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平成20年度第3回議事録要旨

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第3回環境省政策評価委員会 議事録要旨

1.日時: 平成21年3月2日(月) 13:30〜15:30

2.場所: 環境省第1会議室

3.出席者

−委員−

(委員長)

須藤 隆一

埼玉県環境科学国際センター総長

 

井村 秀文

名古屋大学大学院環境学研究科教授

 

大塚 直

早稲田大学法学部教授

 

河野 正男

中央大学経済学部教授

 

崎田 裕子

ジャーナリスト・環境カウンセラー

 

堤 惠美子

株式会社タケエイ 上席顧問

 

藤井 絢子

滋賀県環境生活協同組合理事長

 

山本 良一

東京大学生産技術研究所教授

 

鷲谷いづみ

東京大学大学院農学生命科学研究科教授

   

 

[欠席]

 

細田 衛士

慶應義塾大学経済学部教授

 

三橋 規宏

千葉商科大学政策情報学部教授


−事務局(大臣官房)−

南川大臣官房長、 森本総務課長、 後藤会計課長、
三好秘書課長、紀村政策評価広報課長、 他


−環境省各局部−

金丸企画課長(廃棄物・リサイクル対策部)、梶原総務課長(総合環境政策局)、
弥元企画課長(環境保健部)、木村総務課長(地球環境局)、
岡部総務課長(水・大気環境局)、岩井総務課課長補佐(自然環境局)

   

4.議題:

(1)平成21年度環境省政策評価実施計画(案)について
(2)その他

5.議事録要旨  

議事録要旨

〔議事録要旨〕

【須藤委員長】
 議題1、平成21年度環境省政策評価実施計画(案)について、事務局の方から説明をいただき、意見交換をしていきたい。

(事務局より資料説明)

【崎田委員】
 無駄削減は一納税者から見れば、色々な報道の結果からみて、無駄をしっかり削減するというのは大変重要なことだと思っている。ただし政策の実施に関しては、環境省の政策は大変重要なものであり、予算をもっと増やすように努力していただきたい面もあり、メリハリをつけて運営していただきたい。特に広報費用等は成果を定量化しにくく必ずやり玉にあがるが、国民に大切さを伝えることも大事であり、是非頑張っていただきたい。

【須藤委員長】
 議題の2、その他について、非常に重要な、規制の事前評価についてである。

(事務局より資料説明)

【須藤委員長】
 規制の事前評価の実施に当たっての留意点の検討については、政策評価委員会の手法検討部会で議論した。部会長の井村委員から説明、発言をお願いした上で、順次委員から発言をお願いしたい。

【井村委員】
 一点目は、環境分野における評価について、費用・効果の把握手法が、まだ必ずしも完全に開発されていないという問題がある。それから、二点目は、せっかくアイデアや方法があるものの事例が非常に少ないということもある。この二つのことが重なって、日本の環境行政において、評価を実施する場合なかなかやりにくい、手法がはっきりしない。、実際には色々提案されているが、それを使って実際に行った例というのがあまりないので、本当にこれで良いかとか、数字を公表するとそれが一人歩きするような恐怖もあるのでなかなかやりにくい。それを国民に発表してこれを使っていこうというというような雰囲気がきちんと出来ていない。このようなことがミックスしてあると思う。
 一点目の手法については、実はここにかなりテクニカルなものがたくさん入っているが、色々整理すると、手法は結構あるということがわかった。
 二点目の適用については、8ページ以下の表を見てもそうだが、外国の事例が多い。若干日本の例もないわけではないが、ほとんどがアメリカ、イギリスなどで、日本は、こういうところから借用して実施するという考えもある。温暖化対策とかオゾン層の保護等地球的な規模の問題であれば、外国のケーススタディを持ってきて、日本において活用できるが、日本独自のものは、日本独自の条件で行う努力をしないといけないが、その辺の蓄積がない。
 それから費用の問題は、いくら費用がかかるかという計算は比較的容易と思うが、便益の方が大変難しい。下手するとコストだけが出てきて、便益は波及効果として発現し、すぐには出てこないかもしれないというような問題も懸念される。それから分析手法は、経済学の方法だが、ミクロの経済学とマクロの経済学のうち、どちらかというとミクロ分析の手法が多い。ところがオバマさんのような話では、マクロ経済の話になってくるので、今までの既存の分析方法ではあまりミクロ的過ぎて、マクロな経済分析には向かない。地球温暖化対策というものはマクロ的な経済分析が主であり、また違った経済モデルを使った分析も開発しないとやれないというような状況である。
 部会の中では我が国独自のものは、環境省の原課で検討・工夫することはもちろん必要だが、研究的にも事例を積み上げる必要があること。出来る限り色々な方にケーススタディをたくさん実施してもらい、事例を積み上げる努力を早急にやらないと環境行政の中で採用しようと思っても、蓄積がないという不安がある等の議論があった。それから、定量的と定性的については、どうしても定性的に頼らざるを得ないこともやむを得ずあるという意見が出ている。しかし一方で定量的に実施するようにという強いプレッシャーもあり、出来る限り定量的に実施するように努力しつつ、定性的な手法を活用すべきという意見があった。ただ、もう少し研究者層を厚くして、もっと事例分析、ケーススタディを早急に用意した方が良いのではないかという方向性も示された。

【河野委員】
 環境分野の評価はなかなか難しいということは良くわかったが、事前評価については、直接的な効果があり、それから波及効果を便益としており、便益を金額で測定し、効果の方は物量でいっているというように感じる。それで、まずは直接的な効果から事前評価を進め、便益を含めたB/C、コストと効果の測定を比較した評価は、その次の段階というふうに理解できる。この場合にB/Cまで入れた方が事前評価としては高い段階というふうに考えるのか、直接的効果だけを考えるのか、B/Cは補足的なのか、B/Cを含めた、金額の費用対ベネフィットの金額効果の方がより包括的な効果というように考えているのか。
 直接的な効果から、プラス波及効果に進むのがレベルアップというようなイメージがあったが、そうではないのではないか。基本的には、直接的効果の測定でレベルアップし、それから、波及効果でレベルアップすることが考えられる。波及効果が使える対象分野があれば、それを使うということで、この例で言う右に行くことがレベルアップというようには考えなくてもいいのではないか。
それから金額的な評価の場合に、規制のコストはベネフィットを測定するよりは、それなりに把握しやすいだろが、どの範囲まで入れるかとなると、それはまた結構コストを使うので難しいと思う。ベネフィットは、井村先生から話があったが、コストが先に発生して、効果が後から発生するため、割引率を用いるとコストの方は割と過大に評価され、ベネフィットは小さくなってしまうということがあるため、5ページに書いてあるが、いくつか計算して、レンジで示すというのも一つの方法かと思う。企業会計でも最近、資産除却債務の会計ではなかなか将来の費用の発生予測が難しいので、ある範囲で測定してみるということをやっている。レンジでやるというやり方は妥当と思う。かなり長期に費用が発生したその後に、発生する効果をどうやって掴むかは、割引で良いのかという問題はあると思う。これはどちらかというとミクロの手法だと思う。感度分析というとこれはIO分析を使うのか。 

【井村委員】
 そういう手法が使えるということもあるということはある。IOでもやれるし、大阪などでは結構やっているので、マクロ経済的に捉える大きさの問題であれば有効だと思う。

【河野委員】
 何となくミクロとマクロが一緒の枠の中に入っており、もう少し整理した方が良いのかと思う。

【崎田委員】
 事後評価書に関しても大変苦労して作っていて、今後事前評価も実施しなければならない。評価のための評価で苦労するのではなく、環境政策を推進することに活かすための事前評価という視点でこの制度を活用する必要がある。具体的には、事前に評価をするということは、例えば、他の国の同じような政策の事例をできるだけ定量的に評価して、審議会に提出することを想定しているが、そのことにより審議過程の客観性を高めるということにも繋がると思う。
 そういう意味で、審議過程の客観性を高めることや、見直しにも非常に効果を挙げるというような仕組みにしていただきたい。
 そういう中で、環境政策の評価の仕方がまだ十分に開発されていないという話が、井村先生からあった。例えば、同じような制度の研究・検討で、外国では非常に効果が挙げられている仕組み・政策が、日本の風土になじまないことが環境政策には多くあるものの、外国の同様の政策をできるだけきちんと評価の事例に入れていくというような視点も持っていただければと思う。もう一つ、CO2の側面からはあまり評価の差はないが、将来の資源制約や資源を大事にするということを考えると大事な方向性というものもあるので、できるだけ丹念に評価をきちっとやっていくということが大事だと思う。

【堤委員】
 廃棄物の方から見ると、不況で廃棄物処理業の業界も未曾有の試練の中にある。さらに、排出事業者の方も同じであり、要求がかなりきついものになってきている。その結果、価格競争が激しくなっている。そういう中で恐れているのは、不法投棄の防止というのは項目には挙がっているが、不法投棄にひと括りにはできないような不適正に近い、低質な処理を生みやすいというリスクが大きくなっていると感じている。いま、廃棄物処理に求められているのは、物質循環・適正処分・低炭素化が三位一体となって持続可能な社会を担う仕組みの確立と考えている。ゆえに、この時期、適正処分すなわち安心・安全の施策と評価だけは揺るぎのないものにしていただきたいと思う。
その意味で、この分野の定性的評価は重要と思っている。記載の具体的項目を読んで少し安心している。この先、より深い掘り下げた定性的な評価が一般にもひろがり、データも蓄えられていくことで説得力のある定量的評価が実現することを期待する。

【藤井委員】
 井村委員の話の中に、手法そのものが未開発であるとか、実施事例が少ないというのは、大変ショックな状況である。そんな中、国を越えて、各都道府県を含めての自治体の中で、上乗せ規制をする場合の評価事例はどのぐらい把握しているか。それから、8ページの資料中に、各国の例などを含め、経産省とか農水省とか各省庁の名称があるが、各省庁で類似している手法があれば、具体的に明示して欲しい。地球温暖化の問題についても、各省庁が取り組みをしているが、環境省はその統合的なインテグレーターの立場で規制の事前評価は高い位置でやっていただきたい。そのくらいの意思を持って、環境省ができるように応援したいと思う。

【山本委員】
 大変難しい問題だが、何が価値かというところが非常に重要な問題で、環境省が所管するのは、Sustainable Valueというところをきちんとしなくてはいけないと思う。経済的価値ばかりを大きく取り上げて事前評価を行うということは、非常に大きな問題がある。
 また、事前評価を行う時のタイムスケールが極めて重要で、地球温暖化の問題では、長寿命温室効果ガスというのは、例えばCO2の場合は、今回のIPCC第4次のレポートにも書いてあるように、一旦排出すると、その5分の1は千年以上大気中に漂い、実質的に残留する。また、大気中の温室効果ガスの濃度を一定に保つことに成功したとしても、温暖化の影響は千年規模で続く。そのことをきちっと取り入れるのか、取り入れないのか、そこをまずはっきりさせる必要がある。それから、資源枯渇の問題にしても、これは資源によって状況は違うわけで、しかも、評価の手法というのは様々ある。ここも相当注意を支払わなければならない。さらには、毒性物資、有害化学物質の環境中の蓄積の問題も、これも相当、時間的に考えなければならない問題である。
 さらに、鷲谷先生が後でお話されるだろうが、生物種の絶滅をどう考えるのかという問題があり、これは、経済的価値だけでは計り知れない、捉えられない問題である。そのため、環境省が事前評価を実施する場合に、その限界をきちっと前提にした上で、経済的価値でB/Cをやるのならば、そのB/Cも取り入れるべきと考える。最初から、限定括弧付の評価を行うということをまず、明確にされたほうがいいと思う。最後に、安全保障のリスクをどう考えるのかという問題、環境安全保障は極めて重要な問題で、これは、単に百万円かかるから止めるという話ではなくて、いくら金がかかってもやらざるを得ないかもしれないという問題がある。
 私は、この会議に呼ばれた時に発言しているが、昨年11月にGwynne Dyer が、Climate Warsという本を出した。この本のベースになっているのは、2007年の11月にアメリカの2つのシンクタンクがまとめた、The Age of Consequencesという、要するに、結果の時代、アメリカの外交政策及び、National Securityの外交政策に及ぼすClimate Changeの影響というのが、Climate Warsの下敷きになっている。やっと我が国の防衛省も半年をかけて報告書をまとめて、1月にできたばかりである。気候変動が安全保障に及ぼす影響については、英、米、独、日、いずれも、気候変動の問題はNational Securityの問題であり、環境安全保障を我々は正面から捉える時期が来た。先ほどの40の目標に環境安全保障がないというのは、もう、時代に全然ふさわしくないと私は思っている。従って、この環境安全保障の問題をきちっと考えて評価を行わなければならないと思う。最後に、これを実施するには、連合艦隊を編成して、すぐ計算させるというのではなく、常備艦隊を必要とするわけで、国立環境研に100名くらいの研究集団を常備研究させるようにしなければ対応できないと思っている。

【鷲谷委員】
 割引率の設定について、持続可能な・サステナビリティは後の世代の環境を重視しているということだが、割引率がそれとは矛盾していると思う。サステナビリティの追求と割引をどう考えたらいいのかというのをきちんと整理する必要がある。それから、手法、データが不十分の段階では、評価に手間隙がかかり、本質的な評価じゃないところ、つまり、手法・データがあるところに流れてしまって、本質的なところを見失ってしまうことが危惧される。それから、自然環境に関し、使用価値とか、存在価値を評価すると、絶滅する恐れがあるというのは、限界的な価値が次第に無限大になっていく。そういう価値をどう扱うかという問題もある。

【大臣官房長】
 フリードマンのような、そのリバータリアニズム、国家が極力規制、公共事業によって関与しないということが大事だという議論がずっとあり、それが格差を生んでいるということがひとつ大きな経済政策の流れになってきている。そういった中で最近、トマス・フリードマンがHot, Flat, and Crowdedという本を書いている。彼自身がこれからの大きな問題が5つあるという中で、3つが環境問題である。Climate Changeによる温暖化の問題、バイオダイバシティの減少、化学物質などによる安全の問題が大きな問題になっている。環境問題の専門家でもない方が、環境問題を大きな問題と捉えていることに、社会の動きを大きく感じている。
 経済分析は難しいが、ぜひ環境省の国環研といったところで、常備部隊らしきものを設けて環境対策と経済分析をしっかりとやっていきたいと考えている。
 例えば、ドイツが中心となってGEEB (Gene Economics & Ecological Biodiversity)という生物多様性の経済学というものが進んでいる。フェイズ1は終わっているが、フェイズ2は共同実施を申し入れており、生物の多面性から、環境問題の経済的側面に正面から切り込みたいと考えている。去年の初め、ガソリン税の上乗せ部分を下げるのか維持するのか、という議論で、上乗せ部分をやめた場合に、短期的にどれだけCO2が増えるか、あるいは、長期的にどれだけ増えるかという分析も行ったが、比較的粗っぽい分析しかできなかったという反省がある。
 できれば、スタンがイギリスで行ったようなもっとマクロ的な分析を行い、そのような経済分析を本格的に積み上げて社会の利を得るような対策を進めたいと考えている。ミクロの問題では、例えば、家電製品は買い換えたほうが環境にいいのか悪いのかという議論がある。これはパーツ・パーツの議論であるが、これらを全体としてくくったような説明もできるようにしたいと考えている。我が国の経済にとっても、元々低炭素社会を目指すというのは、我が国が温暖化の影響を受けるというのをいかにして少なくするかという問題であり、元々資源のない国であるため、小さな資源で経済がしっかりと動き、成長すれば、経済がもっと強くなるということである。そういった意味で、幅広い意味での安全保障は対応していくべきだと考えている。

【政策評価広報課長】
 委員の皆様からあった環境安全リスクまで考えて、とか、自然共生の話、そういうことも考えてという話、それから、単に経済的側面だけではなく、千年単位という長期間の視点を持ち、様々な施策面から考えないといけないというご指摘はその通りだと思う。環境問題は相当複合的、長期的に見ないといけない。政策評価の柱である大きな9施策を見ても、中身が変わってきているし、ひとつのブロックの中から、例えば地球温暖化についても、どういう規制をやるかによって、どういうタイムスパンでやるのかとか、どういうファクターを考慮しなくてはいけないのかということについては異なる。鷲谷先生の指摘のように、データが取りやすいから、そちらに傾斜しがちだということは、よく留意しておかないと、起こり得ると思っている。最終的には、こういう形の定量評価があって、このやり方が最高だという一点決めではなく、経済以外の部分を含めた全体の定性的な部分の評価があり、部分について定量評価があり、その時に、単に直接効果だけを見るのか、B/C等を含めるのか、どれが最適になっているのかということについて、実はものによってずいぶん変わってくると思うので、そういったことを念頭に置いて対応していきたい。
 諸外国、他省庁の例を調べたが、他省庁の例では、便益の部分でトライしているようなものがある程度で、地方自治体の横だしとか上乗せで細かい規制の事前評価をやっているという事実は掴みきれていない。いずれにしても、型にはめたようにやると間違う可能性もあると思っており、項目を選びながら、一度実際に落とし込んだらどうなのかというのを事例を出して、やり方をしっかりと検証した上で実施するという、ステップバイステップで対応していくことを考えている。
 個々の話では、崎田委員から、温暖化だけではなくて、リサイクルとか複合的なものをというご意見があったが、一つの切り口ではなくて、他のものも含めてみることが重要であり、評価のための評価では仕方ないと思っている。施策を立て企画立案する際に、事前評価もやらなければいけないという流れの中で、そこから得られるマテリアルをいかに使って、しっかりとした施策を作るということは重要であり、情報収集が肝要と思っている。
 それから、気概としては、環境省が環境政策全体のインテグレーターという意識に立ちながら、できる限りの対応をしていきたいと思っている。割引率は、将来の価値の部分を現在に引き戻して計算をする時の話であり、サステナビリティをしっかり踏まえ、後世代のメリットを評価する調整がつけば、サステナビリティと割引率のコンフリクトは起こらないのではないかと思う。それから、井村部会長、山本委員からも徹底した体制を敷かないと評価できないのではないかという指摘があった。世界に貢献する環境経済の政策研究ということで、4億円ほど予算が認められているが、その中身の一つが環境と経済の基盤的情報の把握とか、提供ということになっており、その中で政策評価の部分を念頭において、環境と経済の発展のための政策手法の開発とか、評価に関する研究というのが非常に有力なテーマとなっている。今後、こうしたものを活用しながら精力的・継続的な研究ができるような体制を目指していきたいと考えている。

【地球環境局】
 地球環境問題に関して、政府全体で2020年の中期目標の検討をやっているところだが、対策を積み上げていって、どこまで削減できるか、そのコストがどのくらいになるか、というような検討を行いつつ、他方で、マクロ経済への影響についても議論をしているところである。そのとき、矛盾を感じる部分がある。マクロ経済への影響は、2020年時点で例えばGDPにどのような影響があるかというようなことになるが、そういう影響分析をすると必ず、GDPに負の影響があるというような結果が出てくる。他方で温暖化対策を進めるということは、グリーンニューディールのように、経済成長とか、雇用に繋がるのではないかという捉え方、低炭素社会を作っていく投資であるという部分が、なかなかメリットとして現れてこない。
 それから、対策のコストと、対策をとらない場合のコストを合わせて考えていかないといけないと考えている。対策をとらない場合のコストは、例えば2020年までに対策をとった、とらないの影響というのは、2020年に出てくるわけではなく、2050年、あるいは、もっと長期に出てくることがある。そういう長期のコストはどういうように算定するのか。
 それから、影響の中身を見ても、洪水が増えるということで、堤防をかさ上げしなくてはならないというような部分については、一定程度、コストとして金銭的に表すことも可能だが、例えば、生態系への影響というようなあらわしにくい部分をどのようにするかが、大きな悩みであり、例えば計算できるところだけを計算すると、対策をとるコストに比べると影響分析が小さくなってしまうということになりかねない。
 それから、割引率をどうするかということについても、例えば、スタンレビューでは、対策を取らない場合のコストが大きいというように定量的な試算結果が出ているが、割引率のとり方がおかしいのではないかという批判もある。長期にわたる問題のコスト、便益の評価は、まだまだ検討しなくてはいけない問題が多い。
 そういう中で、今は、中期目標をとにかく出さなくてはならないという中で、できる範囲で分析を行っているが、それで十分なのかというと、決してそうではない。そういうものに対して、さらに適切な分析を行えるようにする手法の開発とか体制の整備とかいうのは非常に重要だと考えている。

【水・大気局】
 規制の事前評価について、地方公共団体の取り組みについて議論があった。水・大気局の従来のアプローチは、例えば、大気であれば、首都圏で窒素酸化物、粒子状物質が健康に影響する意味で、大気中の環境基準をまずクリアしなくてはいけないという政策の目的そのものは所与のものとして、それをどういう手段で達成するかについて、自動車の新車対策と使用過程車のバランスと、新車対策については、どのような方法で減らすのか、ディーゼル車を減らすということなのか、低公害車なのかという手段の意味で定量的な手法を使い、一台あたりの排出原単位、交通量データについては、都道府県と共有しながら行っている。データは特に都道府県がこの部分、国がこの部分をやるというのではなく、合わせて総力戦でやるというのが今までの取り組みである。
 水の関係についても、東京湾であれば、COD、窒素、リンの環境基準を達成できていないのでそれをなんとか減少させるため、生活廃水、産業系か農業系かという、どのようなセクターでやっていくかという部分で定量的な手法を使うものである。そういう意味でこれからも手段をどう選ぶかというところで定量的な議論を深めていくのかなと思っている。他方それを越えた環境政策の広がりから、先進的な都道府県の条例策定などもありえ、屋上緑化、その他いろんな政策の評価がありえるのだと思うので、意識的に調べていきたいと思う。

【自然環境局】
 生物多様性は、非常に広大であり、数量的にはなかなか把握できない部分も多々ある。来年はCOP10があり、非常に重要な位置にいる。そういう中で、政策プランの効果を挙げるということで、絶滅種の保存などは、経済的価値だけでは計り知れないという部分があると思う。いずれにしても、来年の生物多様性のCOP10を含め、成功するために政策の効果・政策の精度を上げながら進めていきたい。

【廃棄物・リサイクル対策部】
 不法投棄の件では、まず、不法投棄については不法投棄アクションプランを実施して、平成21年には、衛星を活用して、見逃すことがないよう徹底的にやっていこうと考えている。今、許可されていないところへの不法投棄は監視をしているが、許可されているところに、基準以上に積んでいるという不適切な処理についてもしっかりと監視していこうと考えている。

【総合環境政策局】
 環境と経済のことだが、基本的には、個々の環境政策の経済的な評価、あるいは、色々な経済的な制約が個々の環境政策にどういうような影響を及ぼすのかについては、その政策を提案するサイドでやっていただく必要があると思う。ただ実際上は、環境と経済のマクロの関係をしっかりと整理して、ものの考え方、モデルを持っていないといったような問題がある。そういった環境省のモデルを1つ持っていないといけない。
 例えば、典型的には、資源の高騰や、石油の高騰がどのように環境政策の姿を変えていくのかとか、温暖化対策等という大きな話の流れの中でいくと、それが経済への影響や、生物の多様性というようなことはマクロの構造解析をしっかり行い、モデルを持つことが重要である。また、環境ビジネスがこれから大きくなっていくが、これについての情報があまりにもない。ただ、予算の範囲で、どれほど実施できるかはわからないが、そのような観点で、ひとつの武器を持っていこうと進めている。

【環境保健部】
 特に規制が絡むのは、化学物質の分野だと思う。化審法の改正を国会に提出するに当たり、事前評価もやれる限りのことをやってみた。制度ができて、個別の物質を政令で指定して規制するという場合には、あらかじめリスク評価を行った上で、場合によっては、製造禁止にも繋げていくので、その時は定量的にものを言えると思うが、制度の枠組みを作る時には、なかなかものが言えない。今回、事前評価としては、EUで始まっているREACHの制度を代替案として比較対照してみた。化学物質の影響を受けやすいのは、やはり、子どもであり、小児、胎児への化学物質への影響をしっかりと改めて見る必要があるため、政策の柱を立てて進めていこうと思っている。あまりデータ集めに一生懸命なり過ぎるあまり、規制が遅れるというようなことがあってはならないが、どんな影響があるからこの物質を規制するのか、というようにデータを一生懸命集めて、根拠をしっかり持った上で、制度化・規制というようなところにいけるように流れを整理していきたい。

【大塚委員】
 良いものになったというように思っている。資料2については、今議論があったように、環境関係は、例えば、自然の原理的価値のように、定性的な評価しか実施しにくいものもあるので、それを無理をして定量的に評価しようとしてもできない。そういうものも考慮しながら、全体としては、規制の定量評価を行っていくという方向性が出ており、妥当なものになったと思っている。それが第1点である。第2点としては、例えば温暖化に関して問題となるように、通常と同じように4%の割引率を用いることは、将来の環境保護については実際的にはあまり適合的でないのではないか、将来確実に重要となる環境問題について大きくカウントしない結果になり問題ではないかということがあるが、この点についても書かれており、適切な表現と思っている。第3点については、環境ビジネスと関係するところだが、波及効果に関しては、できるだけ算定できれば算定したほうがいいと思うが、当分難しい面もあるということでこういう書き方になっており、これも現実や実態を踏まえたやむをえないものだと考えている。

【藤井委員】
 この議題から離れるが、発言したい。地域で活動している中での実感でだが、今の状況で、温暖化の問題だけではなく、一次産業の問題を含めて間に合わないという感覚が大変強いと思う。その中で、元気に活動しいているところをつないでいき、新しい時代を切り開いていこうという動きもある。その時に、Low Carbon Society を作るために活動しいているのではないという意識が大変強くて、サステナビリティが前提に立つと思う。その中で、電促税の関係で、原発を含めての立地について、環境省が、太陽光発電をぐんと広げるために買取法の話を出し、施策を展開するのかと思ったが、経産省が余剰電力の倍額買い取りを10年間やるといったとたんに、声が小さくなっているような気がする。
 私たちは、2003年に東近江市において、2030年50%CO2削減という目標を立てて、市民、研究者、それから事業者など色々なチームを組みながら活動しいている中で、具体的にフィードインタリフを1997年以前に私たちが提案している。それを柱に据えると同時に、森から里に、里山、田んぼ、川から、湖までの流域管理をどういう形でやるかという検討に入っている。東近江市の場合は、合併したことで、永源寺の山から能登川の湖まで繋がったので、その中でやっていきたいと考えている。その時に、エネルギー対策の特別会計がでて、そういうものを原資として、新しい仕組みを買い取りの中に活かすような手法が見つからないかということも含めて検討している。RPS法とか、グリーン電力証書とかいうような、前に出された法律が大変足かせになっているが、太陽光発電1つとっても、それを超える方針をきっちりと宣言して欲しいと思っているところである。

【須藤委員長】
 この問題は、中央環境審議会地球環境部会でも審議している問題だと認識している。環境省でもRPS法が足かせになっているとまでいっているかはわからないが、買い取り制を進めていく方向は出していくということは理解している。

【総合環境政策局】
 フィードインタリフ固定買い取り制度というのは、従来から重要で有用な施策であるとして、環境省は常日頃からぜひ導入すべき施策だということで、中環審の地球環境部会でも、紹介させていただいている。経済産業大臣が打ち上げた買い取り制度については、まだアイデア段階であり、詳細な設計は今後だと思うが、私どもとしては、世界が大きく変わったという意味で評価をしていきたいと思っている。RPS、証書、買い取り制度のそれぞれのいいところ取りをして、意見も常に経産省にも出しながら、一緒にいいものを作っていきたいと思っている。非常に極端な話が、RPS法でもRPSの目標値がどんと高くなれば、それに伴って、電力会社は集めてこなくてはならないということになり、それでも済むが、IAEAの考え方でも、まだ発電コストが高いエネルギーについては、フィードインタリフのようなものが良く、ある程度、競争力があるものはそれ以外のRPFのようなものがいいという考え方もあるので、ぜひそのように進めていきたい。

【崎田委員】
 固定価格買い取り制導入の話では、総合資源エネルギー調査会に委員として入っているが、あれは、大激震であった。経済産業大臣が政治判断で太陽光に対して導入するという判断したことがいかに大きいことか。環境省はじめ関係する方々が応援する体制をとり、あるいは、今検討を始めた制度がより良い制度になっていくように、情報を出していくということが大変重要なことだと思っている。新エネルギー部会でも、経済産業大臣の記者会見を受けて、会議を数日前にやったばかりである。これからも政策は省庁の連携で変えていくということが大変多いと思うが、事前評価にあたっても、うまく連携をしながら、環境省が明確な意思表示をしていきながら、他の省庁の政策に環境の視点を入れていくということは、非常に大事だと思っている。そういうところを含めて、政策評価も省庁連携した環境への取り組みがわかるように一緒に広げていただきたい。
 なお、今回、国民にわかりやすい観点からの検討というのが2回くらい出ている。それで、国民にわかりやすい観点とはどういうものかという検討は大変ありがたい。先ほど官房長が事例として例えば国民へのCO2削減のための情報提供としては家電製品をどのくらいで買い換えたらいいのかというお話があったが、このようなものがわかりやすい。言葉が優しくなるというだけではなくて、国民目線とか、暮らしの中でどう考えたらいいのかというようなことを伝えていくのがいいと思った。

【須藤委員長】
 ちょうど予定していた時間になったので、これで、本日の審議を終了させていただきたい。

以上



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