5 化学物質対策

 現在、日本で流通している数万種に上るといわれる化学物質の中には、その製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われない場合に環境汚染を引き起こし、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあります。
 このような影響を未然に防止するためには、化学物質の環境保全上の支障を生じさせるおそれ(環境リスク)の評価を行い、適切な対策を講じていく必要があります。
 平成16年4月の化学物質審査規制法の一部改正により、人への健康影響に加え、新たに動植物への影響も考慮した審査・規制が行われることとなりました。さらに、難分解・高蓄積性の既存化学物質の規制、事業者が入手した有害性物質の報告の義務付け等を規定しています。
 ダイオキシン類については、平成15年の年間排出量は、376~404g-TEQで、9年に比べて約95%の削減がなされたと推計され、削減目標は達成されました。人が一日に平均的に摂取する量は年々低減し、生涯にわたって継続的に摂取したとしても健康に影響を及ぼすおそれがない一日当たりの摂取量である「耐容一日摂取量」(4pg-TEQ/kg/日)を下回っています。

グラフ ダイオキシン類の排出総量の推移

グラフ 食品からのダイオキシン類一日摂取量の経年変化


 また、内分泌系に影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を起こす内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)については、環境省においては、平成17年3月に新たな対応方針である「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について-ExTEND2005-」を取りまとめました。
 さらに、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質について、環境中への排出量や廃棄物に含まれて移動する量を事業者自らが把握、報告し、国は事業者からの報告の集計及び報告以外の排出量の推計を行い、公表する仕組みであるPRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)が日本にも導入され、平成17年3月には、第3回目の集計結果が公表されました。今後は、化学物質に関する正確な情報を市民・産業・行政等のすべての者が共有しつつ相互に意思疎通を図るというリスクコミュニケ-ションの推進がより重要となります。

グラフ 届出排出量・届出外排出量上位10物質とその量(平成15年度分)




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