3 国民意識の変化
経済社会の成熟化を背景に、国民の意識も変化している。所得水準の上昇、物的欲求の充足は、国民のニーズを量から質へ、あるいは物的満足から精神的、文化的満足へと転換させている。
さらに、所得と自由時間の増大や高学歴化を背景として、何らかの形で自らが社会に参加することに生きがいを見いだそうとする人々が増加している。特に、女性や高齢者を中心として社会参加のニーズが高まっている。
生活環境の分野においても、より快適な環境を欲するニーズも高まっており、行政の行なう公害規制等による環境悪化の防止のみにたよるのではなく、資源リサイクル運動や自然環境の保全運動にみられるように、地域の住民が自分達の手で住みよい生活環境をつくっていこうとする動きが芽ばえている。(第2-2-5図)。
「緑化推進に関する世論調査」(58年6月、総理府調べ)によれば、33%の人々が緑化活動へ参加・実践したことがあり、さらに、62%の人々が参加・実践したいと思っている。また、「みどりの資金づくり」に協力してもよいと思うかどうか聞いたところ、「協力する」と答えたものは39%、「緑化活動の一助となるのであれば協力してもよい」は34%であり、合わせると7割を超える者が協力してもよいと答えている(第2-2-6図)。
環境庁と厚生省が提唱し、都道府県や市区町村が中心となって昨年6月に実施された「環境美化行動の日」にも全国で700万人以上の参加が得られている。
このように、環境保全に関する自主的社会活動は、国民の参加意欲高まりを背景として、年々活発なってきているが、その発展を図るためには、活動場所などの活動の基礎条件の整備、人材の形成、活動資金、関連する制度の整備等、なお、社会全体として解決すべき多くの課題がある。成熟化する社会においては、国民意識の高度化に対応し、自主的活動の条件整備を図っていくことがよりよい環境の確保と維持の重要なかぎとなろう。