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第2節 

3 都市活動とごみの処理・処分問題

(1) 都市化の進展とごみの増大及び質的多様化
 都市化の進展に伴って、都市の活動が高密度に営まれること、生活水準が向上していること等からごみの量が増加するとともに、質的にも多様化が進み、ごみの処理・処分が大きな課題となってきている。
 都市化の進展とごみの排出量の増大について考えると、まず、1人当たりのごみ排出量は、都市化が進み、都市規模が大きくなるほど、増大する傾向がある。市町村人口規模と1人当たりごみ収集量の関係をみると、市町村人口規模が大きくなるほど、1人当たりごみ収集量は増加するという正の相関がみられる(第2-2-11図)。この理由としては、人口規模が大きな市町村ほど、商業化が進み、大量消費型の生活様式が普及していること、自家処理が困難であること、核家族化が進んでいること、また、都市ほど事業活動が活発であり、事業系一般廃棄物が多いこと等が考えられる。さらに、都市においては、人口密度が高いことから、面積当たりのごみ排出量は一層大きなものとなる。
 ごみの質的変化については、生活水準の向上、生活様式の変化とともに、製品の多様化、容器素材の変化が進んできたこと等から、ごみの組成に変化がみられる。東京都で収集されるごみについてみると、プラスチックの占める割合が高度経済成長期の40年から45年にかけて3.8%から10.1%へと3倍近く増加している。


(2) 都市におけるごみの処理・処分
 こうしたごみの量的な増大、質的な多様化を背景として、都市におけるごみの処理・処分には様々な課題が生じている。
 特に、ごみを効率的かつ適切に処理するための埋立処分地、焼却施設等の施設用地の確保が大きな課題になっている。ごみの埋立地の残余容量は57年度末、全国で176百万m
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であるが、今後も従来とほぼ同様のごみの処理・処分が行われるとすれば、これは6〜7年分の容量にすぎない。特に、高密度な土地利用が行われ、かつごみの排出量の多い大都市圏においては、新たな埋立処分地の確保が極めて難しくなっている。
 たとえば、東京湾におけるごみの埋立は昭和2年頃から本格化し、それ以来、ごみ処分のために埋めたてられた東京湾の面積は、後楽園球場のおよそ80倍に当たる約430ヘクタールに上っており、今後の埋立地の確保が一層困難になってきている(第2-2-12図)。
 また、都市においては、廃棄物処理施設の遠隔地化及び交通事情の悪化等がごみの効率的収集に支障を及ぼす要因となっている。


(3) ごみの処理・処分と市民の役割
 以上のような都市におけるごみの処理・処分上の問題を解決し、都市の良好な生活環境を確保していくためには、ごみの排出量の削減、資源化・有効利用等による減量化の推進、廃棄物処理施設の整備による処理機能の強化等を図る必要がある。これらの実施に当たっては、分別収集等市民の積極的な協力を必要とするものも少なくない。たとえば、東京都町田市においては、市民の協力によりビン、カン等を分別収集し、燃せないごみの減量、資源化率の向上等に大きな成果をあげている(第2-2-13図)。

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