2010年12月09日

皇居外苑外灯照明の再整備について 第1回

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 皇居前広場の外灯が新しくなりつつあります。すでに、皇居前広場はほぼ完了し、現在は、和田倉噴水公園で工事を行っています。


新しい照明(手前・上)と既存の照明(奧・下)
※現在は両方とも新しい照明に入れ替わっています。


新しい照明


 来年3月までには、北の丸公園を含め皇居外苑の外灯がLEDを光源としたものに入れ替わります。このホームページでは、それまでの間、工事の進捗状況をお知らせするとともに、この再整備の内容についてお知らせしていきたいと思います。 
 今回は再整備全体の内容と皇居前広場の外灯についてお伝えします。



1 整備の概要
 皇居外苑は、国民公園として開放されていますが、夜になると、一部で、人通りがあるにもかかわらず暗い場所がありました。このため、夜間の利用者の安全、安心な通行を確保するため、皇居外苑の外灯の再整備を行うこととしました。

 対象は、皇居前広場、和田倉噴水公園、北の丸公園の外灯照明です。平成21年度に関係者や学識者からなる懇談会を開催し、その意見を踏まえ計画・設計を行いました。整備は本年度に行い、来年3月に完了を予定しています(下図 参照)。

図 皇居外苑外灯照明再整備対象地域(拡大できます。クリックしてください。)


 この事業は、皇居の持つ象徴性や夜の静けさ(静謐性)、江戸城の歴史的景観を損ねないことを第一とし、その上で、歩行者の安全、安心の確保や環境配慮をすすめることとしています。
 皇居前広場の外灯については、これまでの外灯の灯具(ポールやカバー)を使い、内部の光源をLED化するとともに、一部の路面が暗い場所に外灯を増設します。
 和田倉噴水公園では、噴水のデザインを損なわないように、光源のみをLED化します。
 北の丸公園では、灯具毎の入れ替えを行い、光源のLED化を行います。特に、清水門、田安門の周辺には照明の増設を行い歩行に安全・安心な明るさを確保する一方で、歴史的景観に配慮したデザインの灯具とします。

 LED照明は、必要な方向にしぼって照らすことが可能で、効率的な照明が可能です。今回の事業では、対象となる外灯による電力消費量とそれに伴う二酸化炭素排出量を約半分に削減することができます。
 また、後で述べるようにLEDでは、光の色、照らされたものの色の鮮やかさなども改善されます。
 一方で、照明計画には各所に皇居の象徴性や歴史的景観への配慮を組み込んでおり、変えないところは変えないという点にも注意を注いでいます。



2 皇居前広場の外灯照明について
 皇居前広場では、大まかに2つの考え方で照明を検討しました。一つは、内濠通り西側の二重橋や坂下門などのある、松と芝生、砂利の広場に代表される地域です。ここは、皇居の象徴性や静謐性が高い場所であり、現在の明るさや印象をあまり変えないような計画としています。

 一方、楠公の銅像のある楠公地区やその北側の馬場先地区、桜田門付近は、比較的都市公園的な利用の多い場であり、夜間、人通りのある場所の路面の明るさの確保を図るため、既存外灯のLED化とともに、一部外灯の移設や新設を行います(下図参照)。


皇居前広場の照明の考え方


 下は皇居前広場の外灯の灯具です。ガス灯を模したデザインで長く皇居前広場の景観の一部となっています。



 今回の整備では、この灯具をそのまま生かし、内部のLED化を行いました。


既存外灯(左)とLED外灯(右)の違い(右下写真はシミュレーション写真です)


 入れ替える前の外灯は、黄色のナトリウム灯で、本来照らすべき下方向以外にも、上や横に光が放たれていたため、路面の明るさの割にまぶしさが目立つとともに、消費電力的にも効率の悪いものとなっていました。
 新しいLED照明では、光を下方向にしぼることで、効率よく路面を照らすことが可能となり、明るさの確保と消費電力・CO2排出削減の両立を実現しています(上図参照)。
 また、既存のナトリウム灯は、黄色の強い色しか出せず、また、照らされた者の色が本来の色よりくすんでしまいました。
 LEDでは、色を変えられるため、この場にあった色について、学識者や関係者の意見を聴き、既存の黄色の強い色から電球色※としました。また、照らされたものが、それ本来の色に見えるようになり、芝生や松の色がわかるようになりました。

※色を示す尺度である「色温度」では3000K(ケルビン)。既存のナトリウム灯は2100k.水銀灯は4000k。値が低くなると白から黄、赤となる。


 皇居外苑の外灯照明再整備は来年3月まで予定していますが、このホームページではその進捗状況や整備の内容について随時お伝えしていく予定です。
次回は、和田倉噴水公園を中心にお伝えする予定です。