前のページ 次のページ

第1節 

2 化学物質対策

 化学物質対策については、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づき新規化学物質に関して、事前審査制度を設けるとともに、難分解性、生物濃縮性、慢性毒性等を有する化学物質を特定化学物質に指定し、製造、輸入、使用等の規制を行っている。
 また既存化学物質についても、通産省において分解性及び生物濃縮性について、厚生省において慢性毒性等について、また環境庁において環境安全性について環境調査等を行い点検を進めている。
 このように、これらの化学物質の分解性、生物濃縮性等の環境中での挙動に関する知識の集積が図られているが、なお未解明の部分が残されており、さらにこのような安全性の点検を積極的に展開していく必要がある。
 また、化学物質の中には、環境中の濃度が極めて低い場合でも環境に対し影響を与える可能性があることが指摘されているものもある。さらに、ある化学物質が環境中で検出された場合でもそれだけでは特定の汚染源に結びつけることが困難な場合も少なくない。
 このような観点から、環境汚染の防止を図るためには、今後とも、化学物質の製造、流通、使用、廃棄等の過程で生じる汚染の可能性及びその影響に関する知見の集積や各種データの収集を図るとともに、分析方法の確立などに努め、国民が安全で安心して生活できる環境を確保していくことが重要である。

前のページ 次のページ