TOP

化学物質と環境円卓会議(第3回)議事録

PDF形式の資料をご覧になるには、PDFファイルを表示するためのソフトが必要となります。
ソフトが必要な方は こちらのサイトをご覧下さい。

■日時:平成14年5月16日(木)14:00~16:00
■場所:砂防会館別館1階(東京都千代田区平河町)
■出席者:(敬称略)
<学識経験者>
  北野 大 淑徳大学国際コミュニケーション学部教授
  原科 幸彦 東京工業大学工学部教授
  <市民>
  有田 芳子 全国消費者団体連絡会事務局
  後藤 敏彦 環境監査研究会代表幹事
  崎田 裕子 ジャーナリスト、環境カウンセラー
  角田 季美枝 バルディーズ研究会運営委員
  中下 裕子 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議事務局長
  村田 幸雄 (財)世界自然保護基金ジャパンシニア・オフィサー
  山元 重基 日本生活協同組合連合会環境事業推進室長
  <産業界>
  出光 保夫 日本石鹸洗剤工業会環境保全委員長
  河内 哲 日本レスポンシブル・ケア協議会企画運営委員長
  瀬田 重敏 (社)日本化学工業協会広報委員長
  田中 康夫 日本レスポンシブル・ケア協議会企画運営委員
  横山 宏 (社)日本電機工業会地球環境委員会副委員長
  小林 珠江 日本チェーンストアー協会環境問題小委員会委員
  <行政>
  岩尾 總一郎 環境省環境保健部長
  大森 昭彦 農林水産省大臣官房技術総括審議官
  片桐 佳典 神奈川県環境科学センター所長
  鶴田 康則 厚生労働省大臣官房審議官
  増田  優 経済産業省製造産業局次長
   (欠席)  安井 至  東京大学生産技術研究所教授
 仲村 巖  (社)日本自動車工業会環境委員会副委員長
  司会(事務局)  安達一彦 環境省環境保健部環境安全課長
■資料:
○事務局が配布した資料
資料1 化学物質と環境円卓会議に寄せられた要望・意見(個表) [PDF(648KB)]
資料2 化学物質と環境円卓会議に寄せられた要望・意見(類型) [PDF(159KB)]
○事務局が配布した参考資料
参考資料1 「化学物質と環境円卓会議」(リーフレット) [HTML]
参考資料2 「化学物質と環境円卓会議」の運営要領 [PDF(8KB)]
参考資料3 化学物質と環境円卓会議第2回議事録 [HTML]
参考資料4 化学物質と環境円卓会議関東地域フォーラム議事録 [HTML]
○円卓会議メンバーが配布した資料
崎田資料 「化学物質と環境」円卓会議で話し合いたいテーマ案 [PDF(176KB)]
角田資料 今後の円卓会議で検討するテーマについて [PDF(88KB)]
村田資料 化学物質と環境円卓会議で議論すべきテーマについて [PDF(89KB)]
化学業界代表メンバー資料
  『化学物質と環境 円卓会議』で議論すべきテーマと今後の進め方についての提案 [PDF(131KB)]


■発言要旨

(メンバー交代のお知らせ及び資料の確認)
北野:議事次第にしたがい、今後の進め方について、事務局から資料の説明をお願いする。
安達:資料1では、これまでの円卓会議及び地域フォーラムで得られた意見や要望をまとめた。多岐にわたる意見が得られたため、これらの意見・要望を北野先生とご相談し、事務局で便宜的に類型化し、資料2のとおりまとめた。さらに、資料2の各項目について、事前に円卓会議メンバーに1人10点を持ち点として円卓会議で議論すべきテーマなどに投票を行っていただいた。

(結果発表)
項目 合計 人数
A.各主体の役割とパートナーシップ 32  
A-1 市民、産業界、行政、科学者、メディアの役割 14 6
A-2 市民・産業・行政が関与できる仕組みづくり、合意づくり 13 8
A-3 産学官の協力:データの整理、蓄積、共有等 5 4
A-4 拡大生産者責任 0 0
B.各主体に望まれること 15  
B-1 市民に望まれること(PRTRデータの活用、企業への働きかけ) 3 2
B-2 産業界に望まれること(情報の公開、わかりやすい発信、NPO活動の支援、PRTRデータの利用) 3 2
B-3 行政に望まれること(科学的に的確な措置、予防原則の法制化、未解決問題への積極的な取組、民間活動の支援、人材の育成、化学物質削減計画、リスク削減計画、縦割りの排除、化学物質管理施策の一本化、施策の体系化(緊急、中期、長期)、政策の事前・事後評価) 9 5
B-4 科学者に望まれること(知見の取得、情報のわかりやすい伝達) 0 0
C.リスク評価 20  
C-1 人材の育成 11 5
C-2 手法の開発 8 4
C-3 手法の改善(動物愛護、科学を絶対視しない、従来の評価手法の見直し) 1 1
C-4 リスク評価の加速化 0 0
D.リスク管理 15  
D-1 予防原則・未然防止 8 3
D-2 子供の健康 2 1
D-3 生態系保全 2 2
D-4 化学物質とのつきあい方、未規制物質への対応、過去の教訓、負の遺産の処理 1 1
D-5 自主管理、代替物の開発 2 1
D-6 家庭内の対策 0 0
E.リスクコミュニケーション 37  
E-1 PRTRデータの活用 3 3
E-2 人材の育成 12 6
E-3 ルールづくり、手法の確立、基盤づくり 22 10
E-4 場の設置 2 2
F.情報の提供の充実 13  
F-1 わかりやすさ、ラベル(表示) 6 3
F-2 的確な情報の公開と共有 5 5
F-3 透明性の確保 2 2
G.化学物質教育 7  
G-1 学校教育 6 4
G-2 場の設置、第三者機関の設置 1 1
H.個別対策 2  
H-1 ダイオキシン類 1 1
H-2 化学物質過敏症 0 0
H-3 バーゼル条約の徹底、焼却・埋立処分の禁止、廃棄物処理 0 0
H-4 飲み水と化学物質 0 0
H-5 環境病 0 0
H-6 水環境、食品環境、生活環境 1 1
H-7 ウレタン製品やニトリル製品の使用方法の規制 0 0
I.その他 7  
I-1 化学物質に関する問題のリストの作成 1 1
I-2 化学物質に関する国際的な情報についての情報の収集と公開 5 3
I-3 化学物質(のマイナス面)の共通理解 1 1
I-4 化学物質の捉え方、放射性物質 0 0
I-5 住宅建築の改善 0 0
  15

北野:今後、どのテーマを優先的に扱うかに絞ってディスカッションしたい。資料2から5つくらいあげていいと思う。選択されたテーマをメンバーで議論したり、専門家を呼んだり、サブグループを設置することもできる。また、どうやって進行していくか、結論をどのような形にするかも検討したい。投票数がもっとも多かったのは、Eのリスクコミュニケーションのルールづくり、手法の確立、基盤づくりである。
有田:資料1で自分の発言に情報関係しか掲載されていないが、リスクコミュニケーションの重要性について発言してきた。今後の化学物質問題へ取り組むにあたってリスクコミュニケーションが整備されていないと思うので、円卓会議ではリスクコミュニケーションについてまず整理すべきである。
後藤:化学物質管理のあり方を見直す必要があると考える。円卓会議ではオールセクターで議論するべき議題として、村田さん提出の資料にあるように憲章を作り、そのサブタイトルを作っていくことが適切であると思う。ルールづくりや手法はサブタイトルになるテーマであると思う。(憲章の提案)
北野:村田さんの提案についてご説明を願う。
村田:化学物質の問題はたくさんあるが、円卓会議だからこそやれることに焦点を絞った。リスクコミュニケーションはそれぞれが実践を通して学んでゆくべきもので、円卓会議ではもっと大枠の、化学物質のあるべき方向を示す憲章といったものについて議論することが適切と思う。
原科:環境アセスメントでは事業段階では意見を言っても遅く、計画段階からさらに政策段階でやる方が適切なアセスメントになる。円卓会議でも化学物質に関する方針が必要でそれが憲章だと思う。
中下:村田提案に賛成。化学物質管理では新しい局面を迎えており、市民・産業・行政の三者での取り組みを基本的に考えることが必要である。
瀬田:リスクコミュニケーションをどう考えればよいかよくわかっていない。そのあり方を検討することが重要であると思う。
山元:円卓会議では、技術的な事項よりも大きな枠組みについて検討し、新しい文化・価値観を作り発信する場にすることがよいと思う。その中で企業の取り組みを評価する仕組みも考えたい。
崎田:三者で話し合う場づくりが必要だと思ってきたので、A2「三者が関与できる仕組みづくり」に集約される。
出光:崎田さんに賛成。三者で意見が異なるため憲章という合意に持ち込むのは、リスクコミュニケーションを通じて醸成して行くのでなくては難しそうである。
角田:円卓会議が今年度で終わるのか、継続するかで取り上げるべきテーマは異なる。円卓会議がどのような場であるか明確でないまま走っていいのか。リスクコミュニケーションは総論は議論できるが、手法は個別事例で異なり、いざとなると事例がでてこないというのが実態である。円卓会議の場そのものがリスクコミュニケーションになっているのであるから、新しい化学物質管理について議論することが適当である。
北野:円卓会議のスケジュールや運営はこのメンバーで決めることと考えている。その他、テーマについて意見は。
片桐:憲章を検討する前に共通認識が必要であろう。化学物質のリスクコミュニケーションについて議論すべきと思う。国では化学物質関連の会議はたくさんあり、これらを整理して化学物質とどうつきあっていくか議論したい。
田中:リスクコミュニケーションの基盤づくりを議論したい。円卓会議がリスクコミュニケーションならば、この会議の運営をどう進めるかを話し合うべき。
北野:テーマは5つくらいあっていいと思っている。化学物質のあり方、三者の役割を議論し、またリスクコミュニケーションの手法について議論するようなことになるかと思う。テーマを出しながら合意に達したい。
原科:方針を決めてから行動計画が決まってくるものであるが、具体的事例から上位計画へ移っていくことでどうか。リスクコミュニケーションの検討が共通認識として強いようなので、そこから議論したらどうか。
後藤:基本的あり方を議論していくこと自体がリスクコミュニケーションである。基本的あり方に合意できれば、具体的にはローカルに行動すべきものなどもあり、それはサブタイトルとして必要になると思う。歴史的に議論されてこなかったことを議論することが重要である。
村田:リスクコミュニケーションの重要性は否定しないが、リスクコミュニケーションだけを議論するのはあんこのない饅頭の皮だけを見せるようなものである。どのような考え方で化学物質を管理するかという肝心なあんこ抜きで議論しても仕方ない。
田中:この会議の議論の仕方を決めてはどうか。
北野:化学物質管理のあり方、三者の役割、ルールづくりはそれぞれ関連している。
有田:リスクコミュニケーションのルールづくりなどの文章化することは考えていない。円卓会議が継続するかどうか決まるまではルールづくりといったものになると思う。
瀬田:今までの円卓会議の流れからして、リスクコミュニケーションを主題にするのが筋というもの。憲章などは「場づくり」という円卓会議最初の主旨からはずれる。リスクコミュニケーションについて第2回円卓会議では浦野さんをお呼びしたが、議論が生煮えであった。
北野:産業界はリスクコミュニケーションをやりたいというが、どのように進められるか議論したい。
角田:その前に、第2回の浦野先生の講演は、日本化学会において今後のリスクコミュニケーションがどうあるべきかを産業界も入って検討したことを基にしており、「これはリスクコミュニケーションではない」と決めたわけではないことを補足したい。
北野:リスクコミュニケーションをテーマとするときの進め方について意見は。
田中:化学業界から提出した資料の通り、三者での対話機会の創出、リスクについて、人材育成、普及啓発をあげている。
北野:リスクコミュニケーションは実践を通じることが必要である。円卓会議で主催してそのあるべき姿を探るという進め方はある。
原科:リスクコミュニケーションの具体的実践を行ってみるといい。どんな目的でどのように持っていくか議論する段階で原則や方針を決めることになる。当面、リスクコミュニケーションについて議論するのでどうか。結果は中環審に提言しマスメディアを通じてフィードバックすることになろう。
北野:円卓会議だけで議論して終わってはならない。議論の落としどころをどうするかも議論したい。化学物質管理の原則を立場を越えて議論しよう。リスクコミュニケーションを推進する方針をとろうということになるか。予防措置・未然防止も各人で考え方が異なる。
角田:原則とリスクコミュニケーションを別々に議論することもない。リスクコミュニケーションを化学物質管理にどう位置づけるかを考えればいい。
横山:リスクコミュニケーションの理解が様々である。言葉の定義を固めて、次へ進めることが効率がいいと思う。
北野:そろそろ、他のテーマについて考えたい。次は、A-1「市民、産業界、行政、科学者、メディアの役割」、A-2「市民・産業・行政が関与できる仕組みづくり・合意づくり」が多い。これらは憲章に関わってくるが。
後藤:化学業界のいうリスクコミュニケーションの定義は狭いのではないか。有害性がUnknownの化学物質に対する管理については、コストベネフィットでは議論できない。
崎田:円卓会議という三者が集まった場ができたので、この場をどうしていくかを議論したい。どんな機能を持たせるか、他に何が必要かを考えたい。
中下:あるべき姿を議論する中で三者が関与できる場を作ることになろう。
村田:円卓会議で何をしたいか、そのために円卓会議がどうあるべきかが議論されることになると思う。
角田:この成果をどう発信するかの議論も必要だと思う。
北野:テーマによって落としどころやアピールの仕方は異なるだろう。
原科:最終的に法制化することになると思う。メディアは同時に多様に使って発信することになる。
北野:円卓会議は審議会ではない。テーマを与えられて結論を出すところではないが、議論のしっぱなしではもったいない。
出光:憲章とは始めから合意を求めるものである。共通認識がなされれば発信するのはいいが、最初から合意を出すことがこの場の目的ではなかった。要望を聞いていくことが目的な場であったのなら、憲章を作ることが先にでてくるのはおかしい。
中下:コミュニケーションにより共通理解を形成し、合意を目指していくものだと思う。
小林:流通業は意思表明が難しい立場にある。予防的に対処するのは実際お手上げの状態であるが、問い合わせや不安が増えていることは事実である。リスクを広い概念でとらえれば、共通認識を得るために定義付けをするのが重要である。そこで分かりやすい言葉を使うようにするために相互のやりとりが重要になる。
後藤:合意ができないのなら円卓会議はやめようということになると思う。
出光:合意ありきというのは見方が違う。リスクコミュニケーションを通じていけば合意できるものはあるだろう。
田中:目標を決めて計画をたてると分かりやすくなると思う。
北野:他にC-1「人材育成」が多い。
有田:人材育成が重要だがそれぞれ立場が違うので、円卓会議ではやりにくいと思う。予防原則は投票数が多くないが取り上げてほしい。
崎田:地域で普及啓発活動を行ってくる中で人材育成は重要であると思っている。ただし、全体的な議論をする中で人材育成についても触れればいいと思う。
田中:拡大生産者責任というのは言葉が適当でないが、パートナーシップにより進めることが必要であり役割の中で議論したい。
山元:予防原則は消費者の立場から重要と考えている。
中下:子供や胎児の問題はこれまでの化学物質管理では落ちてしまう観点であり、新たに取り上げてほしい。
北野:これまでの議論から3つの論点になると思う。一つは、各セクターのあり方を議論し、化学物質の安全管理のあり方について議論する。二つ目にリスクコミュニケーションを根付かせる。三つ目に予防原則・未然防止といった考え方をどう理解するか。予防原則は化学物質管理に関わるがあえて分けてみたい。事務局の方はどうか。
安達:次回のテーマが決まったら、どんな資料を用意するかも考えてほしい。
北野:事務局は議論を整理し、進め方のたたき台を用意してもらいたい。
田中:事務局資料は1週間では読む時間が足りない。早めにほしい。予防原則は疑わしきを罰するというものと聞いている。そうなると仕事を失う人もおり、法制化を前提にするなら議論には参加しにくい点をご理解頂きたい。
北野:合意を前提とするよりは、各セクターの認識の違いをはっきりしてはどうか。
田中:予防原則にどのようなバージョンがあるのか示してほしい。
有田:企業は予防原則でやっているということを示してアピールした方がいい。
瀬田:リスクとは何かからレビューしたい。他の場でも同様の議論をしているはずでそれを紹介してもらう方法もある。
崎田:消費者は新しいものにすぐ飛びつくが、自分で責任を持たなければならないという意識もでてきている。事業者とコミュニケーションしたいし、していけることを期待している。
村田:円卓会議の成果として形のあるものを残したい。発言を聞いていると現状に対する危機感がバラバラであることがよくわかった。それぞれの発言に各自の持つ危機感の程度が反映されていると感じた。
北野:今回の議論をふまえ今後の議論は、一つ目は、(1)各セクターの役割、(2)議論できる場をどう作るか、(3)人材育成をどうするか、を踏まえながらの化学物質管理の安全管理のあり方、二つ目にリスクコミュニケーションの普及促進と人材育成、三つ目に予防原則や未然防止の考えかたになると考える。
瀬田:企業は情報を出さないといわれがちだがそんなつもりはない。真剣に化学物質問題に対応する。我々も次の世代に責任を持っている一市民である。
北野:不信感を取り除いてきちんと議論をしていきたい。時間となったので、本日はここで終了とする。

(以上)



■議事録

(事務局) 時間になりましたので、これから化学物質と環境円卓会議を始めさせていただきたいと思います。それでは、北野さんよろしくお願いいたします。

(北野) 今日は、この円卓会議で今後何を議論していくかを決めていくことがテーマになります。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。

(事務局) 資料の確認の前に、メンバー変更がございましたのでご紹介させていただきます。これまで日本電機工業会環境政策委員会委員長の橋本さんにメンバーをお願いしておりましたが、代わりまして新たに横山宏さんにメンバーをお願いしております。
 それでは、資料について確認させていただきます。お手元の資料としては、資料1,資料2で化学物質と環境円卓会議に寄せられた意見の個表、累計となっております。それから、参考資料1から4を封筒の中に入れてお配りしているかと思います。更に、ただいま各メンバーの方々からお持ちいただきましたコメントを追加で配布させていただいたところです。

(北野) 資料はありましたでしょうか。それでは、これから議題1に入りたいと思います。これまで事務局に寄せられた意見や過去2回の円卓会議、また過去2回の地域フォーラムで色々な意見が出ております。その意見、要望を事務局がまとめてくれておりますので、その内容について事務局からご説明いただきたいと思います。

(事務局) それでは、お手元の資料1ですが、円卓会議で話し合うべきテーマとしまして、これまでの議論の中、また様々な場面でいただいた意見を要約してとりまとめたものです。第1回会合とありますのは、第1回会合で各メンバーから出たご意見、第2回も同じく第2回会合で出ましたご意見をまとめたものです。この次にありますその他メンバーから提出された要望、意見は、同じくメンバーの方々からこの円卓会議の場ではなく、文書や様々な形で事務局に直接寄せられたご要望、ご意見をまとめたものです。p9~11はそれぞれ地域フォーラムの際に発言者やフロアーから出たご意見・ご要望をまとめたものです。最後に、インターネットでこの円卓会議に対する意見として一般の方から寄せられたご意見・ご要望をまとめたものです。以上が資料1です。
 資料2ですが、資料1を見ていただくと分かりますように、たくさんのご意見をいただいております。そのため、司会の北野さんと相談して、事務局で機械的にテーマを類型化したものが資料2です。また、この累計に従いましてメンバーの方々から一人10点を持ち点に予め投票していただいております。なお、この類型化につきましては色々な問題点があるのは重々承知しておりますが、あくまでも議論を円滑に進めるために類型化したことをご理解いただきたいと思います。それでは、それぞれの類型化したものにつきまして、どの程度各メンバーの方々から点数が入ったかは、たった今集計しましたので、コピーをお配りする時間がありませんでした。スクリーンに示しましたのでご自分で書き込んでいただければと思います。
 まず、A-1(市民、産業界、行政、科学者、メディアの役割)につきましては、点数は合計14点で6人のメンバーから投票がありました。同じくA-2(市民・産業・行政が関与できる仕組みづくり、合意づくり)につきましては合計点で13点、8人の方がご投票いただきました。A-3(産学官の協力:データの整理、蓄積、共有等)につきましては、5点で4人、A-4(拡大生産者責任)は0点。B-1(市民に望まれること)につきましては、3点で2人、B-2(産業界に望まれること)につきましては2人で3点、B-3(行政に望まれること)につきましては5人で9点。B-4(科学者に望まれること)が0点。C-1(リスク評価:人材の育成)につきましては5人で11点、C-2(リスク評価:手法の開発)は4人で8点、C-3(リスク評価:手法の改善)は1人で1点、C-4(リスク評価の加速化)は0点。D-1(予防原則・未然防止)は3人で8点、D-2(子供の健康)は1人で2点、D-3(生態系保全)は2人で2点、D-4(化学物質とのつきあい方、未規制物質への対応、過去の教訓、負の遺産の処理)が1人で1点、D-5(自主管理、代替物の開発)は1人で2点、D-6(家庭内の対策)は0点。E-1(リスクコミュニケーション:PRTRデータの活用)は3人で3点、E-2(リスクコミュニケーション:人材の育成)は6人で12点、E-3(リスクコミュニケーション:ルールづくり、手法の確立、基盤づくり)は10人で22点、E-4(リスクコミュニケーション:場の設置)は2人で2点、F-1(情報の提供の充実:わかりやすさ、ラベル(表示))は3人で6点、F-2(情報の提供の充実:的確な情報の公開と共有)は5人で5点、F-3(情報の提供の充実:透明性の確保)は2人で2点、G-1(化学物質教育:学校教育)は4人で6点、G-2(化学物質教育:場の設置、第三者機関の設置)は1人で1点。H-1(ダイオキシン類)は1人で1点、H-2(化学物質過敏症)、H-3(バーゼル条約の徹底、焼却・埋立処分の禁止、廃棄物処理)、H-4(飲み水と化学物質)、H-5(環境病)は0点、H-6(水環境、食品環境、生活環境)が1人で1点。H-7(ウレタン製品やニトリル製品の使用方法の規制)が0点。I-1(化学物質に関する問題のリストの作成)が1人で1点、I-2(化学物質に関する国際的な情報についての情報の収集と公開)が3人で5点、I-3(化学物質(のマイナス面)の共通理解)が1人で1点。I-4(化学物質の捉え方、放射性物質)、I-5(住宅建築の改善)が0点。集計上はこのようになっております。
 冒頭に申し上げましたように、この累計は便宜的なものです。そもそもの累計の中で、例えばA-2の仕組みづくりについて話し合いたいが合意づくりまでは無理ではないかというご意見付きの点数もございますので、あくまでも議論を進めるための便宜上ということでご理解いただけたらと思います。

(北野) 今集計できたばかりということで、それぞれメモを書いていただきましたが、記入できましたでしょうか。事務局から説明がありましたが、各メンバーが1人10点を持ち点として、自分の考える重大さに基づいて配分して投票し、今日集計していただいたわけです。点数は各人が投票した点の合計、人数は投票した人数という意味です。これが円卓会議のメンバーから、議論のテーマについて提案していただいた内容の集計です。今日これから議論していきたいのは、今後この円卓会議でどのテーマを優先的に扱っていくか。もちろん全て大事ですが、全てやる時間的な余裕もないということで、まず優先順位を決めたいと思います。優先順位から外れたものは議論しないということではありませんが、今日たくさんの方から投票されたものを優先順位が高いとみなして議論することの是非について一つずつディスカッションしていきたいと思っています。色々な進め方があると思います。この円卓会議の中で議論できるものもあるでしょうし、場合によっては専門家をお呼びして、その内容を含めてこの円卓会議で議論することも可能でしょう。場合によってはサブグループを作って、そこに検討をお願いすることも可能でしょう。色々な進め方があるということで、できるだけフレキシブルに考えたいと思いますが、どのようなテーマを優先的に選んでいくのか、そしてどのような形で検討していくのか、もう一つは、選ばれたテーマや進め方が決定したとき、結論はどのような形があり得るか。例えば考え方を共通にするということも一つの手だと思いますし、行政に対する提案ということも一つの落としどころとしてあるのではないかと思います。この場は特別にある方法である内容についてある結論を得るということではなく、できるだけフレキシブルに。私としては今までこのような立場の違う人が集まる機会はなかなかなかったので、この場に集まって色々と意見交換していくことが非常に大事だと思います。ですから、この会の運営も非常にフレキシブルにいきたいと思っております。
 資料2の類型化について円卓会議のメンバーからご意見がありましたが、時間的余裕がなく間に合わなかったので、申し訳ありませんが事務局で今回出していただいたこのまとめ方での優先順位ということで議論させていただきたいと思います。
 取り敢えず点数の多いものから議論していきたいと思います。次回以降の円卓会議のテーマとして扱うのにふさわしいかどうかと進め方についてのご提案をいただければと思います。それでは、E-3「リスクコミュニケーションのルールづくり、手法の確立、基盤づくり」がメンバー10名から22点となっていますが、E-3についてご意見がありますでしょうか。もし必要であれば、事務局からもう少し内容について説明していただきますが。私としては、優先テーマとして5つくらいを考えております。これも後で議論していただきたいのですが。

(有田) 資料1の第1回の会合で、私の意見は情報のことしか書かれていませんが、今後の取り組みとして、リスクコミュニケーションについてまだ整理されていないことがあるのではないかという意見も当日述べたと思います。学習会も開いていただきましたが、まだ認識が共通と言えるところに至っていないため点数が多くなったということもありますし、この円卓会議でもっと具体的なテーマを詰めていかなければならないと思いますが、まずこれを整理してから進めていただきたいと思いました。

(後藤) この投票についての資料を見落としたようで、投票しなくて申し訳ないですが、ルールづくり、手法の確立、基盤づくりということで、今日出された村田さんの資料の中に私が前から言っていたことがそのまま書いてあるかと思います。要は、コルボーン(注釈:第3回化学物質と環境円卓会議に先駆けて、コルボーンさんと化学物質と環境円卓会議メンバー等による意見交換が同日実施されました)さんのお話にありましたように、今までの化学物質管理のあり方を基本的に考え直す。我が国はPrecautionaryの問題についても、一見議論は正しいが、そのために全て手遅れになってきていることを考えると、基本的なあり方をこのオールセクターの中で議論し、憲章的なものを作る。憲章を作れば、場をどう作るか、ルールはどうかをサブタイトルで議論することになります。過去の化学物質管理のあり方と今後のあり方は根本的認識を変えなければならないのではないかという観点で、村田さんの資料のような内容に集中した方がよいと思います。

(北野) 村田さんにご提案の内容を簡単に説明していただきましょう。

(村田) やはり化学物質に関わる色々な問題が、このリストを見るまでもなく分かると思います。しかし、ここではこの円卓会議でないとできないことに限定しないともったいないと思います。例えばリスクコミュニケーションは全体で議論する意義なしとは言わないが、各セクターがどのような考えで化学物質を管理するかという議論を煮詰めてからではないと、実際のリスクコミュニケーションの経験がないうちから議論だけしても深まらないと思うのです。やはり、それぞれの試行錯誤や経験に基づいて議論しなければあまり意味がないと思います。したがって、私はもっとこの円卓会議でないと反論できない大きなテーマでこの会議の成果が国民に見える形で残すべきと思います。

(北野) 結論としては、我が国としてこれからあるべき化学物質管理の基本的なあり方を議論したらどうかというご提案で、その一つにリスクコミュニケーションがあるのではないかというのが村田さんと後藤さんのご意見という理解でよろしいですか。

(後藤) そうまとめることで、リスクコミュニケーションにおけるルールづくりや手法の確立はサブテーマとして必ず必要だという意見が必ず出てきますので、今日整理されたものから必ずしも外れるわけではありませんが、大前提としての基本的なあり方を何らかの形でまとめないと、個別の問題を議論してもそれだけで終わってしまうと思います。先程申し上げたように、根本的な化学物質管理のあり方を従来の考えとは変えた形にするのがこの円卓会議でできる一番良いことではないかと思っています。

(原科) 私は環境アセスメントの研究を行っていますのでいつも思いますが、アセスメントは法律で事業段階に行うことになっています。しかし、それでは遅いのです。上位の意志決定は上位の計画段階、もっと根本的に考えると政策段階で行う方がよいのです。事業、計画、政策の3段階で普通考えますが、今お話になったのは、個別の事業段階の話は後回しにして、上位の計画段階に当たるものを決めましょうということでした。いわゆる行動計画を決めるためには、その上の方針、つまり政策段階の話が必要である。これが憲章だと思います。政策段階ということでまず方針を決める。憲章を作る。行動計画、上位計画を作り、それから個別事業を別個詳細に検討すればよいというお話だと思いますがいかがでしょうか。

(北野) それでは、手が挙がっていますのでご意見を伺いましょうか。中下さんどうぞ。

(中下) 今の村田さんのご提案に対して私も賛成します。先程のコルボーンさんのお話、そして私達がずっと気になっております科学的な因果関係が必ずしも解明されていない状況において、その化学物質に我々市民、あるいは産業界が対応していくというテーマが緊急に求められている重大な課題ではないかと思います。先程後藤さんがおっしゃったように、新しい局面を迎えているというのはまさにそういうことだろうと思いますので、基本的な考え方を議論し合う必要があるだろうと思います。更に、それを踏まえて具体的な行動計画にしていかないと間に合わない、手遅れになってしまうということを考えますと、具体的な行動計画を策定していくことに大変意義があると思いますので、是非円卓会議でそのことを議論していただきたいと思います。

(瀬田) 今までのお三方の意見と少し違って、有田さんの意見に近いのですが、第1回目から皆さんが問題意識を持ったのはリスクコミュニケーションのあり方だったと思います。やはり、リスクという考えは日本人の弱い点です。例えば、降水確率で確率の問題は何となく分かったことになっていますが、リスクは何をどのように考えたらよいかということがまだ日本人はよく分かっていないし、私もよく分かっていません。従って、リスクコミュニケーションのあり方をもう一度考え直す必要がある。それだけでも十分な大きな意義があると思います。第2回に浦野さんを始め3人の先生をお呼びしましたが、各先生の持ち時間がわずか10分でした。従って、先生方の話としては生煮えに過ぎなかったと思います。これでは、お呼びした先生にも失礼ですし、一方リスクコミュニケーションのあり方は我々にとって重要なことだと考えています。リスクコミュニケーションは個別の問題で議論しなければ無意味という話がありますが、リスクコミュニケーションのあり方について産官学民がどのように理解し、どのように責任を持つかについても議論すべきだと思います。こういう場だからこそです。

(山元) 私も技術的な話に陥ると従来のパターンになると思います。大前提、基本的な考え方を議論する必要があるということで、化学物質の対策、あるいは管理についての新しい文化、新しい価値観を作って発信することが必要だと思います。企業も不利な情報を積極的に出していく、あるいは市民もそういった情報を冷静に受け止めて、そのような情報を出した企業を評価する。あるいは、行政も予防的な立場から対策をとる。新しい化学物質に対しての文化、価値観を作って発信していく総合的な場になる方がよいと私は考えています。

(有田) 皆さんの意見が違っているとは思わないのですが、情報がはっきりしていません。隠してはいないのでしょうが、企業秘密などもあると思いますし。この場でもっと大きなテーマを議論できるのであればすばらしいと思いますが、本当にそのような場になっているか分からないので、まずはリスクコミュニケーションを行うに当たってのルールづくりについて議論する場だと認識しています。その上でもっと具体的な個別の問題について話し合っていければ、それに越したことはないと思っています。

(崎田) 私はこのテーマに票を入れていませんが、その前に自分のペーパーを出させていただきました。A-2の「市民、産業、行政が関与できる仕組みづくり、合意づくり」に私の意見が集約されているのではないかと思っています。結局この場で何を話したいかというと、きちっと産業界の方と市民と行政の方がこれからの化学物質と我々の社会との付き合い方を話し合っていく場を作る。あるいはこの円卓会議をそのような性質の場にするのか、円卓会議で合意して別に場を作るのかについても話し合わなければならないと思います。そのような議論をして、リスクコミュニケーションの推進などについても話し合っていくという方向にもっていければと思い提案しました。大きな意味で言えば、同じ意見かと思います。

(出光) 崎田さんのご意見に賛成です。色々な考え方があるし、今回の円卓会議でも色々なご意見が出ています。原科先生のご意見も分かりますが、その段階まで今の時点で持ち込めるのか。そうではなく、やはり何らかの場の中でリスクコミュニケーションを醸成していかないと難しいのではないかと考えています。

(角田) 私は今回優先順位を投票するのに非常に迷いました。というのは、個別のテーマが出ていますが、そもそも円卓会議はどのような場なのか、いつまで続くのかという前提が全く見えないまま課題の優先順位を選ぶことがよく分からなかったのです。そこで、私は今年度で終わる場合と、来年以降も続行する場合で優先順位も違うだろうと思い、分けました。しかし、テーマ自体重複していたり、先程事務局の方が言われたように、羅列してある場合一つはよいがもう一つが意見に添わない場合などもありました。今日の議論を伺っていると、円卓会議がどのような場なのか明確でないまま何を選んで議論するのかが先走っていて本当にそれで良いのかというのが一点。それとリスクコミュニケーションについては私も日本化学会の検討会のメンバーとしてやってきましたが、総論については話ができても具体的なケースを抽出して原則や手法を作るとなると、事例自体が出てこない。例えば協力を求めても出してくれないという現状がありますので、リスクコミュニケーションを議論するのは非常に難しいと思います。むしろ、円卓会議自体が3者で集まり、リスクコミュニケーションしている場になっていると理解しています。もし、リスクコミュニケーションを議論するのであれば、後藤さんや村田さんの発言にありましたように、今後日本が行うべき新しい化学物質管理の中で、リスクコミュニケーションは計画から実施評価、見直しの段階全てで必要になってくるので、サブテーマのワーキングを別に設けてリスクコミュニケーションを議論した方がすっきりするような気がします。

(北野) 円卓会議がいつまで続くかということについては、私も事務局と打ち合わせていませんが、私の理解では我々が決めるものだと思っています。それを事務局にお願いしていこうと私は考えています。色々と議論を行っていますと、意見は二つに分かれるような気もしますが、同じようなことを言っているような気もします。要するに、リスクコミュニケーションの考え方が人によって少し違うのかなと。お互いに話し合っていくことがリスクコミュニケーションと考えている方もいますし、本来のリスクコミュニケーションとは違う理解もあると思います。もう少しご意見を伺った上で判断したいと思います。

(片桐) 憲章をまとめるという話がありましたが、憲章をまとめるためにはお互いの共通の認識が必要かと思います。そうしないと、いくら作っても無意味になると思います。そこで、化学物質に対する考え方、リスクに対する考え方、個々の問題を取り上げて一つの憲章という形に話し合いが進み、その中で憲章を作るためにも、個々の問題でどのような内容を話すのが必要なのかをまず決めることが必要だと思います。それから、後から配布された資料2の中に、私自身もこの円卓会議で何を議論して良いのか分からないということが若干ありました。今、国などでは、化学物質関連の委員会がたくさんあります。つまり、個々の問題はかなり議論されていますので、そういった問題と検討会との切り分け、そのような検討会に我々から要望できるか否か、たくさん意見をいただいた個々の問題をこの会議でどのように取り扱っていくかについて、先に議論していただきたいと思います。国の検討会ですと、かなりの情報が出てきています。インターネットを見ると委員会の資料はほとんど出ていますし、その中で色々な議論がありますが、非常に難解で私でも理解できないものもあります。そのような情報をかみ砕きながら、わかりやすくすることも大切だと思いますが、円卓会議をどのように進めていくかについては、最初にしっかり議論する必要があると思っています。

(田中) やはり、私もリスクコミュニケーションの基盤づくりということで、この会議がもしリスクコミュニケーションの一つであるなら、どのように運営していくのかを討論するのが先決だと思います。そして、進め方や問題点を決めれば、次のテーマに自ずと入っていけると思います。リスクコミュニケーションについては理解したつもりですが、更に理解を深めてやっていくべきではないかと思っています。

(北野) 要するに、今後の化学物質のあり方をどうするかという基本的な考え方をまず議論し、その中でパートナーとしてどういう役割ができるかを議論していくという提案がありました。もう一方では、リスクコミュニケーションについて具体的な手法などを議論していこうという提案に分かれました。例えば、今後の従来とは違う新しい化学物質対策が必要になってくる時、各パートナーがどのような役割を担え、何ができるのか、どうしたらいいかを議論していく過程で、お互いの認識の違いや誤解を解いていくという形でリスクコミュニケーションの一つの訓練というか実践の場としてそれを利用するのも一つの手ではないでしょうか。私の理解ですと、リスクコミュニケーションということだけ標題に出して、どうあるべきかを議論するのははっきり言ってできないと思います。そこで、一つのテーマを決めて、意見の相違を乗り越えながら、可能であれば合意に達して行きたい。リスクコミュニケーションは必ずしも合意を得ることが最終目的ではありませんが、一つの合意づくりを前提に、その過程でリスクコミュニケーションはどうすれば良いのかを認識していくという形で進めるのも一つの手かなと理解しています。

(原科) 今、皆さんの意見から、リスクコミュニケーションという具体的なテーマで議論するという意見と、基本的な考え方について議論するという意見が出ました。先程申し上げた事業段階、計画段階、政策段階は相互連携していくもので、政策方針が決まればそれに基づいて行動計画が決定する。行動計画が決まれば、具体的な、例えばリスクコミュニケーションのような方法が決まっていく。全て関連しているので、リスクコミュニケーションという具体的な課題を挙げるのは非常にわかりやすくて良いと思います。そのための上位の計画はどういう考え方があるか、更に方針はどういうものがあるか、フィードバックして考えながら3段階の議論を行っていると最終的には検証ができるかもしれませんし、行動計画ができるかもしれません。ただ、個別の具体例としては、リスクコミュニケーションのようなものをもっと具体化して、「~のリスクコミュニケーション」に絞って、その時に我々がどのような対策をすればよいかを議論すれば良いと思います。例えば、道路事業を行う際に、計画が決まってからアセスメントをしても手遅れで、手遅れで答えを出そうとするから“アワセメント”と呼ばれていますが、これでは困る。その場合に、そもそも道路が必要かどうか上位計画として道路のネットワークを考え、更に上の政策を考えます。自動車交通がどうかというところまで考えると、本当にその事業が必要か分かりますし、問題によってはそこまでしなければならないことがあります。例えば、廃棄物の問題は、ある廃棄物処理施設を作る場合に、上位の計画として廃棄物処理計画をどうするかで施設内容は変わってきます。処理計画を作るときは、どれだけゴミを減らそうかとか、拡大生産者責任の考えで生産段階から考えれば廃棄物の量が変わる。そのため、方針があり、それから個別計画、更に事業とつながっていくのです。そのように考えることが出来ると思います。皆さんがリスクコミュニケーションに共通して関心が高いようですので、具体的テーマを決め、そのための上位の計画や政策について一緒に議論しながら整理していけば良いと思います。

(後藤) 基本的なあり方を議論すること自体がリスクコミュニケーションだと思います。ここがオールセクターですから。今までは規制ではうまくいかないから化審法で事前審査が少し入りました。それでもうまくいかないからPRTR法により情報公開手法で行うことになりました。それでも分からないものをどうすれば良いかという色々な問題を抱えている中で、だからこそ産業界の方もリスクコミュニケーションの重要性ということを、昔であれば規制すればよいと言っていたのがそれではダメということを見てきて認識しているのだと思います。だからこそリスクコミュニケーションの重要性を言っていると思います。やはり化学物質管理の基本的なあり方について、日本ではあまり話をされていなかったように思います。この場はオールセクターなので、それを議論することがまさにリスクコミュニケーションです。その基本的なあり方についてある程度の合意できるかどうかわかりませんが、ある程度まとまったとすれば、次に具体的なリスクコミュニケーションはローカルなレベルのものもあればナショナルなレベルのものもあるわけで、その時には場づくりの問題やルールづくりの問題が色々出てきます。それは、サブタイトルとして次に必要になってくるのは事実ですが、やはり基本的なあり方が歴史的な状況から見ると、議論がなされていないものをまさに円卓会議で行うことに大変な意味があると思っています。

(村田) 私の意見とリスクコミュニケーションをテーマにしようという点の関連について一言だけ。リスクコミュニケーションの大切さは否定しませんが、リスクコミュニケーションを先にやろうというのは、リスクコミュニケーションが饅頭の皮で、あんこのない饅頭を売るようなもの。どんな基本的な考え方で化学物質管理をするのか、その合意が得られて、それに従ってそれぞれのセクターが活動し、それをどうコミュニケーションするのかという形でつながるものだと思っています。まずあんこを作らなければ、外側の皮だけの議論をしても意味がないと思います。

(田中) やはり、議論の仕方を整理し、それから個別テーマをそのルールに従って議論したらどうかと思います。まず、どういう形で議論していくかという形を先に論じるべきだと思っていますがいかがでしょうか?

(北野) 事務局には、資料2を分かりやすいように分けて整理していただきましたが、それぞれがお互いに関係し、それぞれが別個のものではないので、その意味で難しいところはありますが、今までの議論を聞いていると、やはり今後の化学物質管理のあり方という大命題の元に、例えばA-2(市民・産業・行政が関与できる仕組みづくり、合意づくり)にある市民、産業、行政がどのように関与できるのか、またB(各主体に望まれること)にあるように、その中で各主体がどのような役割を担っていくべきなのか、それを具体的に言うとE-3(リスクコミュニケーション:ルールづくり、手法の確立、基盤づくり)にあるようなそのためのルールづくりなり基盤づくりなりが関わってくると今の議論を聞いて理解しました。多数決とかで決める場ではないので、あくまでも合意で決めたいと思いますが、個別にはあり得ないと思います。先程原科さんがおっしゃったように、まず憲章、あるべき姿が出てきて、そのため必要な個別の話が出てくる。個別の話というのが、私が申し上げたA-2でありB-1(市民に望まれること),B-2(産業界に望まれること),B-3(行政に望まれること)であり、そしてそのルールなりやり方としてE-3が出てくると理解しましたがいかがでしょうか?

(有田) E-3(リスクコミュニケーション:ルールづくり、手法の確立、基盤づくり)について、私は必ずしもルールを文書化しようという意味で点数を入れた訳ではありません。そのため、検証しながらという原科さんの提案でも構いません。これだけに固執しているわけではありませんが、これがないと円卓会議が逆にどういうふうになっていくのかということが心配です。ですから、アンケートに点数を入れるときにも、A(各主体の役割とパートナーシップ)の考え方と後段の個別テーマと多少捉え方が違って、2通りの意見を出しました。ですから、これが継続して行われ、具体的な話を議論するまではもう少しルールみたいなものが必要かなという思いがありました。

(瀬田) 2つの話がお互いに連動しているのは分かりますが、やはりリスクコミュニケーションと村田さんのおっしゃる憲章をまとめるというのは独立した違うものだと思います。リスクコミュニケーションがどうあるべきかを考えるために、実例として色々なものを考えていく、あるいは大きな流れを考えていくというのはいいのですが、先に憲章を考えようというのはそもそも円卓会議の主旨を超えていると思います。極めておおざっぱなことであれば別ですが、この場で何らかの憲章という形で書こうというのは相当な労力を前提としなければならないと思います。そこで、先程の角田さんのお話の中で、日本化学会のリスクコミュニケーションについて色々なスタディーをして、結局、なかなか実態がつかめないという話になってしまうということでしたが、この前の浦野さんの話では1条から10条まで否定型でまとめられて、逆に「こうだ!」というものは何も分かっていないという状況でした。それだけリスクコミュニケーションは難しいものなんだろうと思いますが、どのような議論があり、どのような結果で10の誤解になったのか我々には分かりません。私共は、漠然とリスクコミュニケーションとはこんなものだろう思っていますが、まだリスクというものの考え方自身もまだ十分に議論されていないという気がします。この場で何度もそのような議論が出ていますが、やはりこれまでの円卓会議の流れからしてリスクコミュニケーションに焦点をあてて一つの考え方をまとめていくということにすべきだと私は思います。

(北野) テーマは一つに絞る必要はないので、最初に申し上げたように、私は5つくらいと考えていますが、産業界の方はどちらかというとリスクコミュニケーションを具体的に議論したいという提案でした。次に、円卓会議としてはどのような形で議論していくか、その辺まで考えて次に議論したいと思います。果たして、この場でそのようなことがやっていけるのか、別途何らかの形を考えるべきなのかいかがでしょうか?

(角田) 先程の瀬田さんの発言で誤解されているかもしれないので、そこだけ補足したいと思います。日本化学会でやっているリスクコミュニケーションの検討会には、NGOだけではなく産業界の方も入っておられたし、北野先生も入っておられました。結論として浦野先生があのような形で紹介されたのは、一つは時間が短かったということもありますが、浦野先生含め私たちがあの場で言いたかったことは、今までやっているリスクコミュニケーションではなく、今後求められるリスクコミュニケーションとはどういうことかについてまとめてみましょう、それは従来とはこう違いますね、ということです。このようなまとめ方で議論しましたし、考え方から見ると、いまやっておられるリスクコミュニケーションはこういうふうだと誤解を招きますね、という整理をしたつもりなので、「これはリスクコミュニケーションではない!」という決めつけをしたわけではありません。

(北野) 大きく2つの意見が出ていると思います。この円卓会議の場として、今後化学物質をどう安全に使っていくかというそもそものポリシーをみんなで話し合おうという提案と、今後リスクコミュニケーションは非常に重要であるので、それを大きなテーマとして取り上げていきたいという2つになると思います。私は本来のリスクコミュニケーションの定義から言うと、最初のポリシーの議論を行うことはリスクコミュニケーションではないし、本来のリスクコミュニケーションという狭い意味から考えると2つのテーマは分けざるを得ないと思っています。ポリシーの議論をしていくうちに、色々話し合って、その中でわかりやすい説明をしていく、理解していくなど、それが一つのリスクコミュニケーションの訓練、教育の場にはなると思いますが、それが必ずしもリスクコミュニケーションとは思いません。その意味で、円卓会議でリスクコミュニケーションを一つの柱として挙げるとしたときに、どのような進め方がよいかについて提案があればご発言いただきたいと思います。この円卓会議のテーマとして、リスクコミュニケーションについてのルールづくり、手法確立、基盤づくりをやっていこうとした場合、どのような検討方法があるのか、ヒントや提案があれば伺った上で、最終的に皆さんにご判断いただきたいと思います。

(田中) 私どもが提案させていただいた資料がお手元にあると思いますが、そのp2にある「化学物質と環境リスクコミュニケーションの基盤整備について」をご覧下さい。これは先程の分類で言うとA-2(市民・産業・行政が関与できる仕組みづくり、合意づくり)に近いことを書いていますが、コミュニケーションの機会の創出、様々なリスクの全般的視野から俯瞰および順序だてた整理・対応の重要性、リスクコミュニケーションにおけるコミュニケーターの育成の必要性、更には(2)にも関係してきますが、リスクという分かりにくい概念を整理していかなければ何をどうコミュニケーションするのかが横に逸れることもあると思います。そして、その結果として情報共有できるし、情報を正しくわかりやすくタイムリーに提供することも出来るのではないかと思います。このような観点から、我々もリスクコミュニケーションについてディスカッションしてはどうかと思っています。

(北野) あまり私が自分の考えを押しつけることも述べることもいけないと思っていますが、例えばリスクコミュニケーションについて議論するとすれば、実践を通して学んでいくということが必要かと思っています。あるべき姿を教科書で読んでも、畳の上で水泳を習うみないなもので、実際に立場の違う人がリスクコミュニケーションという場をもって、そこで意見を交わしながら、いかに共通の理解を持っていくかという実践の場というものを通してやっていくことも一つのやり方だと思いますし、円卓会議でテーマを取り上げるとすれば、例えばそういうものをこちらが主催して、実際にやっていきながらあるべき姿を探っていこうという形があり得ると私は思っています。もう一つは、後藤さんや村田さんから提案のあった、従来型の規制から自主管理です。先程コルボーンさんから予防措置のお話もありましたが、どこでお互いに合意していくか。それぞれ立場が違うので、意見も違うと思います。合意できないならそれでしょうがありませんが、やはりそれぞれの立場から十分に議論を戦わせる、それがせっかく様々なセクターの方が参加している円卓会議の意義であると思います。ここは審議会ではありませんし、特別な使命を持って何らかの答申をしなければならないという場でもありませんので、自由な立場で本音で意見をぶつけ合うというのが私は良いと思います。結局2つのテーマが今のところ挙がってくると私は整理してみましたが、このような考え方でいかがでしょうか?

(原科) 最初の意見に戻りますが、リスクコミュニケーションは具体的な実践を通して学んでいくというのはおっしゃる通りだと思います。化学物質に関するリスクのコミュニケーションということで、具体的にやってみればよいと思います。そのために、どのようにすればよいかを議論するときに、まずどのような目的で、どのような目標で、何のためにという方針の話が必ず出ます。一般的な原則と言うよりも、ある問題に関して基本的な原則を決め、それから更に事業の枠組みを決めるという議論を順番にやっていくので、その辺の整理をすればよいでしょう。ただ、全ての領域について行うと時間がなくなりますので、当面はリスクコミュニケーションの問題を議論しますが、その時に基本的な方針をどう考えるか、予防原則は絶対に貫くというように意見を強く出していくなど、そのようなことを議論した上で、今度は実践を通してそれを評価すれば良いと思います。もう一つは、この場は審議会とは違うので自由に議論できるということがありますが、自由な議論をした結果はあまり世の中の人は受け取ってくれません。自由な議論をしても社会に通じなければならないのです。そういった意味のコミュニケーションが必要になってきます。この議論の成果を、例えば中環審にきちっとレポートを出すとかメディアを使ってテレビで紹介してもらうとか新聞に書いてもらうなど、結果を公表していかないとこの中で議論しただけで終わってしまいます。それでは意味がないので、成果をフィードバックするようにしたいと思います。

(北野) おっしゃる通りで、私も最初に落としどころについて申し上げました。一つは審議会やマスコミに意見発信していく。また、例えば予防措置を取り上げるとすれば、どういう風に理解するかは千差万別です。例えばそれを議論していくのも一つのあり方で、落としどころとしては、我々の考えはこうであるというものを出せればそれはそれで良いと思います。テーマによって結論の出し方は違うと思うので、とりあえず、今のところは出てきた意見として、原理、原則、憲章をこの場で立場を越えて議論する、従来の形に捕らわれない、今後あるべき姿を議論する。もう一つは、今後化学物質管理で大変重要になってくる自主管理について、円卓会議として推進していくための何らかの方策を決定するという2つの意見が出てきました。

(角田) 二つを別々に議論する必要はなく、リスクコミュニケーションが今後の化学物質管理の中でどうあるべきかを常に描きながら議論すればリンクすると思いますし、個々の事例では逆に議論しきれないと思うので、今後新しいリスクコミュニケーションとはどうあるべきか、そのルールは総論的にどんなものかについては、このような場で話をすることが重要で、しかも今後あるべき新しい化学物質管理にどう位置づけられるのかという議論があれば、その2つのテーマはそんなにギャップなく話が出きるのではないかと思います。

(横山) 色々議論を進める中で、リスクコミュニケーションという用語の理解が違っていると議論がかみ合わないと思います。「法律は言葉の定義と目標を与える」という言葉がありますが、定義をある程度固めて共通の認識で議論し、内容が煮詰まったら定義を修正するという形で進めると効率が良いと思います。

(北野) 今、大きな意見として2つあります。リスクコミュニケーションは化学物質管理のあり方の一部であるという認識を私も持っていますが、どちらを強く出すかで、多少色合いが違ってくると思います。憲章、ポリシーを議論するという意見と具体的なリスクコミュニケーションをどう行うかを議論するという意見を挙げていただきましたが、もう少し幅広く議論して、最終的には必要であれば2つの議論に戻りたいと思います。次はA-1「市民、産業、行政、科学者、メディアの役割」が14.6ポイントで、それぞれのセクターがどういう役割を担っていくべきかが挙がっています。これも憲章に関わってくるテーマです。化学物質の安全管理をどうしていくかという大命題の中にそれぞれのセクターがどういう役割を持つべきかとうい話になってきます。ですので、A-1は最初に申し上げた化学物質管理のあり方の中で、それぞれがどういう役割を担ってべきかという中の一つの議論として私は位置づけられると思いますがそれでいかがでしょうか?

(後藤) リスクコミュニケーションの中でも役割はどうあるべきかという議論はあるわけで、両方にかかってきますが、先程横山さんがおっしゃったようにリスクコミュニケーションというものをどういう定義にするかにかかってくると思います。化学工業会が出されたペーパーを見ますと、私の感じではリスクコミュニケーションの定義が狭いように思います。もう少し広い意味のリスクコミュニケーションの定義をすれば、そもそもの管理のあり方自体を議論するものコミュニケーションのテーマになり得ます。しかし、このペーパーでは管理の中の一つのリスクコミュニケーションのあり方になってしまっているような気がします。ですから、リスクの啓発という話になると思うのです。そもそもリスクの啓発というとここにも出ていますが、中西準子さんのようにコスト-ベネフィット論が出てきたりしますが、今日のコルボーンさんのお話にもあったように、Unknownのものをどうするのかというときにコスト-ベネフィット論では立ちゆかない場合がたくさんありますので、そう言う意味で先程整理されたA or Bということになりますが、今出ているテーマはどちらにも関わってくると思います。横山さんのおっしゃったテーマの定義の仕方しだいに関わってくると思います。

(北野) おっしゃる通りです。両方に関わってきます。それでは、先程の2つのテーマをとりあえず候補として挙げておいて、A-1(市民、産業界、行政、科学者、メディアの役割)についてはそれぞれに関わってくることなので、その中で考えるということにしたいと思います。次に出てくる、A-2「市民、産業、行政が関与できる合意づくり」について意見があればお願いします。

(崎田) 私もこのテーマについては何度も発言しましたが、私が考えていたのは、このように色々な立場の方が集まる場ができたので、この場をどのように運営していくのか、この場をどのような性格にするかという基本的なことをみんなで話し合っていくということが大切ではないかという気がしています。ですから、この場に持たせる機能や性格をこの場で話し合う、あるいはこの場で話し合いながらどのような場が別に必要かを話し合うのが一番流れとして良いと思います。一度この話し合いを行い、3者でこの場を設定するということを確認した上で具体的な話し合いをすればよいと感じています。

(北野) この場というのは円卓会議のことですか?

(崎田) この場で仕組みづくりをするのかも含めてという意味です。

(北野) 現在我々が行っている円卓会議をどのような場にしていくか、必要なら別に場を設けるかについての合意づくり、仕組みづくりを行う場が実際どうあるべきかという議論をすべきだという意見でした。

(中下) 今のことは重要なことだと思いますが、そもそものあるべき姿を議論していく中で、化学物質のリスク管理、リスク削減のためには、3者が関与できる場を設ける必要があるという意見も当然出てくると思いますので、先程二つに分類されたテーマの中で話し合われるべきことではないかと思いますがいかがでしょうか。

(村田) 私は崎田さんとは全く反対の意見で、この円卓会議で何をするのか、何をしなければならないのか、それをするにはこの場がどうあるべきかで機能や性格は決まるもので、先に何をするかを決めないうちに場を作るのは順序が逆だと思います。

(北野) 先程整理したテーマのうちの一つである「化学物質管理のあり方」の中の一つの検討事項として、A-1(市民、産業界、行政、科学者、メディアの役割)に挙がっているそれぞれの役割があると思います。もう一つの検討事項として、A-2(市民・産業・行政が関与できる仕組みづくり、合意づくり)に挙がっているどのように合意を作っていくかです。法律ではないので、強制できるわけではありません。お互いに納得したうえで安全な化学物質管理を行うと考えれば、A-2はポリシーや憲章の一つの要素としての議論すべき事項として出てくると思いますがいかがでしょうか。

(角田) 村田さんの意見と近い意見を私もずっと述べてきましたが、原科先生のまとめにあったように、ここで話し合ったことをどのような役割や性格を持たせて外に発信するのかという議論もあると思います。それは優先課題のリストの中に入っていない話題なので、加えてもらえれば話はすっきりすると思います。

(北野) それは一番大事なことですが、方法がテーマによって違うと思います。例えば国の審議会や行政に対して意見書として提出するのか、それともマスコミなどを通して広く周知徹底していただくのか等、テーマによってここで得た結論や合意事項をどのような形で社会にアピールしていくか方法論が違ってくると思います。ですので、どの方法がよいかをここで議論するのは難しいと思いますが。それぞれテーマの中で合意したこと、得たことをどのように社会に訴えていくかを検討してはどうかと思っていたのですが。

(原科) 私の意見は少し違います。最終的にはきちんとした社会的ルールを作ること、法制化だと思うのです。そのためのアクションとして、具体的には法律作成がありますが、審議会を通して行政が用意する場合、あるいは議員が立法する場合、どちらのルートでも良いと思います。色々なチャンネルで情報を伝えていくことは大事だと思うので、審議会に意見を持っていくのは行政で頑張ってもらえばよいし、場合によってはメディアを通じて発信し議員が立法しても良いと思います。日本では議員立法が少ないので、議員の背中を押してもいい訳で、そう言う意味ではメディアの色々なチャンネルを使えばいいと思います。審議会も一つのメディアですし、マスコミもそうです。様々なメディアから同時に発信した方が私はよいと思います。テーマによってメディアが違うということは確かにあるかもしれませんが、基本原則としては多様なメディアを使った方がよいと思います。

(瀬田) 会議がスタートする前のご説明や、第1回、第2回の議論で私が感じたことですが、この円卓会議では市民、産業、行政の3者が情報を共有し、できれば理解を深めていくという場を作るために集まったと理解しています。そのため、スタートの時点では、一つの場として話し合い、結論が出れば情報発信するということではなかったのではないでしょうか。従って、当初、決めた通りの形でこの場を活かすという議論にしていただきたいし、一気に発信や憲章まで話を持っていくというのは最初の精神とは違うのではないかという感じがしました。

(北野) 進め方について事務局と相談していませんが、私自身の理解では、ここは審議会ではないですし、特定のテーマを行政から委託されて我々が答申するという立場ではないと理解しています。違う立場の人が集まって、自分たちでテーマや進め方を考えていく。ただ、成果については報告書にするだけではもったいので、ものによっては審議会で更に検討してくださいよという提案をしてもよいでしょう。また、このような考え方ができたので皆さんに勉強してくださいと言うのもよいでしょう。そういう意味で申し上げただけで、決してテーマを決めて何らかの結論を出し、それを行政に働きかけるということを義務づけているものではありません。とにかく、自由な雰囲気でお互いに話し合う。この場を持てたことをまず我々は喜ぶべきであって、なんとかうまく進めていきたいと思っています。ただ、議論のしっぱなしはもったいないので、どのように活かせるかも考えたいと思っています。

(原科) この場の設定は、参考資料1に出ていますが、瀬田さんがおっしゃった通りで、「化学物質の環境リスク関する情報の共有及び相互理解に関する場として設置する」となっています。ただ、それだけで良いかということで申し上げただけで、その先は具体的なルールづくりになります。その先は法制化という極めてわかりやすい方法になりますが、むしろ産業界の自主的なルールづくりでもいいと思います。あるいは、NGOで何らかのルールを作ってもいいと思います。様々な形があり得るのです。そういう意味では、様々なメディアを通じて情報発信することは必要だと思います。

(北野) とりあえず、それぞれの立場を理解することが重要なのです。
 
(出光) 憲章というのは始めから合意を議論することになります。様々な議論の中に共通認識で何らかの合意ができるのであれば、それを発信していただくことは一向に構いません。3者がこのような形で、いかに相互理解なり、要望なりをお互いに聞けるのかという場がここであるとすれば、憲章が先に議論になるのはやはりおかしいと思うのです。

(中下) 何のために同じ場についてコミュニケーションするかというと、やはりコミュニケーションというのは相互に理解し合い、共通の合意に達することを目指してやるものだと思います。そうでなければ言いっぱなしになってしまい、何のために場についたか分からないということになってしまいます。だから、あくまでも合意を目指してコミュニケーションし、結果としてできるかどうかはまた別です。新しい化学物質管理に当たって共通の基本原則を定める必要があるということを前提としてコミュニケーションしていきましょうよ。結果として合意できれば検証になるわけですから、始めから消極的にならないで、あくまでもお互いの合意に達することを目指して誠意を持ってコミュニケーションして行くことが必要だと思います。

(北野) 立場の違いを乗り越えて、合意できるものは合意していこうという意味ですね。

(原科) ですから、相互理解が進んで、みんなが「なるほど!」と言った時点で憲章になるということですね。

(出光) それはあり得ます。しかし、それが最初にあるというスタンスはどうかと思います。

(原科) 憲章は主たる目的ではないという意味ですね。

(出光) もともとこの場はそういうふうに設定されたはずだと理解しています。

(原科) できればそう(憲章に)なってもらいたいですか?

(出光) それは一向に構いません。

(北野) 理解をお互いに深めていくということでどうでしょう。

(小林) 非常に難しい立場にいるので、発言も難しいのですが、我々流通は先程のお話のように、全く不確実なもの、将来にどのような影響を及ぼすか分からないもの取り扱いに対しては実際には本当にお手上げの状態です。またそれとは逆に、それに対しての消費者の不安やお問い合わせが確実に増えていることも事実です。実際に国、企業に対しての検証の方法、表示の方法の信頼性が崩れた世紀だと認識していますし、その場をどのように共通にしていくのかがこの会議が作られた意義だと認識して参加しています。大変恐縮ですが、私も投票していないので、順位については何とも申し上げられませんが、先程2つのテーマが大きく出てきて、もう一度のテーマを全部を見させていただくと、逆に多い順で改めて議論していこうかと見るよりは、本当に2つのテーマにリスクという問題を広い概念で捉えれば、あるいはコミュニケーションを広い概念で捉えれば、この2つのテーマを先ず共通認識をし、定義も決めて、そこで議論をしてく。挙がっているテーマをどうするか全て議論するだけでも、貴重な時間がもったいないという気がしていて、ここに当てはまらないものがあったとしたら、もう一度戻ってこの2つのテーマだけでも非常に重要だと思いますし、当然大きな今までの概念とは違う予防というところに向かって国なり、我々なりが方向性をきちっと考えていかなければならない時代だと思います。その中で議論していけば合意になるかどうかは別として、少しずつ整理が出来ていくのではないかという気がしています。現実に私どもはお客様からの問い合わせ、化学物質に限らず、普通の自然の植物についても非常に不確実な情報等々で、それを本当に日本人同士でも言葉が通じないくらい分かりにくい、それを流通としてきちっとわかりやすい言葉でお客様に納得していただく、あるいは相互理解をするには往復書簡が何十通も要るということが現実に起きているんです。そういったことをこの場で少しずつご紹介させていただきながら、これだけ理解に齟齬があるということを共通認識しながら、二つのテーマで進めていただいた方がむしろよいのではないかという気がしてならないんです。

(北野) もう少し議論した上で結論を出したいと思います。

(後藤) 出光さんのお話通りで、この場自体がコミュニケーションですが、合意が常にあるとは限りませんから、最初から憲章があるのは間違いというのは全くその通りです。ただし、ここである程度の合意が出来なかったら、もうこの円卓会議はやめましょうと。そう言う意味でそもそのもの化学物質の管理の議論をしましょうという提案です。

(出光) 反論するわけではないんですが、リスクコミュニケーションの議論の中に当然そのような議論が入ってくると思っています。特に、リスクの議論の中にもありましたが、捉え方が皆さんそれぞれにあるわけです。いろんなご意見の中でも、「なるほど、こういう見方があるのか」と我々が感じることもあるわけです。ですから、そういうリスクコミュニケーションを通してお互いの共通認識を作っていけば、先程中下さんがおっしゃったようにその中で合意できるものは発信することはあり得ると思います。しかし、最初に憲章だと言われると、「本当にそういう場ですか?」という反論になるというだけのことなんです。

(原科) 私も、最初から憲章という程強く申し上げたわけではなくて、リスクコミュニケーションのことを議論すれば、必然的に憲章の一条くらいは議論して合意しなければならないのではと思い申し上げました。ですから、10くらい項目のある憲章は大変ですが、リスクコミュニケーションに関わるような方針部分の基本合意がないと、リスクコミュニケーション自体の中身も決まらないですよ。そういう意味では、憲章に相当するもの1つくらいは議論しなければいけないのではという意味で申し上げました。ですから、同じような視点だと思います。

(田中) 私はこの会議の理念、方針を決め、目標を決めて、計画ということを少し整理してみるとわかりやすいと思います。理念、方針というものは、「化学物質による環境汚染に対する国民の不安を解消すること」が方針だったと思います。そして、その目標として「情報を共有して、共通認識を持とう」ということがあります。しかし、目標に、かならず合意が含まれるのであれば、消極的だと言われますが、議論の内容によっては、これはどうしても合意できないという点がお互いにあるかもしれません。ですから、当然合意を得てそれを発信できればすばらしいことですが、やはり原科先生が言われたように、目標はそこに置いていただきたいと思います。そして、計画はこの夏頃までに何とかしましょうということでしたが、この辺のところはもう一度まとめて議論しないと話が違うということになりかねません。

(北野) もう少し幅広く議論した上で最終的に提案したいと思いますが、今まで資料2の得票が多い順に挙げてきました。次に5番目で、C-1に「人材の育成」が挙がりますが、これはE-2の「リスクコミュニケーション」でも出てきますし、場合によってはG-1「学校教育」も絡んできます。要するに、人材育成と教育をどうするかというのが5番目の特徴として出てきます。それについて少し議論した上で最終的にまとめてみたいと思います。

(原科) 人材育成の関係で、もう失礼しますが、最後に一言だけ。さっき小林さんがおっしゃったように、やはり議論の場、共通の情報を共有して、共通の理解を深める。だから、この議論のプロセスを是非社会に伝えることが必要だと思います。そういう工夫をしておけば、この会議内部だけではなく、社会的に共有されますから、そのようなことをお願いしたいと思います。(原科さん退出)

(北野) 人材育成というのは色々なところに関係してくるわけですね。評価の専門家ということもありますし、リスクコミュニケーションでの人材育成もありますし、また一般の消費者に理解してもらうための教育も含んでくると思います。その人材育成が次にスコアが多いものになるわけですが、どのように議論するかは別として、この円卓会議のテーマとして「人材育成」を議論していくかどうかについてご意見いただけますでしょうか。

(有田) 人材育成は大切なことだと思っていますが、それぞれ利害関係というか、立場が違うところがありますので、この場で話し合うテーマとしてはどうかと思います。点数よりも、先程北野さんがおっしゃったようなリスク管理の中の予防原則や未然防止を議論した方がよいと思います。点数の関係で議論するという話に提案されていませんが。

(北野) 私としても上位5つのテーマについて提案し、その後にスコアが低いけど是非取り上げて欲しいというものがあれば意見をいただいて、最終的に決めたいと思っています。

(有田) 先程小林さんがおっしゃっていたように、私も2つのテーマを話し合っていけば、他のことは自然に関連してくると思っていますので、そういう視点で進めていただいて、D-1のようなものも、スコアが低くてもテーマとして取り上げていただけたらと思っています。

(崎田) 人材育成などは、最終的には大変大事なことだと思います。産業界の方あるいは商品をどういう風に提供していただいているかとのつながりで、消費者がそれをどうやって認識して、どうやって家庭で使うかなど、色々なことが関連してくるときに環境教育やそれの繋ぎ手として人材育成というのは大変必要で必ずやらなければならない話だと思います。それを先に議論するのではなく、根本的なことを話していく流れの中で、人材育成まで話が及ぶのであれば是非議論したいと考えています。

(北野) 今までのお二人の議論は、人材育成について特別に議論するのではなくて、先程申し上げた2つの大きなテーマの中で考えていけば良いのではないかと理解したのですが、他にご意見はありますでしょうか?
 それでは、今まではスコアの順で5つのテーマについて申し上げましたが、あまり多く点が入っていないものでも、是非円卓会議で議論しておきたいとかテーマとして取り上げていただきたいというご意見がありましたら伺うことにして、最終的に提案したいと思いますがいかがでしょうか?

(田中) 拡大生産者責任がA-4に入っていますが、パートナーシップという形で考えるなら、拡大生産者責任というテーマも非常に重要だと思います。しかし、このままの言葉で論議するとパートナーシップにならないと思いますので、行政、市民、産業界がそれぞれ化学物質の環境リスクの問題にはそれぞれの役割があると思うので、そういった責任という形での論議をしてみてはどうかと思います。

(山元) 既に有田さんからお話がありましたD-1「予防原則、未然防止」という点が消費者が非常に不安を持っている点で、この点が新しい時代の要請ではないかということで、最初のテーマの化学物質の管理をどうしていくかというテーマに関わることですが、非常に消費者の立場から重要なテーマではないかと思います。

(中下) コルボーンさんからお話がありましたように、胎児の暴露というのがリスクとして非常に問題で、今までの化学物質管理のあり方では抜け落ちてしまう問題であると思いますので、これは新しい化学物質管理のあり方を考える上で恐らく議論されるポイントだろうと思いますけれども、やはりこの問題を取り上げていただきたいと思います。

(北野) 今日色々ご議論いただいて、結論めいたものを出せれば良いのですが、もし結論が出ないとすれば、今日の議論を整理した上でもう一度議論しても良いかと私は思っていますが、とりあえず今まで私が聞いて判断したのは、テーマとして大きく3つに分かれるかなと思います。
 一つはそれぞれ各セクターの化学物質管理のあり方や合意形成の場でどのような形でお互いに関与していけるのかという具体的な議論をしながら今後の化学物質管理がどうあるべきかを考える。まず、今後の化学物質管理のあり方を最終的なゴールと考えつつ、それぞれがどのような役割を担えるのか、どういう風にしてこのような場を持って議論していけるか、その辺を議論しながら最終的にそれぞれの役割や場を持ちながら今後の化学物質管理はこうあるべきではないかと。
 2つ目はリスクコミュニケーションというものを今後どのようにすれば、根付いて皆さんに理解していただけるか。また、今後の化学物質の安全管理にどう有効に使っていけるかというリスクコミュニケーションに特化したテーマ。先程の人材育成については、化学物質管理のあり方やリスクコミュニケーションと関係してくるので、その中で考えていく。
 3つ目のテーマとして、予防原則や未然防止、拡大生産者責任というものをどういう風に我々として理解するのか。それぞれ理解の仕方が違うと思いますが、その点を議論しながら理解を進めていく。
 以上の3つのテーマに分かれると思います。もちろん3番目の予防原則や未然防止は最初のテーマに当然関わってきますが、最初に化学物質のあり方云うんぬんを大命題にすると、なかなか議論が進まない場合が出てくるので、一つは各論的なものを議論しておきながら、最初に申し上げた各セクターが化学物質の安全管理にどのような役割を担えうるのか、期待されるか、そしてお互いに意見を交換し、合意に達するにはどのように場を持っていけば良いのかを議論しながら、合意として今後化学物質はこう管理してはいかがですかと提案できればと思っています。それぞれが別個のテーマではありませんが、敢えて3つに分ければ、化学物質管理のあり方、リスクコミュニケーション、予防原則等の考え方に整理できると思いますがいかがでしょうか?

(片桐) 私としては議論に入っていく場合に、各セクターの役割を議論していけば、多分皆さんの考え方が違うと思いますので、色々な議論が出てくると思います。当然各主体の役割を考えていけば、予防原則の話も出てくるでしょうし。その中から問題点を探りながら、少しはずれて今回はこのテーマについて議論しましょうという形で動いていった方が会議が進みやすいのではないかと思います。

(北野) 具体論としては、各セクターの役割などにテーマを絞りながら行いますが、最終的にはそれらを踏まえた上で化学物質の管理みたいなものにつなげていければと思っています。

(片桐) そのような議論の中からリスクコミュニケーションのあり方も出てくるのではないかと思いますが。

(北野) 事務局と全く相談なしに進めていますが、事務局からご意見はありますか?

(事務局) 基本的に、ここでの進め方についてはメンバーにご議論いただくことになっておりますので意見はございません。ただ、次回のテーマが決まりましたら、どのような資料を想定しておられるかも少しお知恵を拝借できると次回の進め方が楽かなと思っております。また、論点について次回までにメンバーの方々にお聞きしたり、作業もお願いすることになると思いますが、それも併せてお願いいたします。

(北野) 私の説明も不十分で理解しづらいところがあったでしょうし、誤解があるといけませんので、今日の議論を事務局に整理していただいて、進め方の叩き台を出していただいて、それについてご意見いただいた上で、次回に何から議論していくかという形で進めたいと思います。

(田中) 事務局でまとめてもらった資料を読む時間が非常に短くて苦労したので、今後宿題をいただく場合はもう少し早くしていただきたいです。もう少し読めればまとまった話ができたのですが。また、付け加えさせていただきますと、予防原則ということで私どもの方に色々な方から要望をいただいていますが、予防原則とは疑わしきは罰することと伺っています。もちろん色々な解釈があることも理解していますが、これを簡単に罰せられると仕事を失ってしまうような方もいるので、この問題は法制化を前提に議論するのであれば、議論から引き上げてこいと言われています。やはり、予防原則を論議する場合は、法制化を前提にするとか化学物質の憲章を前提にするということ、合意を前提とする論議であるならなかなか参加しにくいということがあるので、この点はご理解いただきたいと思います。

(北野) 合意を前提としているわけではなくて、予防原則であれば、まずはそれぞれのセクターの方々がどのような理解をしているかという意識の違いをはっきりしましょう。

(田中) そうであれば、予防原則はどのようなバージョンがあるのか説明するような機会も設けていただきたいと思います。

(北野) 例えばEUではどのように理解しているかなど色々とあるので、その辺は事務局にお願いしながら勉強していかなければなりません。それと同時にそれぞれの立場で予防原則をどう考えるのか。まず、意見の違いがあれば、そこをクリアにした上で、どうやったらお互いの溝を埋められるかを考えるのがこの回の目的だと思います。だから、合意に達するのはイヤだとは言って欲しくないのです。

(田中) 合意に達することを前提とする論議は困ると言っているだけです。やはり話し合いの中で、例えば自主的な対応で十分できるという共通認識が得られたら構わないと思いますが、前提としてそのようなところに落としどころがあるのは困ると申し上げているのです。

(北野) 合意をできるように努力してみようではないか、お互いに違いを認識しようではないかという意味です。

(田中) 生活がかかっている人がいらっしゃることをご理解いただきたいと思います。

(北野) 決して多数決で決める気もありませんし、お互いに認識の違いをはっきりしてみようじゃないかと。どこから認識に違いが出てくるのか、どのようにすれば溝を埋められるのか、どうしても溝が埋められないところもあると思いますが、そればやむを得ないと思います。ただ、最初から決裂するのではなく、今後化学物質を賢く使っていくことを考える場にしたいわけですね。

(田中) ありがとうございます。

(有田) 私が言い出したことなので少し説明させてください。(予防原則について)ばらばらの考え方なので、どういう方向性が良いのかということと、よく化学工業会や企業の方は「予防原則でやっています」とおっしゃいますが、逆に言えば法律以上に頑張っていらっしゃるかもしれない。そこをおっしゃった方が得だと思うんですね。罰するというような言い方はしていませんし、疑わしきは使用せずという方もいらっしゃいませんし、共通認識を持った方がよいと思い発言しました。

(北野) 以前、日本化学会で行ったアンケート調査にも結果が出ていますが、お互いに不信感があるわけです。不信感をお互いにどうやったら解消できるか、そのケースとして予防原則というものを考えてみましょうかという形で行きたいと思いますが。

(瀬田) 化学物質のあり方かリスクコミュニケーションのあり方かということですが、結局は基本はリスクとはどういうものかということになる。従って、リスクについての考え方をどこかでレビューなりレクチャーしていただきたい。少なくとも、ある共通の理念の上で議論しないと、リスクに対する理解がそれぞれで違っていると思いますし、かみ合わないと言うことになりかねない。もう一つは、このような議論は他の場所でも行われていると思うので、既に議論された結果をご紹介いただくことも一つの手ではないかと思います。先程、角田さんのお話では日本化学会で色々議論されたと言うことのありますし。先程の結論も色々な議論が出た結果だと思いますので流れを説明していただけたら有り難いと思います。

(崎田) 私の立場から言いますと、普及啓発や環境学習の推進を地域の視点からやっていますが、長い時代の中で、普通の消費者は新しいものができるととにかく喜んで飛びついて買い、政策などの仕組みづくりは皆さんにお願いしたり、使った後の処理もお願いしたりという長い歴史の中で、こういう状況ができあがってきました。けれど最近は、多くの消費者が自分たちも関心を持たなければならないと随分感じてきておりますので、これからの社会をみんなで一緒に責任を持っていくためにどんな風にしていったらよいかを率直に話し合う場だと思って出てきております。そういう風に、国民全体の意識も随分変わりつつありますので、私たち自身が生活の中でどう付き合ったらよいか、そこを明らかにしていきたい。販売事業者、メーカーの方、いろんな方とどのようにコミュニケーションしていかなければいけないのかがこれからの話題になるわけですが、本当にそういう風に感じておりますので、色々なことを率直にお話し合いが出来たら嬉しいなと期待しております。これからの議論に大変期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思って発言させていただきました。

(角田) 今後の資料についてお願いがあります。角田紹介資料というのがありますが、実は複数のNGOのメンバーが集まって議論したときに出た意見として、化学物質問題は何かというリストを共有することが大事ではないかという意見が出ました。これは非常に貴重な意見でありまして、ここで議論するにあたっても、今日本で何の化学物質問題がどういう風に問題なのか、それぞれが意識している問題を共通のリストにすると、今日挙がったテーマも議論しやすくなるかと思うので、そのようなことをやっていただくことを提案したいと思います。

(村田) 円卓会議の合意で、今後こういう方向で進めようと言うのであれば、もうこれ以上申しませんが、やはり私は何か形のあるものを残したいと思っています。やはり、今我々は化学物質に関していまおかれている状況に対する危機感の持ち方が皆それぞれでばらばらだということにつきると思います。それぞれの発言に各自の危機感が反映されていた気がします。

(北野) 予定の時間となりましたので、今までの議論をもう一度整理してみたいと思います。私が申し上げたことを事務局にタイピングしていただいて、皆さんにお配りした上でご意見をいただいて、最終的に今後のテーマという形で確認していきたいと思います。
 今日は資料2の皆様のスコアが多い順に取り上げてきたつもりですが、一つ目のテーマとしては、各セクターの化学物質の安全管理における役割、どういう役割を担っていくべきか、どのような役割を期待できるか。そして、それぞれのセクターが一緒に議論できる場をどのように持っていくのか、そしてその化学物質の安全性管理のための人材をどのように養成していくのか、その辺の各論を踏まえながら、最終的には今後の化学物質管理がどうあるべきかというところへ持っていけないかというのが最初のテーマです。
 二つ目はリスクコミュニケーションについてこれからどう普及促進していったらよいか。当然その中に人材の育成やリスクの概念の認識も必要になってきます。
 三つ目は予防原則や未然防止について、それぞれをどのように理解しているか。今後可能であればこのような理解で進めていこうという合意を得る。
 大きく分けて以上の3つのテーマになると考えています。ここを事務局でまとめていただいて、書面で皆さんに配布した上でご了解いただければ、次回テーマとして取り上げていきたい。先程ご要望のあった、予防原則について現在どのような考え方がされているのかをまとめる時間もありますので、次回はいつ開催できるかお約束出来かねますが、ゼロからスタートするのではなく、ある程度知見なり資料があるものはその辺からスタートできるようにしたいと思っております。

(瀬田) 先程色々な意見が出まして、例えば企業が情報を出さない、あるいは消極的である、隠しているという話が随所に出てきますが、我々は最初に申し上げましたように決してそういうつもりはありません。勿論、会社によって違うので全てを代表して申し上げることは出来ませんが、我々としては真剣に化学物質の問題に対応しようとしています。それと同時に、我々もこの席を外れれば市民であり、子もあり親もあり孫もいるわけです。従って、次の世代についても強い関心を持っています。そういう立場にあることを踏まえた上で、且つ産業界にいるという立場でやっていきますので、その点をご理解いただければと思います。

(北野) 一番大事なことは不信感を除いてきちんとした議論を行っていくことだと思います。

(後藤) テーマの一番上は「化学物質安全管理のあり方」で、その中で各セクターの役割や人材育成等ということで、各セクターのあり方ではなく、あり方の中の各セクターの役割、人材育成等という形に変えていただきたいと思います。

(北野) とにかく、あり方の議論、役割の議論、場を持つことの議論の最終目標は化学物質の安全管理のあり方に繋げていくんだということと申し上げたつもりです。それぞれの役割で議論してもしょうがないわけですから。何ために役割について議論するかは、化学物質を賢く使っていくためだと理解して下さい。
 ほぼ時間通りです。長時間ご議論ありがとうございました。最初のコルボーンさんの件については、私の不手際もあり、十分な議論ができなくて大変失礼しました。今日の議論を事務局でまとめていただいて、皆様方からのご意見を伺った上で次回の日程をお伺いしたいと思います。今日は長時間有り難うございました。