本文へジャンプ
国際的な森林保全対策

世界の森林を守るために

森林の持つ大切な役割

生物多様性の保全

森林には、樹木や草花などの多くの植物が生育しています。さらに、その植物の花や実を餌としたり、樹の幹や土の中などをすみかにしている動物がたくさん生息しています。これらの生物は森林という空間で非常に密接で複雑な関係を築き上げています。このため、たとえ森林が破壊されずに維持されたとしても、伐採などによる疎林化や断片化などの森林空間の変化は、そこに暮らす生物に大きな影響を与えかねません。

このように、森林は生物多様性を保全する上で重要な役割を担っていますが、世界の森林は年々減少・劣化しています。1990年~2015年の25年間に減少した森林面積は1.29億haといわれており、これは南アフリカの国土面積に匹敵します。大規模な森林減少が起こっているのは熱帯、とりわけ南米とアフリカといわれていますが、最近ではこれらの地域における森林減少速度も大幅に低下してきています。森林の減少・劣化をくい止め、次世代へ継承するための取組を加速させていくことが必要です。

出典:国連食糧農業機関(FAO)(2015年)「Global Forest Resources Assessment 2015」


気候変動の緩和

樹木は光合成によって二酸化炭素を吸収し、炭素を樹木内に蓄積します。また、落ち葉などの堆積有機物は微生物の働きによって徐々に分解されますが、しばらくの間は炭素を地表に貯留するため、二酸化炭素の大気放出は緩やかになり、さらに一部は高分子化合物として土壌の構成物となることで大量の炭素を貯留することになります。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書によると、世界の温室効果ガス排出量の約11%は、森林が農地など他の用途に転用されたことによるものとされています。また、気候変動の進行に対応し、森林を含む陸域、淡水及び海洋にすむ多くの生物は、生息域や季節的活動、移動パターン、生息数及び生物種間の相互作用を変移させているとされています。

森林の減少を抑制し、生物多様性が豊かで質の高い森林を守り増やすことで、森林による炭素の吸収の維持・増加や排出の抑制に寄与し、気候変動の緩和へ貢献することが期待されています。