生物多様性の観点から重要度の高い湿地(略称「重要湿地」)

「重要湿地」選定の目的

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選定地の詳細な情報は、「区分名」→「都道府県名」→「湿地名」の順で選択していくと確認できます。

湿原・干潟等の湿地の減少や劣化に対する国民的な関心の高まり、ラムサール条約における湿地定義の広がりなどを受けて、ラムサール条約登録に向けた礎とすることや生物多様性の観点から重要な湿地を保全することを目的に「日本の重要湿地500」が平成13年に選定結果が公表され、すでに10余年が経過している。

これまで、「日本の重要湿地500」は、保護区の設定や開発案件における保全上の配慮を促す基礎資料として活用され、我が国の重要な湿地の保全を推進する役割を果たしてきた。例えば、北海道においては、「自然環境保全指針」を策定する際、重要湿地であることが重要な要素として公表され、自然環境保全に効力を発揮した事例がある。

また、ラムサール条約の潜在的な候補地を選定する際や、環境アセスメントの基礎資料として活用された事例もある。

しかしながら、近年の湿地環境の急速な変化、特に東日本大震災の影響、人的開発行為や保全管理の不足等による湿地の劣化、地球温暖化や外来種の侵入に伴う湿地環境の変化などから我が国の重要湿地は、選定当時とは状況が大きく変貌しており、現状を踏まえた見直しの必要性が高まっている。

また、公表後に自然環境行政に関する法律や制度の体系も進展しており、平成24年9月に閣議決定した「生物多様性国家戦略2012-2020」において、「日本の重要湿地500」を見直すことが基本戦略や行動計画に掲げられることとなった。

幾つかの湿地では、自然再生推進法に基づく自然再生の取組も行われるなど地域住民が当該湿地の貴重な生態系を意識した取組も進められており、情報を更新する意義は大きいものと考えられる。また、社会環境や自然環境の変化に対応して、生物多様性の確保、科学的基盤の強化や湿地の保全管理などの基礎的な情報として、「日本の重要湿地500」を改定することで引き続き貢献していくことが望まれる。

こうした背景を受けて、環境省では地域住民等が湿地の重要性を認識し、湿地保全・再生の取組を活性化することを目指して、情報収集のための基礎調査を行い、生物多様性保全や自然再生等の観点から有識者の意見などを踏まえて、「日本の重要湿地500」の見直しを行った。