環境省廃棄物・リサイクル対策廃棄物処理の現状ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理PCB廃棄物の保管等の届出

平成13年度 PCB特別措置法に基づくPCB廃棄物の保管等の届出の全国集計結果について


 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特別措置法」という。)」に基づくPCB廃棄物の保管等の届出の全国集計結果(平成13年7月15日現在のPCB廃棄物の保管等の状況について事業者から都道府県(保健所設置市を含む。)に対し届け出られたもの)を取りまとめました。

●表-1 PCB廃棄物の保管状況の集計結果(平成13年7月15日)
廃棄物の種類 保管事業所数 保管量
高圧トランス 1,583 16,496台
高圧コンデンサ 35,655 220,345台
低圧トランス 330 30,412台
低圧コンデンサ 2,388 1,146,383台
柱上トランス 111 1,713,291台
安定器 8,736 4,170,839個
PCB 156 12,955トン
PCBを含む油 479 142,261トン
感圧複写紙 347 679トン
ウエス 401 215トン
汚泥 106 17,698トン
その他の機器等 955 199,873台

(備考)ドラム缶等各種容器にまとめて保管している場合など、台数(個数)や重量で計上できないものについては、事業所数のみ計上した。また、PCB、PCBを含む油、紙、ウエス及び汚泥については、重量又は体積で計上されたもののうち、体積で計上された分については、1l=1kgとして重量に換算して集計した。

●表-2 PCB廃棄物を保管する事業所におけるPCB使用製品の使用状況の集計結果
(平成13年7月15日)
製品の種類 使用事業所数 使用量
高圧トランス 339 1,689台
高圧コンデンサ 6,033 30,502台
低圧トランス 52 616台
低圧コンデンサ 335 17,510台
柱上トランス 7 1,967,000台
安定器 2,705 868,256個
PCB 4 55kg
PCBを含む油 8 3kg
その他の機器等 123 42,067台

(備考)PCBを含む油については重量又は体積で計上されたもののうち、体積で計上された分については、1l=1kgとして重量に換算して集計した。

1.集計の範囲

 各都道府県等においてPCB廃棄物を保管する事業者から届出のあったPCB廃棄物の種類毎の保管量及びPCB使用製品の種類毎の使用量を集計したものを環境省において全国集計した。PCB廃棄物の種類は、表-3のとおり分類し、集計した。
 なお、個々の事業者等のPCB廃棄物の保管及び処分の状況は、都道府県等において公表されている。
 また、参考までに都道府県単位の集計結果を参考表(1)~(15)[PDF 69KB]に示す。
 ※PCB特別措置法第8条に基づき平成13年7月15日現在の保管状況について届出されたもの。

●表-3 廃棄物の種類及び製品の種類

[1]高圧トランス [2]高圧コンデンサ [3]低圧トランス [4]低圧コンデンサ
[5]柱上トランス [6]安定器 [7]PCB [8]PCBを含む油
[9]感圧複写紙(ノーカーボン紙) [10]ウエス [11]汚泥 [12]その他の機器等

※高圧とは、受電電圧が交流で600Vを超えるものをいう。

2.平成10年度調査結果との比較

 今回(平成13年7月15日現在の保管状況等)と厚生省(当時)が平成10年度に実施したPCBを含む廃棄物等の保管状況等調査(以下「平成10年度調査」という。)結果(平成12年7月14日発表)との比較を表-4に示す。

●表-4 PCB廃棄物の保管状況及びPCB使用製品の使用状況(台数、重量ベース)
廃棄物(製品)の種類 保管 使用
平成10年度 平成13年度 平成10年度 平成13年度
高圧トランス・コンデンサ 事業所 35,059 高圧トランス
1,583
高圧コンデンサ
35,655
22,035 高圧トランス
339
高圧コンデンサ
6,033
台数 204,427 236,841 60,477 32,191

低圧トランス・コンデンサ

事業所 666 低圧トランス
330
低圧コンデンサ
2,388
低圧トランス
52
低圧コンデンサ
335
台数 386,124 1,176,795 18,126
柱上トランス 事業所 49 111 7
台数 約 138万 1,713,291 約 264万 1,967,000
安定器 事業所 2,084 8,736 2,705
個 数 約 240万 4,170,839 868,256
廃PCB等(PCB
及びPCBを含む油)
事業所 371 PCB 156
PCBを含む油 479
PCB 4
PCBを含む油 8
トン 約12.6万 155,216 0.058
感圧複写紙
(ノーカーボン紙)
事業所 414 347
トン 約635 679
ウエス 事業所 141 401
トン 約117 215
汚泥 事業所 97 106
トン 約 10,500 17,698
その他の機器等 事業所 386 955 123
台数 約 3.3万 199,873 42,067

(備考)
[1] 平成10年度調査結果と今回の調査結果を比較するため、この表では「高圧トランス」及び「高圧コンデンサ」は、「高圧トランス・コンデンサ」として、「低圧トランス」及び「低圧コンデンサ」は、「低圧トランス・コンデンサ」として、また、「PCB」及び「PCBを含む油」は、「廃PCB等」として、それぞれ集計した。
 ただし、今回の調査では、事業所数については、廃棄物の種類ごとに集計しているため、単純に合計することはできないので、保管中の高圧トランス1,583事業所、保管中の高圧コンデンサ35,655事業所のように別々に示している。
[2] ドラム缶等各種容器にまとめて保管している場合など、台数(個数)や重量で計上できないものについては、事業所数のみ計上した。また、PCB、PCBを含む油、感圧複写紙、ウエス及び汚泥については、重量又は体積で計上されたもののうち、体積で計上された分については、1l=1kgとして重量に換算して集計した。
※PCB廃棄物保管事業者における使用状況である。

3.機器別の状況等の考察

 平成10年度調査結果と今回の調査結果を比較すると、保管状況については、高圧トランス・コンデンサ(約3万台増)、低圧トランス・コンデンサ(約79万台増)、安定器(約177万個増)、その他の機器等(約17万台増)が大幅に増加している。これらを含め、機器などの種類別の状況について以下に整理する。
 なお、使用状況については、平成10年度調査結果は(財)電気絶縁物処理協会(平成13年度解散)が整備したPCB使用電気機器登録台帳を基に調査したものであるが、今回の調査結果は、PCB特別措置法に基づくPCB廃棄物を保管する事業所における使用状況の届出である。

(1)高圧トランス・高圧コンデンサ
  • 今回の調査によると、高圧トランスと高圧コンデンサあわせて236,841台保管されており、平成10年度調査結果と比較して32,414台増加した。
  • これは、平成10年度調査結果と比べ使用中の台数が28,286台減少していることから、主に使用中のものが使用を終えて保管されたことにより保管量が増加したものと推測される。
  • 現時点では、PCB特別措置法に基づく平成13年7月15日現在の保管状況に関する届出データから、保管事業者において、236,841台保管、32,191台使用されており、合計269,032台が確認されている。
  • さらに今後、使用中機器(PCBを使用した電気工作物のうち、高圧トランス、高圧コンデンサ、低圧トランス、低圧コンデンサ、計器用変成器、リアクトル、放電コイル)の台数については、電気事業法電気関係報告規則に基づき、本年10月14日までに各経済産業局に報告されることとなっており、PCB廃棄物を保管する事業所以外の事業所を含めた使用中機器台数の全体が把握されることとなる。
  • また、PCB特別措置法に基づく平成13年度末現在の保管状況に関する届出データ(平成14年6月末届出)を現在集計しているところであるが、同法に基づく提出状況の把握を各都道府県において行っている中で、今回の調査以降、保管台数の把握がさらに進んでいる。
(2)低圧トランス・低圧コンデンサ
  • 今回の調査結果によると、低圧トランスと低圧コンデンサあわせて1,176,795台保管されており、平成10年度調査結果と比較して790,671台増加した。
  • これは、主にPCB特別措置法の施行により、これまで認識されなかった低圧トランス・低圧コンデンサの把握が進んだことによるものと推測される。
  • この他、台数で報告されなかったものとして、重量による報告9,485kg、体積による報告105,287l、各種容器で保管されているもの202個がある。
(3)柱上トランス
  • 今回の調査結果によると、柱上トランスは、111事業所において、1,713,291台保管されており、平成10年度調査結果と比較して約33万台増加した。
  • 平成10年度調査時点では、柱上トランスは使用中、保管中を合わせ約402万台とされていたが、今回の調査で約368万台となった。これは、各電力会社において精査した結果、平成10年度の402万台にはPCB入りでないものが含まれていたことが判明したためである。
(4)安定器
  • 今回の調査結果によると、安定器は、8,736事業所において、4,170,839個保管されており、平成10年度調査結果と比較して、6,652事業所、約177万個と大幅に増加した。
  • これは、平成12年に八王子の小学校において蛍光灯のPCB使用安定器が破裂した事件があってから、学校や公共施設を中心に交換が進んだことによるものと考えられる。
  • この他、個数で報告されなかったものとして、重量による報告489トン、体積による報告333,701l、各種容器で保管されているもの583個がある。
(5)廃PCB等(PCB及びPCBを含む油)
  • 今回の調査結果によると、PCB及びPCBを含む油合わせて155,216トン保管されており、平成10年度調査結果と比較して、約2.9万トン増加した(体積で報告された分を重量換算(1l=1kg)した量を含む。)。
  • これは、主に柱上トランス等の絶縁油を抜油して、新たに保管したため増加したものである。
  • この他、重量又は体積で報告されなかったものとして、各種容器で保管されているもの712個がある。
(6)感圧複写紙(ノーカーボン紙)
  • 今回の調査結果によると、感圧複写紙(ノーカーボン紙)は、347事業所において、679トン保管されており、平成10年度調査結果と比較して、約44トン増加した(体積で報告された分を重量換算(1l=1kg)した量を含む。)。
  • この他、重量で報告されなかったものとして、各種容器に保管されているもの279個、10,580枚、1,670冊、14巻がある。
(7)ウエス
  • 今回の調査結果によると、ウエスは、401事業所において、215トン保管されており、平成10年度調査結果と比較して、約98トン増加した(体積で報告された分を重量換算(1l=1kg)した量を含む。)。
  • この他、重量で報告されなかったものとして、各種容器に保管されているもの2,168個、14枚がある。
(8)汚泥
  • 今回の調査結果によると、汚泥は、106事業所において、17,698トン保管されており、平成10年度調査結果と比較して、約7,200トン増加した(容量で報告された分を重量換算(1l=1kg)した量を含む。)。
(9)その他の機器等
  • その他の機器等として、計器用変成器、リアクトル、放電コイル等の保管が報告された。
  • 今回の調査結果によると、その他の機器等は、955事業所において、199,873台保管されており、平成10年度調査結果と比較して、約16.6万台増加した。
  • 大幅に増加した理由としては、各事業者において把握が進んだものと考えられる。

4.今後の方針

 環境省では、PCB廃棄物特別措置法第8条に基づき、PCB廃棄物の保管事業者から都道府県等に届出がなされたポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管及び処分の状況について、一元的な情報管理を行うことで、PCB廃棄物の保管等の情報を確実に把握し、処理を円滑に行うための情報として利用するとともに、保管及び処分の状況を一般に公開する等、積極的な情報公開を行うためのデータベースを作成する。
 また、本日、都道府県等に対し、今般届出された保管等の状況を基にPCB廃棄物が適正に保管され、紛失、行方不明等が生じないよう事業者に対し指導、助言を行うとともに、PCB特別措置法に基づく届出制度の周知徹底を行い、PCB廃棄物の保管等の状況について更なる把握に努めるよう要請した。
 また、PCBが使用された製品の大部分を占める電気機器については、昨年10月に改正された電気事業法電気関係報告規則に基づき、現在使用が続けられているPCB絶縁油が用いられたトランスやコンデンサなどの設置状況について、各経済産業局に報告が義務付けられているところであり、今後、両制度間の連携による一層の把握の充実を図る。

※参考資料 PCBとは [PDF 184KB]

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