第4節 企業から創る


 今日、通常の事業活動に起因する環境への負荷が増大している中にあって、企業は経済活動の主要な担い手であることから、その事業活動全般について環境配慮を組み込んでいくことが重要です。また、企業は、環境保全のための新たな技術開発などにより環境問題の解決に貢献し得る立場にあり、その能力を活かした積極的な取組が期待されます。
 企業の環境保全の取組は、法規制の遵守にとどまらず、社会的な責任を意識して取り組んでいる例や、企業における最も重要な戦略の一つと位置付けて取り組む例も多く、自主的な取組がさまざまな成果をあげています。
 例えば、環境省の調査では約57.1%の企業が自主的に二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいます。また、環境配慮型の製品の開発や環境ビジネスの分野において、家電製品の省資源、省エネ水準はここ数年で大きく向上しています。ハイブリッド自動車に代表される自動車の燃費と加速性能等を両立させた日本の技術は世界でも高く評価されており、こうした環境配慮技術が盛り込まれた自動車の普及が進んでいます。

グラフ 国内四輪自動車総出荷台数に占める低公害車の割合


 環境省が平成16年度に行った推計によれば、環境保全を考えた消費者の行動が需要や市場を誘発し、環境に配慮した製品や事業形態(環境誘発型ビジネス)の市場規模は2025年には約103兆円、雇用規模は約222万人になると予測されます。これらの市場が消費者の支持を受けて拡大するにつれて、企業が環境に関連したビジネスに一層投資を行うことでより一層のビジネスの発展につながり、さらに環境が改善されることが期待されます。

表 環境誘発型ビジネスの市場規模及び雇用規模の現状と将来予測についての推計



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