小笠原諸島

保護管理

小笠原諸島では、生態系に関する課題を解決するための具体的な行動計画を示した「生態系保全アクションプラン」を国、東京都、小笠原村が作成して、保全管理を進めています。
小笠原諸島はその固有種の多さが世界的に評価されていますが、小笠原固有の生物の多くは、後から小笠原に人為的に導入された生物(外来生物)から身を守る方法を知らず、外来生物に食べられたり、生活の場を奪われ、急激にその数を減らしています。
小笠原諸島の世界遺産としての価値を維持するためには、外来種対策や固有種等の希少種の保護を進めることが、極めて重要です。このため、科学委員会の助言のもとで、動植物の相互のかかわりを考えて現状を評価し、随時、対策を見直す管理(順応的管理)が行われています。

遺産地域内の保護地域の面積
小笠原国立公園
特別保護地区: 4,934 ha
特別地域: 996 ha
  南硫黄島原生自然環境保全地域: 355 ha
(環境省所管の保護地域)

取り組み事例

グリーンアノール(外来種)

オガサワラシジミ

固有の昆虫類の回復のための対策

グリーンアノールは、1970 年代に父島に、1980 年代に母島に、それぞれ人為的に持ち込まれ、両島の全域に広がって、オガサワラシジミなどの希少昆虫類を捕食して減少させています。グリーンアノールが他の島に広がらないように、小笠原の海の玄関口である父島の港湾エリアでグリーンアノールの防除を集中的に実施し、港周辺の個体数を低密度に保つことで、グリーンアノールが船にまぎれ込み、他の島へ広がる危険性を抑えています。
また、母島の新夕日ヶ丘では、試験的に、グリーンアノールの侵入防止柵を設置し、柵内でグリーンアノールを集中的に捕獲するとともに、オガサワラシジミの食樹の植栽を行っています。その結果、柵の中では、オガサワラシジミや草地性の昆虫が増加しています。

アカギ(外来種)

ノヤギ侵入防止柵

在来植生の回復のための外来種対策

アカギ対策

アカギは、20 世紀初頭に薪や木炭の原料とするために小笠原に持ち込まれました。アカギは成長が早く、アカギが森林を優占すると、暗くなった林内では、在来の植物の成長が抑制されてしまうため、駆除が進められています。アカギは非常に生命力が強く、伐るだけでは根絶させることができないため、幹に薬剤を注入して枯らす取り組みが行われています。

ノヤギ対策

小笠原諸島のノヤギは、19 世紀頃に食料として人為的に持ち込まれたものが多くの島々に放たれ、野生化したものです。ノヤギは固有種を含む植物を食べ、地表を踏み荒らし、生態系に大きな影響を与えていました。小笠原諸島の無人島ではノヤギの根絶が達成され、現在は父島のみに生息しています。父島でもヤギの排除が進められており、特に希少な固有植物の宝庫である東平では、ノヤギの侵入防止柵を設置し、柵内のノヤギの捕獲を進めて集中的に排除しています。

ニューギニアヤリガタリクウズムシ(外来種)

泥落としマット

固有陸産貝類の保全対策

小笠原諸島では、侵入してきたニューギニアヤリガタリクウズムシなどのプラナリア類によって、カタツムリ類が捕食されています。ニューギニアヤリガタリクウズムシが侵入していない母島や無人島には、これを侵入させてはいけません。プラナリア類は、靴底や資材に付着する泥に紛れて拡散するため、来島者や島民へ靴底洗浄や食酢による殺虫を呼びかけています。特に父島や母島の港では、乗船口に、海水を染みこませた靴底用の泥洗浄設備を設けたり、遊歩道入口にも、泥落としマットや食酢スプレーなどを設置して、拡散防止の徹底を図っています。
また、すでにプラナリア類が侵入している父島では、絶滅の恐れのあるカタツムリ類を保護するために、室内での飼育(域外保全)を始めています。

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