■地球環境局■

平成13年度
CDM/JIに関する検討調査報告書


平成14年3月
パシフィックコンサルタンツ株式会社


■はじめに

 地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された京都議定書の枠組において、温暖化防止に向けた新たなメカニズムである京都メカニズム(クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)、排出権取引)が設立された。京都議定書第12条に規定されたCDMは、途上国において、先進国の資金や技術によって、温室効果ガス(GHG)排出削減や植林・再植林による炭素吸収強化に貢献するプロジェクトを実施することにより、途上国の持続可能な開発の達成を支援する一方で、先進国はその貢献の程度に見合う削減量を自国の目標達成に利用することを可能にするメカニズムである。京都議定書第6条に規定されたJIは、京都議定書のGHG排出削減目標を有する附属書I国同士が、GHG排出削減または吸収強化に貢献するプロジェクトを共同で実施し、資金や技術を提供した国がその削減量を自国の目標達成に利用するメカニズムである。
 COP6における交渉の決裂、米国の京都議定書離脱、COP6再開会合における合意と、国際的にはめまぐるしい動きが見られたが、2001年11月にモロッコのマラケシュで開催されたCOP7において、京都メカニズムの運用則の大枠が合意され、CDM/JIに関連した取組が大きく進展したということができる。特に、CDM理事会の発足、第1回理事会の開催と、小規模プロジェクトの様式と手続きに関する検討等、重要な課題に関する今後の予定が明確となった。その一方で、ベースラインやプロジェクトバウンダリーの設定方法の標準化等の技術的課題に加えて、我が国の民間事業者によるCDM/JIの支援スキーム等制度的な課題についても早急に検討する必要が生じている。
 CDM/JIに関しては、既に欧州各国を中心に、さまざまな先進的取組が行われている。なかでも、基準年比6%のGHG削減目標を持ち、現時点では我が国とほぼ同程度の排出増を示しているオランダ のERUPT/CERUPT制度の構築、及び欧州各国の支援の元に、CDM国家戦略策定支援調査(NSS)や炭素基金(PCF)を推進する世界銀行の活動は、特筆すべきものである。これらの活動に比較して、2002年3月に「地球温暖化対策推進大綱」を決定した我が国のCDM/JIに関する取組みは緒についたばかりである。
 従って、京都メカニズムの推進に関して、我が国は欧州諸国に遅れをとることなく、官民一体となった取組みが期待されるが、本調査が我が国の民間事業者が主導するCDM/JIプロジェクトの推進に貢献するとともに、CDM/JIが抱えるさまざまな課題の解決に資することを願うものである。
 

本文編 全文ダウンロード [PDF(532KB)]
表紙 [PDF(8KB)]  
はじめに [PDF(9KB)]  
目次 [PDF(9KB)] 

1. 調査の概要 [PDF(11KB)]
 
  1.1 調査の目的P1
1.2 調査の項目及び内容 P1

2. CDM/JI 事業の承認制度の枠組に関する検討 [PDF(367KB)]
 
  2.1 マラケシュ合意におけるCDM/JI 事業の承認P3
2.2 CDM/JI 事業の承認制度構築に関する先進的取組P6
 2.3 我が国のCDM/JI 事業の承認制度に関する民間企業の意見 P12
2.4 我が国のCDM/JI 事業の承認制度に関する枠組P20

3. 民間事業者が実施するCDM/JI 事業の支援スキームの検討 [PDF(127KB)]
 
3.1 オランダの取組 P27
3.2 世界銀行の取組P30
3.3 その他の先進国の取組 P35
3.4 政府の支援に関する我が国の民間企業の要望P42
3.5 我が国の民間企業が実施するCDM/JI 事業の支援スキームのあり方 P45

4. ベースラインの標準化に関する技術的検討 [PDF(27KB)]
 
4.1 理事会の動向 P55
4.2 PROBASEの動向 P55
4.3 GHG Protocol の動向 P58
4.4 我が国が検討すべき今後の課題等 P60

5. CDM/JI 事業認証試行調査に関する検討 [PDF(13KB)]
 
5.1 我が国の運営組織の育成・能力開発に関する検討 P63
5.2 CDM/JI 事業認証試行調査についてP64

6. 調査のまとめと今後の課題等 [PDF(18KB)]
 
6.1 調査のまとめ P66
6.2 今後の課題等P67

資料編 一括ダウンロード [PDF(624KB)]
 
資料1: CDM/JI 事業に関するアンケート調査 結果報告書 [PDF(207KB)]  
資料2: Terms of Reference ERUPT 2001(仮訳) [PDF(112KB)] 
資料3: Terms of Reference CERUPT 2001(仮訳) [PDF(121KB)] 
資料4: ERUPT ガイドライン(仮訳) [PDF(109KB)] 
資料5: CERUPT ガイドライン(仮訳) [PDF(111KB)]