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5.3 参考3 諸外国における環境報告書の第三者レビューの状況

 諸外国において実施されている第三者レビューの特徴的な事例としては、以下のようなものがある。

形態

企業名

第三者レビューの概要

審査実施者/機関

BAA Gatwick(97/98),Electrowatt(96)

報告書に記載されているデータの検証、または環境監査プロセスのチェツクのみを実施。

BAA Gatwickは検証人のサイン無。
ElectrowattはAretas AG(環境コンサル)

Bayer(97),Scottish Hydro-Electric,BNFL(98),Det Danske Sta lvalsevark A/S(98)

1と同様、データ等の検証を行っているが、現地調査も含めた詳しい検証を実施。
調査した箇所、範囲を限定し、一部は今後の改善点も指摘。

BayeはArthurD.Little(会計事務所)
ScottishはERM(審査登録機関)
BNFLとDet Danske StalvalsevarkはDNV(審査登録機関)

BrOdrene Hartmann
A/S(96)

データ及びLCA評価の適切さをチェック(但し報告書全体を検証したものではない)。

デンマーク規格協会(準公的機関)とデンマーク工科大学の研究機関

Eastern Group(97/98)

検証基準はEMAS及びISO14001。現地調査も実施。
検証はデータ、監査プロセス及び報告書の内容・表現の適切性。但し企業の環境姿勢及び報告書の不足部分等についてはコメントしていない。

CQA所属の検証人

Shell(98,99)

データの正確さと環境方針の決定過程の確認を検証。検証文は長文。データの実地検証は行っていない可能性あり。

KPMG,Price Waterhouse(大手会計事務所)

BA(97)

データの正確さ、環境対策の改善、EMSの状況を検証。検証文はコメントに重点を置き、欠点・改善の余地に関しても詳述。但し環境対策の範囲は汚染物質の排出等の直接的環境負荷に限定。

Aspinwall(環境コンサル)

Anglian Water(97,98)

,BA(98)

調査データの範囲が、トレーニング、R&D、地域とのコミュニケーションなどの質的側面も含む。環境対策と事業との連携、持続可能な発展への貢献などのマクロな取り組みにも言及。改善の余地についても具体的に指摘。但し、データ検証の部分と取組検証の部分がコメントの中で混在。

Aspinwall(環境コンサル)

BA Amoco(98)

報告書とデータが別冊となつているため、検証も環境方針等が遵守されているかどうかと、データの正確性チェックのに分けられている。方針の内容は検証していない。
FEEのガイドライン準拠。検証や監査と言わずにassestation(証明)としている。

Ernst & Young(大手会計事務所)

Body Shop International(97),Body Shop Australia/New Zealand(98)

社会監査と環境検証を並列して記載。社会監査の検証文は詳細だが、環境検証の内容は乏しい。InternationalしEMASとISO9002を基準とした管理システムとデータの検証。Australia/New Zealandはデータのチェックのみだが、計算ミスや問題点も改善の余地等のコメントが詳細。

Internationalの環境方針の検証は英国規格研究所などの認証機関、社会的監査はNGO(New Economics Foundation)がそれぞれ実施。

10

Novartis(97,98),ASG(97),Neste(97),Novo Nordisk(98)

検証の基準やプロセスを詳しく表記。基準はISO/EMAS以外を使用。データの不足部分、環境方針の改善余地、企業倫理、利害関係者の参加などについても検証し、コメントしている。

SustainAbility(環境コンサル)、Novo Nordiskについては、Deloitt & Touche(会計事務所)が検証に加わっている。

11

Kemira(98)

アニュアルレポートと環境報告書が1冊になっていて、その両方を検証。

KPMG(大手会計事務所)

12

Baxter(97)

環境監査の一環でデータやEMSのチェックを実施。第三者検証とは呼んでいない。

環境コンサル、弁護士、会計事務所の3社が担当。

13

Vauxwall(97)

検証ではなく、環境の専門家3人の論評を掲載。検証文のように堅苦しいものではなく、一般の消費者には読みやすい反面、フォーマルさに欠ける。

大学教授、環境コンサル、NGO

*本表は、SustainAbility社研究員のレポートを基に作成したものである。


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