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平成17年度「化学物質と環境」目次へ

 (5) 調査結果に対する評価
 
1) PCB類 7) トキサフェン
2) HCB 8) マイレックス
3) ドリン類 9) HCH類
4) DDT類 10) HBB
5) クロルデン類 11) DOT
6) ヘプタクロル類 12) 保存試料

   平成16年度の調査結果の概要は次のとおりである。
 今回の調査対象物質は、PCB類、HCB、ドリン類3物質(アルドリン、ディルドリン、エンドリン)、DDT類6物質(p,p'-DDT、p,p'-DDE、p,p'-DDD、o,p'-DDT、o,p'-DDE、o,p'-DDD)、クロルデン類5物質(cis-クロルデン、trans-クロルデン、cis-ノナクロル、trans-ノナクロル、オキシクロルデン)、ヘプタクロル類3物質(ヘプタクロル、cis-ヘプタクロルエポキシド、trans-ヘプタクロルエポキシド)、トキサフェン3物質(Parlar-26、Parlar-50、Parlar-62)、マイレックス、HCH類4物質(α-HCH、β-HCH、γ-HCH、δ-HCH)、ヘキサブロモベンゼン及びジオクチルスズ化合物である。
 平成16年度は、平成14、15年度調査に引き続き高感度の分析が行われ、特にPOPsについては水質及び底質のトキサフェンを除き調査を実施した全物質・媒体から検出された。

 調査結果に対する評価を物質(群)別に以下に示す。
 
1) PCB類 (経年変化図)
 
   水質は、直近5年間の調査結果があり、検出下限値については、ほぼ同等であるため継続的に評価することが可能である。調査地点については、平成14年度以降の調査地点は平成13年度以前と比較し大幅に変わっている。幾何平均値で平成12年度以降、それぞれ 540 pg/L、440 pg/L、460 pg/L、530 pg/L、630 pg/Lとなっており、残留状況は横ばい傾向にある。5年とも全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
PCB(総量) 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
12 540 460 8,400 95 [0.03~2] 28/28 28/28
13 440 840 3,300 3.6 [0.03~30] 29/29 29/29
14 460 330 11,000 60 0.18~0.90
[0.06~0.30]
114/114 38/38
15 530 450 3,100 230 0.3~6
[0.07~2]
36/36 36/36
16 630 540 4,400 140 0.4~10
[0.2~4]
38/38 38/38
(注) 定量[検出]下限値の欄には同族体ごと及びコプラナーPCBの定量[検出]下限値の範囲を記載した。
PCB類については以下同じ
 
   底質は、直近5年間の調査結果があり、検出下限値については、ほぼ同等であるため継続的に評価することが可能である。調査地点については、平成14年度以降の調査地点は平成13年度以前と比較し大幅に変わっている。幾何平均値で平成12年度以降、それぞれ15,000pg/g-dry、15,000pg/g-dry、9,200pg/g-dry、8,200pg/g-dry、7,300pg/g-dryとなっており、残留状況は平成14、15、16年度が平成12、13年度と比べやや低い。平成14、15、16年度の幾何平均値は減少している。5年とも全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
PCB(総量) 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
12 15,000 19,000 750,000 42 [0.06~9] 36/36 36/36
13 15,000 18,000 510,000 63 [0.03~10] 39/39 39/39
14 9,200 11,000 630,000 39 0.21~1.5
[0.07~0.5]
189/189 63/63
15 8,200 9,500 5,600,000 39 0.4~6
[0.2~2]
186/186 62/62
16 7,300 7,600 1,300,000 38 0.2~2
[0.06~0.6]
189/189 63/63
 
   貝類は、調査開始当初の昭和54~56年度にかけて残留状況は減少傾向であったが、平成13年度以前には検出下限値(10,000pg/g-wet)未満の検体が多く、中央値、70%値、80%値等で推移を見ることも困難である。平成14年度以降、検出下限値についてはほぼ同等であるため継続的に評価することが可能である。調査地点では、平成15年度に2地点(三浦半島のムラサキイガイ、見島のムラサキインコガイ)減り、平成16年度に1地点(香川県高松港のムラサキイガイ)追加され1地点で生物種が変更(北九州市洞海湾のムラサキイガイ→ムラサキインコガイ)されている。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
 魚類は、調査開始当初の昭和53年度から平成13年度までの残留状況は緩やかな減少傾向にあった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えている。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
 鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあるものの、依然として残留が認められる。
PCB(総量) 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 10,000 28,000 160,000 200 1.2~3
[0.4~1]
38/38 7/7
15 11,000 9,600 130,000 1,000 2.1~11
[0.69~3.7]
30/30 6/6
16 7,700 11,000 150,000 1,500 2.1~18
[0.61~6.1]
31/31 7/7
魚類
(pg/g-wet)
14 14,000 8,100 550,000 1,500 1.2~3
[0.4~1]
70/70 14/14
15 11,000 9,600 150,000 870 2.1~11
[0.69~3.7]
70/70 14/14
16 15,000 10,000 540,000 990 2.1~18
[0.61~6.1]
70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 11,000 14,000 22,000 4,800 1.2~3
[0.4~1]
10/10 2/2
15 18,000 22,000 42,000 6,800 2.1~11
[0.69~3.7]
10/10 2/2
16 8,900 9,400 13,000 5,900 2.1~18
[0.61~6.1]
10/10 2/2
 
   大気は、直近5年間の調査結果があり、検出下限値については、ほぼ同等であるため継続的に評価することが可能である。調査地点については、平成14年度以降の調査地点は平成13年度以前と比較し大幅に変わっている。幾何平均値で平成12~15年度では、それぞれ390pg/m3、280pg/m3、100pg/m3、260pg/m3(平成15年度温暖期)、110pg/m3(平成15年度寒冷期)であった。平成16年度の温暖期は平成15年度の温暖期と同レベルの濃度、寒冷期は平成14年度、及び15年度の寒冷期と同レベルの濃度であった。また、平成15年度と同様に、温暖期の方が寒冷期より濃度が高く、調査時期、気象条件等による差が見られた。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
PCB(総量) 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
12 390 410 2,300 91 [0.0004~3] 17/17 17/17
13 280 300 1,700 62 [0.0004~5] 15/15 15/15
14 100 100 880 16 0.015~90
[0.005~30]
102/102 34/34
15
温暖期
260 340 2,600 36 0.013~3.2
[0.0043~1.1]
35/35 35/35
15
寒冷期
110 120 630 17 0.013~3.2
[0.0043~1.1]
34/34 34/34
16
温暖期
240 250 3,300 25 0.024~0.99
[0.0081~0.33]
37/37 37/37
16
寒冷期
130 130 1,500 20 0.024~0.99
[0.0081~0.33]
37/37 37/37
 
   PCB類は、POPs条約に掲げられている物質であり、全地球的な汚染監視の観点からも、今後さらにモニタリングを継続し、その消長を追跡する必要がある。また、PCB類の分解処理が始まっており、この効果・影響の監視も視野に入れる必要がある。なお、PCB類については総量に加え、同族体ごと並びにコプラナーPCBの測定も実施している。
 
2) HCB >>
 
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