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第6節 

3 生物モニタリング(生物指標環境汚染測定調査)の概要

 生物モニタリングは、化学物質審査規制法に基づく特定化学物質及び精密環境調査結果等から当該化学物質による環境汚染の進行を未然に防止する上で注意深く監視を行う必要があると考えられる物質について、全国16地域で生物(魚、貝、鳥)を対象に環境汚染の経年監視を行うものである。
 60年度においては、35物質について生物中の残留濃度を調査した。その結果、クロルデン類(5物質)は、検出最高濃度が、魚類では59年度より低く58年度と同じレベルであったが、貝類では59年度に比べて増加した。60年度新たに調査に加わったトリプチルスズ化合物は、瀬戸内海のスズキから高濃度で検出されたものの、その濃度レベルは直ちに危険な状況ではないと考えられる。また、鳴門のイガイからは依然としてディルドリンが高濃度で検出された。したがって、今後ともこれらの物質を中心に環境中における残留状況を注意深く監視していく必要があると判断された。
 生物モニタリングについては、測定データの蓄積がまだ十分でないこと等から、当該生物の生息域に係る環境の汚染状況の推移を把握するにはなお困難な面もあるが、比較的測定データの蓄積があり、かつ、検出頻度の高い12の物質について主成分分析による予備的な統計解析を試み、全般的な汚染状況の推移をみてみた。その結果、現在のところ、これまでモニタリングの対象となってきた主要汚染物質の生物中への蓄積が進行している地域はなく、おおむね横ばいであると推定された。

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