2010年12月22日

皇居外苑外灯照明の再整備について 第2回 ~和田倉噴水公園~

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 東京駅周辺では、今年も街のライトアップが始まりました。「光都東京・LIGHTOPIA」です。和田倉噴水公園では、地域の小学生や著名人の書いた明かり絵を中心とした「アンビエント・キャンドルパーク」が行われています。

 これらのライトアップの光源にもLEDが使用されていますが、和田倉噴水公園の大噴水などの照明自体も今月から光源がLEDになっています。
 お気づきでしょうか?


 LED化した和田倉噴水公園(画面をクリックすると画像が拡大されます)



1 和田倉噴水公園とは

 この公園は、皇太子殿下のご成婚を機に平成7年に民間の協力も得て整備したもので、今上天皇のご成婚を記念して昭和36年に完成した大噴水を再整備したものです。

 この噴水は、「継続性と新たな発展」をテーマとし、流水の流れ出る源流の滝を「息吹」、球状のモニュメントを「永遠」、そこから大噴水に向かう流水を「予感」、流水に架かるガラスの橋を「希望」、そして、大噴水は「再生」という、それぞれにテーマを持ってデザインされており、公園全体が一つ完成された作品となっています。

 夜は噴水のライトアップをしており、昼間とは違った幻想的な水の風景を見せてくれます。


 昼の和田倉噴水公園



2 整備の内容

 今回の皇居外苑外灯再整備では、和田倉噴水公園の大噴水を初め、公園内の屋外照明を全てLED化しました(12月23日現在、一部補助光源が未工)。このLED化により、和田倉噴水公園の屋外照明による電力消費量・CO2排出量は1/3程度まで削減される見込みです。

 ところで、それほどの事業のわりには現場で実際に見ても何が変わったのか気がつかない方もいるかもしれません。

 それは、実は今回の整備のコンセプトに関係しています。


3 「変わらないもの」を未来に引き継ぐための技術

 今回の外灯照明再整備ではコンセプトの一つとして、皇居の象徴性、歴史性の継承を掲げています。和田倉噴水公園は、今上陛下や皇太子殿下のご成婚を記念するものであり、噴水公園全体が一つの完成されたものとなっています。このデザインを変えずに、光源だけをLEDにするという考え方で整備を行いました。


 和田倉噴水公園の照明計画


 それでは、電球の玉替えと変わらないのでは?という方もいるかもしれません。実は、そのためには、大きな努力が必要になりました。

 ここでは、たくさんの種類の照明が使われています、噴水を水中から照らす照明、路面や緑を照らす照明、安全のための照明。それらを一つ一つ、光の色や具合を変えずにLEDにしていくことには技術的に困難が伴いました。

 特に、水中から大容量で噴水を照らす照明をLEDにすることは技術的に難しく、少なくとも国内では前例がないことでした。 

 これまでの噴水照明と同じ「味」を出すためには、単に光の強さ、色を合わせるだけではなく、噴水の水の流れや粒の見え方、さらには、滝の部分の水面の揺らぎが天井に反射する光の見え方など、様々な事について合わせていく作業が必要でした。

 今回、照明全体のLED化が可能になったのは、LED技術が急速に進歩していることが背景にありますが、今まさにその進歩の現場に向き合っているという実感がありました。
 
 ここの取組がCO2排出量が少なく、水銀を使用しないLEDという技術が、社会のすみずみに普及していく先駆けとしての役割を少しでも果たせればと思います。 


今回改修したラインライト(故障のため近年は点灯してなかった)


次回は、北の丸公園について、お伝えする予定です。