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環境省総合環境政策局環境報告書環境報告書ガイドライン改訂検討会

環境報告書ガイドライン改訂検討会 第3回議事録


日時:
平成19年2月1日(木)午後13:30~17:45
会場:
九段センタービル地下1階(LB2) AB会議室
出席委員:
河野正男座長、伊東正行、魚住隆太、上妻義直、國部克彦、後藤敏彦、崎田裕子、佐藤泉、森下研(敬称略、五十音順)
欠席委員:
古田清人、別所恭一(敬称略、五十音順)
事務局:
環境経済課:鎌形課長、中山課長補佐、中坪課長補佐、大久保環境専門調査員、柳田環境専門調査員、澤係員、ニッセイ基礎研究所:川村、小林、鶴田、加治

(川村)
 みなさま、本日はお忙しいところ、「環境報告書ガイドライン改訂委員会」に、ご出席賜りまして誠にありがとうございます。第3回の検討会を開催いたします。議事録作成のため録音をさせていただきますが、ご了承ください。
 古田委員、別所委員が海外出張のためにご欠席です。

(河野座長)
  今日は4時間という長丁場ですが宜しくお願いします。
 資料の確認を事務局からお願いいたします。

(川村)
<以下、配布資料の読み上げ>

 〈参考資料〉論点の対応部分の整理
       伊東委員の意見書(委員限り)、古田委員のコメント(委員限り)

(河野座長)
 それでは議事次第に従い、議事に入りたいと思います。資料2及び資料3について、事務局より説明をお願いいたします。

(中坪課長補佐)
<資料2環境報告書ガイドライン(2007年版中間報告)(素案)のはじめに、序章、第1章の説明>

(川村)
<資料2環境報告書ガイドライン(2007年版中間報告)(素案)の第2章、第3章の説明>

(上妻委員)
 4回のワーキングの中で、環境パフォーマンス指標と社会的取り組み状況に関する討議を行いました。とりわけ社会的取り組み状況については、委員の方々から現行の2003年環境報告書ガイドラインをもっと強化して情報開示を促進させるべきだという意見が殆ど満場一致に近い状態で出されております。その件に関しては、事務局から後ほど説明があると思いますので、参考にして頂きたいと思います。

(河野座長)
 ただいま3章までの説明を受けましたが、第3章5.の社会的取り組み状況については後ほど説明することになっております。議論を前半と後半に分けたいと思います。目次に見られる全体構成、これは3章の5.にも関わるところですが、まずは全体構成についてご意見を頂きたいと思います。そして「はじめに」、「序章」について順にご意見をお聞かせいただいて、その後1章に入るという形で行いたいと思います。

(中坪課長補佐)
 欠席の古田委員から意見を頂いておりますので、簡単に説明したいと思います。

(川村)
 委員の方には資料を配布していますが、古田委員には海外の出張先からメールで意見を頂くという大変誠実な対応をして頂きました。その意見を代理で読み上げますが、大きく2つございます。〔読み上げ〕
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〇全体を通じて、本ガイドラインの位置付けが気になります。
 理由としては、39頁(BI-2-2)等にバウンダリーの考え方など示されていますが、本来、環境報告書は、サイト単位でもよいわけで(中小企業など、まだ発行していない企業はこの方が取り組みやすい)、必ずしも連結についてこだわらなくてもよいのではと考えます。すなわち、前回の改訂の際にも気になったのですが、本ガイドラインの読み手がどこにあるのかということです。

 よって、今の状況のまま、まとめるのであれば、そもそも、報告書には大きく2つの種類があって、サイト単位のもの、企業全体を示すもの、それぞれ目的と選択したステークホルダーによって考えるということが必要である、などのコメントをしておいたほうがよいのではと思います。

〇2点目としては、21頁の拡大するバウンダリーの説明の図です。
 前回もコメントさせていただきましたが、この図は最終製品を作っている企業向けの図で、多くの企業はこの図に該当しないと思います。
 どうしても、この図を使うのであれば、「最終製品を製造する場合の企業の例」などのコメントをつけたほうがよいと思います。そうでないと、報告書は最終製品を製造するような企業にとって必要なもので、その他の企業には必要なものではないとのミスリードになりかねません。
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(河野座長)
 古田委員のコメントも考慮に入れて皆さんのご意見を頂きたいと思います。
 最初に全体構成につきましてご意見をいただければと思います。

【「社会的取組の状況」の取り扱いについて】

(國部委員)
 構成の前に、この前ワーキングに参加させて頂いたのですが、ガイドラインのタイトルをどうするとか副題をどうするかという議論がありましたよね。その点は事務局の方でその後検討されたのか、どうなっているのかをお聞きしたいのですが。

(中坪課長補佐)
 その点につきましては、「社会的取組の状況」と非常に関係してくるところでございます。皆様のお手元にある副題「持続可能な社会を目指して」というのが環境省としての目指す方向性でございます。
 お手元のガイドライン素案の88頁に3章5.「社会的取組の状況」を表す情報・指標(案)となっていますが、これについて説明させて頂きます。「社会的取組の状況」につきましては、環境パフォーマンス指標ガイドラインワーキンググループで見直しをして頂きました。そのワーキンググループに國部委員、佐藤委員も参加して頂きました。素案では第3章までしかございませんので、第4章は「今後の課題」ということで目次を立てていますけれども、ワーキンググループでは、このSPIを新たに第4章として章立てにする、よって課題については第5章とするという提案が出されました。それと同時にガイドラインの副題に「サステナビリティレポート」またはそれと同様の名称を付加することが提案されました。これについて省内で検討した結果、「社会的取組の状況」については従来通り記載項目の一つとして取り扱う方針としております。
 昨今CSR報告書や社会・環境報告書というものが増えてきておりまして、社会的項目についてのガイドラインが求められているという状況は理解しております。ただ環境省としましては、事業者には環境に関する情報を適切に開示して頂きたい、この点を中心に考えております。このため環境報告書ガイドラインは企業の環境情報の開示に関する典型的な形を示したものとしました。今回の改訂においては、環境問題は社会的な状況との関連が深いことから、社会的項目についても記載が望ましいと考えられる情報・指標を列挙することにしております。ワーキンググループでは佐藤委員にご尽力頂き、昨今の法改正等を踏まえて見直して頂きました。今後の対応としまして、社会性の情報や指標については他省庁やGRIでも検討されておりますが、研究の途上であるものと考えられるため、今後これらの成果を反映していくことを考えております。CSRレポートや社会・環境報告書が増えているという実態から考えると、今後は「環境報告ガイドライン」等の名称が適切となるかもしれません。
 企業は社会的な情報について開示していく方向にあり、これらの方向は望ましいものですので今後も推奨していきたいと考えております。それと同時に環境情報についてはガイドラインを活用して、適切な情報を開示して頂くことを期待しております。これらの方針で今回の素案は現行の2003年度版ガイドラインを踏襲した形で、なおかつ項目については若干修正をしたものを掲載し、さらに追加的な例示について検討した結果を追記していくという状況にしております。
 お手元の88頁の資料でございますけれども、2003年度版からの変更点、これについて簡単にご説明させて頂きます。まず2003年度版に無かったものですけれども、いま検討しているガイドラインでは、記載することが望ましい情報・指標としまして、88頁(1)社会的取組への基本方針、これについては「記載することが望ましい」という表現を致しております。その下の「○労働安全衛生に関する情報・指標」でございますけれども、これは2003年度版では「ア.労働安全衛生に係る情報」となっておりました。それからお手元の資料の「○雇用に関する情報・指標」、89頁「○人権に関する情報・指標」これは、2003年度版では「イ.人権及び雇用に係る情報」となっておりました。それから「○人権に関する情報・指標」の下に「○地域社会に対する貢献に関する情報・指標」というのが項目に載っています。これは2003年度版におきましては「ウ.地域の文化の尊重及び保護等に係る情報」というものになっておりました。その下の「○企業倫理及び公正取引に関する情報・指標」これは、2003年度版では「 カ.政治及び倫理に係る情報」という括りになっておりました。その下の「○個人情報保護等に関する情報・指標」は、2003年度版では「キ.個人情報保護に係る情報」となっておりました。次の90頁「○広範な消費者保護及び製品安全に関する情報・指標」は、2003年度版では「オ.広範な消費者保護及び製品安全に係る情報」となっておりました。その次「○その他の社会的項目に関する情報・指標」につきましては新規の項目となっておりますけれども、2003年度版には「エ.環境関連以外の情報開示及び社会的コミュニケーションの状況」というものがありましたが、これを削除しましてその他というものに比較的柔軟性を持たせるということで、新規の項目としております。

【全体構成について】

(崎田委員)
 前回欠席させて頂いたので、今回しっかりと読ませて頂きました。ここまでしっかりとまとめて頂きましてありがとうございます。
 まず、今ご説明があった持続可能な社会を目指すという新しい社会の変化の中で、ここは環境情報を明確に配信することを目指すということなのでタイトルは変えないというお話がありました。確かに、いま地域社会で環境基本計画の地域版などを作っているのですが、持続可能な社会という視点をきちんと持とうとすればするほど、環境に特化した部分が少し薄まっていくようなきらいもあります。そういう意味では持続可能な社会を目指すのだということを明示した上で、ある程度の環境報告書というような言い方にするというのはそれなりの理由があるのかなと感じました。ただ、それでしたら、例えば「持続可能な社会を目指して」という副題のポイントをもっと上げるとか、見た目のインパクトで申し訳ないのですが、そのくらいの感じでやって頂くとよろしいなという風に思います。
 それから今回大変に社会的項目を増やしたということで、『「社会的取組の状況」を表す情報・指標』についてご説明頂いたのですが、今後中小事業者の方が取り組んでいくことを期待していることを考えれば、地域での取組とか、そういう情報をもう少し増やしていった方が事業者の信頼感が地域の中で広まってくるようなプロセスが見えてくるのではないかなという感じが致しました。そういう点でもう一点、目次のところで申し上げたいのですけれども、これからどんどん中小事業者さんに或いは地域に広げていって環境負荷を減らすという社会の重要課題を考えると、求めている指標が非常に明確になってきたので、一見入り口としてハードルが高いような印象になりがちだという感じが致します。そういうことを考えると、第1章5.は「環境報告書の作成及び活用に当たっての留意点」ということで、作成と活用が同じ項目になっているのですが、例えば出来たものをどう活用して事業活動の信頼性確保に活かすのかですとか、そういうことが事業者の皆さんにとって非常に重要だし、そういうことが見えてきた方がより取り組んで頂けるのではないかなと思いますので、この項目を作成と活用とに分けて目立つように入れるとかも考えました。
 目次のところでもう一点。2.のMP-9「生物多様性の保全」というのがこの項目に新しく入っています。いま生物多様性国家戦略などがあって、この分野が大変重要だということはよくわかっているのですけれども、ここはいろいろな項目があって、具体的な項目としては「生物多様性」という言葉だけがここにきているのですね。例えばその次の「事業活動に伴う環境負荷」の方では地球温暖化対策のエネルギーの話とか循環型社会づくりとか水とか、そういう個別の指標がこちらに入っているので、見たときに生物多様性の情報がこちらに入っていた方が合うのではないかという印象があるのですれども。その辺りは皆さんどういう風にお考えでしょうか。

(河野座長)
 MPIでなくてOPIの方ではないかということですね。

(後藤委員)
 名前の問題を頭からやると、社会性のところを全然議論していないのに不毛の議論になると思いますので、名前の議論は最後にして頂ければと思います。
 それから今の生物多様性をMPIからOPIにというのは、私は大反対で、当然MPIに入るべきものだと思っております。

(佐藤委員)
 ワーキンググループでも申し上げたのですけれども、社会性の項目がこのままの状態では良くないと考えています。環境の項目は必須項目だけれども社会性だけは任意項目であると、しかも任意項目の中のアイウエオ~が抜けてしまったのです。アイウエオ~がないということは対照表が作れないということで、環境報告書を作る人がこのガイドラインを使わなくなるということにつながるのではないかと思います。少なくとも○はやめてアイウエオ~にして頂きたいと思います。
 もう一つ、構成として、対照表を付けてくれというところが5頁にあるのですが、これが埋もれていまして、GRIの対照表は使われていますけれども、この環境報告書ガイドラインの対照表はあまり使われていないのです。ですから環境報告書にこのガイドラインが全く使われていないという印象があるのです。私の意見としては、このガイドラインの対照表を作るというところを、こういうところではなくて基本的項目にしっかり書いて頂いて、必ず対照表をつけることにすべきだと思います。そしてそれがどんなに読者にとって読みやすくて、信頼性の構築になるかということを書いて頂きたい。そして対照表の中に社会的項目がしっかり入るように、社会的項目についてはアイウエオを振って、それも入れるということでないと、今回この検討会をやっている意味が無いのではないかと思います。

(河野座長)
 本ガイドラインとの対照表は大事だということですけれども、いかがでしょうか。

(森下委員)
 佐藤委員が仰る方向でいければと思います。

(國部委員)
 今のままだと、SPIには「記載する情報」というところがないので、違和感がありますよね。

(後藤委員)
 GRIガイドラインは2002年度版と2006年度版ではものすごく使い方が違います。2002年度版を参考にするのと、2006年度版を参考にするのは全然意味が違って、それでやるとなると非常に問題があります。それは社会性のところで話をしますので、今の目次という観点で対照表が必要だとか、項目が必要だとかいう意見で、社会性のところはもっとそれで賛成の意見と、それはそれで反対の人もいるかもしれませんが、私としては社会性のところで別途、話をしたいと思います。

(佐藤委員)
 目次のところでもう一つ気になったのが「循環的利用」というところで、これはインプット、アウトプットの内部における循環ですよね。何も知らないと、これはリユースかなとも見えるのではないかと思います。

(河野座長)
 内部循環は図の中に入っているのですか。

(佐藤委員)
 OP-4です。リユース・リデュース・リサイクルはOP-9に入るのですよね。循環的利用というOP-4を見るとちょっと抽象的かなと。

(河野座長)
 この中身は問題ないと思いますから、後ほど第3章3.にきたときに名称をどうするかということで検討したいと思います。
 社会的取組は後ほど議論した方がいいと思いますが、大筋全体構成については、こういう方向で進めるということにさせて頂きたいと思います。次に「はじめに」というところはいかがですか。

【「はじめに」(本ガイドラインの対象者)について】

(森下委員)
 古田委員からもご指摘があるように、「はじめに」のところでガイドラインの対象者について言うべきだと思います。今は「序章」に入ってはいますが、その書き方は現行ガイドラインを比較的踏襲しているので、いかようにもとれる対象の書き方になっています。現行ガイドライン以降エコアクション21もできて、約1300社が環境活動レポートを作っているわけですので、それと環境配慮促進法による特定事業者とこのガイドラインの関係を「はじめに」のところで明確に書く必要があります。
 このガイドラインが誰を対象にしているのかというと、基本的に上場企業と従業員500人以上の企業がこれに従って書いてくださいという風にして、中小企業とかサイトレポートをこのガイドラインに従って作ることを想定しなくてもいいのではないかという風に思うのですけれども、いかがでしょうか。

(上妻委員) 
 中小企業の場合には、例えばエコアクション21は中に記載する項目について言及がありますけれども、基本は環境報告書ガイドラインを参照するというスタンスではなかったでしょうか。

(後藤委員)
 それは違います。私はエコアクション21にも関わっていますけれども、1300社もでてくるといろいろ中小企業用の良い報告書を当然みなさん努力するわけで、それに対するガイドラインはエコアクション21の事務局で作ればいいのではないかという話になっています。

(上妻委員)
 今後そういう方向で行くということですか。

(後藤委員)
 私はそういう提案をしていて、その中でやろうとしています。大企業で作るものを中小企業が参考にするというのは、言葉は美しいけれどもそんなものは無理なのです。中小企業は中小企業用でエコアクション21の必須項目にプラスした良いもののガイドラインを作ればいいと思っています。現実に1300社がすでに発行しているわけですから、架空のものではないのです。

(上妻委員) 
 エコアクション21の方が切り離してくれと仰るのであれば、それでもいいとは思います。

(後藤委員)
 EPIガイドラインを参考にするということがエコアクションの中にもあるということです。そういう意味ではEPIの部分は参考にするということです。EPIは参考にするということで、ここのOPIとかMPIの部分はかなり参考にすることになる。それはそのままエコアクション21の方で対応すればいいわけで、このガイドラインは森下委員が言ったように、500人以上の大組織が対象ですという位置づけでいいのではないでしょうか。それ以外の事業者がこれを参考にするのかというのは別で、例えばサイトレポートでも一部参考にするかもしれないけれど、それは本ガイドラインを対象にしたということになると、サイトレポートはやはり意味合いが違ってきて、項目をまた分けなくてはいけないことになる。

(上妻委員)
 サイトレポートは私も論外だと思うのですけれども、中小企業に関していうと、500人以上としたとき、例えば498人のところはどうするのか、こちらを参考にしてこちらを準拠して作ってはいけないのかということになってしまいますから、それを排除するのはどうかと思います。

(森下委員)
 排除するのではなくて、「このガイドラインは、上場企業と従業員500人程度以上の大規模事業者を主たる対象としています」と、『序章』(4頁)に対象者をはっきりと明記する。そして、例えば「中小企業にあっては、このガイドラインを参考に、可能なところから可能な範囲で段階的に取り組むことが望まれます。」というところを取ってしまって、『はじめに』で環境報告書の作成を始めた事業者も含めて、6000社の中の1000社しか作っていないのだから、残りの5000社を対象に考えているのだと言ってもいいと思うのですけれども。

(國部委員)
 私も国立大学で特定事業者になるのですけれども、8頁の図表【既存のガイドライン等との関係】で全体の説明をしていますと書いてあるのですが、この図表が何を意味しているのかがよくわからないのです。例えば「大企業等は、環境配慮促進法と環境報告書の記載事項の手引きを」とありますので、『はじめに』からは外れてしまうのですけれども、中小企業、環境報告書の記載事項等の手引き、そして本ガイドラインの3つの位置づけはここで議論するより、環境省が基本政策で決めてその枠組みでどうするのかを考えて欲しいと言ってもらう方が生産的ではないでしょうか。
 私の個人的感覚としては、環境報告書ガイドラインに入っているものは他のものにも全部入っているので、そういう情報の包含関係と、どういう組織を対象にしているかは切り分けをされたらいいのではないかと思います。

(河野座長)
 このガイドラインは、環境省のスタンスとしては大企業向けということでしょうか。

(中山課長補佐)
 現段階で中小企業用ガイドラインがあれば書いていいのですが、まだ出ていません。このガイドラインは基本的に大企業などが参考に出来るかなり詳しいものとして書いてあるということは、注釈として入れて、その上で現段階では中小企業は使えるところは使ってくださいということだと思います。その辺りはどういう書き方をすると手がつけやすいかということで、全体として対象者の考え方はこうなっていて、こういう人はこういうような使い方をしてくださいということをもう少し書き込むと、皆さんのご懸念にはお応えできるのかなと思います。

(森下委員)
 エコアクション21の場合には、その中に「環境経営システムガイドライン」と「環境活動レポートガイドライン」の2つが入っており、すでに環境活動レポートガイドラインというものがあるわけです。

(後藤委員)
 環境活動レポートガイドラインがある上に、環境省のエコアクション21指導者研修の時に十数頁の解説書も作ったので、エコアクション21には独自のものがあるのです。それをもっとしっかりやり直そうと事務局で議論をしていまして、エコアクション21の中小企業用のものはいずれ出来ると思います。組織的に動いている事業者が80万社ある中で、このガイドラインに沿って主としてやりましょうというのは6000社くらいのことで、メインのターゲットはそこなのです。残りの80万弱の事業者はそれを準用するなり、もっと小さければどうするか、という切り分けになるのだと思います。

(鎌形課長)
 「中小企業者にあっては、このガイドラインを参考に、可能なところから」と、基本的には4頁に書いてありますが、ここはある意味でいかようにも取れるので、この辺りをしっかり位置付けることになると思います。もちろんエコアクションは一つのガイドライン的なものでやっていくということが厳然としてあると思います。このガイドラインは環境報告をする時の、概ねフルスペックでやるときには大企業はこれくらいやってくださいよという相場を示しているものであって、中小企業はそれを全く無視していいわけではないけれども、全部やるのは大変だからある程度ピックアップして、矛盾しない範囲でもう少し簡単なものでやるという整理です。そういう意味では、しっかり参考にできるところから、というところも入ってくると思います。
 要するに、中小企業者は確実にこれを見ながらやらなければいけないということはないけれども、これを全く無視してやるのではなく、ある程度念頭に置きながら、中小企業がやれるのはこの辺りではないかということを参考にしながら作っていくという整理ができないかなと思いますが、いかがでしょうか。

(河野座長)
 鎌形課長が今言われたことは、最初のガイドラインを作るときからずっとあったのです。500人以上の大企業を主として対象にする、しかし中小企業については最初から全面的に適応するのは難しいので柔軟対応ということが言われていたのではないかと思います。「このガイドラインの主たる対象者は誰か」をはっきりと書いて頂いて、中小企業も対応できるところは対応していくということにいたしましょう。

(國部委員)
 特定事業者の位置付けはどうなのでしょうか。6頁のところを呼んでもさっぱり分かりませんでした。これは参考にするべきなのでしょうか。

(後藤委員)
 8頁の図表にある「環境報告書の記載事項の手引き」は特定事業者用です。この「手引き」が大企業等の中に書いてあるので、図の中では見えないのです。そこを明確に見えるようにすればいいと思います。

(國部委員)
 でも環境配慮法は特定事業者だけを対象としているのではなくて、大企業には努力義務と書いているわけですから。

(河野座長)
 それから「手引き」には特定事業者も環境報告書ガイドラインに続くような、そういう方向のことも書いてあったと思います。この図にもう少し説明を加えればいいと思います。

(國部委員)
 ガイドライン改訂のポイントとして、2頁の上に[1]から[6]まであるのですが、[6]の「環境経営のPDCAの促進」はこのガイドラインのどこで議論されているのでしょうか。他は大体わかるような気がするのですけれども。

(中坪課長補佐)
 これは当初PDCAが非常に重要だということで入っており、そのまま残ってしまったというのが正直なところです。

(後藤委員)
 削除するか、あるいは逆に、MP-1の「環境マネジメントの状況」の中で強化するかのどちらかですね。

(國部委員)
 51頁のMP-1-2「環境マネジメントシステムの状況」そのものがPDCAではないですか。

(後藤委員)
 つまり、MP-1-1とかMP-1-2で強化をするということになる。

(森下委員)
 ここで言う環境経営とはそういう意味ではなくて、「環境報告書の作成及び活用に当たっての留意点」とか「信頼性の確保」の中で環境報告書の機能としてプレッジ・アンド・レビューを言っているのではないですか。環境報告書を外に出すことによってその評価を受け、それがまた会社にフィードバックされるという観点で環境経営のPDCAだと思います。マネジメントシステムというのは環境報告書ガイドラインの中で詳細にいう話ではないと思いますので、活用のところか信頼性のところには逆にそういうものをもっとしっかり入れて、環境報告書を作って公表するということについてのPDCAが出てこないといけないのではないかと思います。

(鎌形課長)
 その部分については、充実するような書き方ができるのかどうか、どういう書き方ができるのかをまず検討して入れてみたいと重います。『はじめに』は前回のガイドラインと比較して、特別に変わった点をご紹介して、ここが今回重点どころですよ、とメッセージを発する部分ですので、書いてみたものがいま挙げた指標の一覧とか信頼性向上の方策とかと同じくらい変わったことがはっきりと見えるようになれば入れるし、そうでなければ削除するという整理を行いたいと思います。

(森下委員)
2頁の[1]~[6]の中で、[3]は「環境報告書の作成」で終わっているのですが、作成の何ですか。他は推奨とか導入などとあるので、ステークホルダー重視の環境報告書の作成の推奨とか、そういう意味ではないのかなと思いますが。それから、[4]「金融のグリーン化の導入」は、誰がみても意味が分からないと思うので、もう少し具体的に書いた方がいいのではないかと思います。
 タイトルとも絡むのですけれども、さきほどの8頁の図を見ると、今回のタイトルも含めて表書きから「環境パフォーマンス指標」という言葉が消えてしまっているのです。そうすると、なぜ環境報告書ガイドラインが環境パフォーマンスの把握・評価までカバーしているのだということにもなると思います。副題の「持続可能な社会を目指して」は、それはいいのですが、パフォーマンス指標にもタイトルの中で言及する必要があると思います。『序章』の中では環境パフォーマンス指標の位置付けも、その意味付けも全く触れられていません。そこを触れないと、なぜこのガイドラインの中に環境パフォーマンス指標が入ってきているのかが見ないので、そこを考慮する必要があると思います。

(上妻委員)
 ガイドラインの内容の説明として、「序章」のところに、従来の環境パフォーマンス指標ガイドラインを組み込んでいることのわかる項目立てをすればいいのではないかと思います。

(森下委員)
 環境パフォーマンス指標というのは何なのかということについての説明が必要だと思います。

(魚住委員)
 それは、従来の事業者の環境パフォーマンス指標との関係ですか。または事業者の環境パフォーマンス指標に向けてですか。

(上妻委員) 
 いずれにしても、項目立てしたほうがいい。

(森下委員)
 私も項目立てした方がいいと思います。

(後藤委員)
 細かいことですが、4頁のエコアクションの注で一番下の行に「事務局が取組事業者名を公表する」とあるのですが、事業者名だけではなくて環境活動レポートも公表していますよね。だから「事業者名及び環境活動レポートを公表する」ということだと思います。

(上妻委員)
 前回のガイドライン改定の時から気になっているのですが、このガイドラインは一体誰のためなのものなのでしょう。『序章』の「2.ガイドラインの対象」というところに、ガイドラインという指標を使う人は誰なのかというのと、環境報告書ガイドラインを使う人は誰なのかという2種類の意味があると思います。環境報告書を作るためのガイドライン・指針という意味では事業者がこれを使うのですけれども、環境報告書を見るステークホルダーの立場としてはガイドラインを使って読むのです。例えば3頁『序章』の下から2段落目にステークホルダーの位置付けが書いてあります。記載する情報・指標が出ている、それから具体的な例示だとか留意点の解説が出ている、だからステークホルダーも使っていいのだと書いてあります。
 ところが13頁の「環境報告書の基本的機能」というところでは内部機能と外部機能に分けていて、外部機能とはコミュニケーションのことです。これは会計基準と全く同じなのです。会計基準は財務情報の報告体のためだけにあるわけではなくて、すべてのステークホルダーのためにあるのです。監査人のためにもあるのです。そういう位置付けであるべきだと思うのですが、ここでは著しく事業者に偏った構成になっていて、ステークホルダーが使いたければ使っていいよ、使う能力があるのなら使っていいよ、という扱いになっているような気がするのです。ですから、基本的機能のところで言っていることと、序章で書いてあることが著しく矛盾しているような気がします。その辺りはどうお考えになっているのか、事務局に伺いたいのですが。

(鎌形課長)
 基本的にはステークホルダーに使って頂きたいと書いてある通りです。

(上妻委員)
 事業者と同等のウエイトでこれを使うだろうということを想定されているということですか。たぶん逆だと思うのです。ステークホルダーも使うからこういう解説もしてありますというのなら分かるのですが、解説もあるからステークホルダーも使えますよというのでは全然意味が違うと思うのです。事業者なら分かるけれどもステークホルダーがこれを読んでも分からないので環境報告書を見ても分からないところがたくさんあると思います。もし事業者だけが主たる対象であるのだったら、それは「基本的機能」のところにそう書くべきなので、その辺りのところはきちんと整理をして頂いた方がいいような気がします。

(鎌形課長)
 基本スタンスは大企業を念頭に置きながら、環境情報の開示をするのであれば、それくらいのことをやってくださいという相場観をガイドラインに打ち出しているということです。相場観というのは何かというと、作る側はそう思ってください、見る側もそういう相場なので見てくださいという両方の機能があるのだと思います。ステークホルダーが使う上で不便なところがあれば、もう少し直した方がいいということでしょうか。

(上妻委員)
 今からいろいろなものを見直して、どの辺りまで直せば足りるのかというのは、いろいろな意見があると思います。これまでガイドラインが作られてきたプロセスでは、このスタンスが全然変わっていないのです。今回ステークホルダー重視の視点というのが基本方針で打ち出されているのにもかかわらず、ここのところで「ステークホルダーも使っていい」というのが少し弱すぎるのではないかと思います。事業者だけではなくてステークホルダーも利用者であるという位置付けを明確にしていただいた方がいいと思うのですが。

(森下委員)
 2003年度版のガイドラインを作った後で、環境報告書の読み方ガイドラインというか手引きのようなものを作ろうという議論もありました。目次とかは作ったことがあるのですけれども、結局そのままになってしまったことがありました。2003年度版を作った当初はガイドラインを使ってどういう風に環境報告書を読んだり分析したりしたらいいのかというものを別途作ろうとしていたのです。その当時まではそういう切り分けをしていたというか、今後そういうものが必要になってくるという議論はしていたのです。

(河野座長)
 環境報告書を利用する一般の読者も分かるように書くのと、作成のためというのは一致しないだろうという気はしますので、森下委員のような説明になったのではないかと思います。上妻委員からもありましたが、今回はステークホルダーを重視するということであれば、「読者も」ではなく、「読者を」重視するというスタンスですね。

(上妻委員)
 この段階でそれを変えようとすると中身をみんな変えていかなければいけなくなってしまうので、そんなことはできないのですが、一旦書かれたものはよほど不都合が無い限りずっと踏襲されていくので、申し上げているのです。そういうものについて、きちんと記述する時期に来ているのだろうと思うのです。
 ちなみに会計基準の場合には、会計基準を理解できる人が読者の資質として求められているのです。こういう環境報告書とかCSR報告書の読者は誰だろうかということを考えた時に、殆ど知識のない人たちを対象にしていることも在り得るので、本当はそういうことを念頭に置いておかなければいけないのですけれども、一度にそこまでいくことはできませんから、ガイドラインが改定される度に、少しでもそちらに近づけるようにということをガイドライン自身が自覚をして頂くことが重要なのではないかと思います。

(魚住委員)
 私の考え方は古典的なのかもしれませんが、環境報告書ガイドラインはそもそも環境報告書作成のガイドラインという認識を持っています。そうであれば事業者をまず一番のターゲットにして、作成する時にステークホルダーの視点をより重視した環境報告書を作成する。だから、そこに記載する項目は、作成する事業者がステークホルダーの視点を重視するものであって、ガイドラインそのものがそんなにステークホルダーを意識しなくても、事業者を通してステークホルダーに訴えることでいいのではないかと思います。もちろんステークホルダーがガイドラインを勉強されるというのはいいと思いますが、直接的にステークホルダーを意識したガイドラインでなくていいのではないかと思います。

(上妻委員)
 それは先ほど申し上げたように、ガイドラインという指針を使う人が誰なのかというのと、環境報告書を使う人が誰なのかというのが違うのではということを申し上げたのです。

(河野座長)
 上妻委員から、最低限この辺りは直した方がいいのではないかということをご提案頂いて、それを盛り込むというようなことでいかがでしょうか。

(崎田委員)
 先ほど私が、環境報告書の作成と活用と同じように書いてあるのを分けた方がいいのではないかと申し上げたのは、今の議論とも少し近いかなという風に思いながら伺っていました。作成に関しては、事業者の発表、どうやって伝えていくかという側の視点ですけれども、今課題となっているのは、できたものをもっと上手く活用してきちんと企業の情報を発信する、或いは信頼性を高めてコミュニケーションにどう有機的に使うかということだと思います。その辺りを多くの方に納得して頂くには、ステークホルダーの視点、或いはどういう風にその後のコミュニケーションまでつなげていくのかという活用の仕方が、この中にきちんと書いてあることは重要だと思っています。

(森下委員)
 基本的に同感です。現行ガイドラインのどこかを直すというよりは、一つ項目なり章を作って、きちんと記述した方がいいのではないですか。そんなに長くは書けないと思いますけれども、それが一番分かりやすいのではないかと思います。

(後藤委員)
 項目としてそのことを書くというのは同感です。コミュニケーションで言うと、7頁のISO14063、環境コミュニケーション規格が6月くらいにJISで出ます。実際のコミュニケーションはガイドラインとしてはISO14063があるわけで、それと重なるようなところまで書いても仕方ないので、今のお話のように、活用という観点の一項が立っていて、そこでISO14063もあるというような記述でつなげて簡略に書いたらいいのではないかと思います。

(河野座長)
 項目で立てて両者の観点をということですね。

(後藤委員)
 利害関係者をステークホルダーに直すのは賛成ですが、7頁のISO14063の定義ではJIS規格で利害関係者と定義されますので、ここだけは利害関係者で残していかないと、JISの定義と違うものを書く形になってしまいます。もし注でステークホルダーを括弧書きで入れるのであればいいと思うのですが。ただISOでは会議中はステークホルダーと言っているのですが、文章にするとみんなinterested partiesなのです。ですから括弧してステークホルダーと入れるのもおかしいので、ここだけは利害関係者にしておいた方がいいと思います。

(森下委員)
 それに関して、ステークホルダーという言葉の定義や説明が「序章」のところでは無いのですが、ステークホルダーという言葉は一般的だということで使われていらっしゃるのでしょうか。

(河野座長)
これはどこかで定義されていますか。

(中山課長補佐)
 用語解説はまだ付けていませんけれども、その中には最初のところで一般の説明が要るのかもしれないです。

(鎌形課長)
 用語解説で足りるのか、或いは重要な概念なので項立てが必要なのか、ご意見頂きたいのですが。

(國部委員)
 ステークホルダーの定義の仕方が、報告書の方向性、どれくらいの幅を取るのかを決めます。そこを幅広く取って書くのか、interested partiesに近いものにするのか。

(上妻委員) 
 直接的ではなくて間接的なところまで含むのかとか。

(後藤委員)
 ステークホルダーは定義しないで、用語解説で解説することにしたらどうか。定義すると、まとまらないでしょうから。

(上妻委員) 
 オーソドックスな定義はあるのですけれども、それをどこかに書いておくというのも一つの手だとは思いますが。

(河野座長)
 25頁にそれなりには書いてあるということで、今のご質問には一応答えたということにしましよう。
 ここで10分休憩します

【第1章「1.環境報告書の定義」から3「.環境報告書の一般的報告原則」について】

(河野座長)
 それでは第1章以降についてのご意見を承りたいと思います。第1章「1.環境報告書の定義」から「3.環境報告書の一般的報告原則」まで、20分くらいでご議論頂ければと思います。

(後藤委員)
 少しだけ戻って、9頁の参考資料に行くところですが、「上記以外のCSRに関する研究・事例等」の中に一つ探して入れて欲しいものがあります。経済産業省が確か平成17年8月に無形資産かCSRについての中間報告を出していると思いますが。

(上妻委員)
 両方出しています。

(後藤委員)
 両方ですか。それがCSRについてよくまとまったデータなので、まだ経産省のWebに載っているのであれば載せて欲しいと思います。

(上妻委員)
 無形資産はガイドラインになっていて、CSRの方は伊藤邦雄さんが座長で中間報告を出しています。

(後藤委員)
 いずれにしても参考データですから、載せておいて欲しいということです。

(川村)
 では無形資産のガイドラインと中間報告のCSR懇談会の2つということですね。

(魚住委員)
 公認会計士協会もCSR情報(「企業価値向上に関するKPIを中心としたCSR非財務情報項目に関する提言」)を昨年出しましたので、内容を見てもらって参考にしてください。

(河野座長)
 では、他にもありましたら事務局の方へ連絡するということでお願いします。

【検証可能性について】

(上妻委員) 
 17頁をご覧頂きたい。[2]信頼性のところですが、私と國部委員で提案させて頂いた時に、ここに信頼性の構成要件として検証可能性が入れてあったのですけれども、現行ガイドラインと同じように検証可能性が単独の項目で残されています。実は2003年度版を作るときに2002年度版GRIガイドラインを参考にして、オーディタビリティというのを検証可能性に入れたのです。それはオーディタビリティというのがGRIにあったから。ところがGRIガイドライン2002年度版からG3に代わるときにオーディタビリティは削除されて信頼性の中に組み込まれてしまったのです。というのは財務報告基準でもそうなのですが、概念フレームワークの中でも信頼性の構成要件の中に中立性だとか検証可能性というのは必ず入っているのです。しかも[5]の検証可能性を拝見しても、どう見ても信頼性の構成要件だと書いてあるのになぜ単独になっているのかがちょっとわからないのですが。

(鎌形課長)
 検証可能性に関しては信頼性の項目の中でしっかり記述があるべきだということは考えました。そこは整理の段階でまたもとに戻ったのですけれども、これはしっかりと信頼性のところに入れるということでよろしいでしょうか。

(上妻委員) 
 それなら全然問題ないです。

(鎌形課長)
 実はその前の段階でかなり表現がアバウトになっていたところがあったので、これはしっかり書くべきだとは申し上げていたのです。

(上妻委員)
 前にも少しお話したことがあるかもしれませんけれど、財務報告基準の概念フレームワークが世界的に改訂中で、この中でもここが非常に議論になっているところなのです。だからあまり何かを限定的に書いてしまわない方がいいのではないかとも思ったのです。いずれにしても検証可能性は信頼性の構成要件としては必ず出てきますので、もしそういうご懸念があるのだったら、例えば黒ポツで中立性だとかそういうことがはっきりと分かるように書かれるというのも一つの方法だし、このパラグラフを全部取って別に特記しないというのも一つの方法だと思います。そういうものにはあまりこだわりはないのですが、場所としてここに入れていただく方が適切です。

(鎌形課長)
 場所として独立させるべきだというこだわりがあるわけではなく、中身がしっかり書かれていればということですね。

(上妻委員)
 それならそれで結構です。

【コミットメントについて】

(森下委員)
 一つはまず12頁で、これは2003年度版ガイドラインを作るときも議論になったのですが、1.の環境報告書の定義の四角部分の中の最後のところで「これを広く社会に対して公表・報告するものをいいます」という定義になっていますけれども、ここで「公表・報告し、誓約するものをいいます」という言葉を入れるかどうかで2003年度版の時には大激論がありました。結果的には削られて、ただし解説の中で誓約的な文言が含まれていることが望まれますという妥協というか決着をしたということですけれども。私の意見としては、それから環境報告書は進化しておりますので、この定義の中に誓約という言葉を今回入れてもいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

(河野座長)
 誓約というかコミットメントは、後で基本的項目の最初に出てきていますが。

(森下委員)
 機能のところでもプレッジ・アンド・レビューということも入れていますので。

(上妻委員) 
 文中にはたくさん書かれていますよね。だけど誓約がコミットメントに戻されたことも含めて、あまり誓約という言葉を使いたくないという気がするのですけれども。例えば、実際の報告書のコミットメントの部分に確かにサインは入っていますけれど、一体あれは誰が書いているのか。本当に守られているのかどうかというのは項目を見ればわかるので、四角で囲んだところに、より制約の強い話を入れてしまうとかえって自分で自分の首を絞めてしまって良くないのではないかと思います。皆さんが書いた方がいいと仰るのだったらいいのですが。

(森下委員)
 言葉としては誓約でなくてコミットメントでも構わないのですけれども。

(河野座長)
 29頁などはコミットを明確に打ち出してあるので入っていてもおかしくない感じがしますが、実務上はどうでしょうね。

(上妻委員) 
 魚住委員に伺いたいのですが、このガイドラインが保証を付与する時の判断基準に該当するとすれば、報告書に「誓約する」という文言があった時に、それについてのチェックは事実上できませんよね。

(魚住委員)
 トップインタビューをします。

(上妻委員) 
 そうすると、例えばある法定事項で出てくるような社会性の指標について、我々はCSRに配慮しますと言っておきながら、そういうものがデータとして出てこなかった時に、それは保証を付与する時の何らかの障害の原因になりますか。

(魚住委員)
 それはデータに重要性があるかどうかの判断で決まってきますね。

(上妻委員) 
 重要性があるとすれば、どうですか。

(魚住委員)
 重要性があるとすれば、駄目ですね。

(上妻委員) 
 そうですよね。

(後藤委員)
 「誓約」より後で使う「コミットメント」という言葉で統一して入れたらいいと思います。というのは昨年秋にやった環境gooの環境報告書の読者調査でも、傾向として満足度が少し下がって来ているのです。信頼性を上げて満足度を上げるためには、少しきっちりコミットメントを入れた方が潜在文章化しないためにもいいと思います。

(河野座長)
 入れるとすると、先ほど森下委員の説明がありましたが、どこに入るのでしょうか。

(森下委員)
 変えなければいけないところは幾つかあると思うのですけれども、四角の中で言うと「定期的に公表・報告し、社会に対するコミットメントをするものをいいます」とかそんな言い方に。

(河野座長)
 あとは事務局の方に任せます。

(上妻委員) 
 何をコミットするのか書かなくていいのですか。例えば、環境経営の方針についてコミットするとか。

(森下委員)
 その前の「これを広く社会に」という「これ」が前を全部受けているので、その文面で充分です。

【目的適合性について】

(國部委員)
 16頁の目的適合性の説明で、いきなり最初の「作成・公表される環境報告書がどのようなステークホルダーを対象としているのかによって、環境報告書のあり方は若干異なってくると考えられます。」という2行から始まっているのはそぐわないと思います。つまりステークホルダーのために環境報告書を作るのだということを最初から謳っているわけですから、むしろこの2行を取ってその次のところ、文章は変えていかなければいけませんけれども「そのためには、ステークホルダーが誰なのかをあらかじめ特定し、それらのステークホルダーとの対話・諮問・協働等のような関与(エンゲージメント)の過程を通じて、彼らの期待やニーズを理解することが有効になります。」というところから入っていく方がわかりやすい。最初の2行を見ると、今まで議論してきたこととちょっと違和感があります。

(上妻委員)
 2行ですか、5行ですか。

(國部委員)
 2行を変えるとその後の3行も変わってきます。最初の第1パラグラフが、その下の黄色で書かれているところと比べると、ここまで5行も使って説明しなければならない程ではないような気がします。一番大事なところに行くまでに間延びしてしまって、前段が長すぎるということです。ここはすごく大事な原則なので注意して書いて欲しいということです。
 もう一つは、目的適合性の3つ目のパラグラフの1行目の文章が、「なお、情報に重要性があるかどうかについては、ステークホルダーとの関与結果等を参考にして、ステークホルダーの判断に与える影響の大きさを自ら判断しつつ決定することになります。」というところが日本語として非常にわかりにくい。「判断」というのが続いているというのがポイントですし、「自ら判断する」というのは事業者が判断するんですよね。そこまで原則に書き込んでもいいのかという問題もある気もします。つまり「重要性があるかどうかは、ステークホルダーの関与結果を参考にステークホルダーの判断に影響を与えることをいいます」という程度に留めてもいいのではないかと思います。それを「自ら判断しつつ決定する」というところまで原則の中で書くというのは言い過ぎではないでしょうか。

(佐藤委員)
 その通りだと思います。目的適合性をより悪い読み方をすると、ステークホルダーを自分で限定し、目的適合性を果たしているという風に恣意的な報告書を作ることも可能だという風になりかねない。つまり、自分で判断して自分でやればいいんだと取られるといけないと思います。

(河野座長)
 事務局にお願いするということでよろしいでしょうか。

【信頼性の確保について】

(森下委員)
 あと2点あります。まず1点目は目的適合性の四角部分の中で、「負荷」という言葉から1行目ですけれども、「負荷」という言葉から「影響」に変えられていて、ガイドライン全体の中で「負荷」という言葉と「影響」という言葉の使い分けが少し曖昧なような気がします。あと四角の中には「利害関係者の判断に影響」ということで、ここでまた「影響」という言葉が出てくるので、少し言葉をどう使うかを考慮した方がいいと思います。これはまた事務局でご検討頂ければと思うのですけれども。
 それから[2]の信頼性のところと、後ろの方にある信頼性の確保にも関連するのですが、信頼性確保の方策について、とりあえずここでは17頁も27頁も様々な方策について、重み付けとかをせずに、とりあえずざっと並べてあるだけなのです。今まで資料集にあったので、並べてあったものをそのまま持ってきているのですけれども、環境報告書の信頼性の確保が重要になってきている中で、何でもできることをやってください、それが信頼性の確保ですよという書き方が果たして適切かどうか。特に、例えば17頁の[2]の下から3行目で「できあがった環境報告書についての意見をステークホルダーに求め意見書を添付する」というものが信頼性確保の、例えば「中立的な第三者の審査を受ける」よりも前にあります。私はいろいろな人がいろいろな形で意見を言って、意見も殆ど言いっぱなしで、その意見についての企業の対応が殆ど何も明記されていないようなものはかえって信頼性を装って読者に対して誤解を与える可能性が非常に強いという気がしています。ですから、せめてこの部分は外すなり、前の検討会でも申し上げました通り、だいぶ前の上妻先生が座長の時の検討会で「第三者意見についてのガイドライン」のようなものを作ったので、それをせめてこの中に入れてそれを守るようにするとか、そういう信頼性確保の方策、特に検証の部分についてはもう少し明確な方向性なり、在り方を示した方がいいのではないかと思うのですけれども。

(上妻委員) 
 それだと環境配慮促進法と矛盾しませんか。

(森下委員)
 環境配慮促進法では自己評価か、第三者による正確性の検証という言い方をしていたと思います。

(上妻委員) 
 「等」になっていたと思います。すべてのものを含むという書き方になっていたので、どれかに重み付けをしている訳ではなく、ここでそれを書くと環境配慮促進法の立場を著しく逸脱することになりませんか。

(森下委員)
 逆に、環境配慮促進法で「等」と言って曖昧にしていたところを明確にするという考え方もあると思うのですけれども。

(後藤委員)
 それは無理だと思います。信頼性確保の手段はいろいろあって、議論はいくらでもあるわけで、第三者保証の範囲とかレベルもあって、それから経費の問題もあります。例えば、ガイドラインに沿ってきっちり作っていることが一つの信頼性担保だという言い方もあるので、それを全部書き込むというのは非常に問題があると思うのです。信頼性担保の手法にはいろいろあるということは書いても、第三者意見というのはこうでなければいけないとか、そんなところまで書けないと思います。

(森下委員)
少なくともそれは評価的な第三者意見ですよね、取り組みの評価とか。そのためのガイドラインというか基準案みたいなものを前に作りましたよね。その付属で第三者評価勧告タイプの、これくらいは守ってねという簡単なものですけれども。少なくとも、その人をどう選んで、どういう風にその報告書を評価したのかとかですね。

(後藤委員)
 私は何社か第三者意見を書いているけれど、そんなもの言論の自由で余計なお世話だと感じます。

(森下委員)
 そうではなくて、第三者意見についての最低限の情報が必要だと。

(後藤委員)
 問われるのは意見を書いた本人であって、そんなことをガイドラインで決められたくないと思います。

(森下委員)
 ですから、環境報告書を作成する側がそういうことを書くべきだと言っているのです。

(上妻委員) 
 信頼性にそれを書くのは行き過ぎだと思うのですけれども、信頼性の向上のための方策というところに、いろいろなものがあるけれども、例えば第三者意見を書く時にはこんな参考資料がありますよ、くらいのところまでは書けるかもしれませんが。

(森下委員)
 とにかく、それは何らかの方法で入れて頂いた方がいいと思います。

(河野座長)
 重み付けは、今の段階ではなかなか難しいですね。

(魚住委員)
 書こうと思えば書けますけれども、メリット・デメリットや費用対効果を含めて総合的に書いてしまうと、ものすごく長くなってしまうので、さらっとは書けないと思いますね。

(川村)
これは[2]の第三者による検証のことを言われているのですか、それとも[3]の第三者の意見についても言われているのですか。

(森下委員)
 両方です。

(魚住委員)
 信頼性を担保するうえでどちらが優劣かというのは一般的に言うことはできるのですけれども、その裏にコストもあって、総合的に考えればどちらがいいかというのは決まらないのが実態だと思います。
 ただ5番の検証可能性が無くなるので、組織としてどうしてそういう数字が出てきたか、その根拠はしっかり残しておくという意味で、検証可能性についてはここにしっかり書いておく必要があると思います。

(上妻委員)
 それは信頼性の中でちゃんと書いてあるほうがいいということですね。

(魚住委員)
はい。信頼性の中に残るようにしていただきたい。

(河野座長)
  一応話しが切れましたので、もし何か意見、質問があれば後で出して頂くということで先に進みます。

【第3者の「審査」か「検証」か?】

(上妻委員) 
 一点だけ。27頁の第三者による検証で、これは「検証」という言葉しかなかったときに作ったもので、正確には「審査」ではないですか。

(魚住委員)
 一般的には「審査」だと思います。

(上妻委員) 
 それでは、「第三者による審査」にしてはどうでしょうか。

【第1章の「4.報告に当たっての基本的要件」について】

(河野座長)
 一応、第1章の3まで終わったということで、次は第1章の「4.報告にあたっての基本的要件」ですね。何かご意見はありますか。

【バウンダリーについて】

(上妻委員) 
 古田委員がご指摘になったバウンダリーをどうするかという問題を、まず考えなければいけませんね。

(後藤委員)
 21頁の図に(注)をつけるかということですけれども、私はつけてもつけなくてもいいと思います。つけるという意見があるのならば、つけてもいいのではないかと思います。

(上妻委員) 
 これを概念として考えて、製造業以外のところに概念的にも全く当てはまらないということはあるのでしょうか。それからこういう表の説明が、ものを作るというビジネスを想定しているのだけれども、こういう風になっていますよということが、サービスを作り出している企業だとか商社みたいなところに当てはまらないからといって、障害になるのかという問題だと思うのですけれども、いかがですか。

(中山課長補佐)
 流通業者などからしてみると若干自分たちは基本的な対象ではないのだなと思われる可能性があると仰っていますが、確かにこの図だと基本的に製造業者を対象としているように見えるというご懸念はあると思います。

(上妻委員) 
 もしそうだとしたら、流通の人たちは環境報告書を作らないでしょうが、実際は作っているのでそんな認識は無いのではないでしょうか。ガイドラインにこういう風に書いてあるから、これは製造業者のためのものだと思うものなのでしょうか。

(小林)
 ちなみに図の方には「製品・サービス」と書いてあるのですけれども、本文の方には「製品」としか書いていないので、そのことを仰っているのかもしれないです。

(國部委員)
 この図は(注)程度で把握できますし、2番目のところもそんなに強い意見ではないですよね。むしろ39頁の本文ところが強い意見だと思います。

(崎田委員)
 21頁の1行目のところを「事業者の代表的な製品・サービスを例に取ると」とかにしてしまうと、問題ないのではないでしょうか。元々、そういうつもりで書いていらっしゃるわけですよね。他の事業者が中心だと、別の図になるわけですから。

(國部委員)
 細かく言うと「連結決算対象組織」というのも変ですよね。全然違うところにあっても連結決算対象はあるわけですから、事業分野がすごく分かれているのに、リサイクルをやっている子会社が入ってくるとか、その辺りの書き方もパッと見ると不自然です。

(佐藤委員)
 サプライチェーンマネジメントの図とバウンダリーの図とは発想が違うと思います。バウンダリーは連結なりの関係があるところで、そこのサプライチェーンは別のところにあるわけですから。この図を見ると、対象範囲がサプライチェーンのバウンダリーと、ちょっと混同しますよね。

(後藤委員)
 このバウンダリー問題はものすごく難しくて、連結だと決められるものはいいのですが、連結ではないものの強い影響力を及ぼしているものをどうするのかという議論もあるわけです。サプライチェーンマネジメントは一次サプライヤーだけとは限らず、最上流まで遡ると項目によってバウンダリーの範囲が変わってくることがあります。ありとあらゆるケースを図にするというのは難しいので、これはあくまで典型の一例なので、例えばという話にするか、これは何々の例ですよとかいう風にしないと、どれだけ図を描いても無理だと思います。

(國部委員)
 連結決算だけを取りだして対象組織にしてもらうと、この図は分かりやすくなります。

(河野座長)
 いま後藤議員がまとめたような方向で検討して頂くとしましょう。例えば、本文で書くか、図下の(注)でこれは一例であると書くか。

(魚住委員)
 報告対象、データの収集範囲は連結決算対象組織ということを言っていて、いまおっしゃったサプライチェーンとか下流の方については資本関係、支配できていなかったら影響力行使、影響力を行使するのもバウンダリーは広がるのだけれど、それは数値の把握対象ではないとすればいいのではないでしょうか。つまり、数値把握対象は連結決算対象組織と言い切って、しかし環境影響を及ぼす範囲は上流にも下流にも影響力行使しましょうという内容に。その行使する範囲をバウンダリーと呼ぶから、混同しやすくなるのかなという気はします。

(後藤委員)
 CSR調達では、食品などで最初の栽培者まで遡って、何割そこから買っているかというような数値把握も出てくるのです。それは環境でない部分で。一つの図で環境からさらにCSR部分の項目など何がしか入っている場合、どこまで数値を捉えるかというのも変わってくるわけです。図でそれをきっちり区切ることができないので、例えばここはこの例ですよという格好でここは収めないと、図をどれだけいじっても結論が出ないと思います。

(上妻委員) 
 先ほど崎田委員が仰ったようなことでいいのではないでしょうか。

(後藤委員)
 私もそう思います。それで古田氏の意向にも沿っていると思います。

【第1章「5.作成及び活用に当たっての留意点」について】

(河野座長)
 次に、第1章の「5.環境報告書の作成及び活用に当たっての留意点」です。これは先ほどから作成と活用の2つに分けたらどうかという議論が出ていましたが。

【環境報告書の活用について】

(上妻委員) 
 24頁の環境報告書の活用の部分で下から数行のところに、Webとの併用の話が出てきます。それは実態ですから書いて頂くことはいいのですけれども、ガイドラインという性格を考えると、環境報告書の冊子とWebを両方利用すればいいのだというところを超えて、両方のリンケージがきちんとしているべきということを書いて頂きたいと思うのです。要するに、相互に両者の関連性がきちんととわかるようにしてくださいということを、是非とも明記して頂きたい。

(魚住委員)
 インターネットで提供しているのが冊子と全く同じものなのか、併用と言えば一般的に違うと思うので、もっと詳細なデータなのか、あるいは半期とか四半期のデータまで出すのか、というところが出てきますよね、どういう内容かが分かるようにする必要があります。

(河野座長)
 先ほどの活用のところでは、活用側にステークホルダーの視点、活用の在り方を入れるということで宜しいでしょうか。

(崎田委員)
 作った人もみんな活用対象者には入りますよね。

(國部委員)
 5.は収まりが悪い気がします。後で非常に詳しいOPIやMPIとかの話が出てくる前に、しかも対象範囲や期間の問題は4.で書かれていて、もう一度作成のところで報告対象範囲が書いてある。書かれていることは作成そのものです。あと環境パフォーマンス情報の測定と収集というのが次の第3章からずっとあるわけですけれども、この(1)がある意味がよく分からないですね。

(中坪課長補佐)
 検討会で、環境報告書の作成の仕方も簡単に書いた方がいいというご意見が確かあったと思います。それを踏まえているのですけれども、確かに書いてある内容は重複している部分もあると思います。もしよろしければ、もっと簡単に書くか、或いは削除するかで対処します。

(國分委員)
 環境報告書の読み手というのは非常に大事だと思いますが、23頁にある情報は前に書いてあるものと殆ど同じですよね。

(中山課長補佐)
 書くとすると、ステークホルダーエンゲージメントのところをもう少しでしょうか。

(國部委員)
 そうです。ガイドラインですから、なるべく重なりが無い方がよいですね。

(中山課長補佐)
 作り手としてどうステークホルダーに関わってもらうか、使い方としてどう関わってもらうかというところを少し分けて書いていきます。作成途上でどういう風に関わって頂くかということと、出来たものを使ってどうするかというところをそれぞれもう少しきちんと書くということかなと思います。

(崎田委員)
 そういう整理の仕方でいいのでしょうか。全体を作成と活用に分けてと言っていたのを、作成・活用のステークホルダーとの関わりとか、そうするとまたちょっと印象が違ってきます。

(河野座長)
 1の作成から[1]が仮に抜けますと、作成には何が残りますかね。活用の方は書くことがかなりあると思います。全体が作成の話になっているわけですよね、この報告書ガイドラインは。

(崎田委員)
 [4]は残せます。ここが言いたかったのですよね。

(河野座長)
 今までの議論で、どのくらい内容を事務局が受けとめたかですが、二つに分けるか、あるいは一つで活用面をもう少し書き直すか。一項目で出すか二項目に分けるかを考えて頂く。最初は二項目でやるということで議論していましたけれども、國部委員のご指摘もあって一項目でという考え方もできます。

【ステークホルダーの定義】 

(上妻委員) 
 25頁で先ほど出てきたステークホルダーのオーソドックスな定義を簡単に追記して頂きたい。ここでなくても5.のどこかでいいと思うのですけれども、適切な言葉で。

(河野座長)
 上妻委員の言われているオーソドックスというのは、どうことですか。

(上妻委員) 
 組織の活動によって影響を受ける、同時にその人たちによって組織が影響を受けるという双方向性についてきちんと書けばいいと思います。それで具体的にはこのような人たちがいますというようなつながりで書けばいいのではないかと思います。

【トピックス・特集について】 

(國部委員)
 25頁の[2]で「トピックス・特集について」ですけれども、確かに多くの企業がトピックス・特集を最初の方に持ってきているのですが、そういうものを「読み手の関心事項に答える工夫をすることが期待されます」と奨励しているように見えます。確かに、いいトピックスや特集をしているものもあるのですけれども、その会社の本業から見たほんの少しのことをすごく大きく書いて宣伝のように使っているものも結構あります。ガイドラインも書いているからこれでいいと思われるというような危惧があるので、ここまで書かれない方がいいと私は思うのですけれども。

(河野座長)
1回目か2回目の検討会で、どなたか意見を出されたものですよね。

(佐藤委員)
 私が言いました。私はこれ好きなんですよね。

(國部委員)
ガイドラインとして推奨するのかどうかは、別問題ではないでしょうか。

(中山課長補佐)
 こういったものを使って何をするのかということを念頭に置きながら、注意事項を書いていくという方向ではいかがでしょうか。

(國部委員)
 トピックスや特集が必要だ、というメッセージを与えてしまうと思うので、それは企業に任せた方がいいのではないですか。ガイドラインで言う必要はないと思います。

(上妻委員) 
 たぶん、こういう風な見せ方の工夫をしなさいという趣旨ですよね。それが伝わらないんです。見せ方の工夫ではなくて、変なデコレーションを推奨しているように見えるということだと思います。

(佐藤委員)
 ただ、あまり硬い文章ばかりでも読めないですよね。こういうものがあると読みやすいですし、面白味のある、かわいらしい報告書を本当は作って欲しいと思いますが。

(崎田委員)
 それに賛成です。ただしプラスが必要、例えばネガティブ情報みたいなものを早めに明確に出してもらった方が読み手にもわかりやすかったりするので、「トピックス・特集」というのがいい時だけではなくて、社会的にマイナスの情報を明確に出す、それをまた評価しようという雰囲気に書き加えると活きるのかなという感じもします。

(國部委員)
 トピックスは重要性の原則に合致していれば問題ないです。しかし、重要性の無いものがトピックスでおもしろいからというので、出してもいいものですかね。

(河野座長)
 マイナス情報を載せるという崎田委員の言うことだと分かりますね。

(後藤委員)
 残すなら、今のお話のようにトピックスでプラスもマイナスもという項目を入れたらいいと思います。例えば、日本で不祥事があると頁数を使って延々と書いています。国内では書かないと非常に評判が悪くなるので皆さん書くのですが、それを英訳にして全部載せることは極めてナンセンスで、もともと欧州のCSRの定義にはコンプライアンスは入っていないのだから、そこはさらっと書けばいいわけです。もちろん必要なマイナス情報は出さないといけないとは思っているけれども。プラス・マイナスで書くなら書く、差し当たり大きな問題を起こしたところはトピックスでかなり書いているわけですから。

(上妻委員) 
 これは真ん中の灰色の網掛けの「掲載する等」の後に、「重要性の高い事項について、読み手の関心に応える工夫をすることが期待されます」くらいの書き方でいいのではないでしょうか。そうすれば殆ど整合的になるのではないかと思います。

(河野座長)
 今の上妻委員のような語句を入れてまとめるということでお願いします。

(中山課長補佐)
 後藤委員のご発言の関係で、環境報告書のこの手のものは海外でも出しますよね。同じものを出すのが望ましいのか、それぞれの地域ごとにある程度ステークホルダーと話をしながら、ある程度違ったものを出すのが望ましいのかどちらでしょう。

(後藤委員)
 私の個人的意見としては、使うバックデータは同じものを使わなければいけないけれども、書き方は違うべきだし、書く情報もこちらでは出したものが別のところでは出していないということがあってもいいと思っています。

(河野座長)
 第1章「5. 環境報告書の作成及び活用に当たっての留意点について、他にご指摘はありませんか。
 それでは第1章「6.環境報告書の信頼性向上のための方策」についてご意見を頂ければと思います。

【第1章「6.環境報告書の信頼性向上のための方策」について】

(國部委員)
 27頁の[2]の「第三者による検証」をどうするかということですが。

(河野座長)
 これは「審査」です。

(國部委員)
 「審査」ですか。この一番下の行に「審査機関の第三者が比較可能性や信頼性を表明(レビュー)する」と書いてあるのですけれども、これはおかしいですよね。

(魚住委員)
 ここだけではなくて、いくつかおかしいところがあります。例えば、1行目の「事業者が定める基準に従い」については、そういう場合もありますし、そうでない場合もあります。それから、2行目から3行目にある「その背景にある取り組み内容についての審査」はやりません。あくまで「取り組み内容の結果の記載情報について審査」をするのです。

(後藤委員)
 ここは現実に業務が始まっているので、事務局と例えば環境情報審査協会とで今やっているのはこういうことだということで直して頂きたいと思います。

(魚住委員)
 はい。承知しました。

(森下委員)
 [1]の「自己評価の実施」にも昨年度作った手引きの話が入っていませんので、手引きを入れるべきです。また、全体的に順番を見直した方がいいと思います。それから[5]で先ほど佐藤委員が仰った本ガイドラインとの対照表の話も、当然後ろにまた出てくるのですけれども、ここにも対照表の記述を入れた方がいいと思います。4年前の文章がそのまま残っていますので、全面的に文章を見直して、現状に合わせて書いた方がいいと思います。

(河野座長)
 順番の見直しというのは、重み付けでいくのですか。例えば、どういう順番に並べるのがよいのですか。

(崎田委員)
 [1]~[3]と[4]~[7]は性格が違うと思います。[1]~[3]に関しては評価の順序からいくと、「[1]自己評価の実施」が一番で、その次に「[3]第三者による意見」で、もうちょっとしっかりしているのが「[2]第三者による検証」。ですから[1]、[3]、[2]の順という感じがします。

(後藤委員)
 現実的にはそう考えられているのですけれども、第三者の意見と現行の審査は機能が違うと思うのです。順列ではなくて、機能が違うということできちんと書いた方がいいと思います。

(上妻委員)
 これは「自己評価の手引き」の順番ではないでしょうか。順序付けをしないというところも、環境配慮促進法の精神にのっとって書くとそうなるので。

(森下委員)
 「[4]内部管理の徹底」は、そもそも「[1]自己評価の実施」というのがない時代の話ですよね。[4]は基本的に要らないと思っていまして、これは[1]に包含されることなのです。逆に、「[7]NGO、NPOとの連携による環境報告書の作成」はもう少し前に上げてもいいのでは。

(上妻委員) 
 [4]は[1]をしない場合のことです。

(森下委員)
 逆に、そういう風に書くといいのではないですかね。

(上妻委員) 
 そういう風に書いてしまうと、[1]はしなくてもいいのかということになってしまうので、それは書けないです。だけど無理矢理に言えないのが環境配慮促進法の基本的な考え方ですから、努力義務になっているところをどこまで強くメッセージ性を出すのかという問題を苦慮した結果、こうなっているのだと思います。

(森下委員)
 これは単純に昔のガイドラインの順番ですから、かつてはそういうことを意識せずに、これは環境配慮促進法の精神にのっとっての順番ではなくて、その前にそのまま上げただけの話です。

(國部委員)
 あげられている方策の機能は全て違うと思います。違うから分かれているのです。プライオリティで決めるのであればいろいろ議論があると思うのですけれども、誰が実施するかという立場からみると、企業の内部でできることと外部を関与させる方法とで分けられると思います。

(魚住委員)
 信頼性の中でも、情報の正確性に重点を置いたやり方なのか、開示する情報がよりステークホルダーにマッチした情報なのかという観点でも分けられると思います。

(河野座長)
 ただ並べるだけではなくて、二つ、三つくらいに分類してはどうでしょうか。

(森下委員)
 時代に合わせて、もう一度ここの表現は見直しをした方がいいと思います。

(上妻委員) 
 ご意見は非常によくわかるし、私はそれには反対というわけではないのですけれども、現実問題として何か特定のメッセージを伝える状況に実務がありますか。魚住委員、実務がそこまで行っていますか。

(魚住委員)
 個人的にはお金が掛からない順番で、内部的な管理をしっかりしてもらうとか、そういうところから書いていくのが自然ではないかと思います。

(上妻委員) 
 そうすると内部管理が最初になるのですけれども、本当は環境配慮促進法の精神を考えながら、環境省のこれまでの基本的な政策を考えると、自己評価は最低やって欲しいのです。だから、たぶん最初に書いてあるのです。自己評価の手引きで書いたのもそうです。本当は第三者の審査を受けて欲しいのではないかとも思いますが、環境配慮促進法があるからそこまでは書けないのが実情でしょう。

(河野座長)
 國分委員の案もいいと思いますが、外部者が関わる方法と内部での方法に分けるとすると、6番目や7番目が外部に入ってきますね。

(國部委員)
 [1]と[4]と[5]が内部ですね。

(河野座長)
 [1]と[4]と[5]が内部として、順番はここへ出ている順ということになりますか。

(森下委員)
 上妻委員の仰っている実務の状況はそうなのですけれども、環境配慮促進法の理念は先ほど上妻委員も仰ったように、できれば第三者審査で信頼性、駄目なら自己評価というものですから、そういう趣旨は多少この中に記載しても良いと思います。

(上妻委員)
 文章では書けると思いますが、順序は書けないですよ。

(森下委員)
 順序はもちろん簡単ではありませんが、そういう趣旨を入れてそういう方向に行って欲しいと思います。

(上妻委員)
 なるべく第三者による客観性の高い審査やその類の信頼性向上の手段を講じることが望ましいくらいのことは書けるとは思いますけれども。

(河野座長)
 6.の中で、そういうことを書きましょうか。

(鎌形課長)
 6.の第一パラグラフの最後にある「・・・組織以外の主体が加わることで信頼性をさらに高める」というところににじみ出ている感じではありますが、もう少しどこまで書くかというところですね。

(上妻委員)
 そんな感じだと思うのですけれども、ここのところはとてもデリケートなところですね。

(後藤委員)
 環境配慮促進法が前回の改訂時には無かったのです。今回は法律が成立しているので、法律にのっとった形で書かれてもいいと思います。ただ保証と第三者意見は機能が違うので、順列ではないのです。

(上妻委員)
 先ほど座長が言われた、外部と内部に分けて、順序はそのままというのが妥当な気がしますけれども。

(川村)
 現状で2つ目のパラグラフの後ろに「作成の成熟度に応じて段階的に」というのは殆ど意味がないですよね。段階なんてないのですから。同時にやっていいので、これも見直しですね。

(森下委員)
 それに、ここにあるどれか一つをやるというのではなくて、当然組み合わせがあり得るわけです。

(魚住委員)
 私は正直な感覚として、「環境報告書の作成の成熟度」というか「環境報告書のパフォーマンス数値の読者が意思決定に資する割合」、それが増えてきたときに本来的には保証が必要になると思います。それまでは企業の姿勢を示す意味で頑張ってやっているという風に考えているので、ある程度の段階、利用状況の段階はあると思うのですけれども。

(國分委員)
 情報の重要性ですよね。

(魚住委員)
 そうです。ただ、それで意思決定しているかどうかが問題です。

(後藤委員)
 川村さんが言ったように成熟度の段階ではないので、組み合わせがあるわけです。今の魚住委員の趣旨での段階もわかるけれども、別に7つの段階があるわけではないですよ。昨日サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク(NSC)で富士フィルムに発表してもらった中では、第三者意見と保証は機能が違っているから、両方載せると言われていました。

(崎田委員)
 [6]の「双方向コミュニケーション手法の取組」の本文をもう少し丁寧に広がりがあるように書いて頂きたいと思います。「事業者が問い合わせ窓口を設けて、ステークホルダーからの質問や意見を受け付け、これに回答する取組」と言い切っていますが、双方向コミュニケーションというのはそれだけではなくて、環境報告書を読む会とかステークホルダーダイアログも、最近は座談会を開催して概要を載せるだけというよりはもう少し広いものが出てきています。
 [7]の「NGO、NPOとの連携による環境報告書の作成」というところも出てきていますが、大学や学生との連携で作った報告書が環境コミュニケーション大賞の上位で評価されたこともあるので、「等」を入れるとか、もう少し広がりを入れた方がいいと思います。

(河野座長)
 ただいまの議論では、大筋は外部・内部に分けるということですが、他に本文のについて[1]から[3]のあたりをどう改めるか、それから[6]、[7]の内容を膨らますというようなことで、事務局に調整をお願いします。
 次に、第2章に入らせて頂きます。

(河野座長)
 予定ではここでWGのSPIの検討内容について報告してもらうことになっていましたが、既に冒頭で事務局側の考えも聞いたので、第2章・第3章全体についてご議論いただければと思います。まず、BIについていかがでしょうか?

(國部委員)
 これはWGでも申し上げたことですけれども、35頁のBI-1-オ部分の「経営責任者のコミットメント」について、この内容はいいのですが、「その結果を社会に対して開示すること」という開示についてのコミットメントも入れてほしいですね。つまり、「達成する」とか、「達成した成果について説明します」ということをここに書くということです。
 それから次のカですが、これは「報告書に載っていることは正しい、と経営者が最初の序文で言え」という要求ですよね。これはものすごい要求じゃないかと思うんですよね。こんなことを書いている報告書を、僕はまだ1冊も見たことがないです。

(森下委員)
 これは前から載っていますよね。

(國部委員)
 前から載っていますか。

(上妻委員)
 これは、経営者確認書の代わりですよね。

(後藤委員)
 今までに載っていたものを、やめるというわけにはいかんでしょう。

(森下委員)
 同じ場所で、BI-1-(2)の「持続可能な社会の実現に貢献するための経営方針、目標等」は(1)の必須項目に上げることはダメでしょうか。

(上妻委員)
 SPIについては、基本的な方針を書かないで推奨するにとどめる、ということになってしまったので、整合性をとるという意味では、これはこの位置でいいのでしょう。ただ、そうするとすれば、それが妥当かどうかという議論にはなりますが。

(魚住委員)
 「記載する情報」が、全ての項目について多すぎる印象があります。準拠して書ける会社がなくなってしまうのではないでしょうか。今のカにしても、経営者が内容の正確性についてここまで本当に誓約するということですよね。

(後藤委員)
 まあ、内部統制も始まるわけでしょう。誓約しないと会社法上もアウトになっていくので、今さら後退させる必要はないと思いますね。

(魚住委員)
 しかし、以前は「推奨」だったのが「記載しなければならない」になっていますよね。これでは意味が違ってくるし。

(伊東委員)
 うちも米国で上場していますが、米国ではそれは法律で決まっていて、違反すると経営者は禁固刑になるわけです。これについては法律に基づいた準拠ではないわけですから、そこはやっぱり精神は同じで、嘘はつかないように書くのでしょうけど、ちょっと位置づけが違うのではないかと思います。

(河野座長)
 2000年版のガイドラインでは「重要な記載事項」と「記載することが望まれる事項」とがあって、「重要な記載事項」だけでも60以上ありました。それで、2003年度版では減らしたという経緯があります。ただ、環境配慮促進法の関係で、特定事業者には一定の情報記載が求められるということもあり、それなりの質の記載項目事項があってもいいのかな、という気はしますね。

(佐藤委員)
 委員の間では、ほぼ同じというか、配慮と負荷と低減なんですよね。まとめてもいいんじゃないかと思いますね。

(國部委員)
 35頁の(1)-オの「(Commitment)」は要らないのでは。

(川村)
 必要ないですね。

(後藤委員)
 これは提案ですが、中身のことを一つひとつやっていると最後までいかないので、森下委員のご提案のように事務局にお任せしませんか。
 それで、NSCのアンケートで出ているのですが、2006年度は85%が環境+社会の報告書で、環境に特化したレポートは15%を切っているんです。環境+社会の報告書では、「持続可能な社会への貢献」ということは書かれているので、これが入ると企業にとって極めて厳しいかというとそうでもないんですよね。だから、私はこれを上に上げたほうがいいと思うんです(BI-1-(2)の「持続可能な社会の実現に貢献するための経営方針、目標等」を(1)にする意)。これは応援演説で、後は事務局にお任せします。

(河野座長)
 ただいま、後藤委員の意見もありましたが、BIは事務局で整理するということにして、できるだけの時間を使ってMPI、OPIの議論をしたいと思います。

(森下委員)
 大きなところに移る前に、構成にかかわることを述べます。33頁の全体構造については、説明がなく、P34以降の第三章も構成が整理されていない印象を受けます。それから、P31にもOPIの図があるが、OP-4とOP-7が増えて、廃棄物がOP-9に包含されているわけですが、環境基本計画では最終処分量は一つの項目として上がっているが、どうするのか。OP-4の「循環型利用」は、環境基本計画では「循環利用率」という言葉を使っているが、どうするのか。

(上妻委員)
 利用率に限らず、状況を書くということですよね。それから先ほどの最終処分量ですが、把握できない可能性がある、という議論があったように思うんですが。

(魚住委員)
 私が言ったのは、正確には把握できないということです。直接のマニフェストベースではできるんですが、中間処理による焼却の場合最終処分場に行く焼却残渣の割合を(企業が中間処理業者に)電話で聞いて何%位、ということになるのが実態で、また、事業系一般廃棄物も考慮すれば、自治体に焼却総量と最終処分量(焼却残渣量)を聞いて、その割合で計算することになります。

(森下委員)
 そもそも、その意味でいくとパフォーマンス指標全てがそうで、廃棄物の総量についても正確に把握できるわけではない。ゼロエミッションについても、本来ゼロなんてありえないことをある定義で「ゼロになった」などと言っているので、そこは正しい情報を載せるようにしたい。「リサイクル目的で処理に出したら、それでゼロだとは言えない」ということです。

(河野座長)
 OP-9の廃棄物と最終処分量を2つに分けるという話でしたが、WGでは結論は出なかったということですか。

(魚住委員)
 1つにして、その中で最終処分量を区分して明記するという結論になったはずです。

(森下委員)
 それから、P84の部分(最終処分量にリサイクル目的の排出量は含まない旨)は、これまでの考え方からの大きな転換ですよね。リサイクル目的で出したとしても最終処分量は出るわけで、「リサイクル目的で出せば、ごみはゼロ」と謳っているのはどういうことでしょうか。

(川村)
 前に森下委員の指摘があったので、曖昧にしないためにこのようにしたのですが。

(森下委員)
 それでは、逆になってしまっています。その意味で言うと、現行ガイドラインやパフォーマンスガイドラインで、計算方法についても多く書いていたのが、今回はバッサリ落ちているんですね。

(川村)
 式は後ろの「参考資料」にまとめています。あとから別途議論したいと思います。

(河野座長)
 OPI計算の標準式は「参考資料」の中に入れるということですね。

(森下委員)
 EPIの解説で書いてあったものもバッサリ落ちているのですが。

(川村)
 廃棄物についてはものすごい量の解説があったので、本文には書いていませんが、参考資料の「用語解説」に移しています。

(後藤委員)
 今の、森下委員の意図の通りに直っていない部分は、事務局が委員に相談して直してほしいですね。

(川村)
 要は、逆ということですね。

(河野座長)
 標準式は本文に入れるか、後ろの「参考資料」の中に入れるか、事務局で検討をお願いします。

(森下委員)
 それから、43頁BI-4-1-(1)のウは、OP-79?の修正が反映されていません。また、参考資料では一覧性のある総括表を「ハイライト情報」という言い方しているのに、本文は単に「別表」という言い方になっています。

(上妻委員)
 それは、いろいろな言い方がある中で「ハイライト情報という言い方をしている例があります」ということですよ。WGでも議論になったが、まとまらなかったので例示にするということになったはずです。

(河野座長)
 今の例示は「参考資料」として入れた方が、わかりやすいのではないでしょうか。

(川村)
 それについては、(3)に「参考資料」の「別表」を参照と書いてあります。

(河野座長)
 わかりました。それではMPIに移りたいと思います。

(後藤委員)
 P62のMP-9ですが、生物多様性の認識は日本では極めて低いんですね。昨年の「環境goo」の調査でも、重要だと思っているのは3%しかいない。温暖化については75%もいるのに。ところが世界的には重要だという認識になっている。日本では認識がないから、報告書にも載っていないんですね。それをある意味で啓発的にこの項目を入れたのは素晴らしいことですが、あまりにも「記載する事項」の内容が薄いのではないかと思います。少なくとも(2)の上から3つは(1)に入れて欲しいので、検討していただきたいと思います。
 企業も気がつき出して取り組み始めましたが、確か日本は2010年の生物多様性条約COP10の議長国のはずです。2007年度にこれを発行すれば2010年までには3年あるわけで、今から「こういうことを書くんだ」ときっちり示すと、企業は取り組みやすいわけです。2010年の段階で「日本企業の取り組みは結構ある」という状況を作るためにも、もう少し啓発的に強化すべきではないかという意見です。

(上妻委員)
 これはWGでの基本的な方針ですが、MPIについてはまず方針・目標・計画を書くことにしていました。だから、MPIについては「具体的にはこういうことを書く」ということをたくさん示して事業者に負担を負わせるのは適切ではない、という判断でこのような形になったのです。

(魚住委員)
 40頁の下から3行目に、海外を含めたパフォーマンス指標の開示を求めていますが、今後の日本企業の途上国での操業の活発化を考えると、GHGや廃棄物の発生量については、海外と国内を分けて書くという考えを入れてはどうでしょうか。

(川村)
 今回の改訂では報告範囲の「環境負荷の捕捉率」という新たな考えを入れていますが、報告対象範囲は連結を推奨しているので、その中で国内外に分けるという意味でしょうか。

(魚住委員)
 パフォーマンス指標で数値がはっきり出るものについては、国内外で合算してしまうと、GHGや廃棄物の国内での増減がわからなくなってしまいます。

(川村)
 個別の指標について、トータルと国内外の内訳の両方を示すということですね。

(魚住委員)
 そうです。その関係でいくと連結について、GHGプロトコルなどでは、子会社分の環境負荷を100%入れるのか、出資比率をかけて計算するのかという2通りの考え方が出ている。ここでは連結子会社については、持分比率は60%だとしても、環境負荷は100%集計することについても触れておいた方がいいのではないでしょうか。

(上妻委員)
 そこまでガイドラインに書いて理解されるでしょうか。現実問題としては、報告書の中ではいろいろなやり方が行われていて、それを今の段階で或る方法に収斂させることが適切かは疑問です。詳しく書けば書いただけ啓発的な役割もでてくるが、書かない方がいい場合もあるのではないでしょうか。

(魚住委員)
 将来、排出量取引や課徴金が導入され、環境負荷物質がコストに反映されてくるということになれば、持分比率の考えは出てくるのではないかと思います。

(上妻委員)
 そうなれば事業者が自ら書きだしてくるのではないでしょうか。

(魚住委員)
 海外では実際に一部行われつつあるところもあります。

(河野座長)
 環境負荷の捕捉率については議論が定まらないので、こうした議論があったということを踏まえてまとめは事務局に任せます。これは標準式のところにも関わる話だろうと思います。
 BIとMPIについて他になければ、OPIに移りたいと思います。

(崎田委員)
 OP-6について、事業者はGHGの計算の係数が問題で、みなさん大変な思いをして計算していると思います。2003年度版では排出係数がきちんと書かれていますが、そういう細かい情報は全部なくなっているのですか。もう少し親切にしておいた方がいいのではないでしょうか。

(川村)
 これに限らず、OPIの標準的計算式については「参考資料」に載せています。標準的な考え方や係数もここに書く予定です。ただし、まだ完成していません。

(上妻委員)
 それでは、排出係数は書くんですね。現在は前のガイドラインにあったものを落としていますよね。

(川村)
 それはまだ決定していません。根拠が要るんです。

(後藤委員)
 どう書くかは後で議論になると思いますが、前回の議論の際には、温暖化大綱でも決まっていなくて、温暖化大綱に従ってガスと電力を両論併記にしたはずです。今がどうなっているのかはわかりませんが、CDMのWBCSDに近い方式とISOの気候変動のWG5でも計算式のことをやっていましたよね。あれはどうなっているのでしょうか。

(鎌形課長)
 私は、今ここで、それらがどうなっているかを申し上げることはできませんが、いずれにしても地球温暖化対策推進法などで計算方法は決まるので、ガイドラインで全部書いても変わったらどうするのかという話があり、法律等に沿って書きたいと思います。ただし、(決まっていなければ)わかりやすさという観点である時点の例示を出すことはあるかもしれません。そこはご相談したいと思います。

(上妻委員)
 計算式の部分には、「こんなものがあります」ということを書くのか、計算マニュアルなどのURLなどを書かないとわからないと思います。

(後藤委員)
 GHGについては、電力業界とガス業界の考え方の違いがあるので、もし排出係数を出すなら両方を出してください。

(中山課長補佐)
 確かそれはまだ調整している最中のはずですので、「こういうものがあります」もしくは、どこを見れば分かるかを書いておきます。

(河野座長)
 OPIについては他にもご意見があろうと思いますが、計算式の話になったので、それについて少し詰めていきたいと思います。計算式は、「参考資料」として後ろにまとめるか、バラして本体に入れるかということは論点として一つあると思います。WGでは「参考資料」にするということでまとまったようですが。

(後藤委員)
 後ろに「参考資料」としてまとめて、本文では「計算式はここを参照」と書いたほうがいいです。これまではEPIガイドラインとして別でしたが、それを本文に埋め込まれると使いにくくなります。エコアクション21を使っている人も使いやすくなります。

(森下委員)
 計算式だけではなく、もう少し解説もあったほうがいいですね。

(川村)
 「解説」は概念的なものではなく、定義として「これは含む」といったことですね。それは古田委員からも指摘がありました。現在、検討中で、これは未完成です。

(河野座長)
 では、こうした意見を参考にして事務局にてまとめてください。私が懸念していることは、標準計算式として示すのであれば、その根拠があるかどうかですね。出典を明らかにしたほうがいいですね。ガイドラインにつけると、それが一人歩きするということになりますから。

(川村)
 法律等で定められていることは、それを参照します。ただし、考え方は示されているが、実際にどう計算するのかということについては明確でない場合もあるため、公的なものだけでなくある協会などで広く使われているものも検討します。ただし、「これでなければならないわけではない」ということを注記する必要があります。

(河野座長)
 では、MPIとOPIをそろそろ終えて、残りをSPIに充てたいと思います。

(國部委員)
 BIもMPIもOPIもそうですが、ほとんどの指標が「記載する情報・指標」「期待される情報・指標」「環境上の課題と指標の意義」の3つのパートからなりますが、一部そうなっていないところもあります。これは原則として「(1)記載する情報・指標」「(2)期待される情報・指標」「(3)環境上の課題と指標の意義」に統一していただきたいと思います。

(川村)
 それは以前頂いていた意見ですが、フォローしきれていませんので、対応いたします。

(國部委員)
 P30で、「MPI」のMは「Managerial」ではなく「Management」ではないでしょうか。ISO14031では、「Management Performance Indicators」になっています。

(魚住委員)
 また蒸し返しになるかもしれませんが、55頁の環境会計について。MP-3-(1)-イの「環境保全効果」は、本年度の環境負荷から昨年度の環境負荷を差し引いたものを「環境保全効果」としている場合もありますが、差し引き量だけを書いている場合もあり、当年度だけの環境負荷量を書いている場合もある。ここではこう書いてあるのですが、45頁のBI-4-2-(1)-アにも「過去5年間程度の環境負荷」とあります。さらに、43頁のBI-4-1-(1)-ウにも「過去5年間程度の環境パフォーマンス」とあります。相当ダブるのですが、これは仕方ないということでしょうか。

(國部委員)
 ガイドラインでそうなっているので、いじるとまずいですね。

(森下委員)
 これについては、事業者の判断で、どこか一箇所に記載されていればいい、ということを注記してはどうでしょうか。

(川村)
 もともと、ガイドラインは書く順番や書き方を規定しているものではなく、「3回書け」と言っているわけではない、ということを書いておくということですね。

(河野座長)
 どこかに書いてください。

(魚住委員)
 41頁のBI-3-(1)-ウですが、売上高において、報告対象組織のほうが連結決算対象組織全体よりも数値が大きくなる可能性がありますね。(連結決算対象組織全体では、組織内取引が消去されるため)

(河野座長)
 そこまで完全に書くかどうか。エの従業員数はダブらないですね。

(上妻委員)
 内部取引を削除しない、という意味ですよね。

(魚住委員)
 キも、合併は確かに大きな影響を与えますが、同様に大きな影響を与える「子会社の売却」や「事業部門の売却」も入れてはどうでしょうか。逆に、「分社化」は連結に含まれるなら影響はないので、同じ事です。それよりは「子会社の売却」や「事業部門の売却」を入れたほうがいいでしょう。

(伊東委員)
 環境と金融について簡単に説明します。MP-4とMP-12のところです。ホワイトボードに表を書きます。
企業(コーポレート)単位 プロジェクト単位 投資
(直接金融) SRI グリーンファンド 融資
(間接金融) [2]担保投資、担保土地の土壌汚染
[3]インセンティブ融資(環境配慮をしている組織には金利を優遇する) [1]プロジェクトファイナンス(これ以上環境が悪化しないだけ。環境負荷低減に新たにお金が得られるわけではない。赤道原則など。)
[4]直接環境負荷を削減するプロジェクトに融資
 私どもは金融機関なので、直接金融である投資と、間接金融である融資があり、それぞれコーポレート対象とプロジェクト対象があります。金融機関の代表としてインフォームをみなさんに差し上げる義務があると考えてお話しております。
 [1]がいわゆる開発に関するものです。多くは海外で生態系や環境に大きな影響を与えるようなプロジェクトで、国内でもプロジェクトファイナンスはあります。次に、[2]があり、典型的には担保投資です。担保土地の土壌汚染です。これも金融との関係では非常に大きいです。それから[3]がインセンティブ融資。たとえば、エコアクション21をとっている企業には、中小企業でも銀行の普通に審査した金利より0.5%下げて貸すようなものです。
 それから、投資という意味では左上がSRIです。それから右上がいわゆるグリーンファンドというものです。つまり概念として整理したほうがいいと思っているのは、SRIはその会社の株を買います。その投資信託を買います。それに対してグリーンファンドというのは、環境負荷が削減される、例えば風力発電発電に投資する、というようにその事業会社の株を買ったりその事業そのものを証券化するような話です。この2つには決定的な違いがあります。SRIはその企業の株を買うわけですから、環境プロジェクトにお金が行くとは限りません。その企業が環境で頑張っている、環境に限らずESGで頑張っている企業の株や投資信託を買うとなります。一方、グリーンファンドは直截的に証券化した事業に投資することになります。SRIの残高は30億円ほどしかいっていないと思います。そして、そのお金も環境に直截的に流れているわけではありません。グリーンファンドの手法にはいろいろなものが出ています。例えば我孫子市の手賀沼の保全で、市債を出してそれを住民が買ったとか、非常に小さなものが徐々に出始めている。
 それから、銀行や生保・損保のプロジェクトファイナンスはここの所を手当てしたと言っても、これ以上環境が悪化しないというだけで、今より良くなるという話ではありません。環境を害するところを保全しようと。実際のところ、私どもは赤道原則に署名していますが、これは必要だけれども、これをやったからといって環境に新たにお金が流れるわけではありません。
 それで、ここの分野(左下)の大事なところですが、事業の運転資金・設備資金などですから環境プロジェクトにお金が回っているわけじゃないんです。この場合、通常の運転資金・設備資金を出したときに担保で土地をとるのですが、それが土壌汚染されていないかを貸し手責任で見なさいと。これも「現状より悪化しないように」という話です。それとインセンティブ融資というものは、その会社が中小企業を含め、「環境負荷低減に頑張っているよ」という会社に対して普通の資金を出してあげましょうという話です。
 私のご提案というのは、[4]のような直截的に環境にお金が回るプロジェクトがあって、それに金融機関が融資をしたことによって、CO2やNOxが低減したというようなことがあったら、その量を開示するようにしてはどうですかというものです。具体的には配布資料の裏側を見ていただきますと、2005年に三菱UFJだけで約1000億のプロジェクトに関与しています。これは必ずシンジケート・ローンの形で出します。実際に売上10億円の会社に30~40億円も貸すんです。コーポレート融資ではこのように貸せないんです。ガイドラインにこのような取り組みを書くことで、金融機関全体のそういう取り組みを増して行ったらどうでしょうか、ということが提案です。
 そのようなことを、私どもではもう2年前からやっていて、その辺を参考にして出してはどうでしょうかと思います。[3]インセンティブ融資にプラスして、[4]直截的に環境負荷を低減するプロジェクトへの融資に金融機関を誘導して行ったらどうかと。これは一般事業者にもマイナスの影響は与えません。むしろ金融機関からはお金が出やすくなるので、プラスの効果があるということです。これをもっと3大メガバンクやその他の銀行にも拡げて。それから、ほとんどの案件が地銀さんとの連携なんで、環境プロジェクトのほとんどが地方なんです。そういうことを促したらどうかという提案ですので、どうしても入れてくださいというお願いではありません。

(河野座長)
  これは56頁のMP-4でいくと、(1)のアやイに入るということですか?

(伊東委員)
 考え方としては、この四象限のマトリクスを、P56に落とし込めば、証券会社や生保・損保の分も投資・融資すべて入ると思います。

(後藤委員)
 MP-4の注記で、金融商品については、MP-12に入れると決めちゃっているんですね。これがいいかどうかは別として、これでいくならMP-12の中に伊東委員のお話のようなことを推奨事項で入れるのがいいのではないでしょうか。

(伊東委員)
 [4]をMP-12にいれて、この考え方自体は全体をMP-4に入れると整理されるのではないかと。私どもでもできることはお手伝いさせていただきます。

(後藤委員)
 今のご提案に賛成ですから、後は事務局のほうでお願いします。

(中山課長補佐)
 金融の話については、MP-4とMP-12の構成も含めて検討したいと思います。

(河野座長)
 これから残りの時間で第3章の5のSPIについてご議論いただきたいと思います。

(中山課長補佐)
 最初に、どうしてこのような形にしたのか、ということについてこちらの考え方を含めてご説明しますと、社会的報告が増えていることも重々承知していますし、それについて書くことが社会的要請であることもそうだろうと思っているのですが、本来的に申し上げると、本当にこれをガイドラインの中に盛り込んでやるというのならば、多分3頁では足りないはずなんです。ここでできることと、CSR報告書として本来出すことの間には、自ずと違いがあるのだろうと考えています。
 さらに申し上げると、環境省としてできることの幅というのもありまして、今回できるとすれば「こういうことを出すことが世界的に見ていいことなんだと思います」と考えられるものをズラッと挙げさせていただいた、という整理のところまでなら我々として、書ける部分だと思います。そういう考えでこの整理をしており、逆にそういう前提であれば、なかなかひとつの章として上げるということはやりにくい、ということが正直な我々の判断です。

(後藤委員)
 P90において今の位置づけならGRIは書かないほうがいい。書くならILOの4重点分野やディーセントワークについて。GRIG3は、セクターサプリメントも含めて全てがGRIガイドラインになっている。ここに出ると、今の話と合わない。

(河野座長)
 先ほど中坪氏からも説明があった内容ですね。

(後藤委員)
 佐藤委員たちからもいろいろご意見があると思うので、その前に簡単にお話します。90頁にGRIサステナビリティレポート2006(G3)と書いてありますが、今の位置づけであれば、ここにGRIを書かないほうがいいと思うんですよ。参考文献の中にGRIと書いてありますし、ここにはGRIではなく、ILOの4重点分野・8条約とか、そもそもISOの主張でGRIの主張ではないディーセントワークというものを入れてはどうかと思います。なぜそんなことを言うかといえば、G2ではガイドラインだけが準拠条件だったのですが、G3ではガイドラインと、後ろのほうのIndicator Protocolや金融業などのSector Supplementなど全てがGRIガイドラインです。つまり、今までのG2とG3は考え方が全然違うんですね。ここにこういう格好で出ちゃうと、今の話と全然合わないんですよ。ここからは外して、ここはILOの4重点分野・8条約とディーセントワークとしていただいたほうがいいと思います。

(河野座長)
 GRIがらみの大事なご指摘ありがとうございます。

(佐藤委員)
 先ほどと重複するのですが、中途半端に書けないと言うと、このガイドラインをどう使うかということになります。2003年版に社会性を入れたこともすごく大きなジャンプでした。それが結論として良かったのか悪かったのか、という検証もなくて、こういう議論になっていますが、「あれはまずかった」という評価なのか、「あれは価値があった」という評価だったのかが非常に重要です。私は、あの時点で環境省が社会性のことに踏み込んだのは日本企業の方針に非常に大きな影響を与えたと思いますし、他の省庁も引っ張ってきたと思います。その意味では、役所の立場でも国の立場でも大きな飛躍だったと思います。それで、こういう話になっているのは、梯子を外すような話ではないかと思います。方向性として、メッセージ性が委員でない人には全くわからない。社会性の報告について環境省がどういう風に考えているのか、ということについて全然わからない。「これ(社会性についてのガイドライン)は別途作る」「他省庁と連携してやる」というメッセージがあればまだ分かるのですが、一番最初の表題から、方針から、全て逃げているというような印象です。

(鎌形課長)
 非常にご指摘の通りだと思います。私どもとしても、今回の見直しにあたっての初めの組み立ての部分から、あるいは政府の中でどういう省庁と連携してやるのかというのを考えてやるべきだったと思っています。ただ、環境報告という形をきちんとしていくということも強い要請があるので、そこだけで走ってしまった、というところはあると思います。いずれにしても、梯子を外したというわけではありませんので、環境報告だけで成り立っている報告書は少なくなっているという状況であることは間違いないわけですから、もう少し踏み出したことについては私たちだけでやるということではなく、各省庁に働きかけてやるというのが次のステップとしてあるとは考えています。それを今回のガイドラインにどんなメッセージとして書くのか、というあたりは悩んでいるわけなんですけれども、何か書けるのかどうかについては考えたいと思います。これからもやりとりをさせていただきたいと思います。

(後藤委員)
 私は、この件についてはメモを書いて、今この段階で(社会性を)入れられないなら、他省庁と相談して充実させていくというメッセージを出すべきだ、というコメントを欠席のときに出しておいたのですが。NSCの調査で、環境省ガイドラインの使用率が0.数%ずつ微妙に下がっているんですよ。90数%使っているのですが、毎年0.2%とか0.3%ずつ下がっていて、実はGRIガイドラインが1~2%ずつ上がっているという具合になっているということです。それが過去3年の傾向で、今後3年の中で、先ほどのようなメッセージが出ていないとこのガイドライン自体が使われなくなってしまう可能性があります。「今は書けないけれども、これは経済産業省と厚生労働省、その他所管の省庁と連携してきちんと充実させます」ということを書くのが私のメモの趣旨なんです。

(崎田委員)
 今、環境基本計画の見直しでは、各省庁が徐々に環境を自分たちの運営+施策の中にちゃんと入れようと動きつつあると感じています。具体的に環境報告書を発行してアピールするという動きも国土交通省や経済産業省をはじめとして進みつつある。省庁を始めとして、行政施設も出すことを奨励する文章を最後に一項入れるとか、社会性についてもそういうことを担保すれば必ずや進むということをもう少し書いた上で、それを評価するところで自主的な掲載事項みたいなニュアンスにして、もう少し書くというところに落ち着けることはできないでしょうか。

(鎌形課長)
 まず各省なりの環境の取り組みを書くということは、これは実は法律上義務付けられているので、環境省も環境省のホームページ丸ごと環境報告書みたいなものですから、政策としての環境報告も『環境白書』で出していると。農林水産省が環境報告書という名前のものを出されたということは報道されていますけれども、各省それぞれでやっているということなので、そこは担保できているのかと思います。もうひとつの崎田さんのメッセージですけれども、後藤委員からの意見書もございまして、全く書けていないということもありますので、メッセージというのは相談させていただいて書くことにしたいと思います。

(國部委員)
 今との関連で、書き方で内容を充実するということもあるんですけれども、(EPIは)全て「記載する情報」があるんですね。ところが(SPIは)最初から「記載が望ましい」情報として書くのはどんなもんなのでしょうね。もしも、こういう形にするのであれば、重視する、していないは別として、やはり5章として詳しく説明して重視するかしないかを明らかにするのがいいのではないでしょうか。このまま「記載する情報」がなくて最初からこうきているというのは、非常に望ましくないと思います。

(後藤委員)
 おっしゃるとおりで、何を書くべきなのかを決められないまでも、企業に対しては「方針をきちんと書きましょう」ということは書くべきなんですね。そして「項目については各省庁と今後充実していきます」とか、そういうことがきっちりないと。やはり方針がきわめて重要なわけですよ。それは「何を書け」というものでもなく、内容については各企業が書くわけですから、方針は書くということにしたほうがいいと思いますね。

(上妻委員)
 WGのアイデアは3つあります。[1]今の社会性の部分を第4章にする、[2]タイトルの副題をもっとイメージが沸くようなものにする、[3]必ず書いてほしいこととして、方針・目標・計画といったところは書く、この3点セットだったんですけれども。それが全部落ちているということなんですね。それが、基本的な方針ぐらいは書いてあれば後退にはならないと思うのですが、明らかに前の2003年度版から著しく後退しているという印象を受けてしまうと思います。

(伊東委員)
 企業で実際に作っている立場から言いますと、ここに書いてある程度の内容ですと、全然書いて問題ないです。というのも、SRIに採用してもらうための格付には必ずこの辺が入っているんですよ。例えば当社ですとDJSIやFTSE4good、Ethibelなんかに入っているんですね。そうすると必ずこの労働・人権・マネジメントは入っているので、それをサステナビリティレポートやCSRレポートは意識していて、全然違和感はないんですね。だから、あとは環境省さんと他省庁間の問題だと思うんですね。

(後藤委員)
 第三次環境基本計画で、スタンスは環境・経済・社会の3つになっていますよね。だから「他省庁と相談します」と書いて他省庁が文句言うわけがないですよね。あれは閣議決定していますから。ですから、もっと前向きのメッセージで、方針は書くことにすると。それは企業が書くことですから、項目は決めていなくて全然問題ないわけですね。

(中山課長補佐)
若干、環境基本計画のからみで環境と経済の関係について少し解説のところに入れることは出来るだろうと思います。それから、今各省庁も取り組みを具体的にやられているところもありますので、そのあたりの紹介なり何なりは多分少なくともできると思います。それらを活用しながら(報告書を作ってください)、ということは書けるのかなと思います。

(上妻委員)
 その部分だけ「外注」するわけですね。

(中山課長補佐)
 ある意味「外注」するということです。「それ(他省庁の報告ガイドライン)ができてきたら活用してくださいね」と書くことは、ある意味で「早く作れ」という(各省庁への)プレッシャーにはなりますので、そのぐらいをやりつつ、どういう構成にするかは、章に挙げる挙げないを含めてもう一度検討させていただいてご相談したいと思います。

(伊東委員)
 作っている立場からすると、(SPIが)他のパートと同じような体裁になると、名前は「サステナビリティガイドライン」や「CSRガイドライン」じゃないのか、と率直に思うのですが。現実に、私たちはCSRレポートを作っているのですが、その中の環境部分を環境報告書ガイドラインに準拠しているというのが実態です。

(上妻委員)
 つまり、「環境報告」ガイドラインなんですよね。

(河野座長)
 将来的にはそういう議論になると思いますが、今日はそれをしないということでいかがでしょうか。

(國部委員)
 WGでも申し上げたんですが、CSR/サステナビリティリポーティングとしたときには、環境・社会・経済で、社会的な経済情報、例えばステークホルダーへの価値の分配というのも入れていただけたら、ということも申し上げて、そういう意見もWGから多分行っているはずですが。

(上妻委員)
 WGでは、それは具体的な項目としては書いていませんが、経済的な云々という文言は入っています。

(國部委員)
 入っていますけど、各ステークホルダーへの経済的価値の分配ということを指標として、というところは全然出ていないので、それはひとつあっても誰も文句は言わないと思うんです。むしろあったほうが、全体的な流れがわかりやすくなるのではないかと思います。

(河野座長)
 環境・社会・経済の3つのうち経済がないのは確かですね。

(森下委員)
 解説などを書くときのスタンスですが、ほとんどの方は「政府の方は一体だ」と思っているんですね。同業他社だとは普通の人は思っていないんです。これはオフレコっぽい発言ですけれども、そこは霞ヶ関と思っていることと社会一般が思っていることにはズレがあるので、政府は一体だと企業の方も含めて普通の人は比較的思っているんですよ。ですから、そこは踏まえて書いていただいたほうがいいですね。

(鎌形課長)
 そこはできるだけ早い時期にご相談しながらまとめたいと思います。

(國部委員)
 EEIは全然議論していなかったのですが、環境効率の指標について。

(川村)
 それはぜひ後日メールなどでご意見いただく形とさせてください。参考文献についても適切なものなどがあれば併せてお願いします。

(河野座長)
 後藤委員から最後に検討しようとご提案のあったタイトルについては、議論の中では暗々裏に「環境報告書ガイドライン」でいくような感じでしたけれども、これはどうでしょうか。「新」というのはこれをつけるという意味ですか?

(川村)
 これはわかりやすくするためにつけているだけで、最終的には削除します。

(崎田委員)
 タイトルに「持続可能な美しい国を目指して」と書いてはどうでしょうか。

(河野座長)
 総理のことばですね。その点(タイトル)については、ひとまずこのままにしておいて、第4回検討会で最終的にタイトルは決めることにしたいと思います。それでは今日の議論を踏まえて、パブリックコメント前の中間報告案について第4回検討会で検討したいと思います。第4回は3月9日を予定しています。事務局から今後のスケジュールについて説明お願いします。

(川村)
 今日頂いた意見を元に、簡単なアンケートをメールアドレスのわかっている企業を対象に実施し、その中から企業ヒアリングをNPOなども含めて10~15団体実施したいと思っています。次回も本会場で行う予定です。そこで、次回についてWGの上妻座長からご提案がありますので、ご説明お願いいたします。

(上妻委員)
 EPIとSPIについて実質的に議論をしてきたメンバーの宇郷委員と倉坂委員がいらっしゃいますので、次回の検討会が中身について議論をする最後の機会となるので、みなさんの合意が得られれば参加していただきたいと考えており、お認めいただきたいと思います。

(河野座長)
お二人のご都合もあるとは思いますが、もし出られるようでしたら出ていただければと思います。

(川村)
 それでは、次回までに今回の意見も入れつつ相談もしつつ、参考資料として使えるようなものも頂いて、アンケートやヒアリングの結果も反映して、ブラッシュアップしパブリックコメントに向けた最終的な案を作らせて頂きたいと思います。

(河野座長)
 本日は、どうもありがとうございました。

以上