奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島

顕著な普遍的価値

(x) 生物多様性
島の成り立ちを反映した独自の生物進化を背景とした、国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性の保全上重要な地域

豊かな生物多様性

世界遺産登録区域の面積は、日本の国土面積の 0.5%に満たないにも関わらず、日本の動植物種数に対して極めて大きな割合を占める種が生息・生育しています。例えば、維管束植物は 1,819 種(日本全体の 26%)、陸生・陸水性の脊椎動物は約740 種(約57%)、 そして約 6,150 種(約 21%)の昆虫類が生息・生育しています。
これらのなかには、IUCN レッドリストに掲載されている世界的な絶滅危惧種95 種のほか、環境省のレッドリストに掲載されている540 種以上の絶滅危惧種が含まれます。
また、ここでしか見られない固有種が数多く分布しています。特に、陸生哺乳類では62%、陸生爬虫類では64%、両生類では86% と極めて高い固有種率を示しており、サワガニ類はすべてこの地域の固有種です。このように、生物多様性の保全にとって極めて重要な地域となっています。

アマミスミレ

島の成り立ちを反映した独自の生物進化

このような生物種数の多さ、絶滅危惧種や固有種の数の多さと割合の高さは、琉球列島の成り立ちに深く関係しています。琉球列島はかつてはユーラシア大陸の東端を構成していましたが、地殻変動により、ユーラシア大陸から鎖状に分離し、小さな島々からなる列島が形成されました。この小さな島々に陸域生物が隔離され、独特で豊かな生物相を形成しながら進化していきました。このためこの地域では、容易に海を越えられない飛翔能力のない動物や植物で、固有種が多いのが特徴です。
固有種のなかでも、昔は広く大陸などにも分布していた生物が島々に隔離されたことで、大陸にいた共通の祖先が絶滅した後も昔ながらの形態をとどめながら生き残ってきた「遺存固有種」(アマミノクロウサギ、ケナガネズミなど)や、各々の島の環境に適応するよう独自の進化を遂げた「新固有種」(トカゲモドキ類、ハナサキガエル類など)は、島の成り立ちを反映した生物進化の過程を示す代表的な固有種です。

ハナサキガエルの島ごとの種分化

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