検索画面へ Go Research


[S-3 脱温暖化社会に向けた中長期的政策オプションの多面的かつ総合的な評価・予測・立案  手法の確立に関する総合研究プロジェクト]

3.都市に対する中長期的な二酸化炭素排出削減策導入効果の評価[PDF](1,270KB)
 (Abstract of the Final Report)[PDF](693KB)

(1)都市シナリオの設定と二酸化炭素削減量統合評価[PDF](710KB)

    東京大学
    大学院工学系研究科都市工学専攻


花木 啓祐

<研究協力者>

 

    東京大学
    大学院工学系研究科都市工学専攻


石井 暁

  [平成16~20年度合計予算額]  39,499千円(うち、平成20年度予算額 5,760千円)

  都市に対するさまざまな二酸化炭素排出削減策の導入の効果は、気候条件、都市規模、人口密度、都市内の活動度の分布など、それぞれの都市の持つ特性によって異なる。従って、その効果を評価し、将来の予測を行うに当たっては都市側の条件をその評価に反映させていく必要がある。本研究では、まず評価対象とする対策によって、面的な情報、都市全体の統計情報など、効果の解析に必要な情報が異なることを明らかにした。
  次いで、詳細な面的情報をこれらの対策評価に用いるために、利用可能な地理情報システムを詳細に検討した。広く用いられる従来の国土数値情報では、地域冷暖房の解析など面的な高い空間解像度を必要とする解析には十分な情報を得ることができない。そこで、都市計画基礎調査建物現況調査、電話帳データベース、電子市街地地図データなど、利用可能な情報を有効に組み合わせることによって都市内の活動度の面的な分布を把握する手法を新たに確立し、札幌市、宇都宮市、那覇市に対して適用し、都市内の二酸化炭素排出量の分布を100メートルメッシュ単位で評価した。このようにして確立した方法は本S-3-3の他の研究において活用した。
  宇都宮市に対して、都市をコンパクト化したときの建物由来の二酸化炭素排出削減の効果を2050年の人口シナリオを想定して推定した。その結果、都市のコンパクト化が二酸化炭素排出の削減に有効であることを定量的に示した。
  また、人口減少によって生じる余剰地を有効に活用して、風力発電、太陽光発電、バイオマスの三者の再生可能エネルギーを生産するポテンシャルを6つの中規模の都市に対して推定した。最後に、異なる規模の都市に対する二酸化炭素排出削減策導入の戦略をまとめた。

  [キーワード]  二酸化炭素、地理情報システム、コンパクト都市、都市構造、将来予測


(2) 都市エネルギー供給由来の二酸化炭素排出評価と変革による削減効果[PDF](1,057KB)

    東京大学 大学院工学系研究科
    原子力国際専攻


藤井 康正

  [平成16~20年度合計予算額]  11,196千円(うち、平成20年度予算額 1,651千円)

  最終需要端での省エネルギー施策の実施や分散電源の大規模導入が、日本のエネルギー需給とCO2排出量に与える影響を電源構成やその運用方法の変化も含めて検討した。日本を9地域に分割した最適電源構成モデルを構築した。このモデルは線形計画問題として定式化され、CO2排出削減技術としてCO2回収貯留設備も考慮した。個々の家庭における不確実な電力・熱の負荷曲線を生成するモデルと、確率動的計画法により個々の家庭でのコージェネレーションシステム(CGS)、給湯用ヒートポンプ(HP)の最適運転方法を決定するモデルを構築した。最適電源計画モデルの改良、各種CGSのモデルの改良・構築を行い、系統電力のCO2原単位をパラメータとしてCO2排出削減技術としてのCGSとHPの導入効果を検討した。平成19年度は、プラグインハイブリッド車(PHEV)や住宅用太陽光発電(PV)の全国規模での本格導入が電力系統に与える影響などを試算した。
  PHEV、そしてCGSやHPなどの大規模導入が、関連セクターにおけるCO2排出量限界削減費用に及ぼす影響を統合評価した。家庭部門におけるCGSやHPの導入効果は、それ自体では量的には大きくはないことがわかった。一方、PHEVの普及に関しては、CO2排出量削減効果の絶対量は比較的大きく、充電のための電力需要量増加による発電部門での限界削減費用の上昇幅も小さく抑制できる結果となった。つぎに、HPに太陽熱温水器を併用したシステムの経済性やCO2排出削減効果を、シミュレーションモデルを用いて検討した。その結果、太陽熱温水器の併用による相乗効果は大きくなく、特にランニングコストに関しては、単体利用との差異がほとんどないことがわかった。関東地域を対象とした太陽光発電の大規模導入が系統電源の運用や最適電源構成に及ぼす影響を大規模な線形計画問題として評価した。太陽光発電の過剰出力を適宜遮断すれば、太陽光発電設備の設置場所の地域的な広がりによる「ならし効果」と系統内の火力発電所の負荷追従運転により、経済性の観点からは、追加的な蓄電設備はほとんど不要であることなどがわかった。

  [キーワード]  電源構成、電気自動車、太陽光発電、ヒートポンプ給湯器、家庭用コージェネレーション


(3)都市建築物由来のエネルギー消費と変革による削減効果[PDF](1,298KB)

    慶應義塾大学 理工学部

伊香賀 俊治

    (株)日建設計総合研究所

林 立也(平成19~20年度)

  [平成16~20年度合計予算額]  12,929千円(うち、平成20年度予算額 2,497千円)

  本研究では、業務建築や住宅の運用に伴うエネルギー消費と、それらの建設や改修、解体に伴う誘発環境負荷を予測する手法を開発し、また、これに基づきCO2排出量削減目標の達成に向けたシナリオを提示する。前者の対策には、断熱性能の向上、省エネ型設備の導入などがある。さらにライフスタイルの変更も検討対象とする。後者は、長寿命化やエコマテリアルの採用などがある。また、建築物は、ライフサイクルが長いために、都市内のすべての建築が更新されるまでに数十年以上かかること、都市計画的には建物規模の誘導が可能であること、家族構成・住宅面積・就業人口比率・勤務時間などのストーリーラインによって影響を受ける社会的な要因が大きいことなどの特徴を有する。研究ではまず、これらの複雑な要素を考えずに複数の都市に導入した場合のエネルギー消費量削減のポテンシャルを求める。次に中期解析に用いる建築物の更新サイクルの検討を対象都市に対して行うと共に、省エネ型の技術の普及を予測し、これらを建築物のエネルギー消費モデルに組み込む。さらに社会情勢の変化に伴う業務用建築、住宅の変化シナリオを作成し、エネルギー消費量、CO2排出量を求める。
  H16~17年度は、住宅の運用段階を対象とした「住宅のエネルギー消費量とCO2排出量の都道府県別マクロシュミレーション手法」を開発した。H18年度は、事務所ビル起因CO2排出量の予測モデルを開発し、H19年度は、このモデルを全用途の業務用建物(事務所ビル、商業施設、医療施設、教育施設、宿泊施設、その他)に拡張した。H20年度は、住宅の建設・改修・解体起因CO2排出量予測モデルを開発した。H16~17年度の成果である住宅の運用段階の予測モデルと併せ、住宅のライフサイクルを通した予測が可能となった。以上より、わが国の建築部門のCO2排出量の2050年までの予測が可能となり、温室効果ガス削減目標の達成に向けた検討が可能となった。

  [キーワード]  業務用建築、住宅、省エネルギー、将来予測、シナリオ


(4)都市への燃料電池と太陽電池導入によるエネルギー削減効果[PDF](591KB)

    成蹊大学 工学部

山田興一(平成16~17年度)

    信州大学 繊維学部

高橋伸英(平成18~20年度)

  [平成16~20年度合計予算額]  11,192千円(うち、平成20年度予算額 1,651千円)

  本研究では、都市への太陽光発電の導入ポテンシャルを評価し、中長期的な導入シナリオを描き、大規模導入への方策の提案、および導入によるCO2削減効果、削減コストを評価した。
  宇都宮市と札幌市を対象とした解析の結果、利用可能な建物の屋根面積を全て利用することにより、各都市での電力需要の1.8倍、1.1倍の電力を太陽光発電により賄えることが示された。
  NEDOの導入目標に基づき、都道府県別の太陽光発電の導入量を2050年まで予測した。2050年の太陽光発電の発電シェアは40%まで増加し、日本全国の屋根面積の約60%が太陽電池で覆われると予測された。電力消費に対する太陽光発電の供給割合は、鹿児島で最大、大阪で最小となった。
  電力会社の電源構成が不変とした場合、全国平均のCO2排出削減コストは約95,000円/t-CO2と推定された。しかし、石油火力または石炭火力を代替すると仮定した場合、平均CO2排出削減コストはそれぞれ43,000円/t-CO2と37,000円/t-CO2となった。また、CO2排出削減コストは地域によって大きく異なり、技術進歩、生産規模拡大による発電コストの低下によって地域差はさらに拡大する傾向が示された。太陽光発電の導入はCO2排出削減コストが低い地域から優先的に進め、技術進歩、生産規模拡大によるコストの低下が達成されるにつれ、よりCO2排出削減コストが高い地域へと拡大するなどの戦略的な導入シナリオが、有効であると示唆された。
  太陽光発電の大規模導入のため蓄電池の併用に着目し、蓄電池を併設した「完全独立型」と「系統連系逆潮流なし」の2システムについて発電コスト、CO2排出原単位を評価した。「完全独立型」は、蓄電池製造コストが現状の約10分の1まで低下したとしても、発電コストは現在の系統電力の数倍程度にしか低減できない。一方、「系統連系逆潮流なし」では、太陽電池容量と蓄電池容量の間に最適な組み合わせがあり、蓄電池コストが現状の10分の1程度まで低下すれば、系統電力に匹敵する発電コストになり、太陽光発電の大規模導入の有望システムであることが示された。

  [キーワード]  太陽光発電、都道府県別、将来予測、蓄電池併設システム、CO2排出削減コスト


(5)都市圏におけるモビリティ由来のエネルギー消費と変革による削減効果
    (第Ⅰ期 H16-18年度)[PDF](658KB)

    東京大学
    大学院工学系研究科都市工学専攻


原田 昇

<研究協力者>

 

    東京大学
    大学院工学系研究科都市工学専攻


円山 琢也(16~17年度)

    東京大学
    大学院工学系研究科都市工学専攻


高見 淳史(18年度)

  [平成16~18年度合計予算額]  8,007千円

  本研究は、2050年までを見越した日本における中長期温暖化対策シナリオとそれに至る環境政策の方向性を提示することを目的とした全体プロジェクトのうち、都市に対する中長期的な二酸化炭素排出削減策導入効果の評価を目的とした都市チームに所属し、都市圏におけるモビリティ由来のエネルギー消費と変革による削減効果を分析する手法の構築及びその手法による評価を行うことを目的とするものである。その結果、平成16~18年度の3年間で以下の成果を得た。
  ①ロードプライシング政策に関して、従来厳密な検討があまり行われてこなかったエリア課金の評価を行える、トリップチェーンベースの非加算経路コストを考慮したネットワーク均衡モデルを提案した。これを沖縄本島に適用することにより、エリア課金とコードン課金の下での消費者余剰、最適課金額、CO2排出量の相違を明らかにした。
  ②個人の居住地と勤務地を適切に入れ替えることのみによって通勤時間と通勤目的の自動車交通に起因するCO2排出量の削減をねらう職住最適再配置政策について、ネットワーク配分手法を適用し、混雑現象を考慮して分析できるモデルを提案した。これを東京都市圏、宇都宮都市圏、沖縄県に適用し、いずれの都市圏においても通勤目的の自動車からのCO2排出量が34~39%削減しうることを示した。
  ③道路交通センサスのオーナーインタビューOD調査データを用いて、他の交通手段への転換が可能と考えられる比較的短距離の自動車トリップがどの程度存在しているかを、土地利用類型別・目的別に集計した。その結果、仮に手段転換が完全に行われれば、全国・全目的で約5%のCO2排出量が削減されることを示した。
  ④全体プロジェクトで設定されている2つのシナリオに即し、職住最適再配置と短距離自動車トリップの削減を積み重ねた場合のCO2排出量削減ポテンシャルを試算した。

  [キーワード]  二酸化炭素、都市交通、ロードプライシング、職住最適再配置、交通手段転換


(6)都市系バイオマスと未利用エネルギーの活用によるエネルギー削減効果
    (第Ⅱ期 H19-20年度)[PDF](595KB)

    東洋大学
    国際地域学部国際地域学科


荒巻 俊也

<研究協力者>

 

    東京大学
    大学院工学系研究科都市工学専攻


石井 暁

    東京大学
    先端科学技術研究センター


栗栖(長谷川) 聖

  [平成16~20年度合計予算額]  11,075千円(うち、平成20年度予算額 1,642千円)

  バイオマス資源として厨芥や下水汚泥などの都市湿系バイオマスや木質バイオマスを対象として、2050年にかけての社会経済変化を考慮した利用ポテンシャルの評価を行った。都市湿系バイオマスについてはバイオガス製造ポテンシャルを、木質バイオマスについては住宅や製紙への利用も考慮したうえでバイオエタノールの製造ポテンシャルを評価し、さらに早生樹の積極的な栽培によるポテンシャルの評価も行った。また、都市の未利用エネルギーについては、清掃工場の廃熱および下水熱を地域冷暖房として利用するケースについて、前者は横浜市と全国を対象に、後者は東京都を対象にそのポテンシャルを推定した。横浜や東京都といった都市レベルでの解析では詳細な建物情報を元にし、全国レベルでは1kmメッシュのスケールでそれぞれ熱需要を推定し、利用ポテンシャルを解析した。
  このような一連の解析の結果、バイオマス利用については、2050年において都市湿系バイオマス利用は年間
約180万t、早生樹の積極的な利用とバイオエタノール製造のポテンシャルは約2600万t、これに住宅の長寿命化をはかることによりさらに+1700万tくらいのCO2排出削減ポテンシャルが推定された。一方、未利用熱によるCO2排出削減ポテンシャルについては清掃工場廃熱の利用が全国で約50~280万t、東京都における下水熱利用が約13万tと推計された。

  [キーワード]  バイオマス、未利用熱、エネルギー利用、CO2排出削減、将来予測


(7)都市における需要変化に伴う誘発二酸化炭素排出量変化(第Ⅰ期 H16-18年度)
    地域間物流に伴う二酸化炭素排出の変化(第Ⅱ期H19-20年度)[PDF](536KB)

    東京大学大学院
    新領域創成科学研究科


吉田 好邦

  [平成16~20年度合計予算額]  11,159千円(うち、平成20年度予算額 1,651千円)

  本研究は産業連関表と地域間の物流データを接続することにより、消費活動ならびに産業活動によって物流が発生する機構を定式化する手法(物流産業連関分析)を用いて、地産地消の社会によるCO2削減可能性や、海運・鉄道へのモーダルシフトによるCO2削減可能性を評価した。H16年度は地域産業連関分析をおこなうことで、誘発二酸化炭素排出量を最終需要別に定量化し、運輸部門におけるCO2排出量の削減が大きな効果を持つことが示唆された。この結果を踏まえたH17年度は都市間の貨物物流に着目し、需要変化に伴って誘発される貨物物流におけるCO2排出量を評価した。物流の波及に注目した地域間の物流構造の新しい計算手法の基礎部分を提案した。H18年度には前年度に提案した計算手法を精査し、物流連関分析として体系化した。H19年度は分析手法の妥当性を検証した。実績とモデルの整合性は、本研究の信頼性を担保する上で、重要な意義がある。各種の修正を経て、物流全体の総量は物流センサスによって公表されている都道府県間の輸送量の実績と推定値が概ね合致した。これらの結果は昨年度に示したシナリオ別の脱温暖化社会における物流分野でのCO2削減ポテンシャルの推定結果の妥当性を担保するものといえる。H20年度は手法を最適化問題に応用し、輸送距離の削減対策(地産地消の促進)、輸送手段の低炭素化(鉄道や海運へのモーダルシフト)のCO2排出削減効果を推計した。潜在的なCO2削減量として、地産地消の物流構造となることで年間最大4340万トン、鉄道・海運にモーダルシフトすることで年間最大4720万トンの削減ポテンシャルがあるとの推計結果を得た。

  [キーワード]  誘導物流、派生物流、物流産業連関分析、地産地消、モーダルシフト


(8)都市への対策導入における各主体間の協力・競合関係の総合評価とシミュレーション(第Ⅰ期 H16-18年度)
    地域冷暖房とコジェネの導入による削減効果(第Ⅱ期 H19-20年度)[PDF](1,184KB)

    東京理科大学 理工学部経営工学科

森 俊介

    日本工業大学 工学部システム工学科

石田 武志

<研究協力者>

 

    東京理科大学 理工学部経営工学科

大蔵 将史

  [平成16~20年度合計予算額]  13,315千円(うち、平成20年度予算額 2,497千円)

  京都議定書の発効と地球温暖化問題への実効性ある取り組みが重視される中、民生部門、特に都市部での住宅と業務用建物のCO2 排出削減の手段の重要性とその効果に注目が集まっている。その手段として、ガス小型発電と廃熱利用により総合的なエネルギー効率向上を目指すコジェネレーションの導入と、集中型発電設備の効率性を主張するヒートポンプの双方に期待が寄せされている。しかしそのCO2削減ポテンシャルは需要パターン、機器特性、温度特性に依存するところが大きい。本研究において、平成16年度は、基本フレームの確立と地域エネルギーモデルの構築を行い、平成17年度は具体的に宇都宮市への適用を行った。平成18年度は、この方法を札幌市および那覇市に適用し、気候特性の異なる日本の3都市17区に対して適用を行い、日本全体を通じた日本の各市町村のCO2排出削減ポテンシャルは人口密度、経済活動に基づく業務用ビルの全建物床面積に対する比率により、日本全体ではおよそ18.6%の排出削減ポテンシャルのあることを導いた。平成19年度は、さらにこの研究に3方向の拡張を加え、環境省脱温暖化プロジェクトが提示した日本の将来のライフスタイルと経済・産業に関する姿を描いた2つの将来シナリオに対し、どのようなCO2排出削減の姿が描れるかの評価を行った。第2に、大型商業施設と住宅に対し、新しい太陽熱利用空調設備がどのような効果を持ちうるかの評価を行った。さらに第3に電力品質の向上及び省エネルギーのための分散エネルギーのネットワークについて、各需要家に設置された分散電源を隣接需要家間で連動運転することによる省エネルギー可能性及び最適用途構成の条件を、モデル化し分析を行った。
  平成20年度は、地域分散エネルギーと大規模集中型電気事業者の相互影響を視野に加え、広域評価を東京電力管内の38地域に適用しモデリングを行った。ここで費用最小化とCO2排出最小化について、需要家と事業者が異なる重み付けで行動する場合の組み合わせに関して定量的評価を行い、コスト重視-CGS/HPなしのケースから比べると、最大約28%のCO2削減ポテンシャルのあることが示された。

  [キーワード]  地域特性、機器特性、非線形混合整数計画モデル、太陽熱利用空調、分散エネルギーネットワーク


(9)さまざまな主体の知識共有のための統合ツール開発[PDF](1,093KB)

    東京大学 総括プロジェクト機構領域
    創成・学術統合化プロジェクト研究部門


スティーヴェン クレイネス

<研究協力者>

 

    日本工業大学
    工学部システム工学科


石田 武志

    国立環境研究所
    地球環境研究センター


芦名 秀一

    東京大学・総括プロジェクト機構
    領域創成・学術統合化プロジェクト研究部門


Weisen Guo

    三洋メトロジクス株式会社


中村 豊

  [平成16~20年度合計予算額]  10,328千円(うち、平成20年度予算額 1,651千円)

  地球温暖化対策技術の評価に際しては、日本全国の様々な特性をもつ都市に対する中長期的なCO2排出に対する導入効果を網羅的に評価することは、極めて複雑な問題である。その中、温暖化対策を評価するためには、極めて幅広い分野の専門家が参加していることが特徴である。しかし、この幅広い専門性を協調的に機能させることは決して容易ではない。そこで、本研究では、それぞれの研究者間に遍在する知識をインターネット経由で知識協調を行うため、プロジェクトの目標達成を支援する「ウェブ・ベース協調基盤」の設計と構築を行ったものである。
  この「ウェブ・ベース協調基盤」構築に関して、平成16年度は、「CO2テックテーブル」と呼ばれる研究者間の知識共有のためのウェブ・ツールを構築した。平成17年度は、DOMEを用いて、数値計算モデルをウェブ上で外部から操作できるインタフェース作成を行い、電源構成モデルと電力需要を削減するための住宅・建物省エネルギー対策モデルの統合を行った。平成18年度は、その統合モデルを用いて、国内の地域別の計算を行い、国内CO2排出量を計算することができることを示した。平成19年度は、数値計算モデルや専門知識のインターネット上におけるさらに有効な共有を実現するため、「脱温暖化社会に向けた中長期的政策オプションの知識表現言語」としてのオントロジーを開発し、ウェブ・ベース専門知識の共有基盤であるEKOSS(Expert Knowledge Ontology-based Semantic Search)の機能拡張と応用を行った。平成20年度は、EKOSSを用いて、「低炭素社会に向けた12の方策」の都市対策に関連するシナリオと、都市対策サブグループのメンバーが書いた脱温暖化社会の達成に関連する学術論文の研究内容を表現する「semantic statement」を作成し、それに基づく意味論的な統合化を検討した。

  [キーワード]  二酸化炭素、技術評価、知識の統合化、知識の共有、ウェブ技術