することとされ、9月に国土審議会に設置した計画部会において今後の国土利用のあり方等について検討を行いました。また、土地の利用をめぐる課題の抽出等指針性の向上のための基礎的調査を実施するとともに、市町村計画の活用方策について事例の収集整理・分析や、機能強化策について検討を行いました。
さらに、全国計画及び都道府県計画を基本として策定される土地利用基本計画に即して、公害の防止、自然環境の保全等に配慮しつつ、適正かつ合理的な土地利用の実現を図りました。


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