【オンライン開催】「「公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(2022年2月7日開催)」報告
公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。
- 日 時
- 2022年2月7日(月)13:00~16:00
- 場 所
- オンライン開催
- 参加者
- 自治体(48名)
- 開催主体
- 環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室
- 実施機関
- 三菱総合研究所 サステナビリティ本部
プログラム
(1) 挨拶、環境省のZEB支援策の説明(環境省) 13:05~13:20
- 環境省より本意見交換会の趣旨について説明があり、国の温暖化対策に関する基本的な背景やZEBに関係する施策・補助制度・導入状況に関する説明が行われた。
(2) ZEB化促進に向けたガイドラインの素案について(三菱総合研究所) 13:20~13:50
- 三菱総合研究所より、公共建築物のZEB 化の課題・ZEB化ガイドラインイメージの説明が行われた。
(3) 品川区におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(東京都品川区) 13:50~14:30
- 東京都品川区より、品川区のZEB化事例と課題への対応について説明が行われた。
- エコルとごしは戸越公園内に設置する施設で、公園内の豊かな緑との調和を重視し、壁面緑化、建物の高さに配慮した設計を行っている。
- 多くの施設でLED化や太陽光発電設備の設置を進めているが単体評価が難しいため、直感的でわかりやすい指標であること、ZEBリーディングオーナーに登録することで国の施策への賛同の意を示すことができ区民への啓発にも繋がることから、ZEB認証を取得することとした。
- 外壁の高断熱化や高効率空冷ヒートポンプチラーと周辺の豊富な地下水を活用した地中熱ヒートポンプチラーの採用、屋上への太陽光パネル、蓄電池の設置等、従来技術を組み合わせることでZEB化を達成した。
- 省エネによる一次エネルギー削減(55%)に創エネによる効果を加え、一次エネルギー削減量は85%削減が見込まれ、Nearly ZEB認証を取得している。
- ZEB化の過程では、策関係部局に対して建設の必要性を説明することに労力を要したこと、ZEB実現のためには設計事業者・施工事業者の選定が重要と考え、ZEB実績のある事業者に限定してプロポーザルを実施したこと等が紹介された。
- 今後は、区民向け・民間事業者向けのZEBガイドツアー・セミナー・相談会の開催や、省エネ、創エネ効果を示すモニターを施設内に設置することにより、ZEBの認知度向上、省エネ・創エネ効果の見える化を図る予定である。
(4) 久留米市におけるZEB導入の経緯と課題への対応について(福岡県久留米市) 14:40~15:15
- 福岡県久留米市より、久留米市環境部庁舎のZEB化と課題への対応について説明が行われた。
- 建設から30年以上経過し、空調設備や断熱性能、財政状況等多くの課題を抱えていた環境部庁舎について、これらの課題をZEB化により解決できないかと考え、環境部局、都市建設部の部局横断でZEBチームを結成した。
- 全国の既存建築物の省エネ改修事例に関する情報収集や現地確認、意見交換を行うとともに、ZEBプランナーからの助言もあり、既存建物でもZEB化可能と判断した。さらに、エネルギー消費量の多い空調の改修が見込まれる施設を対象にZEB化可能性調査を実施した。
- 2階床スラブ裏の断熱材吹付や窓ガラス交換による外皮断熱強化、空調設備の大幅なダウンサイジング、LED照明の導入、太陽光発電設備、蓄電池の設置により、省エネで67%のエネルギー削減、これに再エネ購入による39%削減を加え、エネルギー消費量がゼロとなる『ZEB』認証を取得している。
- ZEB化の過程では、市の施設を総合的に管理する部署がなかったが、環境部庁舎は施設を管理する部局と環境部局が同一だったこと、日頃から施設を管理する部局と営繕部局が連携するしくみがあったことにより、ボトムアップでの成功事例となったことが紹介された。
- さらに、知見を有するZEBプランナーが少なく、プランナーの育成が不可欠であること、既存ZEB特有の課題として、全館閉館して工事するのか、執務と並行して工事を進めるのか入念な検討が必要であること等の問題提起がなされた。
(5) 質疑応答・ディスカッション 15:15~15:50
- 2自治体からのプレゼン内容について、質疑応答・ディスカッションが行われた。
参加いただいた地方公共団体
神奈川県、長野県、京都府、山口県、市川市、横須賀市、入間市、浜松市、新潟市、長岡京市、大町市、高知市、福岡市、鹿児島市
※事後アンケートで掲載可と回答いただいた自治体名のみ掲載