第3節 学校から創る


 持続可能な社会を構築していくためには、これからを担う子どもたちへの環境教育が極めて重要です。人間と環境との関わりについての正しい認識に立ち、自らの責任ある行動をもって社会づくりに主体的に参画できる「環境の人づくり」を進める上で、学校が果たす役割は大きなものとなっています。
 環境問題の現状やその原因について単に知識として知っているだけでなく、実際の行動に結びつけていく能力は、体験型の学習の中で自ら体験し、感じ、分かるというプロセスを繰り返すことにより、一層身に付けられると考えられるため、自然や暮らしの中での体験活動や実践活動を環境教育の中心に位置付けることが重要です。

 福岡県二丈町立深江小学校は、「地域の豊かな自然への気づき」から「生き方への気づき」を呼び起こし、環境を大切にする態度を育てることを目標とする教育が行われています。平成16年度の5年生の学習は、「深江の人や生き物のための水辺を考える」学習に取り組みました。子どもたちは地域の海や川に出かけ、多くの生き物が棲んでいることや生活排水が川や海を汚染していることを学び、「海に流れ込む水のろ過器の役目を持つ砂浜をきれいにしたい」などの意識が生まれ、解決方法を地域の人たちに提案するなどの交流活動を行いました。また、自分たちができることから活動を始めていく意欲を持つようになり、地域の環境改善のため、川の水質保全や浄化槽設置等を訴えるポスターやちらしの作成、海浜のごみ拾い等に取り組みました。生き物の現地調査、交流活動、環境改善の実践等、すべての段階において「体験」から学び、実際の行動へ結びつけています。

写真 川の生き物調査 福岡県二丈町立深江小学校提供



前ページ目次 次ページ