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【オンライン開催】「「公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(2023年2月1日開催)」報告

公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。

日 時
2023年2月1日(水)13:00~15:40
場 所
オンライン開催
参加者
自治体(28名)
開催主体
環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室
実施機関
三菱総合研究所 サステナビリティ本部

プログラム

(1) 挨拶、環境省のZEB支援策の説明(環境省) 13:05~13:20

  • 環境省より本意見交換会の趣旨について説明があり、国の温暖化対策に関する基本的な背景やZEBに関係する施策・補助制度・導入状況に関する説明が行われた。

(2) ZEB化促進に向けたガイドラインの素案について(三菱総合研究所) 13:20~13:40

  • 三菱総合研究所より、公共建築物のZEB 化の課題・ZEB化ガイドラインイメージの説明が行われた。

(3) 平川市におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(青森県平川市)  13:40~14:25

  • 青森県平川市より、新庁舎におけるZEB化事例と課題への対応について説明が行われた。
  • 旧本庁舎が老朽化し、耐震強度不足であることが判明したため、耐震改修するか改築するかを検討し改築を選択した。
  • 基本計画段階までZEB化導入は明言していなかったが、公募型設計プロポーザルにおいてZEB化の提案があり、ZEB化を導入することとした。また、プロポーザルの提案にあった市民ワークショップも開催し、市民の意見を取り入れやすい基本設計とした。
  • ZEB化の技術として、地下水を利用した空調・融雪設備、断熱性材料の使用、自然光の採光、太陽光発電、蓄電池の導入により、庁舎としては県内初のZEB Ready認証を取得した。
  • 井水による地中熱を空調熱源や融雪設備に利用するシステムを設置した。敷地内に井戸を設け20℃の地下水を空調に利用し、従来の油焚きボイラ、吸収式冷温水発生器に比較し大きく熱源効率が向上した。冬期は融雪設備にも井水を使用している。
  • 全館LED化、Low-E複層ガラスによる高断熱・高気密化、高性能空調機・高性能熱源機等の高効率機器の導入によりランニングコスト削減を図った。
  • BEMSで全館エネルギー消費量を見える化し、運用面での省エネ化を図っている。
  • 新庁舎建設の必要性や費用について市民の理解を得るため、市民による庁舎建設委員会からの意見を基本構想・基本設計も反映させた。
  • 施工については、一括発注かつZEBプランニング実績を有する事業者とし、施工者には地元企業の活用を要請した。
  • 運用では、設計時のZEB数値を運用後に達成できるか、省エネと快適な庁内環境を両立できるかが課題である。設計者であるZEBプランナーに協力を仰ぎ、エネルギー使用量を分析し、省エネかつ快適な庁内環境を両立できるよう適宜チューニングしつつZEB数値目標達成を図っていく。

(4) 吉賀町におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(島根県吉賀町) 14:35~15:20

  • 島根県吉賀町より、温浴・宿泊・飲食の複合施設におけるZEB導入の経緯と課題への対応についての説明が行われた。
  • 対象施設では建物が細長く、コンクリートとガラス張りの構造物のため光熱水費が高額となること、建築から約20年経過しており、空調設備の部品の欠品等により修理ができなくなってきていることが課題であった。
  • 省エネ改修が対象となる補助事業を探す中でZEBを知り、ZEBセミナーで知り合ったZEBプランナーによる現場確認等によりZEB化の可能性があるという意見をいただき、ZEB化の検討をはじめた。
  • ZEB化として、高効率エアコン、全熱交換換気扇、LED照明器具、潜熱回収型給湯器、Low-E複層ガラス等一般的な技術を組合せて導入した。また、太陽光モジュール及び蓄電池を導入した。
  • 構想段階から省エネ技術性能の確からしさ・環境の視点より投資効果を重要視する意見があったが、ZEBプランナーに相談して解決策を検討した。
  • 計画段階は公共施設改修の合意がとれていることが重要である。また、予算、補助制度のスケジュール管理も課題である。
  • 設計施工段階では、公募型プロポーザルによる設計施工一括方式での発注を行った。また、一括発注には性能検証業務を含めており、性能検証を実施しつつ省エネ効果が発揮されるよう運用を行っている。
  • 各段階でZEBプランナーの存在が心強かった。
  • 導入効果について、設計では一次エネルギーが51%前後(ZEB Ready)の削減であったが、実績では60%程度の削減となった。

(5) 質疑応答・ディスカッション 15:20~15:40

  • 2自治体からのプレゼン内容について、質疑応答・ディスカッションが行われた。
  • ガイドラインイメージについて、質疑応答が行われた。

参加いただいた地方公共団体

柏市、浜松市、加古川市、小浜市、市川市、吉賀町、札幌市、美祢市、江別市、上越市、京都府

※事後アンケートで掲載可と回答いただいた自治体名のみ掲載

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