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平成19年度第1回議事録要旨

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第1回環境省政策評価委員会 議事録要旨

1.日時: 平成19年6月22日(金)10:00~12:10

2.場所: 経済産業省別館1014会議室

3.出席者

-委員-

(委員長)

須藤 隆一

埼玉県環境科学国際センター総長

 

井村 秀文

名古屋大学大学院教授

 

崎田 裕子

ジャーナリスト・環境カウンセラー

 

佐野 角夫

ソニー株式会社社友

 

藤井 絢子

滋賀県環境生活協同組合理事長

 

細田 衛士

慶應義塾大学経済学部教授

 

山本 良一

東京大学生産技術研究所教授

 

鷲谷いづみ

東京大学大学院農学生命科学研究科教授

   

 

[欠席]

 

大塚 直

早稲田大学法学部教授

 

河野 正男

中央大学経済学部教授

 

三橋 規宏

千葉商科大学政策情報学部教授


-事務局(大臣官房)-

小林大臣官房長、鷺坂大臣官房審議官、小林秘書課長、三好総務課長、阿部会計課長、
柴垣政策評価広報課長、他


-環境省各局部-

紀村企画課長(廃棄物・リサイクル対策部)、上田総務課課長補佐(総合環境政策局)、
西村企画課課長補佐(環境保健部)、小森総務課課長補佐(地球環境局)、
岡部総務課長(水・大気環境局)、中村総務課課長補佐(自然環境局)

   

4.議題:

(1)平成18年度事後評価書(案)について
(2)その他

5.議事録要旨  

議事録要旨

〔議事録要旨〕

(各委員紹介・配布資料確認)
(大臣官房長挨拶)
(須藤委員長選任)
(山本委員長代理選任)

(事務局より資料説明)

【須藤委員長】
 それぞれお気づきの点、ご意見・ご質問を伺いたい。細かいご説明等はそれぞれの部局の皆さんにお願いしたい。

【山本委員】
 私は地球温暖化のところに一番関心を持っており、科学的知見の充実、国民の要求の増大、国際政治の動向等をにらんで、当然評価を進める必要があると思う。 そういう観点からすると、キャップ・アンド・トレードの排出権取引について、日本では全く動きが見られないことを問題に思う。 日本経済新聞の世論調査によれば、国民の9割はその導入を求めているとあるが、4月には、日本経団連がキャップ・アンド・トレードに明確に反対を表明している。 そういう中で、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパを始め、ぞくぞくと排出権取引市場が整備されつつある。 日本は来年の洞爺湖サミットをにらんで動かねばならず、排出権取引を早くヨーロッパ並みに整備しなくてはならないと思うが、事後評価にはきちんと書かれていない感じがした。
 大気汚染について、北九州等で中国由来の大気汚染物質が原因で光化学スモッグが発生した、あるいは国立環境研究所の研究成果では鉛等の汚染物質が中国から飛来しているとあるなど、いろいろ情報がある。 この事後評価シートには全く触れられていないような気がする。
 環境と経済の好循環について、グリーン購入法は順調な進展が見られていると思うが、社会的責任投資の方は依然として取り組みが遅れている。政策が悪いとしか言いようがない。 抜本的政策を導入していく必要があると思っている。

【細田委員】
 洞爺湖サミット、そして長期的にはポスト京都議定書もある中で、産業界は炭素税やキャップ・アンド・トレードには反対で自主的にやると言っている。 これで本当に世界に通じるのかという観点から、政策的な見直しをしなければいけない。もちろん自主的な取り組みは大事である。 だが、自主的でも、例えばオランダのコベナント方式のようにコミットメントを宣言し、できなければペナルティーを払う、そのくらいの制約がある取り組みでないと意味がないのではないか。 世界に対して日本が温暖化対策で何をやっているかを言えるように、政府と産業界とのコミュニケーションを深めていく必要があると思う。
 土壌汚染について、農用地の場合に、WHO基準を満たしていないカドミウム汚染米の話がまだあるのではないか。ニカド電池の回収も、自主回収をやっているが、まだまだ進んでいない。 このあたりはどうなっているのか。土壌汚染の2点目として、放置された土地の汚染の残存が気になる。土壌汚染対策法というのは、売買時に制約がかかり、そうでないとそのまま放置される。 放置された土壌汚染が意外とたくさんあることが分かってきた。そのままだと、汚染が拡散することも十分あり得るが、どうなっているのか。
 生物多様性について、カエルツボカビ病で生態系が非常に乱される恐れがある。この点のウォッチは、日本の体制、政策の中でどのように行われているのか。

【藤井委員】
 地球温暖化について、5ページ「評価・分析」の「有効性」のところに、「バイオマスなど再生可能エネルギーの導入拡大」の文言がある。だが、京都会議以降、全く突き抜けた感じがしない。 京都会議前に私たちは市民共同発電所という概念で、レートインセンティブを入れないと前に進まないということを一つの柱として立てた。 韓国は、買取法をつくってレートインセンティブを入れており、ソーラーシステムからの電力をキロワット時64、65円で買ってもらえる。 NPOでさえも、4月にメガワットソーラーを設置し、この20年間買取保証の利益で、菜種を植えてバイオマス利用をしている。 国も滋賀県も、ソーラーシステムに補助金を付けていても、レートインセンティブは入れていない。 突き抜ける政策ができていない。それを入れない限り、導入拡大と書いても数字が拡大に至らないだろう。
 それから、水環境について、10ページの閉鎖性水域は、いつも必ず、問題が達成されていないと出ている。 保全について言えば、琵琶湖の77年の赤潮発生以降、生活排水対策・ノンポイントソースなど、汚濁メカニズムがどうなっているかについて、滋賀県の中では研究者も住民レベルも相当やってきたが、今は汚濁物質云々よりも、琵琶湖にとって言えば地球温暖化の問題で語ることの方が多くなっている。 今年は3月まで積雪量が大変少なかったこともあり、琵琶湖の「深呼吸」が行われなかった。 その後ずっと雨量も減っていて、琵琶湖の水位が現時点でマイナス15㎝と下がっていく中で、琵琶湖環境科学研究センターのメンバーは、赤潮、アオコが秋以降ずっと出るのではないかと言っている。 水環境の指標の評価をするときでも、温暖化を評価の横串として議論すべきだと思う。
 琵琶湖でもう一つ、18ページの下から2つ目の○だが、これまで下水道さえ付ければ琵琶湖はよくなるということで、粛々と下水道敷設をやってきた。 しかし、今年に入ってから、琵琶湖のCODが下がらないのは下水処理場からの放流水が影響しているということが言われ始めていて、それを否定するところがどこも出てきていない。良いと思われる施策も見直さないと幻想となっている可能性がある。 そういうことについては評価書には出ていなくて、これだけ汚水処理すればよくなるという手がかりがないのが大変気になる。

【佐野委員】
 温暖化対応については、非常に惨澹たる成果であるということは明白である。来年から第1約束期間が始まり、日本はこれを達成する義務を負うわけで、具体的に何をいつまでにどうすればいいのかということをきちっと明確に戦略として立てるべきである。 最終的には、日本の義務達成に排出権取引が必要不可欠だと感じている。海外からの排出権の購入あるいはCDMによって日本に排出権を持ってきているが、現状は発展途上国が自らの力でプロジェクトを開発し、国連の承認を得て自己完結となっている。 日本は、試験的に排出権取引を環境省がやっているが、そういうことも踏まえて、民間企業では既にいろいろな手を打っている。環境省としては、排出権取引を制度化する仕組みを明確に打ち出すべき時期に来ていると考えている。
 これに関係して、産業界はCO2排出量を原単位で報告したり、あるいは絶対量で取ったりしている。しかし、各産業界、運輸からサービスを含めて、そろそろ絶対量での管理にすべき時期に来ている。この点についても、環境省はリーダーシップを発揮すべき。
 もう一点はSRIファンドで、ここにある数字などというのは全く微々たるものである。国内の投資信託の残高は、この4月で確か80兆円、海外への投資信託に日本の個人資産が流出している額が年18兆円と膨大な額になっている。SRIファンドの商品設計に誤りがあると思う。 SRIという言葉が個人投資家に分かりにくいし、具体的に何を期待した商品かということも分かりにくい。最近ヨーロッパの企業がウォーターファンドというのを日本で発売し、あっという間に1,000億円集まった。 特に金融商品市場における環境絡みの商品設定というのは、消費者の目が非常に厳しくなっている。分かりやすい説明、商品設定にすべきで、今のアプローチでは実際には進まない。 最も重要な金融資本市場への参画が非常に少ないというのが日本の現状であり、こういう点にも今や大きなメスを入れるべきだと考えている。

【崎田委員】
 温暖化対策について、政府全体で例えば温暖化対策大綱などをつくっているが、政府全体としてしっかりイニシアティブを取ってどのように推進していくかの形が見えてこないのが国民の不安感につながると思う。 総理は非常に前向きで、ポスト京都議定書に関しても米国、中国、インドを引き入れながら新しい枠組みのコーディネーションに努力すると明確に言っているが、それをどういう仕組みで推進するという点が見えないのがちょっと弱い感じがする。 今回の評価を拝見しても、いろいろな項目が書いてあるが、政府全体5,000億円のうちの300億円について書いてあるということで、そのあたりを明記するのが大事だと思う。
 また、省庁の連携のところに、経済産業省などと連携ということがあるが、例えば国土交通省と連携する温暖化施策も大変重要なので、「等」という一言で抑えずに、連携する省庁名をきちんと入れていただいた方がいい。
 今後は国民運動をきちんと展開すると若林環境大臣はおっしゃった。住民や地域との動きが第一だということだが、今回の評価書を見て、それを定着させるための政策、あるいは経済的なシステムというのが弱い。 そういう意味で、環境省がどうなっているか、排出権取引制度を入れなければいけない時期ではないか、また将来展望にある1億トンの排出権購入を税金で払っていくのかなどを踏まえた議論が必要である。そういう視点をもう少し明確に入れた方がいい。
 次の大気環境のところで、ヒートアイランドは国土交通省などでも取り扱っている施策なのであまり書いていないのかもしれないが、地域再生の視点にどう いうふうに関わっていくかということもあるので、もう少し短期的な視点と長期的な視点を切り分けつつ、長期的なものも入れていくとか、そういう評価も必要ではと感じた。
 次に環境と経済の好循環のところで、金融のグリーン化あるいは消費市場のグリーン化について、情報整備ということはずいぶん出きたので、それを現実につなぐという次の展開をきちんと評価するということが大事ではないか。
 地域づくりについて、地域活性化というのが政府にとっても大変重要なテーマになってきており、その鍵の一つとして、環境を良くするという観点で地域再生をし、活性化していくというのが重要な視点だと思っている。 そういう動きに対してどこまで環境の情報をインプットできるかというのも重要である。地域活性化の中では、コミュニティ・ビジネス、環境ビジネスを地域に定着させるとか、さまざまな発展があるので、もう少し積極的な視点を持っていただきたい。 環境とエネルギーをきちんと視点に入れながら、バイオマスなど地域の未利用資源をエネルギーにして地域がエネルギー源を確保していくためには、地域計画を早めに省庁連携・部署連携でつくっていくなど、評価書のどの部分でそういうことを捉えるべきかを考えながら読んだ。
 最後に1点、温暖化のところで原子力が出てきた。原子力廃棄物をきちんと処理するシステムを持たないのが、日本にとって今後の重要課題だと思っている。東洋町の件を見ても、地域の方の不安感がすぐに増大して反対運動が起きてしまう。 できるだけきちんとした情報発信やコミュニケーションをしていくことが重要だと思う。環境省は、廃棄物行政をやっており、廃棄物施設整備の苦労を経験している。政策の連携をすべきではないか。

【井村委員】
 私は昨年度、一昨年度、政策評価手法検討部会のまとめ役をやっていたので、委員に入れていただいた。その視点で、評価そのものが方法論的なものを含めて、しっかりやれているかが気になる。 基本的に事後評価なので、きちんとやれたかを評価することが第一である。 それをしっかりやった上で、次に何をやるのか、何が不足か、何をしないといけないかという論点が明確に見えてきて、次の施策に反映されるサイクルが回るような仕組みがつくられていくことが非常に大事である。
 つくられた報告書は、この検討の場に出すだけではなくて、情報公開されてパブリック・コメントにかけて国民の意見が求められるようである。ここで我々が議論をすることも大事だが、これだけ多くの施策について我々がコメントできるというものでもない。 できるだけ外に分かりやすく情報を出して、外から意見が多く出てきて、環境省にきちんと届くということは大事ではないかと思う。そういう観点から見ると、評価書全体の言葉使いが、かなり一般的、抽象的に書いてあるところが多い。
  地球温暖化の問題がそうだが、非常に大きなマクロの視点と、ミクロの視点がある。マクロの視点については、大局的にどのくらい達成できたかというのはきちんと書く必要がある。 ミクロ的には具体的な各課の施策の評価なので、ミクロに各課が取り組んでいく具体的な施策がマクロの目標とどうリンクしていて、どのような役割を示しているのか、個々の施策ごとにきちんと書かれていないといけない。
 また、「必要性」「有効性」「効率性」という評価分析のところが非常に気になる。
 「必要性」は、施策についてはマクロな目標に対して、各課で行っているミクロな施策がなぜ必要か、そこがきちんと書かれていないといけない。 一般的にマクロな施策目標は必要だということを書いても、各課のミクロな施策が必要だということには必ずしもならない。 「有効性」については、ミクロな施策をやることによって何が達成できるのか、また事後評価なので、どこまでできたかというのがしっかり書いていないといけない。 一番問題なのは「効率性」で、評価手法の議論では、投入資源に対して見るということを言っている。つまり、同じ目標を達成するならば、できるだけ少ない予算と人員でやった方がいいわけで、そこの関係を書くのが効率性だと思う。 多くの施策は、「必要性」も「有効性」も「効率性」もごちゃごちゃな感じがするので、もう少しきちんと書いていただく必要がある。 環境・経済・社会の統合的向上では、自主的に行うことや民間委託することの効率性が書かれていたりしているが、大方の施策はきちっと書かれていないように思う。
 手法をやっていた立場からは、そのあたりをできる限りクリアに書いてもらわないと、読んでいてわかりにくい。そういうことがきちんと構成された書き方になっていないような気がするので、是非再考をお願いしたい。

【鷲谷委員】
 生物多様性の保全と自然との共生との推進の分野で、法律に基づいて進めている個別施策は新しいものも含めてキャパシティー一杯頑張っている様子がよく分かる。 また、今回は指標も挙げられるようになってきて、随分改善されてきたのではないか。
 生物多様性の保全や自然との共生というのがどのくらい有効に進められるかというと、まだ難しい面がある。 土地利用のあり方、農業と産業のあり方、森林と河川管理、地域の人々の生活などすべてが関わってきて、生態系の管理や修復というのは、個別の施策が整合性の取れた形で総合的なものになって初めて有効な対策になると思う。
 欧米などの少し大きな流域レベルでの生態系修復事業というのは、総合的な政策の側面を持っていると思うが、日本だと可能な枠組みがない。 自然環境の保全と自然との共生が自然環境局の仕事となると、国立公園等の限られた場所では積極的なことができるが、生態系の保全・修復を考えると、水環境にも関係し、流域の管理・保全・再生ということも重要だと思うが、それを扱うところが国の中にどこにもないような気がする。
 生物多様性国家戦略の改正もあるので、そういう精神を織り込むことはでき、その精神に基づいて各省が取り組むことはあると思うが、それでは有効な計画のもと順応的な取組として、進展をチェックしながら進めていくのは難しい気がする。 新しい枠組みが必要ではないか。一つずつ細かいことだけやっていても、大きなところでどんどん押されて負けていくのでは、という危機感がある。

【須藤委員長】
 私も1つ2つ追加をさせていただく。
 1つは温暖化の問題で、何日か前に、別の審議会を傍聴していた新聞記者から電話をもらい、「今の地球環境関係の会議を聞いていると、我が国は経済優先の国家ではないのかというふうに思うが、いかがか」と質問されて困った。 やりとりを聞いていると、そうした印象を第三者は持つようで、一生懸命弁明したが、国民が不安を感じるという部分が多分にあるのではないかと思う。
 2番目は、藤井委員が指摘した貧酸素水塊の問題だが、要するに温暖化の顕在化がもう既に湖底にまで起こっているということを常に言っている。温暖化の中か、あるいは水環境の中か、そういうところを総合的に見られる評価は必要である。 また、湖沼法は、総務省からの厳しい指摘の下に法改正をして、5湖沼について新たに湖沼計画ができた。総務省の指摘を踏まえて、新たな体制で18年度ということなので、評価書に述べられている件が大丈夫かということを質問させていただく。

【地球環境局】
 政府全体としては、平成19年5月地球温暖化対策本部において6%削減目標達成に向けて、各省から進捗状況、工程表を出させてチェックしているところである。 これらの問題を、政策評価書の中に全部埋め込むと、ほとんどが温暖化の評価報告書になってしまうので、評価書(案)の中では3ページに、京都議定書目標達成計画の進捗状況として、このエッセンスの部分を、極めて厳しい状況と書かせていただいている。
 総理が5月末に「美しい星50」を打ち出したが、その中で市場メカニズムの活用については、「中期戦略を実現するため、排出量取引についても、我が国や諸外国の意見などを踏まえて検討する」と国際的に発信しており、また経団連も一緒に欧州ミッションを行った。引き続き勉強していきたいと思っている。
 バイオマスや太陽光などの再生可能エネルギーについては、太陽光の補助金は打ち切られたが、今年度予算からバイオマスの加速化ということで、環境省としても支援しているところである。 目標達成計画の見直し作業の中での大きな1つの課題として検討していきたい。
 排出量取引やCDMについては、これからどうしていくかは課題である。
 産業界の自主行動計画については、さらなる深掘りや未加入業種に広げていくことが論点の一つであるが、業界にも働きかけ、経済産業省等と連携してやっていきたい。
 予算に関してここでは全部カバーしていないのではという点については、政府全体の目標達成計画の予算がどのくらいであるかは、環境省が調査して取りまとめている。 本政策評価では、予算については環境省が持っている予算を書き込むことにしている。他省庁との連携についてはいくつか省庁名を明示しているが、関係省庁が温暖化対策推進本部に入っているので、全て明記すべきではないか、ということは検討したい。

【水・大気環境局】
 光化学スモッグの件について、19年に入ってから顕著な現象で、5月末までに26都府県で延44日の光化学オキシダント注意報が発令されている。 九州などで発生しているのは注目しており、大陸からのオゾンの移流が一因であると考えているが、その寄与度は必ずしも明確ではない。 塩崎官房長官が6月5日の記者会見で、「環境対策は関係国共通の課題であり、日本と協力しながら原因を究明し、何が対策として必要か、早急に答えを出したい」と述べられた。 環境省としては、きちんと知見を整備して要因に関する考え方を詰めなければならない。光化学オキシダント・対流圏オゾンの問題について、有識者の検討会を設置し、年内を目途に中間的なとりまとめをする形で検討をお願いしたいと思っている。 国際協力の面では、東アジア酸性雨モニタリングネットワークという既存のスキームがあるので、ここを活用して参加国においてオゾンの簡易測定法の普及に努めていきたい。 この政策評価は、19年度に入ってからの状況までは必ずしもフォローしていないが、従前より大気汚染防止法を改正して、揮発性有機化合物の排出抑制の対策を取っているところである。
 土壌汚染対策について、土壌汚染対策法が平成15年2月に施行されたところではあるが、法令でカバーできていない土壌汚染の存在や、土地利用転換を進めていくものが進まないで塩づけになってしまう、といった問題があると思っている。 この6月から、制度の見直しについて有識者懇談会を開き、方針の包括的な議論を進めている。それから、カドミウムの問題は食の安全に関わる重要な問題だと思っている。 政府全体の食品安全委員会でカドミウムのリスク評価を行っているが、環境省には農用地土壌汚染防止法というスキームがあるので、食品安全委員会の結論が出てくれば、速やかに対応することを考えている。
 琵琶湖等の湖沼の水質については、私どもの問題意識は資料19ページ右下の「今後の展開」の下から3番目の○を見ていただきたい。多くの湖沼において、水質環境基準が達成されていない。 改正湖沼法に基づいて汚濁負荷削減を進めるにあたって、都道府県による湖沼水質保全計画の策定など魂を入れていく段階であり、関係府県とよく連携して、お話のあった下水処理場が問題を起こしていないかなどの事実確認をしながら議論を進めて、十分成果を上げるよう努力していきたい。

【自然環境局】
 ツボカビ病の件については、非常に大きな生態系被害をもたらす恐れがある。具体的な危機として新たに顕在化・認識した問題であり、二段階で対応を考えている。 まずツボカビに関しては緊急的な対応を求められるので、この夏からでもいろいろな調査を民間及び研究機関と連携してやっていきたい。 さらに、ツボカビに限らず、意図しないうちに生物が入ってきて被害をもたらす恐れが生じることについては、36ページ「今後の展開」の中の最後の○で「非意図的導入生物対策の検討等に着手し」云々と書いてあることに該当する。 以上の2つの取組を急いでやりたいと考えている。
 鷲谷委員からのご指摘は大変重いものがあり、環境省で法制度を中心に行っている取組についてのみ評価しても、おおもとの生物多様性保全に関する状況を見ていくには不十分で、他の関係者により何が行われていて、どういう効果が出ているかを併せて見ていく必要があるという問題意識と思って伺った。 そういう点では、環境立国戦略の取りまとめの中でも、政府内の各省庁にも認識を深めてもらったと思っており、一定の広がりが出てきている。 さらに、国民一般に生物多様性という形で広く知られていない、あるいは地方自治体も含めていろいろな方々に参画してもらう必要があるという問題意識については、生物多様性国家戦略の見直しの中でも一つの課題であろうと感じている。

【総合環境政策局】
 SRIファンドについて、平成19年度予算ということで、それぞれ投資家、投資の対象となる事業者、その間をつなぐ金融という3者に対する支援の視点で、新たに3つほど事業を開始する。 SRIファンドの投資家に対する優遇税制などいろいろな勉強を引き続きやっていき、その結果については、平成19年度政策評価として評価していただければと思う。
 地域づくりについては、18年度までで見ると、まほろば事業など、いろいろなことを見直す方向でやってきた。 しかし、21世紀環境立国戦略をまとめる中で、環境省も都市(まち)づくりと里地里山といったところでも、自然環境局の施策を盛り込んでもらった。19年度、これから夏の概算要求に向けて、鋭意作業を進めているところである。

【廃棄物・リサイクル対策部】
 カドミウムの関係で、ニカド電池については、資料の70~71ページにある⑤の資源有効利用促進法の中で自主回収となっている。目標率が60%であるのに対して、7割は超えているので、かなり回収されている。
 原子力廃棄物についての話があったが、この最終処理の部分は所管が経済産業省になっている。具体的に手を出していないが、廃棄物を通じて様々な蓄積はあるので、経済産業省からアクションがあればいくらでも情報提供をしていきたい。

【政策評価広報課長】
 効率性の部分については、各施策の特殊性もあるが、分かりにくい点があると思っている。今後の予定として、今日のご意見も踏まえて、効率性の部分の改善についても各局と相談しながら案を練り直す。 それでパブリック・コメントを実施して、8月上旬くらいに第2回の政策評価委員会を開かせていただきたい。どこまで直るかはわからないが、効率性の課題については重要な問題だと思っているので、検討していきたい。

【須藤委員長】
 これをもって本年度の第1回政策評価委員会を終了させていただく。

以上



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