平成17年1月27日(木) 独立行政法人国立環境研究所 社会環境システム研究領域長 地球温暖化研究プロジェクト影響・適応 モデル研究チーム総合研究官 原沢 英夫(029-850-2507) |
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1.日本において検出された地球温暖化と考えられる影響の現状(1) 気候の変化
(2)身近な自然への影響
(3)市民生活への影響
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2.日本における地球温暖化影響の予測結果国レベル、地方レベルにおける地球温暖化影響将来予測については、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)においても知見が不足しているが、現在、関連の調査研究が精力的に進められている。今回は、最近明らかとなった日本独自の地球温暖化影響の予測結果について、以下のとおり紹介する。 (1) 気候の予測地球シミュレータによる最新の地球温暖化予測計算の結果によれば、経済重視で国際化が進むと仮定したシナリオ(2100年の二酸化炭素濃度が720 ppm)の下、1971〜2000年と比較した場合の2071年〜2100年の平均的な日本の気候について、以下のとおり予測される(沖縄等の南西諸島は計算の対象外)。(※17)
(2) 生態系(動植物)の影響予測今後の地球温暖化の進行により、動植物等の生態系の影響の範囲、程度がともに大きくなると予測されている。
(3) 市民生活への影響予測今後の地球温暖化の進行により(一部は都市化の影響も加わり)、熱中症患者の増加、大気汚染や水質汚染等他の環境問題への影響、スキー産業等への影響の拡大、深刻化が予測されている。具体例は以下のとおり。
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3.地球温暖化影響の軽減のための取組以上のとおり、今後、地球温暖化がさらに進行すると、地球温暖化に伴う悪影響の範囲の拡大や、頻度、強度が増大し、さらに多くの動植物や生態系に影響が現れると予想されている。地球温暖化影響を軽減するため、以下の取組を強化する必要がある。 (1)地球温暖化影響のモニタリング地球温暖化に対して最も脆弱な自然生態系、雪氷域等の監視を行い、その結果を国内外に広く伝える必要がある。このため、日本国内を含めた地球温暖化影響モニタリングの推進体制を確立することが急務である。 (2)緩和策(Mitigation)の強化気候変動枠組条約の究極の目的である大気中の温室効果ガス濃度安定化のためには、今後、100年以上にわたり国内外の温室効果ガスの総排出量を大幅に削減する必要がある。京都議定書は、2008年から2012年の間に1990年のレベルと比較して先進国の温室効果ガスの排出量を約5 %削減することを目指しているが、この目標は長期の地球温暖化対策の重要な一歩である。 (3)適応策(Adaptation)の検討 地球温暖化の悪影響は、温室効果ガスの削減策を強化するだけでは十分に避けることが出来ない。温暖化しつつある気候に、人や社会・経済を調整して影響を軽減するための「適応策(adaptation)」が必要となる。 |
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(参考) 国立環境研究所においては、地球温暖化影響と適応戦略に関する知見をとりまとめたホームページを以下のとおり開設している。
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添付資料: |
参考文献 表 地球温暖化による部門別の影響及びその適応策 [PDF 60KB] |
問い合わせ: |
独立行政法人国立環境研究所 企画・広報室 担当:田邉 Tel: 029-850-2303 Fax: 029-851-2854 URL:http://www.nies.go.jp/ |