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第3節 

3 自然とのふれあいの増進

 都市化の進展等により、自然との接触の機会が減りつつある今日、自然とのふれあいに対する人々の欲求はますます高まってきている。国民の自然に対するニーズは、一方で、日常的には体験できない国立公園のような優れた自然とのふれあい、原生的な自然や優れた景観、その中に生きる動植物との出会いを通じて驚きと感動を得たいとするものもあれば、他方で蝶や小鳥、雑木林、草原など失われつつある身近な自然にふれ、季節を感じ、生活に潤いとゆとりを持ちたいとするものまで多様である。また、自然とのふれあいの態様も目的指向型の積極的なものへと質的にも変化している。
 これに対応して、環境庁及び地方公共団体では、これまで、国立公園、国定公園におけるビジターセンターや自然研究路等の整備、都道府県立自然公園におけるふるさと自然公園国民休養地の整備、長距離自然歩道網の拡充など、自然に親しむための施設の整備、自然解説の充実等に努めてきた。また、自然公園大会や自然に親しむ野外活動の実施など「自然に親しむ運動」を積極的に推進している。
 さらに、59年から、環境庁では、観察を通じた自然保護教育を推進するための「自然観察の森」事業を、また、文部省では、都会の児童、生徒に豊かな自然環境の中での生活を体験させる「自然教室推進事業」を推進するなど、国では国民と自然のふれあいを増進するための様々な施策に取り組んでいる。
 今後も原生的な自然から都市近郊の自然まで、自然の段階に応じて、きめ細かな自然とのふれあいを促進する施策を一層展開していく必要がある。

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