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第2節 

3 廃棄物事犯の取締り

 廃棄物事犯のほとんどは「廃棄物処理法」違反であるが、58年の同法違反の検挙件数は5,353件で、前年に比べ431件(8.8%)増加した。その態様別検挙状況は第7-2-5表のとおりで、廃棄物の不法投棄事犯が4,261件(79.6%)と同法違反の大部分を占めている。また、排出源事業者が、廃棄物の運搬、処分を処理業者に委託するに当たっての基準違反を663件検挙し、不法投棄事犯等を誘発する排出事業者の刑事責任の追及に努めた。
 不法投棄等(不法投棄のほか、無許可の埋立て等を含む。)された産業廃棄物の総量は約31万6,000トンである。その種別は第7-2-6表のとおりで、建設廃材と汚泥で全体の95.0%を占めている。また、不法投棄等の量を場所別にみると第7-2-7表のとおりで、埋立地・宅造地が最も多く、次いで水田・畑、山林・原野等の順となっている。
 産業廃棄物不法投棄事犯の業者別、原因・動機別内訳は第7-2-8表のとおりで、不法投棄の約83%は排出源事業者によって行われている。また、原因動機別では、「処理経費節減のため」が最も多く、約半数を占めている。
 検挙した廃棄物事犯の内容をみると、排出源事業者や許可事業者等による処理経費節減のための不法投棄事犯、違反を承知で処理料金の安い無許可業者に処理委託する委託基準違反、廃棄物の不法処理による利益が極めて大きいところから「土砂で埋め立ててやる」等甘言を用いて土地を借り受け、不法投棄等して暴利を得る事犯が多発するなど、公害防止より利潤追求を優先する違反が多く見受けられた。

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