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第5節 

2 地球環境の保全に向けての多国間協力

 各国における環境問題や国境を越えて影響が及ぶ環境問題の発生・進行に加えて、地球的規模での環境問題が今後発生・進行する可能性がある。我が国はこうした問題に対する取組に積極的に貢献していくことが求められている。
 特に、地球的規模の環境問題が人類に与える影響は決して特定の地域にとどまるものではなく、現在のみならず将来の世代を含めた人類全体の生存にかかわる問題である。この問題への取組としては、データや知見が必ずしも十分でないので、まず、地球的規模での環境モニタリングによるデータ整備や調査研究の充実による知見の集積が基本的に重要である。
 こうした点を踏まえ我が国は、国連環境特別委員会のほか、UNEP等の国際機関の場などを通じて、環境分野の国際協力に積極的に取り組んでいる。
 国連においては、環境保全分野での活動を進めるため、UNEPが設置されている。我が国は、UNEPの管理理事会の理事国として国連が進めている環境分野での活動に貢献してきており、60年は環境基金に対して各国からの拠出総額の約14%を拠出している。これは米国の約31%に次いで多い(第3-5-1図)。
 サミットにおいても、酸性雨問題や地球的規模の環境問題等に対する先進国の関心の高まりを背景として環境問題が討議されてきている。61年5月に開催された東京サミットでは、汚染の防止及び抑制並びに天然資源の管理に関する国際協力を重視すること、環境分野において開発途上国との協力を強化する必要性を認識すること等を内容とする経済宣言が採択されているほか「より良き未来を期して」と題した東京宣言においても、健全な環境を将来の世代に伝える責務を負っているとの表明がなされている。

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