課題名

B-6 陸上生態系における炭素循環機構の解明に関する研究

課題代表者名

中根 周歩 (広島大学 総合科学部 自然環境研究講座;農業環境技術研究所併任)

研究期間

平成2−4年度

合計予算額

81,834千円

研究体制

(1)農業生態系における炭素循環系の定量的解析に関する研究

  ’清氾土地利用の変化に伴う炭素循環系の定量的解析(農業環境技術研究所)

 ◆〜霖呂砲ける炭素循環系の定量的解析(草地試験場)

  地域生態系における炭素循環量の定量的把握と変動予測(農業環境技術研究所)

(2)自然陸域生態系における炭素循環系の定量的解析に関する研究(国立環境研究所)

(3)暖温帯森林生態系における炭素循環系の定量的解析に関する研究(農業環境技術研究所)

(委託先:広島大学総合科学部)

研究概要

 地球上の炭素循環は、元来、陸域の自然生態系においてバランスが保たれてきたが、化石燃料の大量消費、森林の伐採、農牧地の拡大等のために、そのバランスが崩れ二酸化炭素の増加等が見られるようになった。そこで、炭素循環系の機構を解明し、今後の炭素循環量の変動予測及び対策技術確立に資することを目的として、畑、水田、農用林、草地などの農業的土地利用、それらの混在する地域生態系、自然陸域生態系、暖温帯森林生態系につき、代表的調査フィールドを設定し、植生・土壌等の炭素循環量を正確に実測する手法を開発し、測定結果に基づきコンパートメント・モデルを構築し、それぞれの生態系における炭素収支の定量的解明を試みた。

研究成果

(1)農業生態系における炭素循環系の定量的解析に関する研究

 ’清氾土地利用の変化に伴う炭素循環系の定量的解析

 サツマイモ・コマツナ二毛作畑と放棄畑の炭素収支を実測した結果、各々-168-187gC/m2/yrと赤字の炭素収支を示し、畑地が二酸化炭素の発生源になっていると考えられた。

 水田生態系をめぐる炭素の循環量を液体・固体について測定した結果、約90gC/m2/yrが炭素の蓄積に寄与していると推定された。また、気体の連続測定システムを作成した。

 農用林について、下草刈りおよび落葉掻きを行う区とそれらを行わない区で炭素の循環を実測した結果、これら森林生態系は管理作業の有無にかかわらず炭素のシンクになっていると推定され、シンク量は220390gC/m2/yrと推定された。

 ∩霖呂砲ける炭素循環系の定量的解析

 渦相関法により放牧草地のCO2フラックスを実測した結果、晴天日には、大気−草地群落間のCO2収支は、群落への吸収が放出を上回った(例、0.86gCO2/m2/day)。モデル・シミュレーションによる推定では、大気への放出が取り込みを上回り、収支は-326gCO2/m2/yrと赤字であった。

 C楼萓限峽呂砲ける炭素循環量の定量的把握と変動予測

 ランドサットTMデータと畑地の炭素循環モデルとを用いて、モデル地域の畑地の炭素収支区分図を作成した結果、当該地域の畑地の炭素収支は-493+40gC/m2/yrと大きな空間変動を示し平均は-151gC/m2/yrと赤字の収支を示すことが明らかになった。

(2)自然陸域生態系における炭素循環系の定量的解析に関する研究

 冷温帯落葉広葉樹林生態系の炭素循環の各プロセスにおける実測から、いずれの量も空間変動がきわめて大きく、定量的論議のためには空間変動に対する考慮が欠かせないことが示された。

(3)暖温帯森林生態系における炭素循環系の定量的解析に関する研究

 炭素循環の観測結果をコンパートメント・モデルにより解析し、シミュレーションを行った結果、伐採前の炭素収支はほぼ均衡するが、伐採後は大きくマイナスとなり、伐採後11年でプラスに転じ、以後蓄積が進み、7080年後には伐採により搬出された炭素量を回復できた。

 以上の結果と従来の知見を総括して各種生態系に適用し陸上生態系のグローバルな炭素のシンク量を推定した結果、1.9×109tC/yrと推測され、炭素のミッシング・シンクの約半分を陸上生態系が担っていると推測された。