1.日時: 平成19年8月9日(木)13:30~15:30
2.場所: 合同庁舎5号館22階 環境省第1会議室
3.出席者
-委員- |
(委員長) | 須藤 隆一 | 埼玉県環境科学国際センター総長 |
| 河野 正男 | 中央大学経済学部教授 |
| 崎田 裕子 | ジャーナリスト・環境カウンセラー |
| 三橋 規宏 | 千葉商科大学政策情報学部教授 |
| 山本 良一 | 東京大学生産技術研究所教授 |
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| (欠席) | |
| 井村 秀文 | 名古屋大学大学院教授 |
| 大塚 直 | 早稲田大学法学部教授 |
| 佐野 角夫 | ソニー株式会社社友 |
| 藤井 絢子 | 滋賀県環境生活協同組合理事長 |
| 細田 衛士 | 慶應義塾大学経済学部教授 |
| 鷲谷いづみ | 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 |
-事務局(大臣官房)-
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小林大臣官房長、鷺坂大臣官房審議官、小林秘書課長、三好総務課長、
細川会計課課長補佐、柴垣政策評価広報課長、他 |
-環境省各局部-
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角倉企画課課長補佐(廃棄物・リサイクル対策部)、後藤総務課長(総合環境政策局)、
目々澤係長(環境保健部)、梶原総務課長、小森総務課課長補佐(地球環境局)、
岡部総務課長(水・大気環境局)、中村総務課課長補佐(自然環境局) |
4.議題:
(1)平成18年度政策評価書(事後評価)(案)について
(2)その他
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5.議事録要旨 |
〔議事録要旨〕 |
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(各委員紹介・配布資料確認)
(大臣官房長挨拶)
(事務局より資料説明)
【須藤委員長】
前回の委員会における先生方のご指摘に対する対応方針、それからパブリックコメントに対する対応方針の報告と、それらを踏まえた評価シートの修正箇所について説明頂いた。
対応方針についてはご指摘どおりになっていないところ、もっと深掘りすべき表現があるかもしれない。順番にご意見をいただきたい。
【山本委員】
第1回の委員会以降、地球温暖化の問題について情勢が変わってきている。
1つは、柏崎刈羽の原発の停止があって、日本は炭酸ガスの排出量が確実に増える。
一方で、排出量取引制度については、オーストラリアが2011年から全面的に導入するということが新聞で報道されている。
さらにスイス、ニュージーランドも検討しているということで、ますます日本の孤立化が明瞭になってきたと思う。
前回、各委員からご意見が出されたが、ベストポリシーミックスで臨むほかないわけで、日本はこの点が非常に遅れているのではないか。
排出量取引制度だけで問題が解決できないのは明らかである。だから、炭素税、排出量取引制度、数値的な削減目標値の明示・設定など、政策の総動員をやっていかなければいけない。
日本の産業界、日本経団連は4月17日に見解を明らかにしている。その後、電事連、鉄鋼連盟がそれぞれ、排出量取引制度に対して導入反対という文書を広範に配布している。
さらに、2日前は経済産業省の事務次官が、排出量取引制度の導入は考えていない、と否定的なことを新聞で述べていた。環境省の事務次官の見解は、私が見た新聞では報道されていない。
評価シートには総合的に検討するとばかり書いてあるが、国民は非常に不安だと思う。
サミットが1年後に迫っているが、日本は国内の政策的取組、社会の仕組みづくりの部分で、ヨーロッパに遅れを取っていると言わざるを得ない。
日本がサミットをやってリーダーシップを発揮できるのか、大変心配である。
チャールズ皇太子が環境家計簿を付けているという、最近読んだニュースに感銘を受けた。
環境経営を実践していて、チャールズ皇太子及びそのスタッフ136人の年間CO2排出量は3,425トンで、前年度に比べて9%削減したという。
その3,425トンも、3万ポンドを支払ってカーボンオフセットしたということが、大々的に世界で報道されている。まさにロイヤルファミリーがイニシアティブを取っている。
特にチャールズ皇太子は、ダッチー・オリジナルズという有機農産物を生産する小さな会社を経営されているが、有機農産物といえどもライフサイクルでどのくらいCO2が出るのか計量する必要があるということで、昨年12月にAccounting
for Sustainability(アカウンティング・フォー・サステナビリティ)というプロジェクトを開始した。
このプロジェクトには、ブレア首相、ロンドン大司教などさまざまなイギリスのVIPが参加していて、既にインターネットにその中間報告書が公表されている。
これに刺激を受けて、イギリス大手スーパーのテスコのCEOが、7万点の商品全部にCO2のラベルを付けるという宣言をした。
このように、国が総力を挙げてこの地球温暖化問題に取り組むということを、特にヨーロッパ諸国からは感じる。
我が国は、このくらいの取組で来年の洞爺湖サミットでリーダーシップを発揮できるか、きわめて心配である。
炭素税が必要だ、義務的な排出量取引制度が必要だということを、各国の取組を含めて文書にして大宣伝をし、環境省がステートメントを出さないといけない。
第2点は、環境ビジネスの問題である。49ページに環境ビジネスの調査結果を掲げており、平成17年度現在で市場規模44兆円、雇用規模103万人と推定されている。私は非常に気になっていることが2点ある。
第1点は、日本国内では、産業界及び政府から、日本の環境技術は世界一だ、これをもって環境立国をして世界に貢献していくということが宣伝されている。
ところが、6月にドイツのエッセンでヨーロッパの環境大臣会合が開催されて、そこにワーキングペーパーが出されている。
ヨーロッパの専門家がまとめたワーキングペーパーを読むと、ヨーロッパは世界の環境政策のリーダーであると書いてある。
これはそうだと思うが、2番目にエコプロダクツ世界市場のリーダーはヨーロッパだとある。世界の環境ビジネスの3分の1は、ヨーロッパのシェアだと書いてある。
2005年には、全世界の市場規模というのは180兆円であると推定されていて、その3分の1がヨーロッパのシェアであると言う。
しかも、発電については30%、廃棄物処理・リサイクルでは50%がヨーロッパの技術であると書いている。
国民からすれば政府の発表と違うじゃないか、どちらが本当なのかと思う。
美しい星50、安倍総理イニシアティブの政府発表のものを見ると、日本が世界一と主張しているのは、鉄・セメント生産時のエネルギー効率、公共交通への依存率、ソーラーパネルの出荷額、ハイブリットカーなどである。
一つ一つはそのとおりだと思うが、環境ビジネスの世界市場での日本のシェアがどのくらいかは書いていない。
私は4、5年前に、経済産業省の調査で、世界の環境ビジネスを調査したことがある。その当時、私の記憶では、日本の環境ビジネスのシェアは7%程度で、長期低落傾向にあった。
第1位はEU、第2位はアメリカ、我が国は3位だった。これは国民にはまったく知られていない。
なぜこれを問題にするかというと、ヨーロッパは総合的なエコロジカルな産業政策のパッケージを導入して、エコイノベーションを振興させ、環境産業の国際競争力を高め、雇用を創出しようと考えている。
我が国はどうかというと、産業界が反対して、エコロジカルな包括的産業政策、環境政策の導入ができていない。
それで、日本の環境産業の世界シェアが7%で、しかも低落している。非常に私は危機感を持っている。
排出量取引制度や環境税を導入することだけが問題ではなく、そうした包括的な環境政策を導入しない限り、環境産業の競争でも負けてしまう。
もともと向こうのシェアが上なのだから、さらに国際競争で遅れを取ってしまいかねない。
従って、48、49ページに国際環境ビジネスの市場規模についても調査を引き続き行うということが書いてあるが、環境ビジネスの定義がOECD定義などいろいろあって一致しないため、日本政府の発表が実態を示したものになっているのかが心配である。
正確な実情認識に立って政策を決定していかなければ国を誤るということを大変心配しているところである。
【三橋委員】
今後の参考ということも含めて聞いていただきたい。
温暖化対策として、環境省にやってもらいたいのは、経済的なアプローチが必要だと思う。例えば、1990年比で2005年温室効果ガスが7.8%増加したという数字が挙げられているが、同じ期間に日本の実質経済成長率は15%くらいである。
だから、成長に対する温室効果ガスの弾性値は、経済成長率が1%上昇すれば温室効果ガスは0.5%上昇するという流れになっている。
これは、日本の経済成長率が化石燃料依存型になっているために、経済成長率が高くなれば温室効果ガス排出量も高くならざるを得ない。
この1、2年、ようやく日本経済が回復軌道に乗ってきて、経済成長率が2%前後になっている。環境省による温室効果ガス排出量の時系列の動きを見ても、2003年、2004年、2005年はずっと増えている。
その間、日本経団連を中心とした自主行動計画などが実施されていたが、その効果は全然出ていないということである。
政府の中期経済見通しでは2011年までの実質経済成長予測が出ているが、約束期間の5年間には、経済成長率が2.2~2.3%で成長していくとなっている。
そうすると、温室効果ガスも1.1~1.2%でこれからも増えていかざるを得ない形になり、約束期間が終わるまでに今の対策のままでは、CO2はむしろ増え続けるだろうと思う。
それを産業界の自主行動計画、チームマイナス6%運動、1人1日1kgのCO2ダイエットのような企業・国民に対する自主的な努力の呼びかけだけではとても不可能である。
したがって、環境税の導入を実施しなければ、とても対応できない情勢となっている。そうしたことを踏まえて計算しているかどうかという点について、私は不満な感じがする。
環境税のような政策を採用しなければ、京都議定書の目標達成はとても無理だろうということは、マクロ経済を分析する人の誰に聞いてもそういう結論になるだろう。
排出量取引については、目標達成計画の中では恐らく効果がないと思っている。ただ、長期的に見て2013年以降の対策としては意味を持っているので、そのための実験をするというのは賛成である。
実際に2013年以降、排出量取引が制度として機能すれば削減効果は大きい。しかし、2012年までに排出量取引でCO2排出量を削減することは幻想だろう。そこのところを区別して書かないと国民に錯覚を与えてしまう。
環境省として実験的にやっていくのは結構だが、中身について具体的に示す必要がある。環境省の実験的な排出量取引制度では、補助金が欲しいから参加している企業が相当数いる。
市場メカニズムを使った排出量取引が行われているかというと、そういう段階ではない。
ヨーロッパでの排出量取引の価格が乱高下するという批判がある。しかし、市場に乗せるということは乱高下が当たり前で、CO2が市場経済に乗るということを示しているにすぎない。
ヨーロッパで排出量取引をこれまで実施してきたが、温室効果ガス削減に至っていないという指摘もある。これも当たり前で、ヨーロッパが今やっている取引はキャップを厳しくかぶせていない。
まず市場として成り立つかどうかの実験をやっているにすぎない。キャップを厳しくして初めて、排出権価格が高くなることで削減効果が出てくる。その辺の分析などを環境省としてしっかりやるべきである。
また、環境省が今やっている排出量取引制度の意味や、ヨーロッパが実施している制度との比較でどの点に問題があるかなどを、示していくべきである。
環境税については、やる意思があれば明日からでもできるわけで、これは排出量取引とは違って京都議定書の目標達成のために、是非すぐにでも導入すべきである。
【崎田委員】
地球温暖化対策について、世界的な視点で先生方がご意見をしたので、地域側からもう少し強めて欲しいという視点で話をさせていただきたい。
数日前に、千代田区の温暖化対策関連の審議会の最終日があって、地域もきちんと責任を持っていくということで条例を決めたらどうか、という提言をまとめた。
その中での一番のポイントは、地域内の事業者、もちろん住民も含めて、例えばカーボンオフセット的な手法を導入して、環境対策協力金のような基金を集めて熱心に取り組もうというところに渡していくなど、地域の中でインセンティブを持たせる仕組みを考えた上で、条例をつくるようにというまとめをした。
地域で、そうしたことをしようとする自治体も出てきた。政府としては、全国各地で自治体や中小事業者を巻き込んでの取組が、地域でCO2削減を具体化するという動きを誘発するような形で書き込んでいただけると嬉しい。
前回、全省庁一丸となって取り組んでいることを明確に示すことが国民の安心につながるという話をした。しっかり書き込んでいただいたことは大変ありがたい。
今後だが、全省庁が取り組んでいることに加えて、全省庁が連携しながら互いの持っている部分を総合化して、さまざまな環境改善の具体化を明確化することが、次の段階で大変重要である。
例えば、ヒートアイランド対策では、水と緑のネットワークをつくる、地域エネルギーとして未利用エネルギーを活用して長期エネルギー戦略を立てるなど、地域でヒートアイランド対策、2050年の低炭素社会の長期展望といった具体的なことをしていくことが重要である。
そうした時には、地域行政だけではなくて、都道府県、水を所管している国土交通省、経済産業省、農林水産省等さまざまなところと連携をしながら、長期展望・地域計画を立てていくことが各地域で重要になっている。
各省庁がやるというだけでなく、連携・協働しながら、温暖化対策など、さまざまな環境施策を地域社会の中で具体化していくこと明確に伝えることが大事だと思う。今回は無理かもしれないが、次の展開としてそこを強調していただくことが重要である。
温暖化対策などで2050年の長期展望など、具体的にどのように合意形成をしていくのか、社会でも本気になり始めている。
今後はどう予防するかだけではなく、温暖化の影響ではないかという気候変動や動植物の変化などが起こってきているので、さまざまな分野に関係するが、明確に情報を把握して対策をとっていくよう、指示を出していく部署をつくることも必要な時期だと思う。
そうしたことを発信することで、社会の危機感も見えてくるのではないか。 産業界との連携関係をつくっていくことの難しさについての意見が出ているが、環境省は4、5年くらい前から「環境と経済の好循環」というキーワードを使い、できるだけ環境に配慮しているものが評価される社会をつくる取組をしてきた。
環境に配慮した技術だけでなく、サービス、ライフスタイル、地域といったものが評価され、環境と経済が好循環する社会をつくって、日本が環境をキーワードにして活性化していく。
そういう社会を発信することで、産業界ともきちんと連携しながらやっていくという明確な方向性を持って、様々な事業を展開しようとしていた。そういうことを、もう少し強調しながら成果にあらわしていただきたい。
あるいは、それを明確に発信していくことが必要であると思う。
地域でいろいろ実験的な取組に対するモデル事業の助成金があるが、環境省のまほろば事業、経済産業省のエコタウン事業、環境コミュニティ・ビジネス事業、内閣府の先駆的省資源・省エネ取組など、すべて今年で終了する。
来年に向けて、今にぴったりとした次の施策を展開していただけるとありがたい。その時には、技術とライフスタイルの連携できちんと定着させていくことを、明確化していくことが重要である。よろしくお願いしたい。
【河野委員】
18年度の政策評価ということで見ていくと、温暖化の問題については、日本経済が成長プロセスにあって排出量が増えているのは事実である。
CDMやJIによる海外での排出量の獲得だけでは日本の約束量が達成できないとすれば、海外との排出量取引についても踏み込んで書いておく必要がある。
排出量取引で排出量が減るとは思わないが、日本の約束量達成のためにも排出量取引にきちんと対応することが大事である。
36ページの「自然環境の保全・再生」のところに「里地里山」という言葉があって、その保全が書かれている。8月3日の中央環境審議会の環境基本計画点検小委員会で「里海」という言葉が出た。
広辞苑を引いたら里海という言葉は出てこなかった。36ページの今後の対応のところで、干潟や藻場といった言葉が里海に対応するかは分からないが、海の生態系の保全という意味では、一般的な言葉かはわからないが、そうした言葉を入れた方が分かりやすい。
生態系の保全という意味では、里地里山と同じような意味合いを海について持たせられるのではないか。
46ページ以降に環境報告書の作成の促進という言葉がある。48ページに環境報告書公表企業という指標があり、上場企業では34%から平成17年度は47%、非上場企業では12%から24%になったとある。
環境省の「環境にやさしい企業行動調査」では、こうした数字になっていないと思う。この実績値でいくと、目標値の上場企業50%、非上場企業の30%にかなり近いが、このデータは何に載っているのか。
「環境にやさしい企業行動調査」では、もう少し低い数字ではないか。
また、最近では、単に環境報告書の作成だけではなく、むしろCSR報告書ということでより広い内容のものが載せられている。
環境省だけでなく、経済産業省や厚生労働省といった関係省庁の支援も得て、民間事業者による環境報告書の作成を進めることも必要であろう。こうした関係省庁の支援を得ることが重要である。
【須藤委員長】
キャップ&トレードや環境税の早期導入ということは、地球環境部会でずっと発言してきた。
ただ目標達成計画の点検・見直しが、中央環境審議会と産業構造審議会の合同でなされてきていることに1つは問題があると思っている。
明日が中間取りまとめの発表であるが三橋先生のおっしゃるとおり、すべて当時の考えとしてうまくいったらという点検なので、実際に経済成長なりが起これば、ますます排出量が増えてしまうというのは委員だけでなく世間の人々も心配している。
今後6%達成に向けて見通しが立たなかった時にどうするかの対応策は、政策評価の中でも大事だろうという意識を持っている。
あとは、井村先生からコメントが寄せられている。
「第1回の委員会において、評価書を国民に提示するに当たって、必要性、有効性、効率性のところがきちんと書かれていないように見えたので、政策評価実施細目に従ってきちんと書くよう改善をお願いしたい、との意見を述べた。
その後、第2回の委員会資料の事前説明を受けたところ大分よくなったと感じたので、今回はこれで結構である。
来年度以降は、前年度の評価書を安易に踏襲するのではなく、改めて必要性、有効性、効率性の観点が国民にわかりやすく書くように努めてほしい。
手法検討部会でこういった議論をしたものが、評価を行う原局原課に伝わっていないのではないかと心配している。」
この点については、政策評価広報課長に回答をお願いするのが筋であろう。まずは地球環境局から委員意見に対する回答をお願いしたい。
【地球環境局】
まずは、現在どうなっているかをご説明させていただきたい。
明日に、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同審議会による中間報告が出てくる。
あくまでこれは中間的なもので、順調に進んだとしてもなかなか厳しいという結果が出てくると思うが、京都議定書6%を達成するために、必要であれば追加的な対策も採っていかなければならない。
その追加的な施策について今年後半に議論して、最終的に12月くらいに答申をまとめる形になると思う。
審議中ということもあり、また審議会の運営については、いろいろ改善の余地もあるかもしれないので、考えていかなければいけないと思う。
総論的にはそういうことであるが、個別にはいろいろ問題がある。山本先生からご指摘いただいたように、地震の影響もあって原発の稼働率がどうなるか、という話は確かにある。
だからこそ追加的な対策を、より厳しく受け止めてやっていかなくてはいけないといった議論の中で、環境税、排出量取引などを検討しなければならない。
排出量取引について、経済産業省の次官の見解が新聞で報道されていたが、ある新聞は環境事務次官が反論しているのも並べて載せていた。
環境省としても、きちんと有望な施策の一つであることは述べている。
社会全体でどういう仕組みをつくっていくかについては、役所のみならず、経済界等をどんどん盛り上げていかなければならない。
塩崎官房長官が、官邸主導で成果が出ているのが環境問題だと発言されているが、大事な問題として、官邸を含めて政府全体で取り組んでいるところである。
その中で、1人1日1kg削減キャンペーンで、企業にも一緒に参加を呼びかけてやっている。夏から始めて、1万9千くらいのチャレンジ宣言カードをつくった方々が出てきている。
カードを持っていくとお店で少しサービスが良くなるなど、そうした楽しいものも含めて、各層に広がっていくように頑張っているところである。
具体的な施策の内容については、今年後半に審議会でもいろいろ議論いただく。自主行動計画の未策定業種への拡大や深掘りなどを進めていきたい。
排出量取引については、総理の新提案「美しい星50」の提言の中でも重要な検討課題として指摘されている。
実験的に自主参加型でやっているが、取引ルールなどのインフラをつくるなど、実績を集積することに意味があると思っている。
また、海外の状況についても、EUにも経団連を連れて審議官が状況を見に行っており、しっかり勉強していきたいと思う。
地域の取組について、温対法では地域全体での計画を義務ではなくつくってください、ということでやってきているが、全国すべての市町村で計画が作られているわけではない。
地域支援の取組の支援策は、カーボンオフセットなどもお話に出ていたが、また何らかの形で考えなくてはいけないと思っている。
これは18年度の政策評価なので、環境省全体で20年度の重点施策を検討している中で、今日のご意見を踏まえて検討していきたい。
【総合環境政策局】
環境税について早急に導入せよというご意見を頂戴した。
環境省としては、平成15年の税制改正要望から財政当局に対してその検討を要望し、そして3年間、制度として創設することを要望してきた。
経済的な手法として、市場メカニズムを活用していく効率的な施策であるという考えに変わりはない。ただ、各般の理解がなかなか得られなく、最終的な達成ができなかったということで残念な結果に終わっている。
この環境税の扱いについては、国民の方々にまず理解いただくことが非常に重要かと思う。
また、関係の政府内の部局との調整も大変重要である。税制なので、環境省が明日から導入実施という形は非常に難しい。
財政当局として有効な施策として採り入れられる状況ができるよう、環境省として努力をしていく必要がある。引き続き、検討をきちんと進めてまいりたい。
環境ビジネスについて山本委員から意見をいただいた。環境省が実施している市場規模調査は、OECDのデフィニションに従って環境ビジネスを定義し、その内容を発表している。
国際的な比較という意味では、どこまで比較可能なものか、これまで具体的な検討に入っていない。
外国の進捗状況と我が国の環境ビジネスの動向を比較検討して国民にわかりやすく伝えられれば、それはすばらしいことだと思う。
可能なのかどうか、外国で発表されている環境ビジネスの定義などを調べていきたい。我が国の環境ビジネスの増加動向が唯我独尊にならず、世界の中での状況を認識することは貴重なご指摘と受け止めている。
次に、崎田委員からの地域の取組については、温暖化対策だけでなく環境政策全般に言えることなので、重点化を引き続き行っていきたい。
まほろば事業などは、これまで進めてきた事業のうまくいった点、うまくいかなかった点を謙虚に受け止めて、さらに地域に根差した環境政策の展開を進めていきたい。
地方環境事務所が、ようやく7事務所が設置され、これから内容の質的な展開の拡充を図っていきたい。国の関係諸機関との連携もよく調整しながら、一層の環境づくりの展開を図る方向で努めていく。
同じく崎田委員からの環境と経済の好循環の促進であるが、総合環境政策局の中に環境経済課が設置されたのはそうした趣旨である。
環境報告書や環境会計といった手法で、環境に配慮している企業が相応の評価を得られるよう、環境情報の開示方法について後押しするような施策を展開してきた。
グリーン購入については、新しく成立したグリーン契約法は、国が率先してグリーン市場をつくることによってエコプロダクツの一層の市場開拓を目指す、積極的な施策と認識している。
これから基本方針を策定し、来年の実施に向けて準備を着々と進めているところである。
河野委員からご指摘のあった環境報告書の公表企業数字は、環境省独自に行っているアンケート調査に基づくものである。
また、ご指摘のように最近は単なる環境の側面だけでなく、CSRレポートという形で報告されるものも出てきた。
新しいものが環境省の調査で把握されているか、関係省庁とも調整しながら実態把握に努めていくべきか、これから検討していきたい。
【自然環境局】
36~37ページにかけて何ヶ所か干潟、藻場等と書いてあるが、「等」の中にはご指摘のような漁村の近海の保全ということも含まれている。
これは国民の皆さんに読んでいただくものなので、見て分からないのでは、と言われるとその通りだと思う。
里地里山との対比よりは話が広がってしまうが、世界自然遺産に登録された知床では、地元漁協などの協力を得ながら、その全体の生態系を保全陸域、海域を統合的に保全していく管理計画をつくる作業を行っている。
他方、海洋基本法もできたので、海域の自然環境ないし生態系の保全を今後どのように考えていくか、陸地に比べてやや手薄な分野なので、重点施策や予算の検討をする中で検討しているところである。
そういった状況を考えて、里海という書き方になるのか、もっと広く海域をどうしていくかということになるのか分からないが、現状の問題意識がきちんと読み取れるような書き方を持ち帰って部局内で検討してみたい。
【水・大気環境局】
先般6月に環境立国戦略をまとめた中で、里海についてもこれを推し進めるということが明記されている。
閉鎖性海域の総合的な水環境改善の一環として、この評価書では、21ページに「豊かな沿岸環境の実現に向けた普及・啓発活動」と少し抽象的な書き方をしている。
環境立国戦略のところで、里地里山の議論があったときに、里海ということでやっていこうという方向になった。
今の自然環境局の施策の検討と含めて、閉鎖性海域対策室に伝えて、より一層いい政策ができるように議論していきたい。
ヒートアイランド対策について、東京丸の内地区、貨物駅のあった小名木川地区、大阪の梅田駅前地区において、民間ビルの屋上緑化、高反射率塗装の普及など、集中的に地域におけるモデル事業に着手している
。20年度以降も、事業の継続展開に努めていきたい。その他交通環境など水・大気分野でも多くのモデル事業を継続している。
或いは、我々のPR不足もあると思うので、引き続きご指導いただきたい。
【須藤委員長】
瀬戸内海では、里海という言葉を一般に使うようになった。辞書には載っていないかもしれないが、里海サミットなど、特に瀬戸内海で使われていることを追加させていただく。
【政策評価広報課長】
評価書の中で、目標ごとの効率性の部分が分かりにくいという意見をいただいた。
政策評価の本質的な問題として、政策評価をする側も、それをチェックする側も、何をどういうふうにするか、明確になるように改善しなければいけないと考えている。
今後、手法検討部会の課題としてご議論、ご指導いただいて、来年の評価に向けて評価者として何らかの形が示せるよう検討していきたい。
【崎田委員】
言い忘れたことを追加させていただきたい。
廃棄物・リサイクルのところで、3Rの推進というのは、広い意味の地球温暖化対策を実施するときに、市民生活や地域生活で目に見える対策として非常に効果がある。
地球温暖化対策のさまざまな状況の中で、3R制度を明確に具体策として位置づけて発信していくことが、市民にも重要だと思う。
さまざまなリサイクル関連法の見直し時期に入ってきている。
きちんとした情報提供をしていただかないと、何か混乱しているよう誤解される方もいるので、十分に配慮した情報発信あるいはコミュニケーションを強化していただき、循環型社会の形成推進を進めていただきたい。
【須藤委員長】
本日の助言を踏まえて政策評価書を整理してもらいたい。
政策評価書の整理に当たっては、「今後の施策の方向性」欄の記載や表現の修正等については、事務局と私で決定させていただきたいので、よろしくお願いしたい。
温暖化については、まだ将来が見えない部分があり、先生方にご協力いただいて本当に実行できるような施策にしていく必要がある。
さらにご尽力いただくことをお願いして、第2回政策評価委員会を終了させていただく。
以上
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