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 [6]ヘプタクロル 【平成14年度調査媒体:水質、底質、生物、大気】
 
調査の経緯及び実施状況

 ヘプタクロルは、有機塩素系殺虫剤の一種。稲、麦類、じゃがいも、さつまいも、たばこ、豆類、あぶらな科野菜、ネギ類、ウリ類、てんさい、ほうれん草等の殺虫剤として使用された。日本では、農薬取締法に基づく登録が昭和47年度に失効しており、現在では使用されていない。工業用クロルデン(シロアリ防除剤)にも含まれており、昭和61年9月、化学物質審査規制法に基づく第1種特定化学物質に指定された。過去の本件調査においては、化学物質環境調査で水系(水質,底質, 魚類)を昭和57年度に、大気を昭和61年度に調査しているが、継続的な調査は実施されていない。

 
調査結果
 

 平成14年度のモニタリング調査において、ヘプタクロルは全ての媒体から検出され、検出状況は水質で38/38地点, 97/114検体、底質で60/63地点, 167/189検体、魚類で12/14地点,57/70検体、貝類で6/8地点, 28/38検体、鳥類で2/2地点, 7/10検体、大気で34/34地点, 102/102検体であった。ヘプタクロルの測定結果は、水質で nd~25pg/L、底質で nd~120pg/g-dry、魚類で nd~20pg/g-wet、貝類で nd~15pg/g-wet、鳥類で nd~5.2pg/g-wet、大気で 0.20~220pg/m3であった(定量下限値:水質 0.15又は 1.5pg/L、底質 1.8pg/g-dry、生物4.2pg/g-wet、大気 0.12pg/m3)。

 
評価
 

 全媒体において、平成14年度からモニタリングを開始したため、残留状況の傾向は判断できない。

 

 水質は、定量下限値 0.15pg/L又は 1.5pg/Lにおいて38地点で調査を実施し、全地点から検出された。

 

 底質は、定量下限値 1.8pg/g-dryにおいて63地点で調査を実施し、60地点から検出された。

 

 魚類は、定量下限値 4.2pg/g-wetにおいて14地点で調査を実施し、12地点から検出された。

 

 貝類は、定量下限値 4.2pg/g-wetにおいて8地点で調査を実施し、6地点から検出された。

 

 鳥類は、定量下限値 4.2pg/g-wetにおいて2地点で調査を実施し、2地点から検出された。

 

 大気は、定量下限値 0.12pg/m3 において34地点で調査を実施し、全地点・全検体から検出された。

 
 

 ヘプタクロルは、POPs条約の対象物質であり、全地球的な汚染監視の観点からも、今後さらにモニタリングを継続し、その消長を追跡する必要がある。

 
   ○ 平成14年度 ヘプタクロルの検出状況  
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70% 80% 90% 95% 最大値 定量
下限値
検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
tr(1.1) 1.0 1.5 2.0 4.4 6.0 25 1.5,
0.15
97/114 38/38
底質
(pg/g-dry)
3.5 3.2 6.1 13 25 46 120 1.8 167/189 60/63
生物:魚類
(pg/g-wet)
4.0 4.8 8.1 9.9 12 17 20 4.2 57/70 12/14
生物:貝類
(pg/g-wet)
3.6 4.6 8.4 11 13 14 15 4.2 28/38 6/8
生物:鳥類
(pg/g-wet)
tr(2.1) tr(2.8) 3.8 4.3 4.3 5.2 5.2 4.2 7/10 2/2
大気
(pg/m3
11 14 26 32 48 57 220 0.12 102/102 34/34
 
 注: 水質の定量下限値は上段が基本採水システム(採取量30L)、下段が大量採水システム(採取量100L)のものである。
 
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