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1) PCB類 7) トキサフェン
2) HCB 8) マイレックス
3) ドリン類 9) HCH類
4) DDT類 10) HBB
5) クロルデン類 11) DOT
6) ヘプタクロル類 12) 保存試料

12) 保存試料
 
   平成16年度に実施した保存試料の調査結果の概要は次のとおりである。
調査対象試料は、過去の化学物質環境実態調査において採取、分析された試料のうち、長期保存用として冷凍保存してあるものを活用した。
   具体的には、平成6,7,9,10,11,12,13年度に実施された東京湾のスズキと、平成6年、13年度に実施された大阪湾のスズキ、および、平成5年度に実施された徳島県のイガイについて、各年度5群ずつの試料のうちPCB濃度において中央値を与えた試料を選んで測定を実施した。
   分析結果は、表に示すとおりである。
(単位:ng/g-wet)
採取年 1994 1995 1997 1998 1999 2000 2001 1994 2001 1993
試料 東京湾
スズキ
大阪湾
スズキ
徳島
イガイ
Total PCBs 340 120 310 190 200 100 400 340 150 19
o,p'-DDT 0.36 0.11 0.24 0.16 0.13 0.17 0.61 0.39 0.36 0.1
p,p'-DDT 1.4 0.68 1.5 1 0.72 0.7 2.4 1.5 1.3 0.2
o,p'-DDE 4 0.79 4.2 1.5 4 0.94 3.4 0.38 0.32 0.15
p,p'-DDE 24 9.1 28 15 18 8.3 30 13 6.1 1.6
o,p'-DDD 1.7 0.35 0.82 0.49 0.57 0.44 1.4 1.9 0.87 0.051
p,p'-DDD 6.4 2.4 4.8 3.2 2.7 2 6.4 5.3 2.1 0.045
DDTs 37.86 13.43 39.56 21.35 26.12 12.55 44.21 22.47 11.05 2.146
trans-Chlordane 3 1.5 2.2 1.7 1.3 0.64 1.6 3 1.7 9.1
cis-Chlordane 8.8 5 6.7 5 3.6 2.2 5.9 8.5 4 30
trans-Nonachlor 11 5.6 8.2 6.4 4.2 3.1 11 12 5 6.1
cis-Nonachlor 5 2.5 3.8 3.1 2 1.5 5.5 4.4 1.9 1
Oxychlordane 0.89 0.63 0.73 0.63 0.58 0.27 0.74 1.1 0.4 4.9
Chlordanes 28.69 15.23 21.63 16.83 11.68 7.71 24.74 29 13 51.1
Dieldrin 2.1 1.3 2.2 1.5 1.3 0.63 0.8 1.7 1.5 30
Aldrin 1.4 nd 1.9 2.2 2.6 nd nd 1.5 nd 23
Endrin 0.1 0.093 0.14 0.13 0.11 0.64 0.04 0.062 0.037 3.9
Drins 2.2014 1.393 2.3419 1.6322 1.4126 0.694 0.84 1.7635 1.537 33.923
Heptachlor 0.0094 0.0067 0.0068 0.0056 0.0055 0.0021 0.0032 0.0089 0.0052 0.041
cis-Heptachlor epoxide 0.27 0.17 0.25 0.26 0.17 0.092 0.089 0.16 0.079 4.3
trans-Heptachlor epoxide 0.005 nd nd nd nd nd nd nd nd 0.056
Heptachlors 0.2844 0.1767 0.2568 0.2656 0.1755 0.0941 0.0922 0.1689 0.0842 4.397
HCB 1.4 0.77 0.75 0.84 0.89 0.44 0.5 1 0.26 0.043
α-HCH 0.22 0.17 0.2 0.26 0.099 0.064 0.066 0.14 0.086 1.2
β-HCH 0.31 0.18 0.37 0.33 0.17 0.13 0.15 0.93 0.39 0.27
γ-HCH 0.084 0.059 0.11 0.085 0.043 0.032 0.028 0.046 0.031 0.54
δ-HCH 0.014 0.0072 0.027 0.026 0.012 0.006 0.0072 0.018 0.011 0.016
 
   平成14年度から導入した新しい高感度分析手法を用いて保存試料を再分析することにより、採取当時に検出下限以下とされてきた化合物の多くについて濃度レベルが明らかにされた。また、農薬として国内登録実績がなく濃度レベルもわからなかったトキサフェン、マイレックスについても、知見を得ることができた。東京湾のスズキに含まれるPOPs濃度は、いずれの物質も最近10年間は概ね横ばいで、はっきりした経年変化の傾向は捉えがたい。平成14年度以降の分析で明らかになってきた各地点の生物中POPs濃度に見られる組成上の特徴、例えば東京湾スズキにおけるDDT類中o,p'-DDEの相対比率の高さ、大阪湾スズキにおけるHCH類中β-HCHの寄与率の高さ、或いは徳島のイガイにおけるクロルデン類中cis-Chlordaneの比率の高さなどはいずれも10年前の試料でも認められ、それぞれの海域毎の特徴ではないかと考えられる。
 
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