第2節 地域を構成する基盤と主体による地域特性

1 地域における基盤の構成と 地域特性世帯規模と高齢化率

 地域を構成しているものは、気候、地理、動植物、水など自然由来のものと、人口、土地利用、交通基盤、公共施設、伝統や風土など社会的なものに分類できます。地域によりこれらの構成基盤と環境との関わりは異なります。例えば、大都市の世帯人員が少ない傾向は、エネルギー消費や水使用の増加につながります。他方、農山村は、その豊かな森林資源が木材の供給、二酸化炭素の吸収・固定など多面的機能を有しているほか、1人1日当たりごみ収集量が少ない傾向が見られます。こうした違いにより、目指すべき地域の将来像も多様となります。例えば、都市に関しては、都市機能を一定範囲内に適度な密度で配置、職住近接などを目指した「コンパクトシティ」という考え方が提唱されており、他方、農山村に関しては、農山村の持続可能性を保っていくため、環境との共生、地域物質循環、自律を基調とした「エコビレッジ」と呼ばれる地域社会の形成の考え方が提唱されています。

地域における基盤の構成

総面積に占める森林面積比率 世帯規模と1人1日当たりごみ収集量

2 地域を構成する 主体とその役割

地域を構成する各主体と環境保全活動における役割

 地域社会は、地域の自然的基盤、社会的基盤の上で、個人、家庭、近隣、学校、企業、地方公共団体、NPOなど多様な主体が社会的・経済的活動を営むことによって成り立っています。これらの主体は環境との関わり合いにおいてその立場と状況に応じて、環境に負荷を与える主体、環境を利用する主体、環境を保全または創出していく主体、環境について学んでいく主体など、さまざまな関わり方を有しており、それぞれの主体相互の間で環境コミュニケーションがなされています。  その中で今日、NPOが公益を実現する担い手として不可欠の存在となりつつあります。NPOは、行政や企業に期待できない多様な活動を即応的に地域密着型で展開できるという特性を持っており、環境の分野でもその役割はますます大きいものとなりつつあります。


NPOに含まれる団体の種類

3 地域の多様性を踏まえた環境保全の展開NPO法人数の増加

 地域ごとに行われる環境保全の取組は、これまで見てきたような、地域によって異なる自然的・社会的基盤と主体がダイナミックに関係し合って行われることになります。従って、目指すべき地域づくりの方向性や取組の内容、進め方も、地域によって多種多様となるはずです。このように地域の個性をさまざまな主体が協力しあって有用に活用していくことで、一人では成し得なかった新たな環境保全の展開を期待できるといえます。

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