環境省地球環境・国際環境協力カーボン・オフセットカーボン・オフセットのあり方に関する検討会

カーボン・オフセットのあり方に関する検討会(第4回)議事録

平成19年11月20日(火)
於・ホテルフロラシオン青山「クレール」

開会
議事
  (1)我が国におけるカーボン・オフセットの論点について
     【資料1】
  (2)その他
     ・パブリックコメントの実施について
閉会

開会

○高橋室長 お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから第4回カーボン・オフセットのあり方に関する検討会を開催いたします。
 本日は、小林委員がちょっとおくれていらっしゃるというふうに聞いております。
 それでは、議事の進行を新美先生にお願い申し上げます。

○新美座長 どうも皆さん、こんにちは。だんだん議事も深まって、いよいよきょうはパブコメ案について検討いただくということになりますが、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。

○事務局(平塚) それでは、本日の資料について御確認させていただきます。1枚目に、本日の議事次第としまして「カーボン・オフセットのあり方に関する検討会(第4回)」がございます。1枚めくっていただきまして、資料1「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)(パブリックコメント案)」となっております。本日の資料は1つのみとなっております。資料に過不足等ございましたら御指摘ください。

○新美座長 それでは、よろしいでしょうか、確認いただけましたでしょうか。

(1)我が国におけるカーボン・オフセットの論点について
  【資料1】

○新美座長 それでは、資料1につきまして事務局から御説明をお願いします。

○高橋室長 では、私の方から資料1の「パブリックコメント案」について御説明いたします。この資料については、前回の検討会で「骨子」というものを一度議論いただきまして、その後また各委員からもいろいろ御意見をいただきながら事務局の方で案を作成してきたものでございます。
 まず最初から参りますけれども、はじめにということで、少し序文的なものを書いてございます。IPCCを運用いたしまして、地球環境問題の深刻さ、それから、来年から京都議定書の第一約束期間が始まる。それに続けて我が国は、「2050年までに排出量を半減」ということを提唱しておりますけれども、将来の低炭素社会に向けたリーダーシップを発揮する必要がある。
 そういう中で、あらゆる分野において、市民、企業等がその取り組みを促進するということが大事でありまして、その1つの手法として「カーボン・オフセット」が注目されてきている。サミットとかオリンピックという国際的なイベントでもオフセットが行われたり、いろいろな商品も出てきております。日本でも、「カーボン・オフセット年賀」というものを初めとして、取り組みが始まっているということで、今後大きな展開が期待されるということが書いてございます。
 2ページ目に参りまして、カーボン・オフセットのあり方に関する指針を検討する背景ということを書いてございます。
 最初に、カーボン・オフセットとはということで、この定義、この指針で扱うカーボン・オフセットの範囲を書いてございます。
 定義については、基本的には前回とほぼ同じでございますが、市民、企業等の社会の構成員が、みずからの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量、これを「クレジット」と呼んでおります。を購入すること。あるいは、他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクト、活動等を実施すること等によりまして、この排出量の全部または一部を埋め合わせることをいう、という定義をしてございます。
 別紙の方、きょうは御説明を省略させていただきますが、別紙1の方で最近のEU、米国、豪州等の取り組みの状況を簡単に紹介してございます。
 その後のパラでございますけれども、この定義によりますと、カーボン・オフセットというのは非常に幅広い概念でございまして、政府等が課された目標を達成するために、補足的に京都メカニズムを使うということも含まれるわけでございますけれども、この指針においては、むしろ個人、事業者、自治体等が国民運動や公的機関の率先的な取り組みの一環ということで温室効果ガスの排出削減・吸収を主体的に行うものを対象にするということが書いてございます。
 (2)として、カーボン・オフセットを推進することの意義及び期待される効果ということを書いております。
 第1には、市民、企業等の主体的な温室効果ガスの排出削減活動を促進するということで、具体的には、みずからの温室効果ガスの排出量を認識するということで、その意欲を高める、あるいは排出せざるを得ない部分を埋め合わせるということで、その排出がコストであることを認識する。そういうことによりまして、その取り組みが促進されるということでございます。
 また、最後のところに書いてございますけれども、今後の低炭素社会、大量削減に向けて、カーボン・オフセットというものが「カーボン・ニュートラル」、さらに「カーボン・マイナス」というものにつながっていくような気運を醸成することが期待されると書いてございます。
 もう1つの意義としては、国内外の温室効果ガスの排出削減等のプロジェクトの資金調達に貢献できるということでございまして、このオフセットに取り組むことにより、市民、企業等が資金面で貢献する機会が提供されるということでございます。特に、途上国においては、公害問題の改善と温室効果ガスの排出削減という2つの効果を同時に実現する。いわゆるコベネフィットということでございますが、そういうプロジェクトが大変重要であるわけですが、そういうものについての資金面の貢献が期待されるということでございます。
 次に、(3)としてカーボン・オフセットの課題を整理しております。
 1つ目の課題は、そもそもカーボン・オフセットというのが、まだ我が国では緒についたばかりでありまして、まだ十分理解が進んでいない。まずは認識の向上、それによって取り組みの促進を図ることが課題であるということでございます。
 2番目として、信頼性の確保がもう1つの課題だろうということです。特に、これは先行事例であります英国等においていろいろ問題点が指摘されていることを踏まえて、この指針をつくるに当たっての課題を整理してございます。
 3ページの一番下からございますように、オフセットの対象となる活動に伴う排出量を一定の精度で算定する。あるいは、オフセットに用いられるクレジットを生み出すプロジェクトの確実性・永続性。それから、次のページに参りまして、オフセットに使われるクレジットの削減・吸収量の算定が正確に行われること。それから、オフセットに用いられるクレジットのダブルカウント。同一のクレジットが複数のカーボン・オフセットに用いられないようにするということ。それから、クレジット供給等を行いますオフセット・プロバイダーの活動の透明性と確保。それから最後に、オフセットが、みずから排出削減を行わないことの正当化、いわゆる「免罪符」という言葉を遣っておりましたが、ここでは、行わないことの正当化に利用されるべきではないということでございます。
 そういう課題を踏まえて、この検討会において指針の検討を行ったということでございます。
 次に5ページ、まず指針の目的でございます。今回、この検討会の御指導をいただく環境省として、このオフセットの基本的な指針をつくる策定の目的、意図を少し書いてございます。
 (1)としては、カーボン・オフセットに関する理解の普及ということで、カーボン・オフセットについて基本的な考え方を整理して、その理解を広めていくことが第1でございます。
 (2)として、民間の活力を活用したカーボン・オフセットの取り組みの促進と適切かつ最小限の規範の提示ということでございまして、当面、適切な推進のために必要最小限の規範を示すということで、民間や自治体等の積極的な取り組み、あるいは創意工夫を促していこうということでございます。
 ここにございますように、企業、NPO等のビジネス・民間ベースの活力が大変重要であるということでございます。また、オフセットについては、商品・サービスと一体のものとして市場を通じて広く第三者に流通するものから、自治体、NPO等の取り組みとして市場は通さずに特定者間のみでオフセットを実施する。そういうものも含めて非常に幅広いものが出てきているということで、その幅広い積極的な取り組みが期待されている。こういう動きを拡大しながら、オフセットの信頼性を確保するよう、バランスのとれた規範、ルールが必要だろうということが書いてございます。
 (3)として、信頼性の確保でございます。繰り返しになりますが、オフセットの取り組みは、市場を通すもの、それから特定の間、関係者の間のみで実施されるものもいろいろありますので、その態様に応じて、信頼性の確保に必要となる取り組みやレベルが異なってきますけれども、適切な基準の設定等によりまして信頼性を確保することが重要である。
 特に、市場を流通するクレジット、あるいは商品・サービス等を用いたオフセットについては、カーボン・オフセット関連市場の健全な育成が必要だろうということであります。具体的には、6ページにございますような、[1]オフセットの対象となる排出量の算定、[2]排出削減・吸収量の確実性や永続性の確保、[3]ダブルカウントの防止、[4]取り組みの透明性といった課題を解決し、信頼性を高めることが重要であるということでございます。
 (4)として、カーボン・オフセットの取り組みを促進するための基盤の確立ということでございます。これも特に、市場を通していくようなオフセットの場合に重要になるわけでございますが、非常に関係者は多くなるということで、信頼性の確保が大事だということで、公的機関も含めた取り組みが必要である。具体的には、クレジットの第三者認証システムの構築、オフセットを埋め合わせする手続、クレジットのダブルカウントを防ぐための管理簿(レジストリ)の整備、カーボン・オフセットの実施に際しての透明性の確保、カーボン・オフセットを実現する商品・サービスの認定システムの構築等について取り組みが必要である。そういう方向性も、この指針の中では示していこうということでございます。
 7ページ目から具体的な指針の中身に入るわけでございますが、3として、我が国におけるカーボン・オフセットのあり方についてということでございます。
 まず最初に、(1)としてカーボン・オフセットの基本的要素と類型ということで、定義はここに書いてありますが、さらに具体的なタイプ、要素というものを書いて、カーボン・オフセットとはどういうものかということをもう少しわかりやすく示していこうということでございます。
 基本的な要素を一応4つに分けてございますが、[1]みずからの行動に伴う温室効果ガスの排出量をまず認識する。その次に、[2]個人・企業等による排出削減努力の実施をする。[3]として、それによっても避けられない排出量の把握をする。[4]として、その避けられない排出量の全部または一部に相当する量を、他の場所における排出削減量・吸収量によって埋め合わせをする、いわゆるオフセットをする。
 こういう要素に一応分けられるだろうということで、これらの要素ごとに必要な事項を指針として示していこうということでございます。
 次に、カーボン・オフセットの主な類型、タイプ分けということでございます。まず大きく2つに分けしておりまして、[1]としては、市場を通じて広く第三者に流通するクレジットを活用したカーボン・オフセットである。もう1つが、市場を通さずに特定者間のみで実施されるカーボン・オフセットということで、先ほどの前半にも出てまいりましたけれども、こういう2つのタイプに大きく分けて考えていこうということでございます。
 まず最初に、市場を通じて第三者に流通するクレジットを活用したカーボン・オフセット(市場流通型)について書いてございます。
 この市場流通型については、一応3つのタイプに分けてございまして、1つは商品使用・サービス利用型ということで、個人、企業等が商品・サービスを利用する。その際に排出される排出量をオフセットしていくということで、具体的にはこの商品・サービスとあわせてクレジットを購入するということで、オフセットを行うということでございます。この商品・サービスの購入は任意で行われるということで、具体的には家庭やオフィスのクレジットつきの電気製品等を購入やリースということが考えられるわけであります。
 8ページ目の一番上に、この場合の流れをポンチ絵で書いております。
 それから、2)として会議・イベント開催型オフセットということで、国際会議、コンサート、スポーツ大会の主催者がその開催に伴って排出される温室効果ガスをオフセットするということで、費用はこのイベントの主催者、その参加者が負担する。これは会議、イベント等での電気使用や出席者の移動等による排出量のオフセットというものがあるわけでございます。
 3)番目の市場流通型として、自己活動型オフセットという名前をつけておりますが、これは個人、企業等が、みずからの活動に伴って排出される温室効果ガスをクレジットを購入することによってオフセットするということで、当該個人、企業等が費用を負担する。典型的な例は、企業が本社ビルの電気使用等に伴う排出量をオフセットするという取り組みが行われてきているわけでございます。
 こういう3つのタイプに分けて整理してございますが、いずれにしても、こういうオフセットを実施する際のクレジットの提供であるとか、カーボン・オフセットの取り組み自体の支援、一部を代行して行うようなサービスを行うものとしてオフセット・プロバイダーというビジネスも出てきているということが書いてございます。
 それから、大きな2つ目のカテゴリーとして「特定者間完結型」という名前をつけておりますが、市場を通さずに特定者間のみで実施されるカーボン・オフセットというものがあります。この場合には、オフセットの対象となる排出量の目安については、市場を通してクレジットを購入することではなくて、別途みずから排出削減・吸収活動を行うとか、あるいは別の人が排出削減・吸収したものを直接購入するということで、顔の見える範囲でやりとりが行われるということでオフセットを行うということでございまして、自治体、NPO等いろいろな取り組みが出てきているわけでございます。そういうものが期待されるというものでございます。
 その場合のポンチ絵を書いてございます。特に、後から出てまいりますが、ほかの場所で行われた排出削減・吸収活動による吸収削減量については、確認という形で行うということが書いてございます。
 こういう大きな分類を踏まえて、この指針をどう適用していくかということについて9ページの下の方に書いてございますが、基本的には、市場を通じて行う最初のタイプ、市場流通型については多くの方が絡んでくるということで、信頼性の確保が大変重要だということで、この後出てくるいろいろな指針の内容については、それを適切に適用することによってカーボン・オフセットの信頼性を確保することが大変重要だということが書いてございます。
 そういうことで基本的にはこれ以降の記述は、特に(3)以降の記述については、市場流通型を想定書いております。ただ、[2]の特定者間完結型については、この指針を厳密に適用するということではなくて、基本的な考え方を参考にしていただきながら、柔軟に適用、運用していただくことが適当ではないか。その際にオフセットを進めようとする企業、自治体、NPO等の意欲や創意工夫を十分活用しながら、オフセットの取り組みの信頼性が確保されるよう適切に配慮される必要があるだろうということが書いてございます。
 次に9ページの一番下、(2)から具体的なオフセットの中身に入ります。まずはオフセットに先立って、オフセットする人が温室効果ガスの排出削減努力をしましょうという部分でございます。
 10ページからになりますが、オフセットする主体の排出削減努力の実施ということです。これはどういうふうに実施するかについては、基本的には自主的、主体的に決めていくということでございます。いずれにしても、その趣旨からして、みずからの排出量を認識した上で、可能な限り排出削減努力を実施していただくことが望ましいということでございます。
 ただ、この後段にありますように、特に商品・サービスタイプのものですね、非常に不特定多数の人がそういうものを買う場合には、それぞれの人がどこまで排出削減努力をしたか確認することが難しくなりますので、そういう場合には、むしろ供給サイドが消費者に対してオフセットの趣旨、排出削減努力の重要性を伝える、そういう啓発を積極的に行うことが重要だろうということが書いてございます。
 それから、排出削減努力の実施に際しては、みずからどのぐらい温室効果ガスを排出しているかをわかりやすく認識することが大事でございまして、いわゆる温室効果ガスの排出量の「見える化」が大事だということで、そのための特に標準的な算定方法とか情報、「見える化」情報を市民、企業等に提供することが大事である。そういうものを踏まえて、市民、企業は排出削減の手法を選ぶということでございます。
 また、排出量だけではなくて、どういう排出削減をすればどれだけ減るかということについても、排出削減手法の明示ということで周知することが必要だということが書いてございます。
 それから、(3)としてカーボン・オフセットの対象とする活動からの排出量の算定方法、カーボン・オフセットの対象をまず明らかにするというプロセスでございます。
 まず対象となる活動の範囲、バウンダリというものを決める必要がある。これも基本的にはオフセットする方が主体的に選ぶということですが、趣旨からすれば、なるべく広く取ることが望ましいということですが、実際には状況にあわせて柔軟に範囲を設定することが書いてございます。
 その場合に、具体的な事例を踏まえて、公的機関がそのタイプごとに、どういうものを対象にしてオフセットをやったかという具体的な事例を示すことも有効だろうということで、ここでは1例として、グレンイーグルズのサミットにおいてどういうことが行われたか。参加者の移動、会合に伴う排出、宿泊に伴う排出、廃棄物に伴う排出、そういうものがオフセットされたということが事例として簡単に書いてございます。それから、対象となる排出量の算定に当たっては、信頼性を確保するという観点で、公的機関が基本的かつ簡易な手法を提示することが有益ではないかということも書いてございます。
 次に(4)に参りますけれども、カーボン・オフセットに用いられる排出削減・吸収量、いわゆるクレジットについての基本的な事項でございます。
 まず、オフセットに用いられるクレジットの性質ということで、信頼性の確保の観点から、そのクレジットが確実な排出削減・吸収があるということ、それから吸収の場合その永続性が確保されているということ、それから同一のクレジットが複数のカーボン・オフセットに用いられることがない、こういう一定の基準を満たすことが信頼性の確保の観点から必要であるということであります。
 したがいまして、その基準を満たしているかどうか第三者機関による認証が必要であるということ。それから、第三者機関、基本的には民間機関が認証することになると思いますが、第三者機関の能力等について、公的機関が確認する仕組みも必要ではないかということが書いてございます。
 そういう一定の基準を満たすクレジットについてどういうものがあるかということでございますが、現時点では、1つは京都議定書に基づく京都メカニズムのクレジット、CDM等のクレジットがある。それから、環境省が2005年から実施しております自主参加型の国内排出量の取引制度、以下「JVETS」というふうに呼んでおりますけれども、そこで用いているクレジット、これはいずれも第三者による認証が行われているものであるわけです。
 それ以外にも、VER(Verified Emission Reduction)という一定の基準を満たすクレジットがあれば、これを用いることができるだろうということでございます。この一定の基準については、内外、特に欧米でもVERのいろいろな基準が検討されておりますので、そういうものも参考にしていく必要があるだろうということでございます。
 それから、クレジットの管理ということで、いわゆるダブルカウントを防止するための方策が次に書いてございます。
 12ページでございますけれども、京都メカニズムクレジット、京都議定書に基づくクレジットについては、議定書に基づいて国別登録簿という電子システムが加盟国で整備されています。これによりまして、二重記録というのが防止されているシステムがあるわけです。また、環境省が実施しているJVETSもそうでございますし、欧米のVERについても同様の電子システムの整備が進んできている状況があるわけでございます。そういう状況も踏まえながら、公的機関等が必要な基盤整備を行うことが必要だろうということが書いてございます。
 次に、クレジットを用いて実際のオフセットをする場合の手続のことが書いてございます。オフセットの手法ということで、これは実質のオフセットの対象となる排出量に相当するクレジットを埋め合わせる場合の手続ということで、ここでは「無効化」という言葉を遣ってございます。そのクレジットがほかに転売されたり、ほかの活動に用いられることがない、そのオフセットにきちんと用いられたということが確認されるように、管理されたシステムの上で、使ったクレジットを無効化する手続が必要になってくるだろうということでございます。
 この場合も、例として京都議定書に基づく京都メカニズムのクレジットを用いて、国別登録簿で償却という手続を行いますと、日本の場合には6%の目標達成に直接寄与することも可能になることが書いてございます。
 それから、次にオフセットが実現されるまでの期間ということでございます。この上で言いました、いわゆる「無効化」という手続を行う主体は、オフセットのタイプによってさまざまでありまして、オフセットをやった人自身であったり、そのクレジットを提供したプロバイダーであったり、あるいはオフセット商品・サービスを提供した供給者であるわけでございますが、いずれの場合においても、信頼性の確保という観点からは、オフセットの対象となる活動の排出があった時点、あるいはサービス・商品が購入された時点から一定期間のうちに、クレジットを実際に無効化するということで、カーボン・オフセットを実現する必要があるということであります。
 どの程度の期間内に無効化を行うべきかについては、基本的にはできるだけ早く、直ちにクレジットを無効化することが望ましいんですが、現時点では、オフセットに使うクレジットの流通量が限定的であることもございまして、直ちにこれをやれということにすると、オフセットの取り組みが広がることが阻害されるという指摘もありますので、当面は、遅くとも半年から1年ぐらいのうちにオフセットを実現する、無効化を実現することが望ましいのではないということでございます。
 ただ、例えばオフセットによってプロジェクトの資金を調達し、そういうものを使ってプロジェクトを行っていくタイプの場合には、若干時間がかかることもあり得るわけでございます。そういう場合に、オフセットが完結するまでの期間の資金の管理であるとか、それに参加している市民、企業に対する説明、情報、報告責任が必要だということが書いてございます。
 それから、(6)としてカーボン・オフセットの実施に際しての透明性の確保ということで、これも信頼性の確保の一環でございますけれども、実際にカーボン・オフセットを購入した消費者等に対して、商品の中身を含めて十分な説明が必要だろうということでございます。こういう説明責任は、オフセットのプロバイダーであったり、商品・サービスを提供する者であったりするわけですが、その役割に応じて情報提供の範囲も変わってくるかと思います。オフセットの対象となった活動の範囲とか、実際の対象活動からの排出量、オフセットに用いるクレジットの量、商品・サービスの内容、クレジットを生じたプロジェクトの内容や結果、実際のオフセットが実現する、先ほどの無効化ですね、そういうものが行われるまでの期間、関連事業の収支等、必要な情報を公開することが求められるだろうということでございます。
 その辺のどういう情報を公開する必要があるかという基準についても、公的機関が検討・策定する必要があるのではないかということでございます。
 それから、(7)としてカーボン・オフセットに関する第三者認定とラベリングということでございます。先ほどはクレジットそのものの認証について書いてございましたが、この部分はクレジットを実際に用いたオフセットのサービス・商品、あるいはイベント等のオフセット、そういうオフセットの取り組み全体の信頼性確保のための第三者認定ということで、この指針に書いてあるような各事項に関する一定の基準を満たしていることについて、第三者より認定を受けていることが望ましいのではないかということで、その認定の基準についても公的機関が検討する必要があるだろうということでございます。
 それから、それに関連しまして、ラベリングということで、上に述べたような第三者認定を行った場合には、その認定を受けたことを示すラベリングを行えることが望ましいのではないか。これによって、さらに信頼性が確保されるのではないかということでございます。そのラベリングについても、基準、あり方の検討が必要だろうということでございます。
 (7)まで述べてきたところで、いろいろな基準とか認証、認定が出てきておりますけれども、そういうものの必要な基準、手続等については、速やかに検討して意見を募集した上で公表することが必要だろうということが書いてございます。
 最後に14ページでございますが、我が国におけるカーボン・オフセットの取り組みの支援ということで、カーボン・オフセットの取り組みはまだ緒についたばかりということで、13ページまでの内容でもいろいろな指針、基準、あるいは削減手法、算定方法の提示ということがいろいろございましたけれども、それに加えて、公的機関の支援がいろいろ必要ではないかということで3つほど書いてございます。
 1つは、カーボン・オフセットに関するプラットフォームの創設でございます。いろいろなカーボン・オフセットについての情報交換、あるいはニーズ、需要と供給のマッチング、いろいろな取り組みをお互いに共有する、そういうことのためのプラットフォームが有効ではないかということでございます。
 もう1つは、カーボン・オフセット事業モデルの公募・表彰ということで、今でもいろいろな立場の方が、カーボン・オフセットの新しい取り組みを考えていろいろ提案されてきているわけでございますけれども、そういういろいろなアイデアを公募して、その中から優秀なものを表彰することを行うことによりまして、カーボン・オフセットの取り組みの広がりが期待できるのではないか。優れたものが推進できるのではないかということでございます。
 3番目として、カーボン・ニュートラルの推進とございます。排出されるものをすべてオフセットすれば、いわゆる「カーボン・ニュートラル(炭素中立)」という言葉がございますが、そういう状態になる。そういうことを目指す自主的な取り組みを促進する。一種の運動として促進することによりまして、カーボン・オフセットの取り組みを広く社会に浸透できるのではないかということでございます。
 最後に、その他として、この指針の内容については、国際的な動き、市場の動きとか諸外国の基準の策定状況を踏まえながら、適宜見直しを行っていくことが望ましいということでございます。
 その後は、別紙1は、先ほど最初に申し上げましたように欧米等のオフセットの動きということで、これは御説明は省略させていただきます。
 以上でございます。

○新美座長 どうもありがとうございました。
 ただいま御説明いただきましたパブリックコメントの骨子案をこれから議論していただきたいと思いますが、議論の進め方としては、章立てに従って御議論していただく方が便宜かと思います。もちろん行ったり来たりすることは多少ありますが、次のような進め方で5つぐらいに区切って、一まとまりずつ議論していただきたいと思います。
 第1番目のテーマは、1ページから6ページにかけてでございますが、1の指針の背景、2の指針算定の目的についてというところを一まとまりにしたいと思います。
 それから、第2番目のテーマとしては、3の(1)から(3)でありますが、我が国におけるカーボン・オフセットのあり方についてのうちの定義から算定方法について、7ページから11ページにわたってであります。
 それから3番目のテーマは、3の(4)でオフセットに用いるクレジットについてということで、11ページから12ページにかけてであります。
 それから、4番目のグループが3の(5)から(7)です。オフセットの手続から第三者認証について、12ページから13ページにかけてです。
 最後、4番目のオフセット取り組みへの支援のあり方について、14ページになります。
 その5つのテーマに従って御議論をいただきたいと思います。
 では、最初に第1のテーマについて、1ページから6ページに関連してですが、御意見がありましたらどうぞお願いいたします。
 末吉先生。

○末吉委員 1ページの上から3行目なんですけれども、「人間活動によってもたらされたことがほぼ断定されており、長期的には」と書いてあるんですけれども、この「長期的には」というのは省けないものなんでしょうか。

○新美座長 「長期的に」というのは、必要性は特にないですね。

○末吉委員 というより、印象的に早期に早く減少に持っていく、速やかにというのが多分これの趣旨だと思うんです。ですから、余り長期的に時間をかけてという雰囲気が出ない方がいいような気がいたします。

○新美座長 この「長期的に」というのを削ることについて何か問題はありますか。
 特にないですかね。私もその方がよろしいかと思いますので、そのように修文させていただきます。
 あとほかに御意見ございましたらお願いします。
 信時さんお願いします。

○信時委員 灰色の網かけのところが幾つかあるんですけど、例えばオフセット・プロバイダーというのは、どういう定義をするかというのは、この資料の前に何か渡されるんでしょうか。その認識をあれして。

○高橋室長 ちょっと説明を忘れましたけれども、この網かけになっている単語については、一番最後にありますが、用語集をつくることにしておりまして、その用語集の対象とになる言葉について網かけをつけております。

○新美座長 それは準備中、入れる予定ということですね。
 ほかにございましたら。
 末吉さんお願いします。

○末吉委員 実際には9ページにもかかわるところなんですが、5ページに、市場を通じるやつとそうでないやつとの2つに分けているわけです。全体が今回の指針は市場を通じることがメインになっていて、市場を通じないものについては、できる限り信頼性の確保では市場を通じるものに準ずるようなことが、9ページに書いてあるんですけれども、これは信頼性の確保も含めまして、この全体で言われていることをもっと、この言葉で言えばあれですか、特定者間完結型についても、広くカバーできるようなところを、もっと早い段階か最後かで何か言った方がいいような気がするんです。
 この特定者間と言っても、恐らく参加者が不特定多数で、ごく一般の人も含めて参加するビジネスモデルだってたくさん出てきそうですよね。とすると、市場を通じるから参加者を守るんだと、市場を通じないのはできるだけビジネスモデル等の自由さ、柔軟性を尊重するんだと。それはそれでいいと思うんですけれども、ただ、仕組みのあり方とか、クレジットの信頼性とか、やる当事者の信頼性等についても、全体について何となく同じような考え方で当たってほしいんだというのは、ちょっと言っておいた方がいいような気もするんです。問題が出るとしたら、この辺から何か出てきそうな気もしますので。

○新美座長 一応説明では、準ずるということであるんですが、もう少し個別具体的に、この点とこの点とこの点はきちんとした確認をしておけという趣旨ですか。

○末吉委員 9ページにはっきりと書いてあるんですね。ですから、この指針の中にあるからこれはこれでいいと思うんですけれども、ただ、9ページの部分は少し小さな範囲のことに限られているものですから。もっと全体の仕組みも含めて、市場流通型の考え方を踏襲するんだということが全体のところで何か出ないのかなという趣旨であります。

○新美座長 どうぞ。

○高橋室長 表現が不十分かもしれませんが、基本的にはそういう考え方で書いているつもりでございます。文言はもう一回工夫いたしますけれども、趣旨としては、9ページの一番下に書いてありますように、この指針全体を通して、市場を通さない2番目のタイプのものについても、この指針の基本的な考え方を参考にして柔軟に運用してくださいということでございます。もう少しそこははっきりするように文言を工夫したいと思います。

○新美座長 総論部分で今のところをはっきりさせるという趣旨ですね。

○末吉委員 できればですけれども。

○新美座長 わかりました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 仲尾さんお願いします。

○仲尾委員 ちょっと細かくなるかもしれませんが、6ページで、(4)の「カーボン・オフセットの取り組みのうち」とあって、重要な項目として[1]から[5]まで挙げているんですが、「クレジットの第三者認証システムの構築」というのは、どこかのスキームがあって、その中で検証みたいなものがなされてクレジットが発効するという、そのことをおっしゃっているんですよね。

○高橋室長 基本的には既存のものもございますし、これから新しくできるものも含めてそういう第三者認証システムを、いろいろな基準に基づく認証というものがあると、そういうものを利用するということでございます。ただ、国内的には認証機関を概算としているかどうかの確認は必要ではないかということも書いてございます。現時点でそういうものが全部できているかというと、まだ不十分な点があるのではないかという認識はございます。

○仲尾委員 ということは、クレジットの第三者認証ではなくて、プロジェクトの第三者認証ということですよね。

○高橋室長 クレジットの信頼性、確実性の認証と。プロジェクトから生じるクレジットですから、実際にはプロジェクトの中身をチェックすることになると思います。

○仲尾委員 そうですよね、プロジェクトを審査して、その結果出てくるクレジットという意味ですね。

○高橋室長 そうです。

○新美座長 ほかにございますでしょうか。
 一方井先生お願いします。

○一方井委員 6ページのところで、下から2行目に「公的機関も含めた取り組みが必要である」と。この後も「公的機関」というのは何回か出てきますが、その公的機関とするときには何を意味するのかというのがちょっとわからなかったので、教えていただけますでしょうか。

○高橋室長 基本的には政府、行政機関が想定されると思います。

○新美座長 よろしいでしょうか。
 それでは、明日香さんお願いします。

○明日香委員 まず最初は非常に細かいところなんですが、1ページ目の下から2段目、「欧米ではカーボン・オフセットを組み込んだ」とありますが、オーストラリアもかなり普及しているみたいなので、欧米だけではないのかなと。
 2つ目なんですが、2ページの下から5行目あたりぐらいで、「カーボン・オフセットから「カーボン・ニュートラル」」と。カーボン・オフセットとカーボン・ニュートラルを別々に違うように書いてあるんですが、これは私もどう違うかわからないので、教えていただければと思います。
 あと3ページの上の方で、2段目のところでは、途上国での排出削減に貢献する意義が書いてあると思うんですが、国内での低コストでの削減機会を深掘りするなり、そのような実現に貢献するというのも、ここで入れてもいいんじゃないかと思います。
 以上です。

○新美座長 まず、最初の点について。

○高橋室長 オーストラリアの点は、入れるようにいたします。それから、カーボン・オフセットとニュートラルの違いですが、カーボン・オフセットについては、定義のところで述べておりますように「排出量の全部又は一部」ということなので、ニュートラルまで行かないオフセットというのも含めておりますので、そこはちょっと書き分けたということでございます。
 それから3番目の点は、こういう趣旨も入れるように工夫したいと思います。

○新美座長 よろしいでしょうか。
 後でまた出てくるかもしれませんが、とりあえず1のテーマについてはこれくらいにして、次に2のテーマの方に移りたいと思います。具体的には3.の(1)から(3)まで、7ページから11ページまでですが、どうぞ御意見をお願いします。

○信時委員 すごく細かいことで申しわけないんですけど、7ページに[1]、[2]、[3]、[4]とあるんですけど、[3]番の「[1][2]によっても避けられない」というところですが、これは[1]もあるのか。[1]をやって[2]を行くという順番なんだと思うんです。[1]は基本だとして、[2]をやっても避けられないものということかなと思ったんですけど、そこはどんなものでしょうか。

○新美座長 プライオリティーをつけて書けないかということですか。

○信時委員 [3]番のところは、[2]によっても避けられないということでいいのかなと思ったんです。

○新美座長 [1]は特に書く必要はない。

○信時委員 当然やるべきということであってという、その辺は認識があると思います。

○新美座長 認識。

○信時委員 [1]、[2]の順番でやってその上で[3]に行くという、そういうことだと当然思うんです。

○高橋室長 [1]と[2]両方必要だということで、ここに書いているという趣旨かと思います。

○信時委員 まあいいです、それは。

○新美座長 排出量と削減量をそれぞれ認識しましょうということだと思うんです。その上で足りない部分についてはオフセットでという理解だと思いますので、もうちょっとここは表現の方法を考えてもいいかもしれませんが、趣旨としてはそういう趣旨だと思います。今の信時さんの指摘を受けた上で、もう少しニュアンスが出るように考えたいと思います。
 あとほかに御意見ございましたらお願いします。
 明日香さんお願いします。

○明日香委員 確認なんですけど、オフセット年賀状みたいなものというのは、どれにカテゴライズされると考えればいいんでしょうか。

○高橋室長 オフセット年賀状については、年賀状を出したり配達したりすることに伴う排出量ではなくて、年賀状を買った人が、みずからの生活に伴うものの一部をオフセットするという考え方だと理解しておりますので、そういう意味ではこの中で強いて分類するとすれば、(3)のものに入るのではないかと思います。

○明日香委員 僕もそれでもいいと思うんですが、人によっては寄附型のという言葉を遣う人もいる。寄附という言葉は余り私も好きではないんですが、そういうふうな言い方もあるのかなとちょっと思いました。

○新美座長 そのときは、どこへの寄附だと普通考えているんですか。受け手が必要ですよね。

○明日香委員 年賀状の場合は日本政府への寄附なのかもしれませんけれども、それは多分だれでもいいのかもしれません。多分払う方としては寄附に近いような、宝くじではないと思いますけど、寄附に近いような形でもしかしたら年賀状を買うのかなという気はしました。

○新美座長 そうすると今のは寄附だということになると、オフセットされる側が必ずしも特定されないように思うんです。むしろどちらに入るかというのは、何をオフセットの対象にするかによってどうも名前が違うような気がするんです。ですから、自己活動型だとすると自分がオフセットして、それを年賀状で多数にということになると思うんですが、寄附型だと何をオフセットするのか。

○明日香委員 一般的にはブレンドされる商品なので、何がというのも特定しにくいのが現状なのかなと思います。特に1つそういう項目をふやす必要はないかもしれませんが、多分そういう商品はこれから出てくると思いますので、何らかの検討はあった方がいいかなということです。

○新美座長 そういう意味ではこの3つのタイプがあるけど、ミックスしたり亜流があったりということはあり得るということですかね。それはちょっと表現の、これは典型例として出しておくということですね。
 小林さんお願いします。

○小林委員 おくれてきてどうも済みません。途中からの議論参加でピント外れがあるかもしれないので、お許しください。
 8ページの図1なんですが、商品使用・サービス利用型オフセット、これは1つの事例として書いているということなんですけれども、この場合、温室効果ガスの排出削減・吸収プロジェクトがある。これは民間の第三者機関による認証を取る。一方、商品・サービスを提供する企業等のプロセス、これも第三者の認定を取る。それでこの間にオフセット・プロバイダーというのが入っておりますが、必ずしもオフセット・プロバイダーが入らなくてもできることはあるんじゃないですか。サービスを提供する企業等のプロセスが排出削減もしくは吸収プロジェクトを直接やるということ、何もプロバイダーを通さずにやることはあると思うんです。むしろそういうケースの方が多く出る可能性があるんじゃないかと思うんですが、いかがなんですか。

○高橋室長 そういう場合もあり得るかと思います。これは一事例ということなので、プロバイダーを介したものを書いておりますが、直接サービスを提供する企業がクレジットを調達したり、場合によっては直接CDMプロジェクトに参加することもあり得ることかと思います。

○新美座長 ほかにいかがでしょうか。
 一方井さんお願いします。

○一方井委員 8ページです。また質問で恐縮ですが、会議・イベント開催型オフセットとのところで、費用は主催者または参加者が自己負担と書いてあります。先のサミットとかワールドカップが具体的にどういう形で行われたかわかりませんが、主催者が一義的に負担し他場合でも、例えばFIFAの場合それは入場券という形で、消費者というか来る人に費用が転嫁されている場合も当然あると思います。その主催者が例えばサミットの場合などは、恐らく国が全部負担するのだろうと思いますが、そのときには参加者は特に負担感はなく、オフセットが行われるということでもいいわけですね。

○高橋室長 これは今おっしゃられたようにケースバイケースでいろいろな例があるかと思います。たしかワールドカップの場合には、主催者といっても協賛企業等も含めて出したと思いますので、そういう意味では主催者の工夫によって、その辺は幅広く資金を調達することもあり得るかと思います。

○新美座長 よろしいでしょうか。
 それでは、末吉さんお願いします。

○末吉委員 7ページの先ほどちょっと話題になった[1]、[2]、[3]のところなんですけれども、みずからの行動とか自己活動という言葉なんですが、そもそもこの指針をだれが読むのかなと思いながら質問しているんですけれども、みずからの行動というのを、もっと実感のわくような表現というのか、あるいはどこかで説明できないですか。私の理解では、ごく普通に一般の国民が毎日の日常生活をする中で出るCO2をよく認識して、それを何とかオフセットできないのかなというのが個人における最大のターゲットだと思うんです。何か特別な行動をしてというだけではなくて。ですから、みずからの行動、あるいはみずからの温室効果ガスの排出量を認識しというのは、企業と個人を一緒にしているから多分難しい表現になっていると思いますので、ごく普通の人が読んで、あ、自分のこういうことかというのが想像できるような例示を挙げるか、言葉の遣い方を少し工夫していただければと思います。

○新美座長 名あて人を意識して、もう少し書き直した方がいいということですね。
 それでは、仲尾さんお願いします。

○仲尾委員 私も同じようなことを実は思っていまして、キーポイントは、国民挙げてライフスタイルを見直そうよというところが最初だと思うんです。十数年前にあったリサイクルのときも、リサイクルするのが最初の目的ではなくて、ごみを減らそうよというのがたしか最初の目的だったんですけど、どこかで間違えちゃって、リサイクルをすることが目的になったような時代もありましたので、同じ轍を踏まないためにも、カーボン・オフセットが最初ではなくて、キーワードは、低カーボン社会に向けてライフスタイルを見直そうよというのが多分最初だと思うんです。ですから、それをどこかに入れてほしいなというのがあります。

○新美座長 非常に大事なことですね。手段であるということを、どこかで常に自覚するようにということですね。
 加藤さんどうぞ。

○加藤委員 確かにほかの委員の先生方もおっしゃるように、この指針を読むときに、個人が読むのか、企業が読むのかについて、多分かなり印象が違うのかなと思います。企業は企業として多分、細かい割と技術的な算定の方法も今後用意されるんじゃないかと思っていますし、JVETSなんかでもある程度の経験はあるかと思います。なので、基本的には既存で使っているものをできるだけ活用する方が現実的ではないかと思っています。
 それから、国民、個人一人一人のものについても、この場ではなかなか出てきませんでしたけれども、環境省さんが別にやっている国民運動の中では、かなりデフォルトというか、簡単に示せる値というのは随分たくさんあるように思うんです。できるだけそういうものとそごがないようにというか、そこを活用するのがかなり現実的な早く取りかかれるラインなんじゃないかと私は考えています。

○新美座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見。
 末吉さんお願いします。

○末吉委員 今のことで申し上げた8ページと9ページは同じ例示ですよね。この会議・イベントと。だから、この例示にもう少し生活感の出る、日常の消費のことなんかを一つ入れると雰囲気がまた出るんじゃないないですか。

○新美座長 そうですね、うまい例が出せればということで。
 ほかにございますでしょうか。
 小林さんお願いします。

○小林委員 先ほどから出ている、この指針をだれに向かって発信するかということで、私は企業もさることながら、広く国民といいますか、多くの人々に知ってもらうことが大事であろうと思います。末吉さんがおっしゃったように、この事例の中に、実際に自分たちの生活の中で何ができるかという事例を入れた方がいいと思います。それは幾つかの事例はあると思います。日常生活もあるし、旅行する場合のこともあるし、そういうのを入れればどうかと思います。
 それから、さっきに戻って恐縮なんですけれども、2ページの終わりから、プロジェクトの資金調達への貢献、これはここのところを入れて有意義な項目だと思うんですけれども、3ページの上から5行目ぐらいのところに、「特に、途上国においては」云々というのがありまして、その中で、カーボン・オフセットでは森林、植林ということが大事なポイントで出てくるはずですので、ここではどっちかというと公害に焦点を置いているんですが、公害問題の深刻化とともとに自然環境の劣化とか、これは森林も含めてですけれども、自然環境もここに入れればいいと思います。そうなると、公害問題の改善と温室効果ガスの排出削減といった2つの効果、これはこれでいいと思いますが、それに自然環境も入れるべきだと思います。それは例として森林でもいいですし、表現法はいろいろあろうかと思います。

○新美座長 ほかにございますでしょうか。
 一方井さんお願いします。

○一方井委員 どこで発言すればいいのかちょっとわからなかったので、ここで発言させていただきます。前回の委員会で末吉委員から、全部または一部というカーボン・オフセットのあり方について、どこに重点を置くべきかというような御発言もあったかと思いますが、今回は、カーボン・マイナスまで行くべきだということまでしっかり書かれています。基本としては、なるべくカーボン・ニュートラルの方に重点を置いて全体を運用していくべきだと思うんですが、何となく淡々と「全部または一部」と書いてあると、じゃあ5%ぐらいでもいいのかなという印象がどうもあります。
 いずれにしても、どれぐらいのオフセットがなされるかということについては明記する、という話は後の方だと思いますが、その基本となる考え方として、なるべくニュートラルに近づけるべきだということを書くべきなのか、それとも最初の普及のことを考えると余りそこまでは言わない方がいいのかと、そのあたり問題提起をしたいと思います。

○新美座長 どうですか、今の点は。

○高橋室長 その辺については、現時点ではオフセットを広めていくという意味では、ニュートラルにしろということを義務づけるというか、それがオフセットなんだというふうに言ってしまうのはなかなか難しい、そこまでやるのは無理なものもございますので、一部でもオフセットすることに意義があるのではないかということで、定義としてはこういう。一応全部を先に書いているので、一部または全部、全部または一部ということなので、多少そのニュアンスはあると思いますけれども、両方含めてオフセットということで書くのがよろしいのではないか。オフセットの中身によって、どの程度の割合がオフセットできるかというのは差があるかと思いますので、そういう形にしています。
 ただ、一番最後の支援のあり方のところで、カーボン・ニュートラルの運動を推進していくということで、少しおっしゃったような趣旨は入れたつもりでございます。

○新美座長 加藤さんお願いします。

○加藤委員 同じ点に関してですけれども、例えば商品化のオプションとしては、全部だけに限ってしまうとなかなか広がりがないものもあるかもしれないですし、正直クレジットの供給量がどれくらいあるかというのも今の時点でわからないので、一部であってもそれは喜ぶべきかもしれないというのが私の意見です。
 ただ、一方井委員の方からもお話がありましたけれども、じゃあどれだけオフセットしたのかという情報については、後で議論になるかと思いますけれども、きちんとトラックできるような、もしくはある程度プロバイダーさんが責任を持つようなシステムというのはつくった方がいいかなと。実際にオフセットする個々人なり企業の方々がちゃんとわかって購入することが重要かと思っています。

○新美座長 それでは、2番目についてもあろうかと思いますが、時間の都合もありまして、3番目のテーマ、3の(4)ですね、11ページから12ページ、オフセットに用いるクレジットについて御意見をいただきたいと思います。
 ここでは、とりあえず念頭にあるのはCDMとJVETSと、それから各国で開発されているVERと3種類が当面の念頭にあって、それに準ずるものが国内でもできれば、それはそれでクレジットとして扱いましょうということが提案になっているんですが、これらについて御意見がありましたらお願いします。
 一方井さんお願いします。

○一方井委員 これも質問ですが、1つ目の京都メカニズムの方は、CERという既に発行されたものということで非常にクリアですけれども、3番目のあたりはどうでしょうか。まだ正式に認定されていない先物取引みたいな段階のものでもある程度認定が確実なものとして、ここでVERで認証されたものとして出回るということは当然考えられますでしょうか。

○高橋室長 基本的には、後でもございますオフセットされるまでの期間が、ある程度一定期間内で半年なり1年以内でやろうということになりますと、先物というのは現物が出てくるようなもの、そういう現物が出るような状況、システムができ上がっているものが対象になるということだと思います。先物ということになりますと、オフセットが完了するまでの期間が相当長くなってしまいますので、余りここでは想定していないと思います。

○新美座長 それでは、加藤さんお願いします。

○加藤委員 少し派生的な質問かもしれませんが、後で透明性の確保等のところにも関係するかもしれませんが、クレジットの種類が幾つかあったとして、どの種類のクレジットを使うかということも情報として提供しなければいけないかというのは、できればどういうふうに考えているか、議論できればと思っています。

○高橋室長 基本的にどういうクレジットを使うかは、オフセットをやる商品を開発したり、オフセットする主体が選択できるといったような基準のものであれば選択できるということだと思いますけれども、どういうクレジットを使ったかというものについては、そのプロジェクトの内容も含めて情報を開示することが必要ではないか。確かに一般の人にわかりやすく、一般の人にCER、VERと言ってもわからないかもしれませんが、それをどれだけわかりやすく提供するかという課題はあるかと思いますが、基本的にはそういう情報はきちんと提供するということではないかと思っております。

○新美座長 よろしいでしょうか。
 ほかにございますでしょうか。
 小林さんお願いします。

○小林委員 11ページのカーボン・オフセットに用いられるクレジットの性質のところなんですけれども、その終わりの方に、「クレジットがこの基準が満たしていることを確保するため、第三者機関による認証が行われていることが必要である。」ということなんですけれども、これは市場を通すもの、市場を通さないいものと両方考えがあるということで、これ全体になっていると思うんですけど、この場合には、市場を通さないものでも第三者の認証が行われることが必要であるということになるんでしょうか。

○新美座長 これはここにありますように、とりあえずマーケットを使うものを前提にこういう仕組みができているという説明ですので、特定者間完結型については、できるだけこれを見習ってほしいという程度というのがこの報告書の趣旨になっています。

○高橋室長 ちょっと補足いたしますと、9ページのところにポンチ絵があるわけですが、この特定者間完結型という市場を通さないものについては、このポンチ絵の左にございますように、排出削減・吸収量については、言葉が若干混乱していますが、第三者機関ということではなくて、他の第三者が何らかの形で確認するということで、全くやりっぱなしということではなくて、何らかのチェックは入りますが、市場を通した場合のように、第三者機関がきちんとそういうところにお金を払って認証してもらうということでは必ずしもなくて、こういう形で確認はしてもらいますということで、実際には取り組みの状況に応じてこの確認の仕方についても柔軟に考えていただけるのではないか。ただ、何らかの第三者の確認は要りますね、ということを書いております。

○小林委員 わかりました。では、その何らかの第三者がどう確認するかということは、また別途検討するということになりますか。

○高橋室長 細かいところまで全部我々公的機関が決めるかどうかということについて、ここら辺は基本的な考え方を示した上で、あとはそれぞれの取り組みの中で工夫していただくことかなと現時点では考えております。

○小林委員 そうするとこのクレジットの性格は、狭い意味のクレジットというふうに考えるわけですね。市場を通すものの。もしくはクレジット。

○高橋室長 基本的には(3)以降のクレジットの、特に(4)のクレジットというのは、大分類で言うところの市場流通型において使われるクレジットということで書いているつもりでございますので、その辺誤解がないようにもう一遍書き方を確認したいと思いますが、基本的には市場流通型についてはこういうものをきちんとやっていただく、そうでないものについては考え方を踏まえて柔軟にやっていただくと、そういう考え方で指針は構成しております。

○小林委員 そうしますと同じところに出てくる、[2]のところですね、「吸収の場合その永続性が確保されていること」、この永続性の確保というのがCDMでも非常に問題になるところで、どう確保するかがポイントだと思うんですけど、そうすると市場を通すものについては永続性の確保が条件になるわけですか。

○高橋室長 基本的にはそういうことになりますし、市場を通さないものについても、こういうことは考えていただくということだと思います。

○小林委員 それで永続性をどう確保するかというのは、それは事業者とか行う人の自主判断なんですか。要するにオフセットする両者の判断によるわけですか。ということは、永続性の確保というのは非常にさまざまな要素があるし、CDMにおいても、何が永続性の確保かは非常に議論のあるところだと思うんですけれども。

○高橋室長 ですから、市場流通型の場合には京都クレジットも含めて、その永続性については基準の中にちゃんと盛り込まれているわけですね。そういうものはきちんと基準にのっとってクレジットの認証が行われますし、市場流通型でない特定者間完結型という場合には、公的機関が定めた一律の基準というものは必ずしもないわけですけれども、ただ、こういう吸収について永続性が必要だということは同じだと思いますので、それは何らかの形で取り組みの状況に応じてそういうものも確認していただく。植林したけど、あとは知らないということではない。そこは何らかの形で、関係者の間でそういうことが確認されるような仕組みをそれぞれ考えていただくということかと思います。その際いろいろな基準を参考にしていただくことはあるかと思いますが、こういう基準でなければだめですよというところまでは言えないのではないかということでございます。

○小林委員 私はおっしゃるとおりだと思いますし、この永続性の確保は、市場を通さないものでもきっちりすべきだと思います。ただ、この永続性の確保というのは、先ほどのCDMにおいても、今は何か基準があるようにおっしゃいましたけれども、必ずしも明確ではないのではないかと思います。どうやって永続性を確保するんですかというふうになると、それこそ方法論とかいろいろなところで出てくる問題であって、一概にこうだということは言いにくいのではないかと私は思います。それはリスクを避けるために、植林クレジットの場合いろいろやっていく必要がありますよね。山火事をどう防ぐとか、いろいろなリスクの防止等があるんですが、そういうことでいいのか。もしくは何かもっと永続性を確保するため、ノンパーマネンスという根源的なことまで考える必要があるのか。ちょっとくどいようですけど、その辺はどういうふうに考えたらいいんですか。
 ということは、私はこのカーボン・オフセットの場合には、より多くの人々が、プロジェクトが、特に吸収源においては参加できる道を開くことではないかと思うんですけれども、この永続性ということで何かバリアーをつくると、エーアル、CDMと同じようなことになる可能性も出てくるんじゃないかということを懸念しているんです。だからその辺は、より理解しやすい、よりどうしたらいいかということがわかるようなことがあればいいと思うんです。

○高橋室長 それについては、今現時点でわかりやすい記述というのは難しいですけれども、趣旨としては、この特定者間のものについては、むしろNPOなり自治体の意欲、取り組みが阻害されないように、余りバリアーにならないような形で、こういうものを考慮していただく。そういう経験をいろいろ積みながら、そういう経験を共有しながらよりよいものをつくっていく、そういうようなことではないかと思っております。

○新美座長 今のものにつけ加えますと、基本的にはここで市場流通型を考えるというのは、CERとかJVETSとかそういうものを考えておりますので、永続性という言葉はむしろここで決めるのではなくて、そちらのものがモデルになって、ここで永続性があるということになれば、それに準じてこちらも対応するということだろうと思うんです。ですから、永続性をどうするかということ自体をこの中でギリギリ詰めるということは、当面考えていないということだと思います。

○小林委員 確かにここでそれを詰められるものでもないと思うんですが、ただ、カーボン・オフセットに参加するそれぞれの主体がわかりやすいようにしておく必要がある。永続性ということだけここに出てくると、永続性の確保と言われて、多分わからない人が多いと思うんです。実際にプロジェクトをやろうとしている人の中では。

○高橋室長 その辺のわかりやすい永続性の説明なり考え方を幅広い主体に示していくことについては、別途課題として検討することもあり得るかなと思います。

○新美座長 よろしいでしょうか。
 それでは、明日香さんお願いします。

○明日香委員 VERの一定の基準ということなんですが、多分まだちょっともやもやとしていて、これから細かく決めることだと思います。すぐには決まらないと思うんですが、実際はビジネスとしてカーボン・オフセットなりカーボン・ニュートラルをいろいろやろうとしている方は、もうすぐにでもやりたいというか、やっている人もいらっしゃると思うんです。なので、そういう人たちがやっていることをディスカレッジしないような運用ルールというんでしょうか、指針とはちょっと違うかもしれませんが、そういうものを考えた方がいいのかなと思います。過去にさかのぼって認証なり認定するというのもそうかもしれませんし、その辺は何らかの工夫があった方がいいかと思います。あと一定の基準というのが多分もうちょっとクリアになった方が、ここにいらっしゃる方はありがたいのではないかという気はします。少なくとも大体どういうスケジュールでとか、そんなことだけでもヒントがあれば、ビジネスとしてはやりやすいのかなという気はします。

○新美座長 どうぞ。

○高橋室長 今の点について大変重要なことかと思いますけれども、VER等の基準については欧米等でもいろいろ検討されておりますので、我々としてもできるだけ既存の取り組みを生かした形でできるようにすることが大事かと思っております。また、全体として一定の基準を検討する必要があるという記述がございますが、これをどういうスケジュールでどういう範囲でやっていくかについては、現時点では十分ではありませんけれども、このパブコメが終わってこの指針をまとめる段階では、ある程度スケジュール的なものもお示しできるように検討を進めたいと思っております。

○新美座長 よろしいでしょうか。
 末吉さんお願いします。

○末吉委員 実は同じような視点からのお話なんですけど、先ほど現物か先物かという話で、当面は限定的に現物だということなんですけれども、例えば冒頭に出ておりました資金調達への貢献ということを考えますと、これから始まるプロジェクトに金が入ってこなければ、ものは拡大しませんよというのも現実ですよね。とすると、これは明らかに先物が対象になるプロジェクトということでもありますので、今の永続性の問題も含めてなんですけれども、今ないものに予防的に基準をつくろうという作業ですから、それは非常に難しいのは難しいんだと思うんです。でも、これだけは守ってほしいという最小限のところを守りつつも、少し将来的に拡大が予想される、できればそういうこともしたいんだというところについては、柔軟性があるんだよということは示してあげた方が、むしろいろいろな活動を促進するというのか、エンカレッジするんだろうと思います。ですから、そこはちょっと表現によるのかもしれませんけれども、精神的には、これだけは絶対許さないよというところと、ビジネスモデルとか全体のクレジットの対象のプロジェクトの広がりとかについては、できるだけ柔軟に広く見ていきますよということが出るといいですよね。ですから、先ほど途上国のコベネフィットというお話がありましたけど、これは国内だってそうだと思うんです。ですから、そういうところももう少し触れていただくのも一つの手かもしれないと思います。

○新美座長 今のはいかがですか。

○高橋室長 それはまだ十分表現されておりません。私どもの基本的な考え方としては、このオフセットについては、これからいろいろなビジネスモデルが出てくる、非常に広がりがあるものでありますので、そういうものをあらかじめ制約するようなことがないように、むしろその辺は民間なりNPO、そういう民間ビジネスベースの創意工夫を阻害しないように、そういうものを活性化するようにしていくことが大事だということは、何カ所かそういうものを書かせていただいております。基本的にはそういう考え方でやっていきたいということですので、具体的にこの辺で書いてあるのはまずいじゃないかということがあれば御指摘いただければと思っております。基本的にはそういう考え方でこの指針を取りまとめております。それはもう一回今のような視点で見直していきたいと思っております。

○新美座長 加藤さんお願いします。

○加藤委員 先物の話が出たので、私もクレジットの種類を明確にして、そうすると多分現物に限定されてしまうのではないかということが想像されると思います。片やコベネフィット型のプロジェクトからクレジット、出てくるのを予期している方々というのは、CDMになればそれはそれでいいんですけれども、CDMにならずに、CERにならずにVERになってしまったというのも、もしかしたら出てくるのかなと思っております。
 現物はよくて先物はだめというと、、かなりクレジットの供給量としては少ないんじゃないかと思っていて。かつ末吉委員がおっしゃったように、今後新たにコベネフィット型CDMなりVERを生成するプロジェクトなりを育てていくのであれば、もう少しそこはフレキシビリティーを持ってもいいのかもしれない。ただ、ある一定の期間にどういう、例えば半年後とか1年後とかにきちんとオフセットされるときに、それがどういうクレジットだったかというのをだれかが明確にできるというようなやり方もあるのかなと考えます。

○高橋室長 説明が不十分だったんですけれども、今のような論点については、12ページの下の方ですが、基本的には当面、半年から1年以内にオフセットが実現するということで、そこについては現物でないと難しい面があると思うんですが、他方というところで、今御指摘のあったものも含めて、資金提供に意義を置いているようなものについては、長くなる場合がある。まさにこれからやるプロジェクトに資金が行くという場合もあり得ますので、そうなると超える場合があるということで。ただ、その場合にはきちんと説明してください、情報提供してくださいということで、今末吉委員なり加藤委員がおっしゃったようなものについても、一応ここで想定はしていると。また表現が十分かどうか検討しますけれども、そういうことで読んでいただければと思います。

○新美座長 小林委員お願いします。

○小林委員 私が質問しようと思ったことが今の説明の中にかなりあったと思うんですけれども、コベネフィット型のプロジェクトをどう評価するか。これは2ページの終わりから3ページの初め、この1つの項目が入ったことでかなり私は明確に出てきているとは思うんですけれども、具体的にどうこのコベネフィット型のプロジェクトを評価していくかということについて、何かどこかで検討できないですか。これはCDMの1つの教訓から考えて、CDMの場合にはコベネフィット型のプロジェクトであっても、それが評価されていないということがあると思うんです。このVERの場合、私はそれが評価できる道を開いていくべきだと考えております。
 現実に私が聞いておりますところでは、途上国で行われている植林プロジェクトなんかで、VERとして欧米の企業なんかが応援しようという動きがかなり出ていると聞いております。それはもちろんCO2の吸収ということもあるんでしょうけど、それを合わせてコベネフィットであり、それが企業にとってのCSRとして非常に評価できるという面もあるのではないかと思うので、コベネフィット型を評価できる何か道が開けないか、それについてどう検討したらいいかということです。

○高橋室長 その点につきましては、実は別の場でいろいろ検討しておりまして、我々としてもコベネフィット型のCDMであるとか、コベネフィット型の環境協力という温暖化対策と、それ以外の環境上の便益があわせて実現されるようなものを推進することは大変重要であるということで、1つの目標として掲げております。その場合にどういうふうにコベネフィットの便益というものを評価するかという手法については、別途検討しております。今年度中にはある程度のものをまとめようと思っておりますので、そういうものがまとまってくれば、当然こういうオフセットの場合にも、そういうものがあれば参考にして評価といいますか、できるのではないかと思っております。

○新美座長 ありがとうございます。
 それでは、次に4番目のテーマで、オフセットの手続から第三者認証についてです。12ページから13ページにかけてのテーマについて御議論いただきたいと思います。今、大分手続についても議論をいただきましたが、いかがでしょうか。
 仲尾さんお願いします。

○仲尾委員 ちょっと確認なんですが、13ページの一番最後の「なお」のところで、「この2の各項に示されている基準、認証システム」というのは、2じゃなくて3じゃないですか。あと「認証システム」というのは、これは認定のことでいいですか。

○高橋室長 それは3の間違いです。それから、一応「認証」と「認定」と分けて書いていますので、両方含む形で考えております。

○新美座長 どうも御指摘ありがとうございます。
 ほかに御意見ございましたらお願いします。
 一方井さんお願いします。

○一方井委員 13ページの透明性の確保のところで、ここは非常に大事だと思いますが、例えばグレンイーグルズ・サミットをカーボン・ニュートラルでということでやったけれども、事後的に必ずしもうまくいっていないという面もあり、まだ完全に報告もないという話をちょっと聞いたんですが、特にこういうイベントや会議なんかでやった後、事後的に何か公表するということはどこかに書いてあるんですか。

○高橋室長 当然そういうものは必要だと考えております。イベントを行った場合、オフセットを行った場合、最終的にどうなったかというものは、当然必要な情報の中に入ってくると思います。ここに書いているのは、そういう3つの類型すべて含めて、共通するものとしてここに掲げておりますので、イベントについて十分読めないところがあれば、また見直したいと思っております。基本的にはすべてに共通したものということで考えております。

○新美座長 ほかに御意見ございますか。
 末吉委員お願いします。

○末吉委員 簡単な言葉の確認なんですけれども、何とかが必要であるというのと、何とかかんとかが望ましいと書いてありますね。これは使い分けているんですか。望ましいは、あくまで望ましい。

○高橋室長 一応使い分けをしておりまして、必要があるというのは、やはりやらなければいけないということです。望ましいというのは、認定を受けたい人は受けるということですけれども、受けることがより信頼性の確保の上ではいいのではないかと。それを受けていないとオフセットとして問題があるというところまでは言えないということです。

○新美座長 ほかにございますか。
 仲尾さんお願いします。

○仲尾委員 これをいろいろ読ませていただくと、やはりオフセットできるということが要件になってくると、VERにしても登録簿があるものというふうに限られてしまうとお考えなんでしょうか。さっきからずっと読んでいて、12ページの上の方にある、「公的機関等が必要な基盤整備を行うこと等の取り組みが必要である。」、これは多分登録簿のことをおっしゃっていると思うんですけど、これが条件になるのかなという気がするんです。

○高橋室長 そこはぜひ御議論いただきたいと思っているわけですが、これまでの検討会の議論でも出てきましたけれども、市場流通型の場合には、要するにダブルカウントしていない、一度使ったものが無効化されているということが透明性をもって確認できるような何らかのシステムが必要だということで、現時点ではそれが登録簿というような形で存在しているのではないかということなので、基本的には市場流通型のものについては、登録簿のようなものが必要だという前提でこれは書いております。

○新美座長 今のことで私は単なる杞憂に過ぎればいいんですが、特定者間完結型のものでも、将来ダブルカウンティングされる可能性はないわけではないんですね。そうするとインベントリーはどうしても必要になってくるんじゃないですか。ダブルカウントを避けるという観点からいくと。その辺はどう考えたらいいのか。

○高橋室長 市場を通さない場合でもそこは確認する必要があるので、登録簿ほどのものではなくても何らかの帳簿といいますか、インベントリーといいますか、そういうものは必要になってくると思います。登録簿というのはクレジットのやりとりまできちんと管理することになりますので、より複雑なシステムだと思います。もちろん市場を通さない場合でも、その埋め合わせがきちんと行われているということを、透明性をもって示すような何らかの資料なり記録は必要だということだと思います。

○新美座長 ほかに御意見、御質問がございましたら。
 明日香さんお願いします。

○明日香委員 この第三者認定に関してなんですが、第三者機関をどのような基準なり、だれが認定するとかしないとか、そこら辺は今どう理解すればよろしいんでしょうか。

○高橋室長 おっしゃったとおり、基本的に直接認証するのは主として民間の認証機関でありますので、そういうものがきちんとした機関であるかどうかの確認は必要に応じてやるのではないか。その辺のシステムなり基準なりは今後の検討課題ではないかと認識しております。

○新美座長 よろしいでしょうか。
 ほかに御意見、御質問がございましたら。
 一方井さんお願いします。

○一方井委員 確認なんですが、最初の方で加藤委員が、商品などでオフセットする場合何%ぐらいやるのかという、その中身を明示するべきであると。これは非常に大事なことだと思うんですけれども、そのあたりをこの指針のどこかに明記しておく必要はないでしょうか。

○高橋室長 13ページのところで、「オフセットの対象活動の範囲(バウンダリ)」というのがございます。これは今おっしゃったような趣旨を含んでいるのかなと。どの範囲のものをオフセットするのか、全部なのか一部なのかということも含めて、この辺で書く必要があるんじゃないかと思っております。
 先ほどの一方井委員の御指摘の中で、イベント・会議についてということで、確かにもう一回読んでみますと、これは商品・サービスを中心に書いているので、イベント・会議においてこういう情報を公開することは十分書いてない部分がございますので、そこは修正したいと思っております。

○新美座長 どうぞ。

○一方井委員 ここを見ると、「対象活動からの排出量とオフセットに用いるクレジット量」というあたりで、計算すれば出るということだと思うんですけれども、むしろきちっとそこはパーセントを出すべきだろうと私は思うんです。細かくなくてもいいと思うんです。何段階かぐらいでもいいと思うんです。

○新美座長 それは少し必要であると思いますので、どこかこの中で表現できたら、したいということにさせていただきたいと思います。
 あとほかに御意見。
 加藤さんお願いします。

○加藤委員 先ほどのレジストリの話があったと思いますが、ちょっとイメージがわかないのが、統一的な例えば政府がつくるような1本のレジストリを考えているのか、それとも例えばCDMであるとか、JVETSであるとか、それぞれレジストリがありますよね。そういうものを活用するということを考えているのか。ここで決める必要は全くないと思いますし、将来的な技術的な検討課題であると思うんですけれども、将来のために問題提起をしておきたいと思います。なおかつ、できるだけ既存のものを有効利用する方がいいのかなと私は個人的には考えています。

○高橋室長 今の点につきましては、私どももできるだけ既存のものを使うということであります。したがいまして、複数のものが併存するというのも、お互いの関係が十分整理できれば可能ではないかと思っております。

○新美座長 小林委員お願いします。

○小林委員 大分議論が出尽くしてきたような感じがするんですが、ずっと私聞いていて思うのは、全体の仕組みを考える場合、認証する、登録する、モニタリングする、いろいろ考えていって、その信頼性を得るためにきっちりした仕組みをつくることは私は大事だと思うんですけれども、一方それが、もちろんたびたび柔軟性を持ってやるというふうにおっしゃっておりますけれども、それが余り使いづらいようなものであると、これは普及しにくくなってくると思うんです。
 それで、1つ初めに私はどうしてそれを言うかというと、当初出発点において、京都メカニズムのクレジットとかJVETSが対象になって出発するわけですが、これらの場合は制度的に非常にしっかりしたものだと思います。CDMについては国際的にやったものであるし、JVETSについても環境省がきっちりやられたものである。そういうものと今後出てくるであろうVERの仕組みがどういうふうにつながっていくのか、その辺が私は懸念するところなんです。
 基本的には、この指針をつくるのは、カーボン・オフセット制度を普及していこう。しかも、それは信頼性を持っていこうということなんですね。信頼性が上がるのは当然大事なんですが、それとともに信頼性が上がっていい制度ができていく反面、非常に多くの人々が参加する場合のバリアーになる。それをどううまく整合させていくか、これから大事なところだと思います。非常にポイントとなる仕組みの中身については今後の検討に委ねられております。何が一定の基準なのか、どういう認証する制度をつくるのか。ですから、どういうふうにこれを進めていくかというのが、なおかつポイントになってくるのではないかと私は思います。

○新美座長 これはマーケットとしてのルールをどこまで厳しくするのかというのと、そこで流通する商品をどの程度多種多様なものを設けるのかというのは違うと思うんです。ですから、これまで御議論いただいたのは、クレジットを流通させる、マーケットとして通用させるためには、どこを最小限きちっとしなければいけないのかという議論はしていただいた。その上でどのようなものをクレジット、あるいは商品として流通させるか、それはいろいろある。それが認証の問題になっていくのではないかというふうに整理されてきたんだと思います。今の小林委員のおっしゃるのは、むしろ商品としてもう少し柔軟性を持ってやったらどうかというところにつながると思うんですが、そういう整理でよろしいですか。

○小林委員 若干違いますが、ほぼ。

○新美座長 ほかに御意見がございましたら。
 末吉さんどうぞ。

○末吉委員 今の小林さんの御質問と関連するんですが、この純粋な、だれしもが認める純正カーボン・クレジットの話は随分いいと思うんです。問題は柔軟性を持つと、フリンジの方に遠心力を持って広がっていく部分をどうしようかという話ですけれども、多分そのうちいいかげんなやつが出てきて、ないものを売るとか、先ほどのダブルカウントとか、こういうものが絶対出てくると思うんです。出てくると思ってものを考えていた方がいいと思うんです。
 とすると、どこかでコアからどんどん遠心力が働いて、フリンジ、遠くへ出て行く。この外延部分のそういう詐欺的行為をどうやって防ぐのか。というのは、どこかで相当これ問題になってくるんじゃないかと思うんです。それがこの指針の役割なのか、違うところで改めて議論するのか、あるいは指針が最低限こういったことは守ってほしいということを出すのかというのは、今回の最初に出る指針の役割としてはちょっと考えてみる必要があるかもしれませんね。だって、今の公認会計のいろいろな制度がある中でも粉飾なんてざらにあるわけですから、そういうことを考えると、これは相当なことが起きるということを覚悟しなければいけませんよね。そのときに、あんな指針をつくってあれに信頼してやったんだという話をまた言われても困りますし、というようなこともありますよね。

○高橋室長 今の御指摘、それから小林委員の御指摘もございましたけれども、基本的には繰り返しになりますが、今回の指針は市場流通型の場合にはかなり厳しく、まさにそういうことがないように、きちっとクレジットできちんとしたビジネスモデルをつくっていただく。それを支援していこう、促進していこうという観点でつくる。
 他方で当事者間のものについては、いろいろな創意工夫、草の根の取り組みを評価して、それを促進するための手段としてオフセットに続けていこうということなので。どっちかというと当事者間のものについては、顔の知れた同士でやるということで、詐欺的なものは余り想定していなくて。ただ、せっかくやるのであれば意義のあるものをやっていただく。せっかく皆さん汗をかいたのに結局何にもならなかったということにならないように、合理性、確実性を持ったものをやっていただくということで、バリアーにならないようにそういうものを促進していくという観点でつくっておりますので、一応その2本立てでやっていきたいと思っております。また、これを促進していく中で、いろいろな経験を積んでそういうものを共有していく中で、もう少しこういうところをきちんと決めた方がいいんじゃないかということがあれば、またそういうものを見直していくということかなと思っております。

○末吉委員 念のためですけれども、特定者間だからお互いがよく知っているという前提ではないと思うんです。参加者が少ないということではなくて、むしろ特定者間でも、多くの人が本当に何も知らない人が入ってくる可能性だってたくさんあると思うんです。ですから、そういう決めつけというか、そういう前提ではない方がいいような気がします。特にこれ海外で行われるものについて、ほとんどの人は現場を見ないわけですから。これ現場がない中で案件だけつくって、ペーパーワークだけでつくってやろうと思ったらできますよね。だって、買う人から見ますとだれ一人現場に行かないんだから。というようなことを考えると、これは過去銀行の中でも、現場に行かないで金を貸して大損したというのはたくさんいますし、だましだまされる世界があるということは相当覚悟の上ですよね。

○高橋室長 1つ質問は、全く知らない人から調達する場合、結構市場を通すということになるのではないんですか。市場を通さずにそういうことが起こるということは。

○末吉委員 でも、どこかの地方で、何かやりますからどうぞ皆さん手を挙げてくださいと、一般市民から手を挙げさせてお金を集めて、どこかに振り込んでください。どこかでプロジェクトをするというのも、これまさに相対のオーバーザカウンターを不特定多数を相手にやるということはあり得るわけです。ですから、そういうケースもあり得るんじゃないでしょうか。起こり得るといいますか。

○仲尾委員 今の議論でいきますと、例えば今オフセット・プロバイダーという言葉は非常に短くしか出ていないんですけど、オフセット・プロバイダーの質も考えないといけなくなるかもしれないですね。例えば実際にクレジットを選ぶ能力があるのかどうかとか。

○新美座長 どうぞ。

○小林委員 私は今の末吉委員の御指摘、そのとおりだと思うんです。いろいろなことが起こってくる。いろいろなことが起こってくることを想定して仕組み自身をがっちりやっていくと、さっき言いましたように非常に参入しにくいことになる。だから、どこを締めてどこに柔軟性を持つかということが大事だと思うし、その中で余りがんじがらめにしてしまうと、せっかくいいプロジェクトまで参入してこなくなるということにもなってくると思うので、この辺のかみ合わせが難しいと思うんです。本当におっしゃるとおり、怪しげなものが絶対参入してくると思うので、どこかでそれをはじき出す必要があるんですが、それはどういうふうに考えたらいいんですかね。

○末吉委員 ないものをあるというのは言えないんだという仕組みをどうするか。だから、ダブルカウントなんてまさにそうなんです。1回して消えたものをもう1回やる。

○新美座長 それはですから、レジストリがきちんとしておればダブルカウンティングがなくなるということですね。あとは今言ったように、ないものを売るというのは、レジストリを幾ら整備しても、空のレジストリをやられたら終わりになるわけですね。ですから、それはシステムの問題ではなくて、むしろクレジットをどこまできっちりとギリギリ認証するかの問題になっていくと思うんです。
 先ほどありましたように、生成途上だから、いろいろなプロジェクトの削減枠を取引できるようにしようということになると、どこまでやわらかくするかという問題になってくる。そうすると先ほどありましたようにクレジットについてランクをつけて、これはこの程度の不確かさがありますよというものから、これは相当確実に削減できますというのなら、格付が必要になるのかもしれないですね。それはちょっとここの中では書き切れないのかなという気がいたします。

○高橋室長 今の末吉先生のお話ですが、特定者間完結型の場合に、全くわからない、顔も知らない人が海外でやったものを使う場合、これは成立しないんじゃないか。そういうものであれば市場を通す[1]のような厳格なルールでやらないと、今おっしゃったようなことが防げないので。今おっしゃったようなケースを想定して[2]の方を厳しくするというのは難しいと思いますので、全く直接当事者が確認できないようなものを持ってくるのであれば、[1]の方の市場を通したシステム、それなりの厳格性を持ったシステムでやっていただくというふうに整理しておかないと、そういう問題の発生を防止することは難しいのではないかと思っております。

○新美座長 ですから、特定者間というのはまさに特定な人であって、マーケットを通さないけれども不特定多数の人をリクルートするような場合には、市場型に読みかえていくというような言い方をしておいてもいいかもしれませんね。

○末吉委員 私も今回の指針に全部それを盛り込めと申し上げているんじゃなくて、そういうこともどこかで考えていく必要が出てくるんじゃないでしょうか。

○新美座長 それは今の御指摘を受けて、パブコメの中でどういうふうに書くかは少し検討させていただきたいと思います。
 明日香さん。

○明日香委員 もう既に皆さんおっしゃったことだと思うんですが、特定者間というのは実際はかなり難しいんじゃないか。友達に売って、友達が友達にまた売ってというのも多分、特定者間なのか市場なのかあいまいになると思います。それを政府なりだれかがモニタリングするのも結構大変だと思うんです。結局は、さっきおっしゃった格付なりラベリングのところで区別するのも一つの手なのかなと思いました。

○新美座長 ありがとうございます。
 大分時間も押しておりまして、それでは最後のテーマですね、オフセットの取り組みへの支援のあり方ということで、14ページに関連して御意見をいただきたいと思います。
 一方井さんお願いします。

○一方井委員 カーボン・ニュートラルの推進のところ、最後のところなんですけれども、最初の方でカーボン・マイナスのお話が書かれましたね。私はこれは非常にいいことだと思っています。これから温室効果ガスを減らしていかなければいけないとき、資金力のある日本が率先してマイナスのところに突っ込んでいくということは世界から評価されると思うんです。その意味で、できればマイナスカーボンの商品が出てくればいいなと思いますし、そういう意味ではぜひここでカーボン・マイナスのことにまで言及していただければと思っております。

○新美座長 末吉さんお願いします。

○末吉委員 端的に言えば、「環境省」という主語がどこにもあらわれていないということなんですね。日本語というのは便利なもので、主語が全くなくても成り立つわけです。先ほどの御説明で公的機関というのは、政府が考えられるんだというお話があったんですけれども、この支援のあり方というのか、全体への取り組みに、日本の中央政府としてどうするのかというのがここにあってもいいのかなという気がするんです。難しさも当然理解しているつもりであります。例えば公的機関の役割に、どういうふうにかかわっていくのか。あるいはマイナス6%に貢献するんだということでありますが、例えばこれは税金でどういうぐあいに考えてくれるんだろうかとか、あるいはさまざまな問題がこれからいろいろ促進の上で出てくると思いますが、もう少しジェネラルな言い方でも構わないと思うんですが、政府みずからこのオフセットの推進にかかわっていくというのか、そういったものがもう少し出てもよさそうな気がするんですが、どうなんでしょうか。

○高橋室長 当然、環境省としても率先してこの辺の取り組み、促進をやっていきたいということで、公的機関の中の大きな部分を私どもが占めていると思っておりますが、他方で、必ずしも役所だけではなくて自治体もありますし、例えばプラットフォームみたいなものをつくっていくことも一種の公的機関になるかもしれません。少し幅広い意味で公的機関を使ったということでありますので、私どもは別に逃げているつもりはございませんが、必ずしも私どもだけでもないだろうと、いろいろなところと連携してやっていくことも含めて、こういう言葉にしております。
 今のことも含めて、環境省としてどういうスケジュールでこれをやっていくのかが見えにくいということだと思いますので、それについては先ほど申し上げましたが、パブコメが終わって、この指針を取りまとめる段階において、その辺も整理してお示ししたいと思っております。

○新美座長 今末吉さんがおっしゃったのは、次の段階で書き込むということらしいですので。

○末吉委員 よろしくお願いします。

○新美座長 ほかに御意見ございますでしょうか。
 それでは、信時さんお願いします。

○信時委員 このページではなくて全般的な話なんですが、ここに来られているような一定のレベルの方々であれば多分これはそうなんでしょうけど、ただ、NPOとか個人もこれは対象、先ほどライフスタイルという言葉も出ましたが、その辺のコメントも欲しいということであれば、子供にでもわかるようにまでしろとは言いませんけれども、先ほどの永続性の問題もありましたが、お互い共通の認識を持てるような説明、できるだけ簡単な説明。私ども自治体と国のやることは大分レベルが違うと言ったら違うかもしれませんけど、できるだけですが、お互いの共通認識を持てるような説明をぜひ付加していただきたい。でないと、コメントいただいても、全然違う立場、考えでもし出してこられたら、またそれを調整するのも大変だと思うので。希望ですが、できるだけ共通の認識とわかりやすくということでお願いしたいと思います。

○新美座長 それでは、小林委員。

○小林委員 グロサリーの問題、用語の問題、これは後ほどつくるということなんですけど、その用語の解説というのは非常に大事だと思うんです。そこに例えばプロバイダーは何かという定義的なことも入ってくると思うので。これはパブリックコメントには入れなくて、並行して検討するということですか。とにかく、パブコメはすぐ出すということで。

○新美座長 パブコメの中に出すんですか。

○高橋室長 後ほど御説明しますが、年内にパブコメを終えたいと思っているので、時間的にすべての用語集を用意するのは厳しいかなと思っています。

○小林委員 わかりました。その用語集というのは、またこの委員会で検討するんですか、それとももう事務局にお任せということになるんですか。

○高橋室長 ちょっと段取りはあれですけれども、事前に見ていただいて、わかりにくいところはないかどうか御意見をいただければと思っております。

○小林委員 了解しました。

○新美座長 まだまだ御意見はあるかと思いますけれども、大部分についてはほぼ皆さん御意見は尽くされたかと思いますが。まだございますか。
 では、加藤委員お願いします。

○加藤委員 済みません、最後の支援のあり方ですけれども、一般の市民にとっては、なかなかわかりにくいというのが正直なところだと思います。今日本では国民運動というのはすごく幅広く、かつ重層的にやっていると思うんですけれども、そのコンテキストの中にカーボン・オフセットも入れられるかを検討してみたらどうかと思います。特に環境省さんのやっている国民運動というのは、できるだけわかりやすく、いろんな人がかかわるように、国際的に見ても非常に質の高いものだと思います。そこにオフセットというのがもう1つオプションとして入ると、とてもおもしろいのではないかと思いますので、提案として申し上げたいと思います。ありがとうございます。

○高橋室長 当然私どもとしては、このカーボン・オフセットを国民運動の一環として位置づけておりますし、確かにこの指針自体は概念整理もあって少しわかりにくくなっておりますが、こういうものがまとめられれば、もっとわかりやすい一般向け、場合によっては子供向けもあるかもしれませんが、パンフレットみたいなものをつくって、国民運動の中で活用していくことは当然やっていきたいと思っております。

○新美座長 それでは、許された時間がほとんどなくなってまいりましたので、取りまとめに入りたいと思います。
 本日、いつもどおりと言っていいと思いますが、非常に有益な御指摘をさまざまいただいております。これを踏まえてパブリックコメントにかける文案を最終的に確定する必要がありますが、今いただいた御意見をもとに、事務方の方で再度皆さんに確認を取りながら案を固めていくことになります。ただ、先ほどありましたように時間的な関係で年内にはパブコメを終わりたいという御意向もございますので、逐次各委員に個別に確認等した上で修正案をつくりますが、最終的な確定につきましては事務局と私の方に御一任いただけたらと思いますが、よろしいでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

○新美座長 よろしくお願いします。ありがとうございます。

(2)その他
・パブリックコメントの実施について

○新美座長 それでは、議題の(2)のその他として、パブコメの実施について環境省から御説明いただきたいと思います。

○高橋室長 ありがとうございました。今ほどの座長の御指示に従いまして早急にパブリックコメント案を作成いたしまして、今月末からを目途に1カ月間、パブリックコメントということで実施できればと思っております。パブコメに際しては、きょうもいろいろな御意見がございましたし、特に市場を介さない特定者間完結型のような取り組みについては、非常にいろいろな主体が取り組みをされているということもございます。そういう意味で、この指針案そのものに対する御意見だけではなくて、こういうカーボン・オフセットの取り組みを幅広く促進するための具体的なアイデアとか提案も含めて、せっかくの機会ですので、御意見をいただくような形でパブコメをやれればと思っております。
 あともう1つは、12月にバリでCOPがございますけれども、そのサイドイベントで、今回まとめるパブリックコメント案をベースにした資料をつくりまして、日本もこういう形で今やろうとしているということを世界にも発信したいと思っているところでございます。
 以上でございます。

○新美座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして何か御質問ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、パブコメに関しては今ありましたような手順で進めてまいりますので、まだしばらく時間がございますので、事務局から問い合わせをした場合には何とぞよろしく御協力をお願いいたします。
 これで本日の議題は終了しました。最後に、環境省から事務連絡等をお願いしたいと思います。

○高橋室長 次回の予定でございますけれども、パブリックコメントを年内ということでぎりぎりまでかかると思いますので、そのコメントの分析、反映ということの作業がございますので、次回の委員会については1月中下旬ぐらいを目途に開催したいと思っております。日程調整を早急にさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

○新美座長 それでは、本日第4回の検討会はこれで終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。

閉会